デザイアグランプリの参加ライダーである3人、テイル、ロポ、パンクジャックの変身者と知り合ったユウスケは、イオナからの頼みで3人を連れて鏡月丸の停留場所まで戻って来た
「ここが……と言うか、この船が、俺たちの今の家。鏡月丸」
「大きい船ですね」
「……確かに大きいけど、なんか普通の船ね」
「いくら船って言っても船だしな……それで、どっから入ればいいんだ?」
ウィンがユウスケにそう問いかけると、彼はスマホを取り出して軽く連絡を入れると陸に面した一部が動き出し、中に続く通路が現れた
「連絡して開けて貰った、とりあえず通路に沿って歩けばいいらしいから、付いてきて」
船の中に入ったユウスケたちは通路に沿って歩いていくと、扉の前まで辿り着いた
「通路に沿ってって言ってたし、ここだよな」
少し周囲を見回したがここ以外に扉がある様子もなかったため、ユウスケは目の前の扉を開くと部屋の中に見慣れた2人の姿が見える
「よう、遅かったな。それで、連れてきたのか?」
「あぁ、ここだったみたいだからとりあえず中にどうぞ」
ユウスケが先に入り、それに続く形で残りの3人も部屋の中に入る。船の中にあるとは思えない程に何処にでもあるリビングと言った様相の部屋を3人は不思議なものを見るようにきょろきょろと見回した
そんな様子を見て僅かに笑みを零したイオナだったが、コホンと息を吐くと3人へ向けて声をかける
「はじめまして、この世界の仮面ライダーたち。私はイオナ、この船の艦長です」
「は、はい、はじめまして。九重エイトです」
「……エイトの姉の、九重イチカです」
「ども、佐城ウィンです。よろしく」
「エイトさん、イチカさん、ウィンさんですね。よろしくお願いします……ほら、士くんも自己紹介」
「俺もか?」
「当たり前でしょ、ほら」
エイトたちの名前を聞いたイオナは自分の近くに居た士にも挨拶をするよう促す、最初から自己紹介をする気のなかった様子の士だったが、イオナに言われたのでと言った様子で3人の方を見る
「あー、えっと、写野 士です。よろしく」
「よ、よろしくお願いします」
「さてと、それじゃあ早速ですが本題に入りましょう。3人とも席にどうぞ」
席に着くよう促したイオナはいそいそと人数分のお茶を入れ始めた、そんな彼女に代わって士が3人に声をかける
「それじゃあ、どこから話したもんかね」
「……相手の事を聞くならまずは自分たちの事から話すのはいいと思うよ」
「そうだな……とりあえず、俺たちの事情から話そうと思うんだが、構わないか?」
「私は別に構わないわ」
「俺もそれでいいぜ」
イチカとウィンの2人が士の言葉を肯定し、エイトも小さく頷いたのを見てから話しを始める
「それじゃあ話していくわけだが、ユウスケはこいつらに俺たちの事を話したのか?」
「いや、とりあえず事情があるって事だけ」
「成る程……それじゃあ、まずは俺たちの事だな。俺達はとある目的があって別の世界からこの世界にやってきた」
「別の、世界?」
「あぁ、こことは違う並行世界の地球だ」
並行世界の地球、その言葉を聞いた3人は目を見開き言葉を失うが、最初にウィンが再起動をして士に問いかける
「じゃあ、君ら3人は別の地球の人間って事か?」
「あぁ、俺たち全員、異なる世界出身の人間だ」
「……はぁ、世の中奇妙な事もあるもんだ。それで、アンタらの目的ってのは?」
「この世界に存在する異常の排除、それが俺たちの目的だ」
「世界の異常って、もしかしてジャマトの事を言ってる?」
「そこら辺は俺たちにもよくわかってない。だが、この世界に起こってる異常が原因で世界の均衡が崩れて大変な事になる、だから俺たちはその原因を排除して均衡を取り戻す為にこの世界へやってきた」
突然言われた情報を、中々処理できない様子のウィンは頭を軽く掻くと今度は士ではなく、お茶を配膳していたイオナに言葉をかける
「にわかには信じられねぇ話だが、本当なのか? 艦長さん」
「はい、本当ですよ。証拠は……少々お待ちください」
すぐに信じることが不可能であろう事を信じさせるための証拠、それを見せるためイオナは端末を取り出し、操作をすると部屋の天井が開き、複数のモニターが現れる
「これは?」
「備え付けのモニター、普段は天井に格納されてるんだ……っと、あったあった、この映像記録だ」
イオナがそう言うと同時に映しだされたのは1人の男が近未来的な意匠のライダーと対峙している光景だった
「この、映像って……」
「この世界の記録、その一部だよ」
映像の中に居る男は、対峙しているライダーの前でデザイアドライバーを腰に装着すると、白と赤のバックルを取り出した
『俺は忘れない、この世界のすべてを』
〘 Mark Ⅸ 〙
〈SET IGNITION 〉
「変身!」
〈REVOLVE ON〉
〘 DYNAMITE BOOST 〙
言葉の直後、男の姿がENTRYフォームへと変化し、その周囲を白銀の九尾が駆け、蒼炎の柱が男の周りに出現した
〘 GEATS Ⅸ 〙
〈READY FIGHT!!!!!!!!!〉
蒼炎が男の身体を包み、その姿を純白のライダーへと変える。純白のライダーの手には武器が握られ、暗闇に包まれていたはずの世界は青空を取り戻した
その映像を見ていた者たちの中で、一番最初に口を開いたのはイオナだった
「この世界に記録されている、情報の一つだよ。仮面ライダーギーツとデザイアグランプリの運営者との戦い」
「けど、どうしてこんな映像を持ってるの? 運営と繋がってるとか?」
「それはない、実際この世界に来たのは何日か前だし……イオナ、渡航記録とかないのか?」
「あるよ、はい」
映像が止まり、これまでの渡航記録が表示される。先程の映像がもっと見たかったらしいエイトは少々残念そうな顔をしたが、残りの2人はその記録をまじまじと見てから互いに顔を見合わせた
「まぁ、一応は信用でいいんじゃねぇか?」
「そうね、貴方達はその異常って言うのを排除したらまた別の世界に行くんでしょ?」
「はい、そのつもりです」
「なら、貴方達がこの世界からいなくなるまで私たちが見張ればいいでしょ」
そう結論を出すと、イチカはパンと手を叩いてから次の話に入ろうとしたのだが、隣に座っている弟を見て軽く息を吐く
「はぁ……エイト、アンタ心ここにあらずって感じだけど、大丈夫?」
「えっ……あっ、うん。大丈夫」
姉の問いかけに対してエイトは空返事をすると、その様子を見ていたウィンが彼の肩に手を置き話しかける
「エイト、お前一端外の空気吸ってこい」
「けど、話し合いなら俺も────」
「心配すんな、こういうのは俺たちの方が慣れてるしな。一旦肩の力抜いてから、また戻ってこい」
ウィンの言葉を聞いたエイトは、一瞬迷うような素振りを見せたが彼の言葉に頷き、部屋から出て行った
「…………」
その様子を見ていた士は、席を立ちあがり部屋の入口まで向かっていく
「士くん?」
「すまんイオナ、買ってきた日用品の整理忘れてたから少し席を外す」
「えっ。あぁ、はい。わかりました」
「悪いな……おいユウスケ、起きろ」
「んぁ?」
それだけ言うと、部屋の端で眠りこけていたユウスケの事を叩き起こす
「行くぞ、ユウスケ」
「えっ? 行くってどこに?」
「いいから」
な
困惑するユウスケの事を引き摺りながら、士もイオナたちの居る部屋を後にした
部屋を後にした士とユウスケは2人で甲板に繋がる道を歩いていた
「なぁ士、なんで急に部屋を出たんだ? 話を聞くなら一緒に居た方が良かっただろ」
「世界の事を聞くなら、な。だが今はそれ以上に聞かないといけないことがある」
「聞かないといけないこと?」
「あぁ……アイツから、な」
そう言った士が指を差した先に居たのは、自分たちよりも早く部屋から出て行ったエイトの姿。2人は顔を見合わせるとゆっくりと彼の方に近づいていく
「エイトくん」
「よう、さっきぶりだな」
「ユウスケさん、士さん。どうしたんですか? 確か、話し合いの最中なんじゃ」
「いや、そのはずなんだけど士が君に聞きたいことがあるらしくて」
「俺に聞きたいこと?」
疑問符を浮かべているエイトに視線を向けつつ、彼を隣に立つ
「エイト、お前はこの世界の仮面ライダー……ギーツの事を何処まで知ってる」
「ギーツの事?」
「あぁ、さっき証拠提示とか言ってあの映像を見せた時、お前だけ他と反応が違ってたからな」
「映像って?」
「……そう言えば、お前寝てたな。後で教えてやるから今は黙ってろ」
少しむっとした表情のユウスケを横に置いたまま、士は改めてエイトの事を見つめると、彼は少ししてから話を始めた
「……ギーツは、俺の憧れなんです」
「「憧れ?」」
「はい、俺と姉さんが小さい頃……この世界が変になったことがあったんです」
「世界が変にって事は、デザイアグランプリの影響でか?」
「詳しくはわからないんですけど、恐らく……それで、おかしくなった世界でジャマトに襲われそうになったところを助けてくれたのが、仮面ライダーギーツだったんです」
彼の話を聞いた士は、あの映像を見た時のエイトの様子に納得する。憧れの人の映像を見ることが出来たのなら呆けても仕方がないだろう
「成る程、そう言う事か」
「はい、だから嬉しかったんです。ギーツと同じ狐のIDコアを貰った時。これで俺もあの人みたいにみんなを守れる仮面ライダーにって……けど、やっぱり上手くいかないですね。あの人みたいなスタイリッシュな戦いも出来ないし、視聴者人気もパッとしないし」
「あっ、えっと。俺は結構好きだぜエイトくんの戦い方! それにさっきだって俺の事を守ってくれたし!」
徐々に落ち込んでいくエイトの姿を見たユウスケが慌てたように声をかけたのだが、その言葉が特に励ましになったという事はない。その様子を見て士はどうしようかと考えているとエイトのポケットから警報のような音が聞こえてくる
「……なんだ?」
「ジャマトが出てきた時の警報です。1日に2回なんて今までなかったのに……」
「それより、あの怪人が出てきたんなら急いで向かわないと!」
「そうですね、行きましょう」
ユウスケとエイトの2人は船の入口まで向かおうとしたところで同じくジャマト発生の警報を聞いたであろうイチカとウィンも部屋から出てくる
「エイト、アンタの所にも?」
「う、うん」
「おっしゃ、そんじゃあさっさと向かおうぜ」
「俺も一緒に行く」
「……いいのか? また前回みたいに狙われるかも知れないぜ」
「あぁ、俺は1人でも多くの人を守りたい。だから連れてってくれ」
「わかった、けど自分の身は自分で守れよ。俺たちにとっての最優先事項はデザグラの優勝だからな」
「わかってる」
そう言って4人は船から出て行った。特に何をするでもなくその様子を見ていた士の横に並ぶ形で、イオナがやって来る
「士くんは行かなくていいの?」
「ん、あぁ。俺は気になることが出来たからな、あっちはユウスケに任せることにした」
「気になる事って?」
「もしかしたら、アイツらと俺たちで知ってる情報が食い違ってるんじゃないかと思ってな」
「食い違ってるって、どういうこと?」
「只の勘になっちまうが、もしかしたら今開催されてるデザイアグランプリそのものがこの世界の異常かも知れないって事だ……それを確かめに行ってくる」
そう言うと士はディケイドライバーを腰に巻いて、ディケイドのライダーカードともう1枚をライドブッカーから取り出した
「成る程、そう言う事ね」
「そう言う事だ、だからこっちの事はお前とユウスケに任せた」
「わかった、士くんも気をつけて」
「あぁ、それじゃあ行ってくる────変身」
〘 KAMEN RIDE 〙
〘 DECADE 〙
「それじゃあ行くか、この世界の過去に」
〘 ATTACK RIDE 〙
〘 TIME MAZINE 〙
カードをドライバーへ読み込ませると同時に出現したのはエアバイク型の巨大なマシン──タイムマジーン。ディケイドはそれに乗り込むと時間転移システムを起動し、鏡月丸に残るギーツ最後の戦いが行われた時間へ向けて出発した
士が過去へ向かった少し後、ジャマト達が暴れていると思しき場所までやってきた4人が見たのは、3人以外の参加者が1体のジャマト──キングジャマトに敗北する瞬間だった。敗北した参加者のIDコアが砕かれると同時にその身体は塵のように消滅し、キングジャマトの近くに空のデザイアドライバーが落下する
「おいおい、嘘だろ……」
「そんな……」
よく見ると先ほど落下したデザイアドライバー以外にも複数個のドライバーとバックルが散乱しており、犠牲になった参加者は先ほどの1人ではないことがわかった
「ッ!」
犠牲者が出た、その事実に奥歯を噛んだユウスケは目の前で悠然と立つキングジャマトを睨みつけ、アークルを出現させる。それが切っ掛けになったのかイチカとウィンの2人もデザイアドライバーを腰に巻き、バックルを装填する
「変身ッ!」
「「変身!」」
『ZOMBIE』
『MONSTER』
ユウスケの身体が赤の戦士──クウガへと変化するのと同じタイミングでイチカとウィンの身体もエントリーフォームへの変身が完了し、それぞれの装甲を身に纏う
〈READY FIGHT〉
変身の完了したクウガ、ロポ、パンクジャックの3人がキングジャマトへ向かって駆け出すと、ジャマトも自身の目の前に現れたライダーを認識し腕から蔦を伸ばして薙ぎ払い攻撃を仕掛ける
「ッ!」
「おっと」
「こんな蔦!!」
その一撃をクウガとパンクジャックは回避し、ロポは手に持ったゾンビブレイカーを使い切断することで回避すると3人はキングジャマトと交戦を始める。ライダー達からジャマトに対する初撃はクウガとパンクジャックによって振るわれた拳……だがその拳が当たる直前でキングジャマトは少し身体を動かしてそれを避けると続け様に振るわれたゾンビブレイカーの刃を腕で受け止める
「何!?」
「嘘だろ、チェーンソーの刃だぞ?」
「けど、受け止めてる今なら攻撃が当たる!」
キングジャマトが攻撃を防いでいる間を狙い拳を腹部に打ち付けたクウガだったが返ってきた感覚は分厚い壁を殴ったような感覚
「! 固い」
「──全員離れろ!」
クウガと同じく攻撃をしていた筈のパンクジャックがそう叫んだことで3人はキングジャマトから距離を取った瞬間────ジャマトの手から赤い光弾が放たれ、周囲が爆発で包まれる
「ッ!?」
「くっ────」
「……ッ」
なんとか防御の体勢をとった3人はダメージを受けることはなかったものの、目の前に存在する怪物が今まで戦ってきた存在とは明確に異なる存在であると実感し、心臓の鼓動が早くなっていく
「…………ッ」
それでも尚、戦いを続けようとしている3人の姿を見ていたエイトも戦いに加わろうとした……が、目の前に居る存在が放っている恐怖を感じ、動くことが出来ずにいた。誰かを守りたいと思う気持ちとは反して身体を蝕む恐怖がエイトの身体をその場に縛り付けていた
「────動け」
それでも、少しでも
「──―動けッ」
ここで勇気を出せるのなら
「──動けッ!」
憧れた存在に近づける気がしたから、エイトは震える身体を動かして無理矢理デザイアドライバーを腰に装着する
────ゴーン────ゴーン────ゴーン────ゴーン
瞬間、彼の耳に聞こえてきたのは、戦場には不釣り合いな鐘の音
〈MISSION CLEAR〉
突然聞こえてきた鐘の音に困惑していると、今度はエイトの目の前に白いミッションボックスが落下してきた。何かしらのミッションをクリアしたのかと端末を確認したエイトだが、運営から発令されているミッションは存在せず、クリア時に出現する通知も来ていない
突然の事態に困惑をしていたエイトだったが、とりあえず目の前のミッションボックスを開けると中に入っていたのは大型のレイズバックル
「……ブーストバックル」
ブーストバックル、これまで多くの参加者をデザ神へと導いてきた協力なバックル。それがどうしてここにあるのか、それを考えようとしたエイトだったが、目の前で戦っている3人の姿を見ると、思考を中断してブーストバックルを手に取り、元々所持していたシールドバックルと共に両手で構えた
「俺も……戦うんだ」
〈SET〉
〈────SET 〉
二つのバックルをドライバーの左右にセットすると、エイトは瞳を閉じて左手を胸の中心に当てる
「──変身!」
〈DUAL ON〉
『BOOST』
〈ARMED SHIELD〉
上半身には簡易的な装甲と青いシールドが、下半身にはエンジンを思わせる装甲が装着され、灰色の狐面の複眼が黄色く発光する
〈READY FIGHT〉
デザイアドライバーからそのアナウンスがされると同時に、エイト────仮面ライダーテイルは足のマフラーを吹かせ、キングジャマトへ向けて駆けだした
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