船の調整をする必要があるとイオナは鏡月丸に残り、士とユウスケは情報収集のため街の散策に出ていた
「それにしても、こうしてみると別世界に来たって感じるするよな」
「そうだな、にしたってこの世界は他と毛色が違い過ぎるけどな」
士が周囲を見回すと、視界に広がるのはネオンの街。まだ日は昇っているにも関わらず街は人口の光に包まれ、華やかに輝いていた
「そう言えば士、この世界……ギーツの世界ってどんな所なんだ?」
「俺もイオナから聞いた話だから詳しくは教えられないが、何でもこの世界じゃライダーの戦いがエンタメとしてテレビで放映されてるらしい」
「エンタメ? それにテレビで放映って、どういう事だ?」
「そうだな……っと、説明するより見た方が早いな、ほれ」
そう言った士が指を差したのは街頭モニターで流れていたCM
『ライダー達が世界を守るため、そして己の願いを叶えるために戦うリアリティライダーショー、デザイアグランプリ。今シーズンの参加者は────彼らだ!』
そうして、次々と紹介されていく様々な動物を模した仮面を被ったライダー達。その映像を見ながら、ユウスケは腕を組んで息を吐く
「なんか、ホントにライダーの在り方って言うのはその世界それぞれなんだな」
「そりゃそうだろう、世界が違えば存在する脅威も違う……だからこそ、その脅威に対するアプローチも異なってくる。それこそお前の所の未確認みたいにどうしようもない脅威も多いが、逆に対話をすることの出来る存在だって少なからずいるって事だ」
そうは言ったものの、士は先ほどの映像を少々険しい眼で見つめていた
「じゃあ、この世界の脅威は脅威は案外対話が出来るタイプの奴って事か?」
「そこまでは流石にわからん……と言うか、そのための情報収集だろうが」
「それもそうだな、そんで……最初は何処に行くんだ」
「……とりあえず、日用品の買い出しだな」
どうやって情報収集をするつもりかと訊ねたユウスケだったが、まさかの返答が返ってきたため少々呆気に取られたが自分の事を置いて進んでいってしまう士を大急ぎで追いかけた
それから数時間後、買い物を終えた2人は両手に日用品の詰まったビニール袋を持って船の停留場所へ向かい歩いていた
「結構買ったな」
「人員が増えた分色々足りなくなってるからな、今のうちに買っとくが吉だ」
「それに関しては、すまん」
「別に責めてる訳じゃない、俺もイオナも、賑やかになる分には問題ないからな」
何でもない会話をしながら歩いていると、ユウスケは袋の中に目を向けた後、あっと声を上げる
「何かあったか?」
「食器用洗剤、買い忘れた……すまん士、戻って買ってくるから荷物任せた」
「ん、そんじゃあ先戻ってるぞ」
ユウスケの言葉に頷いた士はユウスケの分の袋を受け取ると、よろけそうになった体勢を立て直して停留場所へ向けて歩いて行った。それを見送ったユウスケは早足で来た道を引き返して、食器用洗剤を買い足す
「よし、戻る前に気付いて助かった」
改めて買い物を終えたユウスケは手に持ったレジ袋を見て安堵の表情を浮かべると停留場所まで戻ろうとした瞬間────少し先で爆発音が聞こえてきた
そして、爆発音と同時に感じた不吉な気配を感じたユウスケはそちらに目線を向けると植物のような怪物が民間人を襲っている姿が目に映った
「変身ッ!」
瞬間的に身体が動いたユウスケは洗剤の入ったレジ袋をほっぽり出しながらアークルを出現させると、怪物へ向けて駆けだした。地面を一歩踏みしめるとユウスケの身体は変化し、古代の戦士────クウガの姿に変身させた
「はぁッ!」
逃げ遅れた人を襲おうとしていた怪物──ポーンジャマトにクウガは接敵するとジャマトの腹部に拳を叩き込む
「ジャ!?」
想定外の存在から攻撃を受けたであろうジャマトは吹き飛ばされると、地面に倒れ、完全に動きを止める
「大丈夫ですか?」
「ひっ……は、はい……」
「良かった、早く逃げて」
「あ、ありがとうございますッ」
完全に逃げたのを確認したクウガの耳に聞こえてきたのは複数の足音、そちらに視線を向けると先ほど倒したのと同じ姿をした怪物が複数体現れる
「こいつら、さっき倒したのと同じ──ッ!」
クウガの近くまでやってきた複数体のポーンジャマトは手に持った短剣でクウガへと斬りかかる。その攻撃をいなしながらクウガがジャマト達と戦闘を続けていると少し離れたん場所から複数の足音と話し声が聞こえてくる
「おっ、いたいた……ってなんだあの赤いの、アイツもジャマトか?」
「さぁ、まぁ倒してポイント入るならジャマトでしょ」
「それじゃあ、競争開始と行くか」
戦闘を続けながら話をしている集団に視線を向ける、黒と紺の同じジャケットを身に纏った6人の人物はそれぞれ懐からベルトを取り出すと、ベルトの中心に何かをはめ込む
〈ENTRY〉
瞬間、ベルトを中心にフィールドのようなものが発生し、彼らの場所から半径200メートルがそのフィールドに覆われ、上空にカメラのついた自律型ドローンが複数出現した
突如として起こった意味不明な事態に困惑しているクウガを他所に、先ほどの集団は腰にベルトを装着し、それぞれバックルを構え、装填する
〈SET〉
「「「「「「変身」」」」」」
その言葉と共に各々がバックルを操作すると、6人の身体がそれぞれ共通の黒いアーマーに覆われ、横にアーマーが出現する
(ARMED ARROW)
〈ARMED SHIELD〉
〈ARMED CHAIN ARRAY〉
〈ARMED HAMMER〉
『ZOMBIE』
『MONSTER』
小型のバックルを装填した4人にはそれぞれ共通のアーマーとボーガン、盾、チェーンアレイ、ハンマーと言った武器が出現し、大型のバックルを装填した2人には上半身全部を覆うアーマーと片方にはチェーンソーのような武器が出現する
完全にアーマーの装着を終えた戦士たち──仮面ライダーは最後に動物を模したマスクを被ると同時に複眼が輝き
〈READY FIGHT〉
ベルトから発せられる開幕宣言と共に、クウガ、そして彼と戦っているジャマト達へ向けて走りだした
「そぉら、くらえ!」
その中で先制攻撃を仕掛けたのはボーガンを持ち、羊の仮面を被ったライダ──―メリー。彼の放った緑の矢はまっすぐジャマトとクウガへと向けて放たれ、直撃する
「ジャ!? 」
「ぐぁッ!?」
攻撃を受け、僅かに動きが鈍ったクウガに追撃する形でハンマーを持ったコウモリマスクのライダー、ブラーリが襲い掛かった
「! 何を────」
「オマエも運営の用意した
「運営? エネミー? 何を意味の分からない事を!」
ブラーリの事を引き剥がしたクウガは改めてジャマトの方へと向かおうとするが、今度はチェーンアレイを持ったライダー、グルービーに邪魔をされる
「お、お前を倒してもポイントは入るんだろ? そうなんだろ?」
「さっきから、ホントに何を……って、まさかこれが、士の言ってたデザイアグランプリって奴なのか?」
「う、うわぁぁぁぁぁ!」
現在置かれているのがどういった状況なのか、クウガがそれを理解すると同時にグルービーはチェーンアレイを振り回しながら襲い掛かる、回避をすべきか応戦をすべきか、一瞬迷い反応が遅れたクウガにチェーンアレイが衝突しようとした瞬間、間に割って入ったライダーが盾を使ってその攻撃を防ぐ
「だ、大丈夫ですか?」
「あ、あぁ。ありがとう、助かった」
「気にしないでください」
盾を持ち、狐を模した灰色の仮面を被ったライダ──―テイルはクウガの言葉を聞き安堵したのと同時に、大型のバックルを使っていた2人のライダ──―ロポとパンクジャックは慣れた手つきでそれぞれチェーンソー型の武器、ゾンビブレイカーとモンスターバックルを操作する
『POISON CHARGE────TACTICAL BREAK』
『MONSTER STRIKE』
ゾンビブレイカーの斬撃とパンクジャックの拳から放たれた拳型のエネルギーを受けたジャマト達は爆散し、木片のようなものを散しながら消滅した
「しゃあ、フィニッシュ。ポイントは頂きだぜ」
「ふぅ……疲れたわ」
ロポとパンクジャックはそう言うと同時にフィールドが解除され、上空を飛んでいたドローンもどこかへ行ってしまった
クウガとテイルを囲うように臨戦態勢を取っていたライダー達も、その様子を見ると途端に興味を失ったかのように変身を解いてどこかへ行ってしまった
「終わった、のか?」
「はい、ドローンが居なくなってフィールドも解除されましたから」
そう言うとテイルは変身を解除し、人の姿に戻る。それに合わせるようにクウガも変身を解除してユウスケの姿に戻る
「さっきはありがとう、ホントに助かったよ」
「いえ、気にしないで────「エェェェェイィィィィトォォォォォ」
ユウスケの目の前に居るエイトと呼ばれた青年の言葉を遮るように、ロポはずんずんと彼の元まで近づいて変身を解くと。思い切り彼の頬を引っ張った
「いたたたたた、ね、ねぇさん、痛い!」
「あんたはぁ、人助けもいいけどポイント稼がなきゃ意味ないのに何やってんのよ!」
ユウスケの目の前で急に始まった姉弟喧嘩? に対して何をすればいいのかわからずユウスケがおろおろとしていると、不意に肩を叩かれる
「ども、始めまして」
「あ、えぇっと、はじめまして?」
「はい、始めまして。とりあえず自己紹介ね、俺はウィン、
「えっと、よろしく」
「それで、お宅の名前は?」
「あぁ、そっか、自己紹介しないとだもんな。俺はユウスケ、代永ユウスケ。よろしく」
「ユウスケね、オッケー」
終始ペースを握りっぱなしのユウスケだったが、こほんと息を吐いてから未だ姉弟喧嘩をしている2人へ視線を向ける
「それで、あれは放っておいてもいいの?」
「あぁ、いいのいいの、昔っからあんな感じだし」
それから幾分か時間が経過し、ようやく姉弟喧嘩も収まったのか2人がユウスケの元までやってくる
「おっ、お前らようやっと終わったか」
「はい、時間を取らせてしまってすみません」
こちらにやってきた2人に声をかけたウィンの言葉に対してエイトが返事をすると、改めてユウスケの方に視線を向けた
「えっと、自己紹介が遅れちゃって申し訳ないです」
「気にしなくていいよ、俺は代永ユウスケ、よろしく」
「
「イチカです、よろしくね」
イチカが差し出してきた手をユウスケは握り返し、握手をしてからすぐ、ユウスケのポケットに入っていた携帯から音が響いた。目の前に居る3人に断りを入れたユウスケは少し離れて通話を始める
「もしもし?」
『おう、ユウスケか。随分と大変なことになってるみたいだな』
電話の向こうから聞こえてきたのは、少し前に別れた士の声、さっきの口ぶりを見るに今、自分の置かれている状況は伝わっているようだ
『それでユウスケ、イオナがそこに居る3人を船に連れてきてくれって言ってる。この世界について聞きたいらしい』
「頼むこと自体は問題ないと思うけど……その、大丈夫なのか?」
『あぁ、原理はよくわからんが船の機能を制限して今は普通のクルーズ船と同じくらいになってるらしい』
士から言われた言葉をあまり理解は出来ていないユウスケだが、ひとまずイオナからの頼まれごとを実行するために一度通話を終え、3人の元に戻った
「あっ、戻ってきた」
「何かあったんですか?」
「えーっと、実は、仲間が色々と聞きたいことがあるから3人を連れてこれるか聞かれてさ」
「聞きたいこと?」
「この世界の事とか、さっきの怪人の事とか色々」
ユウスケの言葉を聞き、3人は困惑したような表情を浮かべたがその中で早く、ウィンが残りの2人に声をかける
「まぁ、いいんじゃねぇの? 俺らだってユウスケさんの事とか聞きたいわけだし」
「……そうね、私たちがこちら側の情報を提供する代わりに私たちは貴方達の事を知るって考えれば誘いに乗るのはありか」
イチカとウィンはユウスケの言葉に対して肯定的な解釈をした後、改めてユウスケの方に視線を向ける
「その誘い、有り難く受けさせてもらうわ」
「助かる、それじゃあ今住んでる場所まで案内するから、付いてきて」
そう言うと、3人を船まで案内するために来た道を歩き出した
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