続・ポケモン廃人、知らん地方に転移した。【完結】   作:タク@DMP

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第15話:霊脈を治する暗君

「──おとろし」

 

 

 

 標的を見つけたオトロシアスは、メグル達目掛けて一目散に這いずり始めた。

 だが、全長が100メートルを超す巨体だ。それだけで周囲の木々を薙ぎ払っていく。

 メグルはクワガノンに掴まり、アルカはオトシドリに飛び乗って空へと退避。

 そして、他のポケモン達もまた散開してオトロシアスへと攻撃を始める。

 

「グラッシャーッ!!」

「ぷぴふぁーッ!!」

 

 巨大な右手の薙ぎ払いを跳躍して躱し、そして腕を駆けのぼるバサギリ。後に続くのは羽根で羽ばたくヘラクロスだ。

 研ぎ澄ませた岩の斧による斬撃。それがオトロシアスの腕を斬り裂き、そしてそうして開いた傷口をヘラクロスが角で抉る。

 

 

 

【バサギリの がんせきアックス!!】

 

【ヘラクロスの メガホーン!!】

 

 

 

 そして、今度はオトロシアスの腹の下に潜り込んでいくヘイラッシャとシャリタツ。そこに、ラプラスも加わる。

 自身の下に何かが潜り込んだことを察したオトロシアスは即座に自らの腹で押し潰したが──

 

「オレスシーッ!!」

「ラッシャーセーッ!!」

 

 特性”しれいとう”で極限まで力を引き出されたヘイラッシャは、頭だけでオトロシアスの腹を抑えつけ、支える。

 そして、首を伸ばしたラプラスが思いっきりオトロシアスの腹を”かみくだく”。

 霊をも砕く神砕きの一撃を前に、オトロシアスの甲高い悲鳴が響き渡るのだった。

 

 

 

「ゴギャガガガガガガギャギャギャーッッッ」

 

【ヌシ咆哮:ポケモンは怯んで動けない!!】

 

【ヌシ咆哮:オトロシアスの纏うオーラが変わっていく……】

 

 

 

 身の毛がよだつような咆哮。

 生物のそれとは思えないような化け物染みた轟音に、メグルは嫌でも怖気づかされる。

 おまけに、オトロシアスの目の色が変わっていく。

 宿されるは黄昏。陽を沈める夕暮れの残光の如き色へと変じていく。

 

「あな かしこ あな かしこ ゴギャガガガガガガガギャーッッッ」

 

 怒り狂うオトロシアスは周囲の光を一気に眼に集約させていく。辺りが暗くなっていくのが、空中を飛んでいるメグルにも分かった。

 

「──まさか、これは──ッ!!」

「させないッ!! デカヌチャン、ゴローニャ!! ()()()()お願いッ!!」

 

 アルカの声にこたえるように、デカヌチャンが大きなハンマーを振り上げ、思いっきりゴローニャをカチ上げた。

 ゴローニャは特大の砲弾となってオトロシアスの下顎にぶつかる。

 その直後、オトロシアスの眼から巨大な光が一気に放たれ、辺りを焼き払っていく──

 

 

 

【オトロシアスの たそがれのざんこう!!】

 

 

 

 ──しかし、ゴローニャがぶつかったことで軌道が逸れたことが幸いした。

 ポケモン達はわずかにオオワザを避ける猶予が生まれ、極太の光線を避けていく。

 メグルとアルカもさらに高く上空へ飛ぶことで難を逃れたのだったが──同時に驚愕した。

 今のは間違いなく、ヨイノマガンが得意としているオオワザ・たそがれのざんこうだ。

 この光景を見て、リュウグウの言葉を思い出す。

 

「ヌシの力は、霊脈の力……!!」

「オトロシアスはサイゴクのヌシポケモンの力を全部使える……いや、サイゴクのヌシポケモンの力は元々オトロシアスの力なんだ!!」

「無茶苦茶やりやがるぜ……!!」

 

 それだけではない。

 何千年もの力を蓄えたオトロシアスは、既にその力を自在に振るえる程までに進化していた。

 オトロシアスの瞳の色が暁の如き赤紫色に染まっていく。

 周囲には巨大な剣が浮かび上がっていた。影で生成された巨大な剣。その名は──

 

 

 

【オトロシアスの ごうそくけい・あかつきのごけん!!】

 

 

 

「マジかよッ……!! アブソル、ギガオーライズ!!」

「ふるーる!!」

「セグレイブッ!! ギガオーライズだ!!」

「コォオオアアアアアアーン!!」

 

 味方達を守るべく、アブソルとセグレイブが同時にギガオーライズを果たす。

 対抗するようにアブソルもまた、影の剣を何本も浮かべ、セグレイブも岩の剣を大地から生やす。

 

 

 

【アブソルの しん・あかつきのごけん!!】

 

【セグレイブの きょたいけん・グレイブヤード!!】

 

 

 

 ぶつかり合い、相殺される両者のオオワザ。

 その勢いだけでアブソルとセグレイブの体表を覆うオーラは打ち砕かれ、ギガオーライズは解除されてしまうのだった。

 

「ッ……マジかよ!!」

「メグル見て!! あいつまだ、終わってない!!」

 

 しかし、影の剣をぶつける後ろでオトロシアスの足には巨大な車輪が現れていた。

 そのまま目の前の全てを引き潰す勢いで車輪を回転させ、オトロシアスは這いずり回る。

 

「オトロシアスは地面タイプだけど……技で出現した車輪だけなら破壊出来るはずだ!! クワガノン、”でんじほう”!!」

「オトシドリ、”がんせきふうじ”ッ!!」

 

 クワガノンから射出された”でんじほう”が右の車輪を破壊し、岩の雨がオトロシアスの頭に降りそそぐ。

 勢いよく横転したオトロシアスだったが──今度は眼の色を雷光の黄に染め上げる。

 そして眼には強烈な電気が溜められていく。

 辺りには暗雲が立ち込め、横殴りの強烈な雨が降りしきっていた。

 落雷がオトロシアスの頭に落ちる──

 

 

 

【オトロシアスの──】

 

 

 

 ──そして。

 オトロシアスの眼から黒い紫電が迸った。

 

「──今度はホノイカヅチか!!」

「ジャローダ、サニゴーン、”ひかりのかべ”!! 展開してッ!!」

「アヤシシ!! オマエもだ!! ”ひかりのかべ”頼む!!」

「キィイイイイーッ!!」

「ぷきゅぉおおおおん!!」

「ヴルトゥーム!!」

 

 ジャローダが超広範囲の”ひかりのかべ”を展開。

 更に、それを助けるようにしてサニゴーンも二重で”ひかりのかべ”を展開する。

 後に続くアヤシシがダメ押しと言わんばかりに更に壁を貼った。

 三重の”ひかりのかべ”。それがオオワザを迎え撃つ──

 

 

 

【──ホノイカヅチ!!】

 

 

 

 黒い稲光の戟が光の壁を貫く。

 その衝撃は到底殺しきれるものではなく、ポケモン達は空へと放り出されていく。

 だが、それさえも利用してカブトプスとサメハダーがオトロシアス目掛けて飛びかかる。

 降りしきる雨の勢いが、彼らに力を与えた。

 

【カブトプスの アクアブレイク!!】

 

【サメハダーの アクアブレイク!!】

 

 ──同時に飛び掛かる二匹。

 オトロシアスの頭部に鎌が、そしてサメハダーの鋭利な身体が突き刺さる。

 しかし──二匹の身体はいきなり重力を失ったかのように浮かび上がっていた。

 泡だ。

 オトロシアスの周囲に泡が大量に浮かび上がっている。

 それは山の斜面にも現れ、ポケモン達を飲み込む勢いで増えていく。

 辺りの温度は急激に低下。泡の強度も上がっていき、ポケモン達は次々に泡に拘束されて浮かばされてしまう。

 

 

 

【──オトロシアスの むげんほうよう!!】

 

 

 

「止めろ、ニンフィア!! ”はかいこうせん”!!」

 

 

 

 唯一、何度もこのオオワザを受けているニンフィアは泡に塗れても尚、態勢を即座に立て直して浮遊した状態でオトロシアス目掛けて”はかいこうせん”を見舞う。

 ぶつかり合う特大の水ブレスと”はかいこうせん”。

 更に追い打ちと言わんばかりに、クワガノンが”エナジーボール”を見舞う。

 しかし──

 

「ッ……待ってメグル!! なんか様子がおかしい!! あいつの身体からすごい熱源が──!!」

「熱源!? まさか……!!」

 

 ──急激にオトロシアスの居る周囲の温度が急激に上がっていく。

 オトロシアスはニンフィアの”はかいこうせん”を水ブレスで迎撃する中、地面につけた指から霊脈のエネルギーを吸収していた。

 そしてそれは即座に熱エネルギーへと変換されていく。

 膨張していく熱。真っ赤に染まるオトロシアスの眼。

 

「マズいッ!! 皆、離れろーッ!!」

「逃げてーッ!!」

 

 オトロシアスは吸収した霊脈のエネルギーをくべて燃やしていた。

 サイゴクのヌシポケモンの中で最も恐れられたオオワザ。

 それが由来するのは地脈の熱、もっと言えば──この星の中央で巻き起こる、核融合にも匹敵する熱運動。

 自らの身体を炉心に見立て、エネルギーを臨界状態まで引き上げ、そして──融解させる。

 

 

 

【オトロシアスの ろしんゆうかい・メルトリアクター】

 

 

 

 オトロシアスの身体が一気に爆ぜた。

 周囲の木々が、辺りの全てが消し飛んだ──

作者の作風に期待するものは?(良ければ感想欄でも教えて下さい)

  • ラブコメ、純愛
  • 戦闘シーン
  • シリアス、曇らせ
  • ギャグ、コメディ
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