続・ポケモン廃人、知らん地方に転移した。【完結】   作:タク@DMP

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第14話:災獄のヌシポケモン

 時空の裂け目から罅割れ、落ちてくるのは魂無き抜け殻となったポケモン達。

 しかし、それらにオトロシアスが取り込んでいた亡者の魂が埋め込まれる。

 すると途端にそれらは動き出し、赤い眼を光らせて地上へと降り立つなり目の前にあるもの全てを破壊し始めるのだった。

 ──オトロシアスは、亡者の魂を無数に取り込んでいる。

 そして──その魂の持ち主が生きていた年代、地域にアクセスすることができるのだ。

 時空の裂け目から呼び出すのは、亡霊の元々の身体。しかし──そこに埋め込まれるのは、オトロシアスによって自我を閉ざされた魂だ。

 

 オトロシアスの尖兵と化したポケモン達が雪崩れ込むようにして、サイゴクの各所に現れた。

 

「ッ……こりゃあ、もうひと頑張りッスね、姉貴……!!」

「一体、どうなっているのです……!? サイゴク山脈を中心に紫の靄が広がっているのです!!」

 

「メグル殿……アルカ殿……助けに行きたいが、この惨状では!!」

 

「……時空の裂け目……サイゴクを丸ごと飲み込もうとしているみたいね。こりゃあオネエさん、気合入れなきゃだわ」

 

「約束したんだ。あたしはキャプテン──サンダースッ!! 一緒に戦うよッ!!」

 

 町の上空に現れる裂け目。

 無尽蔵に現れるオトロシアスの手先。

 それが町を破壊し、蹂躙していく。

 各地のキャプテン達もまた、対応を余儀なくされる。

 故に、肝心のサイゴク山脈には誰も近付くことが出来ないのだった──

 

「──おとろし」

 

 オトロシアスが呻く。

 巨大な人型の手を地面に這わせ、巨大な単眼をぐりぐりと動かし、標的を探す。

 それは──山の斜面を駆け下りるメグルとアルカに向けられていた。

 

「あな おとろし」

 

 異物発見──彼らこそ、まさに自らの縄張りを穢す異界の外敵である。

 そうオトロシアスは断じるのだった。

 ぶつぶつと音を立てて、オトロシアスの身体から黒い物体が分裂していく。

 それらにはぎょろりとした丸い単眼が生え、それぞれが文字のような形を成していくのだった。

 

「ぴおーん」

「ぴおーん」

「ぴおーん」

 

【アンノーン シンボルポケモン タイプ:エスパー】

 

 度付きゴーグルでオトロシアスの周囲を確認していたメグルは顔を蒼褪めさせる。

 アンノーン──それは、この世界に自分を連れてきたポケモンだ。

 

「あいつ、体からアンノーン出しやがった!!」

「こっちに来るんだけどーッ!?」

 

 アンノーン達が群れを成し、そして輪を作っていく。

 そこからは時空の裂け目が次々に現れた。

 裂け目から放り出されるのは──カイリュー、ガチグマ、コノヨザルといった名だたる強豪ポケモン達。

 そこに、オトロシアスの身体から排出された魂が埋め込まれ、彼らは目を真っ赤にして暴れ出すのだった。

 取り囲まれるアヤシシ。メグルは手綱を引き、静止させる。

 

「くそっ、こいつらを相手にしている場合じゃねーってのに……!!」

「──”むげんほうよう”ッ!!」

 

 メグルは振り向く間もなく、幾つもの泡がポケモン達を包み込み、拘束して浮かび上がらせる。

 そして、凄まじい勢いの水ブレスが、ポケモン達を薙ぎ払い、吹き飛ばしてしまうのだった。

 所詮は無理矢理現世に呼び寄せられた傀儡たち。彼らはオオワザを前になすすべもなく倒れていく。

 見ると、そこに立っていたのはリュウグウ、そして──シャワーズだ。

 

「ぷるるるるるーっ!!」

「オヌシ達、無事かッ!!」

「リュウグウさん……シャワーズ!」

 

 駆け寄ってくるリュウグウ。シャワーズの体力もすっかり回復しきっている。先の戦いの疲れすら感じさせない程に。

 

「霊脈の力が……シャワーズに力を与えてくれちょる。ヌシの力の根源は、霊脈の力だからのう」

「ぷるるるるー」

「良かった、元気になって……でも、リュウグウさん、オトロシアスを止めるにはどうすれば──」

「1つ、方法がある。ワシの身体が消える前に……それを試したい」

「どんな方法なんだよ……俺にも手伝わせてくれ!!」

「霊脈に直接干渉する」

 

 メグルは口を噤んだ。

 

「ッ……まさかそれって」

「ああ。生者には辿りつけぬ領域だ。近付けば、只では済まぬ。だが、肉体を持たぬ今のワシならば──近付ける」

「……信じるぜ、リュウグウさん」

「メグル、良いの!?」

「信じるっきゃねえよ。リュウグウさんがそうだと思うなら、そうなんだろうな」

 

 リュウグウは頷いた。

 

「ワシの魂はオトロシアスに常に握られている。だが……君にシャワーズが解放された今、その支配は揺らぎつつある」

「チャンスは今しかないってことだな」

「……試すような真似をして済まなかった。だが……仮初とはいえ、こうして蘇った以上、一度だけで良い。君と相まみえてみたかった……成長したな、メグル君」

「こっちこそ、もう一回会えて良かった。やっぱリュウグウさんは……皆のキャプテンだった」

「違うよ」

 

 リュウグウは──アヤシシから降りたメグルの肩に手を置いた。

 

「もうワシはキャプテンなどではない。メグル君──次は君の番じゃ」

「……ああ」

 

 メグルは自らの両の頬を思いっきり叩く。

 弱気になっていた心に鞭を打ち、進撃する強大な影に目を向けた。

 

「今度こそさよならだな」

「ああ。早うに来たら承知せんぞい」

「分かってる」

「……ッ」

「アルカ君。メグル君の事をよろしく頼むぞ」

「……はい」

 

 リュウグウは背を向ける。

 その傍には、当たり前のようにシャワーズが立っていた。

 リュウグウと必ず共にある、と言わんばかりに彼女は離れようとしない。

 

「シャワーズ!! ……必ず戻って来いよ」

「ぷるるるるるー」

「道中は手強いポケモンが多い。シャワーズ、もう少し付き合ってくれんか」

「ぷるるー」

 

 リュウグウとシャワーズの背中が小さくなっていく。

 メグルは言い知れぬ辛さをこらえながら──オトロシアスを睨んだ。

 

「アルカ」

「うん」

「……俺と一緒に、地獄に来てくれるか」

「バカ言わないでよ、今更じゃん。結婚した時から……ずっとそうだよ」

「ああ」

 

 意を決し、メグルはアヤシシの手綱を引いた。

 此処からは──反転攻勢だ。

 リュウグウの「策」が発動するまでの間、オトロシアスを食い止める。

 それが今のメグルに与えられた使命だ。

 

「アヤシシ……頼むぜ。最後まで」

「ブルトゥ!!」

 

 そして、おあつらえ向きに──オトロシアスは此方に近付いてきている。

 

「おとろし」

 

 見上げる程に強大な敵。 

 単眼が彼らを睨み付ける。

 だが、もうメグルは逃げない。逃げはしない。

 

「……アルカ、行くぞ。総力戦だッ!!」

「うんっ!!」

 

 持っているありったけのボールを握り締め、ばら撒く。

 

「皆、出て来いッ!!」

 

 持ち運びポケモンボックスに眠っているポケモンも呼び出し、放りだす。

 

「ふぃるふぃーッ!!」

「グラッシャーッ!!」

「ラッシャーセーッ!!」

「オレスシーッ!!」

「ふるーる!!」

「ヤッテキマッシャーッ!!」

「ジョォオオオオズ!!」

 

 ──ニンフィア、バサギリ、ヘイラッシャ、シャリタツ、アブソル。それに加え、クワガノンにサメハダー。

 

「キュルルルルウーッ!!」

「カヌヌッ!!」

「キィイイイイイーッ!!」

「アギャァス!!」

「ぷぴふぁーッ!!」

「ドッゴゴォーン!!」

「ストォオオーック!!」

「ぷきゅぉおおおおん」

「プレシィイイイイル!!」

「コォオアアアアアン!!」

 

 ──カブトプス、デカヌチャン、ジャローダ、モトトカゲ、ヘラクロス、ゴローニャ、オトシドリ、サニゴーン、ラプラス、セグレイブ。

 

「お願い、一緒に戦って!」

 

 合計、18匹ものポケモン達がオトロシアスを前にして立ち向かう。

 

「……此処から先は通さねえよ、オトロシアス。その縄張り争い、受けて立つッ!!」

「お前が出る幕なんて無いんだッ!! サイゴクはボク達が守る!!」

 

 

 

「おとろし あな おとろし」

 

【災獄のヌシ・オトロシアスが現れた!!】

作者の作風に期待するものは?(良ければ感想欄でも教えて下さい)

  • ラブコメ、純愛
  • 戦闘シーン
  • シリアス、曇らせ
  • ギャグ、コメディ
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