ディケイドとクウガの二人が未確認と戦闘をした後、先に変身を解いたのはディケイド。バックルを回転させてカードを抜き取ると一つになっていた鏡像が分散し、士の姿に戻る。それを見たクウガも腰のベルト──アークルに手を当てるとユウスケの姿に戻る
「お前……」
「よう、さっき振りだな」
偶然道端であったかのような動作で語りかけてくる士に対し、ユウスケは尚も怪訝な表情を浮かべていた
「……お前、一体何なんだ?」
「さっきも言っただろ、通りすがりだって」
「真面目に答えろ! アンタは一体何なんだよ!」
苛立ちを見せるユウスケが士に詰め寄ろうとした瞬間、近くにやってきた佐城刑事がユウスケの肩を掴んで言葉をかける
「ユウスケ、少し落ち着け」
「でも……!」
「彼が何者なのか気になっているのは私も同じだ……キミが何者なのか、俺たちに教えてくれないか」
自分たちの事をどの程度明かしても大丈夫なものか、それを士が考えていると隠れていたはずのイオナが彼の元にやって来る
「私たちの事、話しても大丈夫だと思うよ。士くん」
「そうなのか?」
「うん、それにそっちの方が話が説明簡単そうだし」
「あの、君は一体……」
佐城刑事が突然やってきたイオナにそう問いかけると、彼女は軽く頭を下げてから話を始める
「初めまして、私はイオナ。別の世界からこの世界へとやってきた……旅人です」
それから数十分後、士とイオナの二人が居たのは警察署内の応接室。横並びで座っている二人の対面には佐城刑事とユウスケの二人が座り、難しい表情をしていた
「それじゃあ、君たちはこの世界で起こっている異常を解決し、元の状態に戻すため旅をしていると?」
「はいその通りです」
「信じらんねぇな……ホントは嘘言ってるんじゃないのか?」
「お前は実際に俺の力を見ただろ……実際にお前のカードもあるぞ、ほれ」
そう言った士は持っていたカードの中からブランク状態のクウガのカードを抜きだして、机を滑らせるようにしてユウスケの方に渡した。彼はそれをまじまじと見た後、改めて士へと視線を向ける
「確かに俺のカードだけど、こんなの誰にだって作れるし……なんで色抜けたみたいになってんだよ」
「気付いたらそうなってたんだよ。均衡が崩れて不安定になったから今のままじゃお前達の力は使えないんだとさ」
「なんだよそれ……」
「んんっ、それで刑事さん。何かこの世界に異常が起こってる筈なんですけど……知りませんか?」
「異常と言われてもな……俺には見当もつかん」
「ほんの些細な事でもいいんです」
イオナの言葉を聞き、佐城刑事が頭を悩ませていると士にカードを返すため席を立ったユウスケが少し難しい顔をしながら口を開く
「うーん、強いて言うならアレじゃないですか……カード返す」
「あぁ。それで、アレってなんだ?」
「アレだよ、お前も戦ったあの未確認」
「あいつ等か」
「佐城さん、話しちゃっても大丈夫ですよね?」
「あぁ、問題ない」
佐城刑事に許可を取ったユウスケは席に戻ると、心当たりがあるらしい先ほどの未確認について話を始める
「さっき戦った未確認。アイツら倒した後ドロドロに溶けただろ」
「そうだな、俺の方は溶けた後すぐに蒸発したが」
「余計な事は言わなくていいんだよ。それで、さっき倒した未確認何だけど……アイツらは前に倒した筈の奴らなんだよ」
ユウスケのその言葉を聞き、イオナは怪訝そうな表情を浮かべ、士はそれの何がおかしいんだという表情を見せる
「相手は怪人なんだから別に同じ個体が居てもおかしくないんじゃないか?」
「いや、おかしいんだよ。確かに似たような別個体が出てきたケースはあったけど同じ個体が出てきたケースはなかったんだから」
「そうなのか」
「あぁ、そもそも未確認──グロンギってのは一つの種族なんだよ。それも限りなく人間に近い……人間って同じ人はいないだろ? だからグロンギも同じで双子や兄弟は居ても死んだ筈の個体がもう一回出てくるって言うのはあり得ないと思うんだよ!」
「な、なるほど……」
急に語りだしたユウスケを見て、軽く引き気味の士を後目にイオナは顎に手を当てて考える
「つまり、さっき戦った未確認生命体はゾンビのようなもの……そう考えてるの?」
「そう1そう言うこと! だからオレはアイツらの出現自体がこの世界に起こってる異常なんじゃないかって考えてるんだよ!」
もしユウスケの言っていることが正しいのであれば、確かにそれはこの世界の異変と言えるかも知れない……だが、士からしてみるとあくまでも可能性の一つにすぎない。そう考えていると、佐城刑事が言葉を発する
「ユウスケの言う通り、もう一度登場した未確認の殆どが知性を持たない獣のような状態になっていた。今までとは違い、唐突に出現し無差別に人を襲う……復活した奴らは、元々持っていたはずの狡猾さを失っているんだ」
「なるほど……」
「だが、仮にゾンビだとしたら何故蘇る? そう言う映画の定番だとゾンビを作る黒幕が────!」
彼らの仮説を聞き、ゾンビを作る黒幕が居るんじゃないかと言おうとした士は、少し前に戦った未確認の存在を思い出す
「どうした?」
「いや、もしかしたらその黒幕と会ってたかも知れないと思ってな……」
「! どういうことだ!?」
士の発言を聞き、ユウスケは驚愕の声を発し、佐城刑事とイオナの二人も士に視線を向ける。その視線を受けた士は、ユウスケの姉であるハルカに拾われ治療される少しまでの出来事を話し始める。
クウガについての情報を集める為、イオナと共に街を歩いていた時に何かの気配を感じそれを追って行った先でライオンのような未確認と遭遇したこと、その未確認の周りにあった筈の遺体が戦闘を終えた頃には消失していたこと。そして、先ほど戦った個体とは異なり、ライオン型には明確な知識があったこと
「ライオン型の未確認?」
「そんな……全員倒し切れてなかったのか」
その言葉を聞いたイオナは、ハッとした様子で難しい表情をしている二人に声をかける
「そうだった、私たちそれも聞きたいんです。未確認を全員倒したって聞きましたけど……」
「えっ? あぁ、士の言ってたライオン型が出てくるまでは最初に倒した第1号から最後に倒した第46号、そして警察側で倒した第47号を持って未確認生命体は完全に殲滅された……筈だった」
「だが、写野くんと交戦した存在が未確認であるのなら、我々が把握していなかった第48号が存在したことになる」
彼らの話を聞いていると、士の遭遇した第48号の存在がこの世界に発生した異常なのではないかと考えることが出来るが……そんなことを考えていると佐城の携帯が鳴る
「はい、佐城です……未確認が? わかりました」
「また出たんですか……くそっ、今日だけで3件目って、一体どうなってるんだ。それで場所は?」
「……いや、ユウスケは休め」
「けど俺が行かないと────」
「いや、ここは写野くんに行ってもらう。すまないが……頼めるか?」
佐城刑事の問いかけを聞いた士は、軽くイオナの方を向いた後に椅子から立ちあがり頷く
「わかりました」
「そんなっ! コイツに頼らなくたって俺は!」
「ユウスケッ! お前の身体が本調子じゃない事くらいわかってる。だから今は休んで──」
「必要ないですッ! もういい……勝手にさせてもらいます」
そう言うとユウスケは荒い足取りで応接室から出て行ってしまった。それを見た佐城刑事は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた後、改めて士たちの方を向く
「……見苦しい所を見せてしまった。申し訳ない」
「気にしないでください、それより場所は?」
「あぁ、場所は────」
未確認の出現した場所を聞いた士は、応接室から出て現場まで向かおうとしたところで、イオナが何かを投げて渡してきた
「おっと、これは?」
「士くん専用のバイクの鍵だよ。駐車場に移動させてきたから使って」
「……助かる」
そう言った士は改めて応接室から駆け出すと、駐車場に止めてあったディケイドをイメージしたであろうアレンジの施された『DN-01』──マシンディケイダ―で現場に向けて走りだした
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士が現場へ急行したのを物陰から見ていたユウスケは、自身も愛車であるビートチェイサー2000のエンジンを吹かせると後を追い始める。前を走る士に感づかれないように追走していると、少し離れた場所から不審な気配を感じハンドルを切る
「……なんだ?」
ビートチェイサーを走らせ道なりに進んでいくと少しずつ感じている気配が強くなり、辿り着いたのは廃倉庫。ビートチェイサーを止めたユウスケは出来るだけ気配を消しながら嫌な気配のする方へと進んでいくと、カンッと地面に何かを叩きつける音が聞こえてくる
「…………ッ!」
ユウスケの視線の先、音の聞こえた場所に居たのは士の言っていたライオン型の未確認。
その未確認は地面に横たわっている死体に爪を突き立てていた、突き立てられた死体は何かを送り込まれているのではないかと思えるほどにビクンビクンと胎動している
「ッ!」
その光景を見ていたユウスケは拳を握りしめながらバッと未確認の前に姿を見せる。その様子を見たライオン型未確認はゆっくりとした動作でユウスケの方を見る
『リント……ギジャ、ビガラ、クウガバ』
「その人たちに何をした!」
『ビガラ──貴様、には、関係のないこと……だが、丁度いい』
ユウスケの目の前にいたグロンギは、突き立てていた爪を抜き取ると死体が灰色の光を発し、姿が未確認生命体第6号、第36号──ズ・バダ―・バとメ・ガリマ・バへと変化した
「人が、グロンギに……お前、何をした!」
『私はただ、手に入れた力を試しているだけだ』
「手に入れた力だと?」
『そうだ、リントを媒介とし同族を蘇生し、駒とする力……行け』
目の前のライオン型がそう言葉を発すると蘇らされたバズーとガリマがユウスケへ襲い掛かってくる。咄嗟の回避行動で2体からの攻撃を避けたユウスケは腰に手を当てると身体の中からアークルが浮かびあがってくる
「変身ッ! 」
ユウスケが言葉を紡いだ瞬間、アークルの中心にはめ込まれたアマダムが赤く輝き、ユウスケの身体を白のクウガへと変化する。
クウガへの変身を完了させたユウスケは、バズーの一撃を受け止めると脇腹に蹴りを放ち、後退させる。怯んだバズーを気にする様子もないガリマは大鎌を出現させクウガに襲い掛かる
「ふッ!」
放たれる斬撃をいなしながら、眼前に居る2体を見失わぬように戦いを続ける、その光景を見ていたライオン型の未確認がその場から立ち去ろうとしているのを見逃さなかったクウガは2体を怯ませた後、ライオン型に近づき攻撃をする
「逃がすか!」
『クウガ、貴様に用はない』
「そっちになくても、こっちにはある!」
『無駄な事を』
クウガの攻撃をすべて防いだライオン型は、クウガの胸部に手を当てると青い炎を衝撃波のように放ち吹き飛ばす。吹き飛ばされたクウガはそのまま廃倉庫の外まで吹き飛ばされる
「はぁ……はぁ……くそっ」
一撃でかなりのダメージを負ったクウガは、なんとかその場に立ち上がり倉庫の中に戻るが既に3体の未確認の姿はなかった
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