枯れ葉が落ちると同時に3人のライダーが引き金を引く。放たれた弾丸は相手に当たることなく火花を上げて消滅し、それと同時にディケイドとジーンはヴァニティギーツへと接敵した
「はぁっ!」
「ふっ!」
2人の拳が当たる瞬間、ヴァニティギーツは手に持ったギーツバスターで攻撃をいなし、ディケイドの腹部へ向けて蹴りを放つ
「────!」
「士ッ!」
ライドブッカーを使ってその一撃を防いだディケイドだったが完全に衝撃を殺しきる事が出来ず、大きく後方へと弾き飛ばされる
そうして後方へと飛ばされたディケイドを気にかけながら、ジーンはヴァニティギーツへと攻撃を仕掛ける……が、彼が放った攻撃に対し、ヴァニティギーツは一撃をいなし、時にはカウンターを決めて自身がダメージを受けないよう立ち回っていた
「斬撃もダメ、銃撃もダメ……なら、少し攻め方を変えるか。ユウスケ、お前の力借りるぞ」
その様子を観察していたディケイドは、近くに落ちていたライドブッカーを開き、そこからクウガのカードともう1枚を取り出すしてからバックルを回転させてから先にクウガのカードを装填する
〘 KAMEN RIDE 〙
〘 KUUGA 〙
バックルを回転させると同時に、ディケイドはヴァニティギーツの方へ向けて走りだす。同時にディケイドライバーからは赤い輝きが溢れ、その姿がクウガへと変身し、ヴァニティギーツに向けて拳を放つが、その一撃は剣の腹で受け止められる
「無駄だ」
「だろうな、それを見越してこの姿になったんだよ」
そう言ったディケイドクウガはヴァニティギーツが受け止めたのとは逆の手────指で挟んでいたもう1枚のカードを宙へと投げ、空いた手でバックルを回転させる
一瞬の動作の後、降ってきたカードをキャッチ、ドライバーへ装填すると同時にギーツバスターを握っていた手首を掴んで相手の行動を封じる
〘 FORM RIDE 〙
〘 KUUGA TITAN 〙
相手の行動を封じたまま、空いた手を使ってバックルを回転させるとディケイドライバーから紫の輝きが溢れ、赤のクウガから紫のクウガ──クウガ タイタンフォームへと変身した
「ジーン!」
「わかった!」
多重変身を終えたディケイドクウガはヴァニティギーツの行動を封じたままジーンへ呼びかけると、彼はその意味を理解しレイズライザーでヴァニティギーツと、彼の握っていたギーツバスターのグリップへと銃撃をする
「ッ!?」
その一撃を受け、初めてダメージを負ったヴァニティギーツは僅かに苦悶の声を漏らすと同時に、ギーツバスターが手から離れる。その隙を見逃さなかったディケイドクウガはギーツバスターを奪い取った
「ナイスアシストだ、ジーン」
「あれだけ誂え向きな状況を整えられたら、ね?」
ジーンと拳を合わせたディケイドクウガが奪い取ったギーツバスターを肩で担ぐと、彼の持っていたギーツバスターがタイタンソードへと変化した。それを見て驚いた様子を見せるジーンとは裏腹に、武器を奪われたヴァニティギーツは先ほどまで武器を握っていたはずの手をじっと見つめた後、肩を震わせ始める
「小癪な真似をッ」
先程までとは一転し、感情を見せたヴァニティギーツは手元にマグナムレイズバックルを創り出すとサイドバックルにセット、起動する
【MAGNUM INFINITY】
電子音が周囲に響いた直後、ヴァニティギーツの背後に大量のマグナムシューターが出現し、その銃口がディケイドとジーンの2人へと向けられる
「……マジか」
「大丈夫、どこまで耐えられるかわからないけど、手ならあるよ」
そうして、大量のマグナムシューターを呼び出したヴァニティギーツが合図をし、銃弾が発射される直前、ジーンはレイズライザーのレバーを2回入力して引き金を引く
『SUPPORT MODE』
『LASER CHARGE』
レイズライザーから電子音が鳴り響き、マグナムシューターから弾丸が放たれるよりも先に、レイズライザーから射出されたカード状の板が2人の前に現れ、降りそそぐ弾丸の雨からその身体をガードする
「すまん、助かった」
「気にしなくていいよ、それよりどうする?」
ジーンの言葉に対する少しの逡巡の後、ディケイドクウガはジーンの方へ視線を向けて、彼に言葉をかける
「前に出してるバリアみたいなの、俺に付けることって出来るか?」
「出来るけど……って、なるほど、そう言うことか」
「あぁ、頼む」
ディケイドクウガの言葉を聞き、その意図を察したジーンはもう一度レバーを2回入力して、目の前に展開しているのとは異なる大きさのバリアがディケイドクウガの周囲へと展開する。彼もまたそれを確認するとタイタンソードを肩に担ぎながら走り出す
「自棄になったかッ!」
銃撃を続けながらその光景を見ていたヴァニティギーツは銃撃をディケイドクウガ一点に集中させる
先ほどとは違い、一点集中された銃撃によってバリアには少しずつヒビが入り、割れる直前でディケイドはバックルを回転させ、ライドブッカーから取り出したカードを装填、回転させる
〘 FORM RIDE 〙
〘 KUUGA DRAGON 〙
瞬間、青い輝きがディケイドクウガを包み、その姿が紫から青──ドラゴンフォームへと変化する、同時に、彼の手に持っていたタイタンソードもドラゴンロッドへと変化、ドラゴンフォームへ変わったことで強化された脚力を用いて、周囲に展開されていたバリアが砕け散ると同時にヴァニティギーツへ一気に接敵する
バリアが砕けてから自身に銃弾が直撃するまでの僅かな間、その一瞬でディケイドクウガは前方にドラゴンロッドを突き放ち、ヴァニティギーツへ攻撃を仕掛ける
「ぐぁッ!」
「ぐぅッ!」
ヴァニティギーツはドラゴンロッドの一撃を受けた事で大きく後退し、ディケイドは振りそそぐ銃弾の雨を一手に受けた事でクウガへの多重変身が解除、そのままジーンの近くまで吹き飛ばされた
「士、大丈夫?」
「あ、あぁ……大丈夫だ」
大ダメージを受けたディケイドは何とか立ち上がり対峙した敵へと目を向けると、ドラゴンロッドによる一撃が想像以上のダメージになったらしいヴァニティギーツも膝をつき、こちらを見つめていた
「貴様等、何度も何度も俺に……」
憎々し気に言葉を紡ぐヴァニティギーツはサイドバックルに装着されていたマグナムバックルを投げ捨て、植物の蔦が絡みついたようなバックルを取り出した
「あれは……」
「知ってるのか?」
「あぁ、アレはジャマトバックル、元はジャマトが使ってたやつだけど……どうしてアイツが────ッ!」
「ッ!」
2人の言葉を無視したヴァニティギーツはジャマトバックルをサイドバックルに装填すると、地面に思い切り拳を叩きつける
【GREAT INFINITY】
禍々しくも仰々しい電子音が周囲に響いた瞬間、地面から蔦の大群が出現しジーンとディケイドへと襲い掛かる。津波とも形容できるその一撃は避けようがなく、何かしらのアクションを起こすよりも先に2人の元へ到達、その身体をガリガリと削っていく
「ぐ、あぁぁぁぁぁぁ────!」
「────―ッ!」
大規模な質量攻撃、それを受けた2人は強制的に変身を解除され人間の姿に戻り、そのまま地面へと倒れた。そんな2人を無視したヴァニティギーツはかなりの疲労を見せながらも祠まで向かおうとする
「ま……て……」
「只の人間が、俺の邪魔をするな!」
「ぐっ……」
そんなヴァニティギーツの足を掴み、少しでも祠に向かうのを阻止しようとした士だったが、生身の状態で掴んだ腕は簡単に振りほどかれ、ヴァニティギーツは祠の前まで辿り着く
「創世の、力」
祠に祀られていた御神体をヴァニティギーツが掴んだ
瞬間、御神体はデータが書き換えられるように赤いノイズを放ちながらその姿を変え、石で出来ていた御神体は徐々にその姿を機械的、近代的なモノへと変質させバックルそのものから激しい光が発せられる
光と共に禍々しい鐘の音が世界に鳴り響き、ヴァニティギーツの手に握られていたのはブーストマークⅢバックルと酷似したレイズバックルへと完全に変化する、そのバックルを見たヴァニティギーツは肩を震わせ、今までよりも激しい感情を露わにした
「は、ははは、はははははは! ついに手に入れた、創世の力……神の力を! これで私は、完璧になる」
歓喜の声を上げたヴァニティギーツは錆びついたマークⅢバックルをサイドバックルにセット。瞬間、周囲に──否、世界そのものに赤いノイズが走り少しずつ世界が書き換えられ始める
「これは……」
「世界が、書き換えられ始めるんだ」
「……なら早く止めねぇと」
ボロボロの身体を動かしながら何とか立ち上がり、ジーンから今、何が起こっているのかを教えてもらった士はディケイドライバーにカードを装填しようとするが、それはジーンによって止められる
「何すんだ、早くしねぇと」
「そうだね、けど……それはキミのやるべきことじゃない」
「それって────」
「そう言うこと、ここは俺に任せて」
目を見開く士に対しジーンはそう言うと、近くに落ちていたレイズライザーを拾い上げる
「士、キミが何の目的でこの世界に来て、何をしようとしているのかわからない。けど、キミのやる事が英寿の望んだ世界を守る事になる、俺はそう信じてる……だから、キミはキミのやるべきことをやるんだ」
「!お前……」
「後は頼んだよ、士」
「……わかった、ここは任せた」
ジーンの言葉に頷いた士はその場を彼に任せると、背を向けてその場から走りだす。その姿を見送ったジーンは、もう一度レイズカードリッジをセットし、引き金を引く
「変身」
『ZIIN LOADING』
「……まだ抗うか」
「あぁ、士にここは任されたからね……この世界を守るために最後まで抗わせて貰うよ」
空に開いた穴とその中に入っていく近未来的なメカを見送ったジーンは、マスクの中で笑みを浮かべるとヴァニティギーツへ向けて引き金を引いた
ジーンに後を託し、タイムマジーンを使って現代に戻って来た士はその足で鏡月丸まで戻る
「あっ、お帰り士君……って大丈夫!?」
「あぁ……大丈夫、それよりイオナ、調べて欲しいことがある」
「その前に手当しないと、ちょっと待ってて」
ボロボロの士を見たイオナは、彼の頼みを聞くよりも先に救急箱を持ってきて手当を始めた
「それで、何があったの、調べて欲しいことって言ってたから何か手がかりは掴んだんでしょ?」
「……あぁ、多分黒幕っぽい奴と戦った」
「黒幕っぽい奴って、この世界の異変の?」
イオナの言葉に対し頷き、肯定をした士を見て彼女は少し考えるような表情を見せた後、納得したような表情を見せる
「成る程ね、士くんが調べて欲しいことってもしかして自分が帰った後にどうなったのかって事でしょ」
「……間違ってない」
「間違ってないって事は、正解でもないってこと?」
「あぁ、実は────」
彼女の手当を受けながら士は過去で起こった事を話す、過去に行ったら変な白い狐と遭遇したこと、その狐に導かれる形で祠のある場所まで向かったということ、そこでジーンと言う青年と出会い、共に戦った事、一瞬の油断をつかれたことで敗北し、世界を書き換えられてしまった事
「……そんなことがあったんだね」
「あぁ……結局、俺はジーンにあの場所を任せて、こっちに戻る事しかできなかった」
後悔の念を見せる士を見たイオナは目を伏せた後、手当を再開する
「でも、そのジーンって人は士くんを信じて送り出してくれたんでしょ?それなら、もう少し頑張らないとね」
「そうだな……それで、鏡月丸なら書き換えられる前の世界の事も調べられないかと思ってな」
「出来るとは思う……けど、どこを調べるの?」
「書き換えられる前と、書き換えられた後……二つの世界の決定的な違い。デザイアコーポレーションだ」
「……だよね。よしっ、手当終了! それじゃあ調べておくから士くんは休んでて」
治療を終わらせたイオナはそう言うと救急箱を片付けてコンソールの操作を始め……ようとしたタイミングで鏡月丸が揺れ、船内にアラートが鳴り響く
「襲撃!?」
「……どうやら、休んでる暇はないみたいだな、行ってくる」
「ちょっと待って、これ……」
士の事を呼び止めたイオナは大画面に外の映像を表示すると、鏡月丸へ攻撃を仕掛けた襲撃者たちの姿が映しだされる。
船の外で攻撃をしていたのは動物を模したものではなく無機質なマスクをつけたライダー達、小型のアーマーを身に纏い、緑色のボウガンを構えているライダー達の少し後方に居るのは上半身を覆うゾンビとモンスターのアーマーを纏った2体のライダー。2人が手で指示を送るとボウガンを構えたライダー達から光の矢が放たれ、船が揺れる
「ッ!なんか、様子が変だな」
「……多分、あのマスクがライダー達を操ってるんだと思う」
「成る程、そう言う事なら無理矢理アイツらの変身を解いてやればいいわけだな」
「……気をつけて」
「わかってる」
そう言った士はイオナと拳を合わせた後、外で攻撃を仕掛けているライダー達を解放するために鏡月丸の外へと向かった
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