ディケイドになったので、世界を巡ります   作:SoDate

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Re:2015 ゴーストの世界〘1〙

 身体にかかっていた圧がふっと抜け、三人の身に着けていたベルトが外れる

 

「んーっ、よーやく身体が軽くなったな」

「そうだな、三回目で少しは慣れてきたが……イオナ、どうにかならないのか?」

「うーん、多分出来ない事はないんだろうけど、今はキツいかな。アップデートをする材料もないし」

「材料があれば出来るのか……」

 

 船の改良が出来ないのかイオナに聞いてみた士は、返ってきた返事に少々驚きつつ徐々に開いた船の扉から外を見ると、広がっていたのは自分の想像とは異なる光景だった

 

「……見慣れた光景だな」

「だな、俺もすっごい見た事ある」

 

 目の前に広がっていた光景は、これまでとは全く異なるファンタジーなどではなく、士やユウスケの見慣れた至って平和そうな現代

 

「イオナ、ここは何の世界なんだ?」

「ちょっと待ってて、今確認するから」

 

 イオナは船のコンソールを操作してから程なく、船に設置された大型モニターに世界の情報が表示された

 

「ゴースト、これがこの世界のライダーの名前?」

「……みたいだな、いつも通り色は褪せてるがカードがあった。仮面ライダーゴースト」

 

 疑問符を浮かべてユウスケに士はゴーストのカードを見せると彼はそれを受け取り、まじまじと見る。そんな彼を横に置き、士はコンソールの操作を続けているイオナに声をかける

 

「なんか、今までより圧倒的に平和そうなんだが……ホントにこの世界に異常なんて起こってるのか?」

「異常が起こってること自体は間違いないよ。ほら、これを見て」

 

 そう言ったイオナは今いる場所から少し離れて士に端末の画面が見せる。それに従って彼が画面を見ると、そこにはエラー表示が出ていた

 

「エラー?」

「うん、異常が起こってる世界は到着するとエラーが表示されるの。現にクウガとギーツの世界はエラー表示がなくなったから」

 

 そう言いながらイオナが表示したのは、二つの世界で活動していた時のログ。確かに世界に到着した時から解決するまでの間はエラーと表示されているが、世界を去る時にはエラー表示が消え、それぞれのライダーのクレストが表示されていた

 

「成る程、こんな風に世界の異常を感知してた訳か」

「うん、だからこの世界にも間違いなく異常が発生してる筈だよ」

 

 ひとまずの説明を聞いて納得した士は、自分の左腕を回して解してから未だにまじまじとカードを見ていたユウスケから、それをひったくる

 

「あっ、おい」

「ずっと見てても変わるもんじゃないだろ、いくぞ」

「変わるかも知れないだろ」

「あっ、待って二人とも、今回は私も一緒に行くよ」

 

 ギーツの世界では外に出る気配のなかったイオナからの発言を受け、二人は少々驚いた表情を見せる

 

「船は大丈夫なのか?」

「うん、ギーツの世界に居た時に防犯系のシステム構築も終わったから」

 

 イオナの言葉を聞いた士とユウスケの二人は納得したように頷き、三人で船を降りて街へと向かう

 

「それにしても、ホントに俺たちの居た世界と変わんないな」

「だな、安心感を覚えるレベルで慣れた感じだ」

「そうなの?」

 

 見慣れた街並みを歩きながら安心感を覚えている士とユウスケに対して疑問の言葉を投げたイオナに対し二人は揃って頷いた後でユウスケがイオナに言葉を投げかける

 

「その感じだと、イオナちゃんの居た世界って俺たちの世界とは少し違う感じなんだ」

「あぁ……うん、私の居た世界はどっちかと言えばもう少し白っぽいと言うか……わかりやすく言うと近未来的?」

「へぇ、一回見てみたいかも」

「……俺の方は少し勘弁願いたいな、しばらく未来は懲り懲りだ」

 

 未来からの敵と戦ったばかりだしと言葉を続けた士に対して二人は納得したような声をあげた

 

「それで、これからこの世界で起こってる異変を探すんだよな」

「そうだね……と言っても、見つけるのに中々骨は折れそうだけど」

「……だな、とりあえずこの世界のライダーを見つける所から始めるか」

 

 士がそう言った直後、一緒に歩いていたユウスケが立ち止まる。それに気づいた士とイオナも立ち止まって彼の近くまで戻る

 

「ユウスケ?」

「どうかしたの?」

「いや、この世界の仮面ライダーってどんな奴だっけと思って」

「えっと、確かこのライダーだよな?」

「ちょっと見せて……うん、間違いないよ」

 

 士の取り出したゴーストのカードをイオナが確認し、間違いのない事を告げるとユウスケはまじまじとカードと何処かを見比べる

 

「急にどうしたんだよ、ユウスケ」

「いや……あれって、このカードのライダーって、アレか?」

 

 そう言いながらユウスケの指さした方へ視線を向けると、人と人の合間を縫うように漂っているこの世界の仮面ライダーの姿があった。その姿をまじまじ見てみると、ゴーストの名の通り身体がうっすらと透け、向こう側の景色が見えていた

 

「…………見つかった、みたいだね」

「……だな」

「と言うか、透けてないか?」

「ゴーストって名前なんだから透けもするだろ」

 

 立ち止まり漂っているゴーストの姿をまじまじと見ていると、漂っていたゴーストも自分を見つめている士たちに気が付いたようでゆらゆらと漂いながら三人の方へと近づいてきた

 

『あの、もしかして俺の事見えてる?』

「あ、あぁ……見えてるぞ」

『そっか、見えてるんだ! うわぁ、俺の事が見える人に久々に会ったよ!』

 

 そう言ったゴーストは一番近くに居た士の肩に手をのせようとするが彼の手はすり抜けてしまう

 

『あっ、そうだった。今の俺は幽霊だから触れないんだ』

「えっと、いまいち状況が飲み込めてないんだけど……」

 

 横から顔を出したイオナがそう言うと、若干浮かれた様子のゴーストはハッとした様子を見せた

 

『あっ、すみませんでした』

「……とりあえず場所を移そう。流石にここだと人目に付きすぎるからな」

「そうだね」

「よし、それなら早速船に────『あの、それならいい場所を知ってますよ』──―へっ?」

 

 言葉を遮られぽかんとしているユウスケを横目に、士とイオナの二人は顔を見合わせてから頷いた

 

 

 

 

 ゴーストに案内された三人は市街地から少し離れた場所へと足を運ぶ。前を浮遊するゴーストの後を追って舗装された石造りの階段を登りきった三人の眼に入ったのは少し寂びれてしまっているものの手入れのされたお寺

 

『俺が居なくなった後も、掃除してくれてるんだ……』

「あの、ここは?」

『えっと、ここは俺の家』

「お寺が、家?」

『うん、この身体になる前は一応ここの住職だったんです』

「って事は、本職のお坊さん!?」

 

 驚いた様子を見せたユウスケと多少の困惑を見せるイオナの姿を見ていたゴーストはゆっくりと地面に降り立ち変身を解除する。光の粒子となってゴーストの装甲は消失し現れたのは少し幼い顔立ちをした青年

 

『改めて、はじめまして。俺は幽堂タケル、よろしくお願いします』

「タケルくんか、俺は代永ユウスケ、よろしく!」

「写野士だ」

「イオナです、よろしくお願いします」

『ユウスケさん、士さん、イオナさん。改めて、よろしくお願いします』

 

 自己紹介を終えた三人は、タケルに許可を取ってから畳に座らせてもらい。目の前にいる改めて彼に問いかける

 

「それで、タケルくんは幽霊……なんだよね?」

『はい、少し前までは普通に生きてたんですけど……ちょっと色々あって』

「色々って、そんな大変なことがあったのか?」

 

 士がそう問いかけると、タケルはさっきまでとは違う真剣な表情になり、ゆっくりと話始める

 

『今から大体二、三か月くらい前だったと思います。この世界で幽霊騒ぎが起こってるって、俺の所に相談が来たんです』

「……それは、お祓いのお願いって事?」

『まぁ、そんな感じです。それでその幽霊騒ぎについて少し調べてた時に、多分その騒ぎの元凶を見つけたんです』

「元凶を!?」

 

 驚きの表情を見せた三人に対してタケルは頷いてから、再び会話を再開する

 

『それで、その元凶が幽霊じゃなくて怪物だってわかって、変身してその怪物と戦ったんですけど……』

「負けたのか?」

『……はい、後一歩の所で怪物の持ってる未知の攻撃を喰らって』

「未知の攻撃って、具体的には?」

『わかりません。何か攻撃を喰らったって感じはしなかったんですけど気付いたら身体と魂を分離させられて……』

 

 タケルから未知の怪物について話を聞いた三人が少々難しい表情を浮かべたまま少しだけ時間が流れた後、ゆっくりと士が口を開く

 

「……それで、魂と分離させられた身体は何処に?」

『身体は病院に、症状は原因不明の昏睡って事になってるみたいです』

 

 タケルの現状を聞いた三人はひとまず目線を交差させた後、立ち上がる

 

「そんじゃ、とりあえず行くか」

「だな」

「そうですね」

『えっ? 行くって、どこに?』

「怪物探しだよ、お前の遭遇した……な?」

 

 士がそう言うとユウスケとイオナの二人も頷いてから話始める

 

「俺はタケルくんの身体がある病院に行ってみる。タケルくん以外にも同じ症状の人が居るかも知れないし」

「私もユウスケについていくよ、身体と魂が分離してどんな状態になってるのかを確かめておきたいし」

「わかった、それじゃあ俺は怪物探し、ユウスケとイオナは病院だな。タケルはどうする?」

『……俺は士さんについていきます』

「ユウスケたちについていかなくていいのか?」

『はい、まずはあの怪物をどうにかしないといけないと思うので』

「……わかった」

 

 タケルの言葉を聞いた士は少し沈黙をした後で頷き、二人の方へ視線を向ける

 

「よし、それじゃあ何か掴んだら各自連絡だな」

「おう」

「うん、それと経過報告の時は何処に集まる?」

「夕方くらいに船で良いだろう」

「わかった、それじゃあ、気をつけて」

「おう、行くぞタケル」

『はい』

「それじゃあ、俺たちも行こう」

「うん」

 

 寺の前で二手に分かれた四人は、それぞれの目的を達成するために行動を開始した

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