ディケイドになったので、世界を巡ります   作:SoDate

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次の世界へ《 Re:2022 ⇒ Re:2015》

 世界に響く鐘が鳴りやみ、青白い光が収まった時、デザイアコーポレーションがあった筈の場所に会社は存在せず目の前にあるのは神社とその片隅に立つ小さい祠だけ。それだけでなくその場にいたのは士、ユウスケ、エイト、ジーンの四人だけでイチカとウィンの姿は見えなかった

 

「ここって……神社?」

「元はデザイアコーポレーションの会った場所だな……やっぱりあの会社はここに建ってたんだな」

「あぁ、あの戦いの後で世界は創り変えられ、この神社があった場所にはデザイアコーポレーションがあったことにされた……だからこそこの場所はギーツの力を最も強く宿した場所でもあったんだ」

 

 士たちの元にやってきたジーンがそう言うと、過去での出来事を知っている士は納得したように頷いた。今回戦った敵はギーツになるために目の前にある社──その御神体からギーツの力を奪った

 

「あの、姉さんとウィンさんは?」

「あの二人なら、今頃自分の家にでも戻ってるんじゃないかな? 世界が元に戻った段階で書き換わった全てが元の状態に戻った筈だから」

「そうなんですね……あっ、姉さんからメッセージ」

 

 エイトがスマホを取り出してメッセージを確認すると、何処をふらついているのかなどの少々圧を感じるメッセージが次々と送られてきていた。それは自分たちが仮面ライダーとして選ばれる以前にしていたものと同じ

 

「そっか……じゃあ、元に戻ったんですね」

「……そうだね」

 

 僅かに暗い表情を浮かべたジーンだったが、気を取り直して士たちの方を向く

 

「それで、士たちはどうするの?」

「そうだな、多分だがこの世界でやるべきことはもう果たしたみたいだし」

 

 そう言った士はジーンに色付いたギーツのカードを見せると、彼も納得したようにそっかとだけ言葉を返した

 

「そう言えば、イチカさんとウィンさんは元の世界に戻ったのにどうしてエイトくんだけここに?」

「あぁ、多分だけどそのIDコアが理由だと思うよ」

「このIDコアが?」

「今はギーツのIDコアになってるけどそれは元々エイトの変身していたライダーのコアだった。だから君の記憶は消えないし、ライダーだった事実はなくなっても。君へ贈られた物としてそれは存在し続ける」

「……俺への、贈り物」

 

 手の中に納まっているギーツのIDコアを握りしめたエイトは瞳を閉じて今までの事を思い起こしていた

 

「士さん、ユウスケさん。ありがとうございました」

「えっ?」

「どうした、急に」

「……きっと、貴方達と出会えなかったら俺は一歩踏み出せないままだった。それが、今はこうしてここに居る……まさか、俺がギーツって名前を受け継ぐとは思いませんでしたけど。だから、ありがとうございます」

「気にしないで、俺たちは俺たちのやるべきことをやっただけ。なっ、士?」

「そうだな……それより、お前はこれからどうするんだ?」

 

 士がそれを聞くとエイトは目を丸くして士の方を見る

 

「ジーン、この世界は平和になったと言っても。ジャマトの脅威がなくなったわけじゃないんだろ?」

「そうだね、今は一人、ジャマトと人間の共存できる世界を目指して研究してる人が居るけど……それでも脅威が完全に消えたわけじゃない」

「きっと、この世界にはこの世界を守るライダー達だって居るし、今も何処かで世界を見守ってる神様だっているんだと思う……だが、もう一人くらいこの世界を守るライダーが居てもいいんじゃないか?」

 

 そう言った士はジーンに向けていた視線をエイトの方へと向け直すと、その視線を受けたエイトは意を決したような表情でジーンの方へ一歩踏み出す

 

「ジーンさん。俺は、あの人からギーツを受け継いだ……そう言いましたよね?」

「あぁ」

「なら、もう一度俺に、仮面ライダーをやらせてください」

「……それは、キミにとって茨の道かも知れないよ」

「わかってます、けど、お願いします」

 

 エイトがそう言って頭を下げると、ジーンは懐からデザイアドライバーのライドルベースを取り出した

 

「わかった、九重エイト。今日から君は──仮面ライダーだ」

「……はい!」

 

 差し出されたベルトを受け取ったエイトは強く頷き、バックルにコアをはめ込んだ

 

 

 ~~~~

 

 

 世界が元に戻り、九重エイトが仮面ライダーギーツの名を受け継いでから、数日の時が流れた

 あの後、士とユウスケは改めてジーンとエイトの二人に別れを告げ鏡月丸へと戻り、これまでの出来事をイオナへと報告、別の世界への出港するための準備に入っていた

 

「それにしても、今回の世界はあっという間だったな」

「だな、大体一週間とかそこらだった気がする」

「正直な所、今回はだいぶ特殊だったと思うよ……本来はもう少しかかる想定をしてたし」

 

 士とユウスケが話をしていると、少し離れた場所でコンソールの操作をしていたイオナが話に入ってくる

 

「やっぱそうなのか?」

「うん、最長だと半年は居る想定を立ててるよ」

「「半年!?」」

「そう、半年。と言っても世界に起こる異変はわかりやすいから世界を渡ってから解決まで、平均一か月って所だと思う」

 

 見てきたかのようにそう言ったイオナに対してユウスケは感心したような様子を見せるが士は怪訝そうな表情で彼女の事を見ていた

 

「士?」

「どうかしたの?」

「……いや、そう言えばイオナってやけに詳しいと思ってさ」

「えっ?」

「ディケイドライバーが俺のベルトだって言ったり、均衡を取り戻して世界を救うって事を知ってたり、この船の事だったり色々とさ」

「そう言えば」

 

 ユウスケもそう言えばという表情を浮かべていると、士はイオナの方へ視線を向ける

 

「俺は崩壊しかけてる世界……ライダーがいない世界の出身でユウスケはクウガの世界の出身だろ? なら、イオナはどんな世界の出身なんだろうと思ってさ」

「そういや確かに聞いてなかったな」

 

 二人の言葉を聞いたイオナは少しだけ顔を俯かせた後、申し訳なさそうに笑みを浮かべる

 

「ごめんね二人とも、今はまだ……言えない」

「言えないって……」

「ごめん! いずれ絶対に話すから……今は、お願い」

 

 二人に向けて謝罪をするイオナを見て、士は何も言わなかったがユウスケは彼女に言葉をかける

 

「イオナちゃん、一つだけ聞いていい?」

「……うん、今言えることなら」

「俺たちのやってることは、本当に世界を救うことに繋がってるんだよな」

「もちろん、それだけは自信をもって言える。今私たちのやってる事は絶対に間違ってない」

「……そっか、それなら俺はこれ以上何も聞かない」

「ユウスケ……」

「士も、そうだろ?」

「そうだな、今はイオナの言ってる方法以外に世界を救う方法は知らない……だからイオナ、お前が話すべきだと思った時に教えてくれ」

「! わかった、その時が来たら絶対に伝える」

「よしっ、それならこの話はおしまいだな!」

「そうだな……それじゃ、改めて次の世界は何処か確認する────っ?」

 

 話を終えた士はそう言って立ち上がると、ふと自分のポケットに何かが入っている感触に気付く

 

「どうした?」

「いや、ポケットの中になんか入ってて」

「ポケットの中に?」

「あぁ、別になんか入れっぱなしにしてた訳じゃなかったんだけどな」

 

 そんな話をしながらポケットの中に入っているものを取り出すと、手の中にあったのは一枚のカードだった

 

「これは……」

「カード?」

「けど、何にも書かれてないね」

「そうだな名前も無ければ絵柄も……って、ちょっと待て」

 

 三人揃ってカードを覗き込んでいると、何も書かれていなかったカードに絵柄と名前が少しずつ浮かび上がっていく

 

「これって……」

「……ガヴ?」

「! ちょっと待ってて」

 

 輪郭すらはっきりとしていないぼんやりとした絵柄と所々文字化けしてしまっている名前、それを見たイオナはその場から離れ少し離れた場所でコンソールを操作する

 

「二人ともちょっと来て!」

「どうかしたの?」

「これ」

 

 イオナに言われた二人がモニターを確認すると、先ほどまで見ていた二十五の地球から少し離れた場所にもう一つ、地球が増えていた

 

「地球が……増えてる」

「けど、他と違って全く引き寄せられてる感じしないな」

「これは、新しく生まれた地球」

「新しく?」

「うん、それで士くんの持ってるそのカードはこの新しく増えた地球に生まれた仮面ライダーなんだと思う」

「新しく生まれた、仮面ライダー……」

「うん、生まれたてだからまだ結末も定まってないし、これからどうなるのかもわからない……それはそう言うカードだと思う」

「それなら、このカードは使えないな」

 

 そう言うと、士はそのカードをイオナに差し出す

 

「定まってないなら使うわけにはいかないし、このカードはイオナが保管しててくれ」

「わかった、それじゃあ大事に保管しておくね」

「話終わったのか?」

「あぁ、このカードは大事に保管しておくって事になった」

「そっか……そんじゃ、改めて次の世界に行こうぜ! 二人とも!」

 

 腰に手を当てて、その言葉を放ったユウスケを見た二人は軽く笑みを浮かべるとイオナは一度ガヴのカードを士に渡してからコンソールを操作する

 

「よしっ、準備完了。みんな座って」

「あぁ」

「おうっ!」

 

 三人はそれぞれ座席に座ると、徐々にGがかかりかじめ、視界が歪んでいく。士とイオナにとっては三度目、ユウスケにとっては二度目の感覚に身をゆだねた

 

 

 ~~~~

 

 

 森の中にある神社の社で、エイトとジーンは徐々に薄くなっていく灰色のオーロラを見送っていた

 

「行っちゃったね」

「そうですね」

「……見送り、行かなくて良かったの?」

「良いんです、俺は俺でこの世界をやっていかないといけないので……じゃないと、憧れたあの人に顔向けできませんから」

「そっか、それじゃあ俺たちも行こっか」

「はい」

 

 オーロラが完全に消滅したのを見届けた二人は神社を離れ階段を降りていく。ふと、誰かの気配を感じたエイトが後ろを向くと同時に天高く、一枚のコインが舞い上がった

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