続・ポケモン廃人、知らん地方に転移した。【完結】 作:タク@DMP
「──え、えーと、これは何なのでせう……?」
「あ? ノートパソコンと、新作ホラゲーに決まってんだろ、言わせんな恥ずかしい」
──前略。ホテルの一室で、アルカはノートパソコンの前に正座させられていた。
これはミアの私物で、PCゲームも遊べる程度にはハイスペックな代物である。尤も、持ち主である彼女はこれをゲームに使った事は一度もなく、専ら研究用のアプリを動かす為に使っていた。しかし、そのミアもノリノリでアルカを座らせている。
画面には──「ファンキー・ナイトメア・スパルトイズ」とおどろおどろしいフォントで描かれており、奥には不気味に鋭い歯を剥き出しにしたぬいぐるみが映っていた。
「これゲーム? しかも、どっからどう見ても怖い奴だよね……!? ボ、ボク、怖いの苦手なんだけど……!?」
アルカの青白い顔が余計に青白くなっていく。しかし──ミアは首を横に振った。
「アルカさん、お酒の飲み過ぎには本当に気を付けた方が良いと思います」
「オメー、自分が言った事覚えてねーんだなマジで」
「……!?」
それは昨晩の事であった。
夕食時にアルカが酒を飲むのは珍しい事ではない。しかしその日は機嫌が良かったのか、いつも以上に酒の進みが良かった(毎回のような気がするが、問題が起きるのが彼女が飲み過ぎた時故仕方ない事である)。メグルとミアの前で、すっかり出来上がったアルカはぺらぺらと彼氏の恥ずかしい話を始めるのであった。
『それでさぁ、テレビがホラー特集になってさぁ、おにーさんチャンネル変えようって言ったんだよね。そしたら、変えた先もホラー番組で、ドッキリシーンだったみたいでさぁ!! ワキャーッ!! って女の子みたいな悲鳴上げて可愛かったなあ!!』
『おいコラ、怖いのはお前も苦手だろが』
『それだけじゃないよ? その日はぁ、”悪い……変な夢見そうだから、引っ付かせてくれ”っていつもより甘えてきてー……えへへへへ』
『あの? 後何回私はこうして惚気を聞かされないといけないのですか?』
いい加減イライラしてきたのか、ミアが露骨に不機嫌そうに肉に向かってフォークを刺す。
『本当にすまん……このバカには明日よーく言い聞かせておくから』
『えへへへへ、子供っぽいメグル、本当に可愛かったなぁ、えへへへへ』
『おいこら。子供っぽいのはオメーも人の事言えねえだろが』
『あっははははは!! ビビりのお子ちゃまのおにーさんが言っても、説得力無いよう。だって、あんなテレビの子供騙しに引っ掛かるなんてさぁ! やっぱりおにーさんは、ボクが居ないとダメなんだなぁ!』
『あ”?』
『ざーこざーこ♡ よっわよわのお子ちゃまだもんねぇ』
『この野郎……!』
『ミアも何だかんだ言ってお子ちゃまだしー? 怖いの無理だもんねぇー? ねぇー?』
『この人は……!』
『でへへへへ、その点ボクは、怖い物無しのおねぇーさんなのれす、えへへへへへへ』
ピキッ、とメグルとミアの頬に青筋が浮かぶ。
メグルは激怒した。この邪知暴虐の酔っ払いに一発お灸を据えねばならないと決意した。
『……ミックスジュースのウオッカ割一丁』
『メグルさん?』
メグルはより度数が強い酒をオーダーした。
明らかに火に油を注ぐ行為に対し、ミアが「正気か?」と言わんばかりに彼の顔を覗き込むが──酔っ払いへの最大のカウンターを理解しているメグルは「任せとけ」と返す。
そのまま持ってこられた酒を何の躊躇もなく飲み干したアルカの顔は更に真っ赤になっており、舌はもう呂律が回らなくなっていた。
『うにー、頭がぽわぽわするよう』
『メグルさん大丈夫なんですか本当に……これでは色々悪化しただけでは』
『はぁーん、そうかそうか。ところでアルカ。お前は、怖いの平気なんだな? ビビりの俺と違って』
『へーきらよぅ、えへへ』
『じゃあ「ファンキー・ナイトメア・スパルトイズ」って割とガチ目のドッキリ系ホラゲーがあるんだけど、大人のお姉さんのアルカはホラゲーも余裕でプレイできるんだよな?』
『えへ? よゆーよゆーらよぉ』
『クリアできるまで部屋から出られなくってもいいんだな?』
『もちの──ろぉーんっ!!』
プツッ
スマホロトムのボイスレコーダーの録音はそこで終わっていた。ミアは救えないとばかりに首を横に振る。ニンフィアはケタケタと嗤う。
酔っている状態とはいえ、完全に言質を取られてしまったのだった。
「……ぜ、全部録音したの……!? お、怒ってる……!?」
「怒ってねーよ♪ ただ、大人のお姉さんのアルカ様は、ビビりの俺と違ってホラゲーも余裕で耐久出来るんだろうなあって思って」
「む、無理無理無理!! だってこれタイトルからしてヤバいんだもん!! 薄っすらヤバいのが映り込んでるよ!! てかさ!! 酔って言わせた言質なんて無効でしょ無効!!」
「……アルカさん。相手が私達だったから良かったものを、悪い人相手にそれが通じると思いますか?」
「うぐっ……」
「お前、俺の前以外で酒飲むの金輪際禁止な、ぜってー悪い奴に引っ掛かる」
「うぐぐぐぐ!!」
「それはそれとしてホラゲーはやってもらうんだが」
「ね、ねえ! ボクの事好きなんだよね!? 恋人が嫌がることをするのは良くないんじゃないかな!?」
涙目で彼女はメグルの袖を引っ張った。
しかし──彼の答えは決まっている。
「……これはお前が始めた物語だろ」
「私もそう思います」
「鬼!! 悪魔!! オーロンゲーっ!!」
「コラ、オーロンゲに失礼だろが」
こうして──アルカのホラゲー耐久が始まってしまったのだった。
嫌がって渋るアルカをノートパソコンの前に座らせた後に、コントローラーを握らせる。
ゲームのルールは簡単だ。主人公が、かつて玩具工場だった廃墟を一人称視点で探索。道中で追ってくるイカれたオモチャ・スパルトイズを、工場内の仕掛けを動かす事で撒きながら逃走し、脱出を図るというものである。
だがこのモンスターのデザインが本当に怖い。なんせ、舞台が玩具工場というだけあって、ポケモンのぬいぐるみやオモチャを醜悪に歪めたような物ばかりなのである。
メグルが元居た世界では、仮にも子供向け版権モノであるポケットモンスターというブランドでは先ず出て来ないであろうゲームだ。しかし、この世界に於いてはポケモンは当たり前に生息する生き物。それをモチーフにしたオモチャが当たり前のように溢れているし、それをモチーフにしたゲームも多彩。……かなりキツいドッキリ系のホラーゲームも例外ではないのである。
「ね、ねえ、この工場暗いんだけど……何で明かりとか無いの?」
「明るかったらホラゲーの意味がねぇだろが」
「乳が大きいのに気は小さいんですね」
「今日はいつにも増して当たりが強いな!?」
「気の所為ですよボリボリ」
「えっ、しかもなんか食ってるし……」
横でポテトチップスを自作サワークリームにディップしているミア。無駄に育ちが良い食べ方であった。ヨーグルトに生クリームを混ぜて昼の間に放置しておくだけで完成するのである。
「たべまふ?」
「ポテチ美味しいねえ!! でも食べてる場合じゃないんだよねえ!!」
「所詮は作り物じゃないですか。ましてやゲームですし。私は今までもっと怖い物見てますよ」
「そんな事言ったらボクだって……」
「おいおいおいやめろ!! ホラゲーとは関係ねえ所で女子たちの目の光が消えたァ!! ……そんな事言ったら俺だって」
全員の目から光が消えた。
「メグルさんは怖くないのですか?」
「いや、正直横で見てる分でも死ぬ程怖いんだけど……隣で滅茶苦茶怖がってるヤツが居るから冷静になっちまって」
「ああ……」
廃工場を懐中電灯一本で探索していくプレイヤーキャラ。しかし、往々にしてモンスターは背後から襲い掛かってくるため、足音がしたら逃げなければいけない。
かつん、かつん、かつん、とプレイヤーのものではない足音が聞こえてくるなり、アルカは「ヒッ」と怯えた声を出した。
「何処!? 何処からくるの!? ってか、何処に逃げるのぉ!?」
「落ち着け!! 引っ掛かってる!! 地形に引っ掛かってるから!!」
「何処に逃げたら──」
慌てている所為でアルカの操作はおぼつかないものになっており、足元に落ちている瓦礫に操作キャラが引っ掛かってしまった。そうこうしているうちに、ビッシリと長い歯の生えたダルマッカの着ぐるみに押し倒されてしまう。
モンスターの顔がドアップで画面に映り──カップルは仲良く絶叫するのだった。
「みぎゃーっっっ!!」
「馬鹿野郎ーッッッ!!」
そのままプレイヤーキャラは貪り食われてゲームオーバーになってしまうのだった。
「オ、オマエはもうちょっと落ち着いてプレイしろよ! これじゃあクリアできるモンもクリアできねえだろが!」
「だ、だってぇ!! 怖いんだもんっ!!」
「お姉さんのアルカ様はホラゲーなんて余裕なんじゃないでしたっけ、ボリボリ」
「うぐぐぐぐ!! 酔っ払いの妄言なんだよ、あれはー!!」
「自分で言ったらお終いでしょうに……」
その後も、暗い廃工場の中をアルカは出口を求めて探索を続ける。襲い掛かるモンスターを掻い潜り続ける。そんな折──メグルが何処からともなくワインの入った瓶を取り出し、グラスに注ぎ始める。
「……何やってんの?」
「いや? 今日はワインが美味いなあって──ぐび」
「鬼ーッッッ!!」
愉悦。人の怖がる顔で飲む酒は美味い。横ではミアがブドウジュースをグラスに注いで真似事をしている。真顔で。
「最悪だ!! 最悪最悪!! コイツ、ボクの怯えた顔を肴にワイン飲んでるよ!! ボクも飲む!!」
「ダメに決まってんだろが、これは俺が俺の金で買った酒だ、お前は素面のままこのゲームをやり遂げろ」
「悪魔ーッッッ!!」
「メグルさん、おつまみにチーズは如何ですか?」
「くるしゅうない」
「オーロンゲーッッッ!!」
足を組み、すっかり王侯貴族気分だ。ワインやチーズと言ってもスーパーで売ってる安物ではあるのだが──愉悦出来れば、もうそれで良かった。さっきまで自分も叫んでいた癖に部外者のような顔でワインを呷るメグルに、アルカは怒りを隠せない。しかし、そんな矢先に足音が後ろから迫ってくる。
更に、気が付けば大股を開いたニンフィアがマフィアのボスさながらのポーズでサングラスを掛けてソファにもたれているのだった。頭にはアゴジムシまで乗っかっている。
「ふぃるふぃー(※特別意訳:小娘の悲鳴は最高ブイねえ)」
「ぷにぷに(※特別意訳:ぷにぷに)」
「お前もかァァァーッ!! 主人と揃いも揃って性悪だーッ!!」
「おーい、敵来てんぞ」
「えっ、あっあっ!! やめてやめてやめてぇ!! イギャァァァーッッッ!!」
天井のダクトが外れて、真上からモンスターが襲い掛かってくる。
アルカ、またもやゲームオーバー。
「ふぃるきゅー(※特別意訳:雑魚ブイねえ)」
「ぷにぷに(※特別意訳:ぷにぷに)」
「く、くそっ、こうなったらボクも援軍を呼ぶしかない! 助けてサニゴーン! 頼りになるのは君だけだよ!」
そう言ってアルカはボールを投げてサニゴーンを繰り出す。しかし、寝ているのかサニゴーンは殻にこもったまま出て来ない。
「ダ、ダメだ、起きない……!!」
「健康的なゴーストタイプだな」
「ゴーストタイプなのに」
「こ、こうなったらラプラスに……!!」
「わー馬鹿馬鹿馬鹿野郎!! 部屋ン中でラプラス出したら大変な事になるだろが!! 弁償モンだぞ!!」
※※※
「へ、へへへ、大分慣れてきたね……沢山死んだからかな」
プレイし始めて早2時間。叫ぶアルカを眺めるのに飽きたニンフィアはアゴジムシ共々、ボールの中で寝てしまった。
アルカは未だに鳴りやまない心臓の音を誤魔化すように言った。操作感にも、ゲームオーバー時にドアップで映るモンスターにもそろそろ慣れてきたのは確かである。しかし、恐怖感はいつまで経っても薄れはしない。そんな折、メグルが爆弾を投下した。
「あ、トイレ行きたくなってきた」
「!?」
アルカの手が爆速でメグルの腕に伸びた。カチカチと歯が鳴っており、首を横に振る。
「ね、ねえ、居なくならないでよメグル。頼むから」
「いや、ワイン飲んだから行きたくなっちまってよ。慣れたんだろ? じゃあ少しくらい離れてても平気だろ」
「奇遇ですね、私もトイレに行きたくなってきました」
二人して傍から離れようとするため、本当に泣きそうになりながらアルカは彼らの服を引っ張った。
「ま、待ってよ! ひとりにしないでぇ!! ってか、ミアのはわざとだよね!? それならボクもトイレに行くーッ!!」
「おいおい、部屋のトイレは1つしかねーんだぞ、順番だ順番」
「ダメ!! 絶対ダメ!! 何なら一緒にトイレに入って!!」
「おいバカバカバカ、やめろ!! それはもう高度なプレイだろうが!!」
「落ち着きましょう、私達が悪かったですから!!」
「あっ、敵来てる!! 敵来てる!!」
「ウソォ!? ──みぎゃあああああああああああああああ!!」
ゲームオーバー。
またそのエリアの最初からやり直しである。クリアから一歩遠ざかった事に、彼女は放心してしまうのだった。
トイレを済ませた後──死んだような目で再びアルカは探索に入るのだった。
「……えーと、此処が右で、此処の鍵を開けて……」
「流石だな、順路を覚えてきたか」
「うん……こうも何回もやってるとね」
「ですが、敵が出てくるタイミングはランダムです。重々気を付けないと」
「ボスが来たら固定なんだけどな。それまでが一番キツいまである」
「……ヘーキだよ。パターン化されてるんだもん。慣れたね、今度こそ」
「ふーん」
画面をじっと見つめるアルカ。すっかりゲームに慣れたのか、最初のようにおっかなびっくりという訳ではないようだった。そんな彼女に更なる恐怖が襲い掛かる事になる。示し合わせたようにメグルはミアにアイコンタクトを送った。そして──
「ひにゃぁぁぁぁん!?」
──集中しているアルカの耳元に息を吹きかける。何が起こったのか分からなかった彼女は、コントローラーを持ったまま横転するのだった。そして、ばくばくと鳴る心臓を抑えながらメグルに怒鳴り散らす。
「息掛けた!? 今、耳に息掛けたよね!?」
「カケテナイヨ」
「掛けたよねえ!?」
「おーい敵来てんぞ」
「にゃぁ!? も、もーう!! メグルの所為だよメグルの所為!!」
既にパターンが分かっている敵であるが故に、あっさりとそれを躱して逃走フェーズに入る。だが──そんな中、頬にぺちゃりと何か冷たいものが当たる感覚を覚えるのだった。
「ふにゃん!?」
それで操作が狂った。アルカは地形に引っ掛かり、またしてもゲームオーバーしてしまうのだった。
振り向くと──ミアが「ボロの釣竿」の先にこんにゃくを引っ付けて振り上げていた。古典的な脅かしである。
「今こんにゃく引っ付けた!? 頬っぺたにこんにゃく引っ付けたよね!?」
「つけてないれふよ」
「食ってるよね!? こんにゃく食ってるよねえ!? こんにゃく美味しいねえ!?」
「美味しいれふ」
「何だよ何だよ、慣れたって言ってたくせに直ぐゲームオーバー、やっぱり真のビビりはアルカちゃんなんじゃねえのお?」
「ちょっといい加減にしてよ!! 二人共、怖がるボクをオモチャにしてるんでしょ!?」
「そんな事ねえよ、怖がるお前を肴に酒飲んでんだよ」
「もう良いモン!! 出てく!! やってられないよ!!」
そう言ってアルカが部屋から出ようとする。しかし──扉は固く閉ざされ、出る事が出来ない。ミアが表情一つ変えずに言った。
「……ダメですよアルカさん。今、この部屋はランクルスによって固く閉ざされています。ゲームをクリアするまでアルカさんが此処から出る事は叶いません」
「あ、悪魔ぁぁぁ……」
※※※
いよいよボス戦となった。
此処まで何度も何度も死にながら、部屋の仕掛けを理解し切っていたアルカ。防護室に入ろうとしてくる巨大なニャオハ型着ぐるみのモンスターを退け、立て籠もる。
そして──遂に、その時は訪れたのだった。
制限時間ギリギリまで敵の猛攻を防ぎ切ったアルカは、仕掛けを作動。発電機から流れた高圧電流にニャオハ型モンスターは撃たれ──燃え盛りながら落下していくのだった。
ゲームクリア。開始から約6時間近くかかった長期戦だった。
「やった!! やったよメグル!! ボク、やったんだよ──」
すっかりゲームに熱中していたアルカは、しばらく口を利いていなかったメグルの顔を見る。しかし──
「ターベチャーウゾォォォォォ……」
──そこにあったのは、ゲームのエネミーそっくりの顔。もちろん正体はお面を被ったメグルなのだが、緊張が緩み切っていたアルカは不意打ちされ「ぎゃあああああ!!」と悲鳴を上げ、助けを求めるようにミアの方を向く。しかし──
「ヨッパライハダレダァァァァ……」
──ミアも同じく、牙が剥き出しになったニャオハの面を被って出迎える。「ひゅっ」と魂が抜けるような声を上げたアルカは、頭を隠してその場に蹲ってしまうのだった。
「だはははははは!! いやー長丁場だったなぁ、ミア!!」
「全く、これに懲りたら酒の席で迂闊な事は……っていうか、飲み過ぎには気を付けて下さいねアルカさん」
「うっ、うぐっ、えぐっ、ひぐっ」
「……アルカ?」
蹲った彼女からガチ目の嗚咽が聞こえてくる。
「うぇえええん……うぇええええええん……酷い、酷いよぉ……二人共嫌い……大っ嫌い……」
「やっべ、ガチ泣きじゃん、どうするよ」
「少々やりすぎてしまったようですね」
「仕方ねえ。こうなったら──」
メグルはアルカを俵のように抱えると、そのままベッドに投げ入れる。
そして──ミアと一緒にテレビの前に座るのだった。
「しばらく寝かしときゃ機嫌治るだろ」
「アニメでも見ましょう、アニメでも。今更寝られませんし」
「何観る?」
「”しきじかのこのこがおがえん”」
「あー、あのイカれた新アニメ。OP1時間耐久が100万回再生いってたな」
「──薄情者-ッッッ!!」
ベッドからアルカがすっ飛んできた。
「酷いよ、二人共!! 普通そこは謝り倒すところでしょ!? ねえ!?」
「だって疲れたし……」
「ドの付く薄情、ド薄情ーッッッ!!」
心が強ェ薄情者なのか。
「元はと言えばアルカさんの不用意な発言から始まった事ですし」
「だからって、泣いてるボクを放置してアニメ見始めるとかある!?」
「割と元気そうで良かったじゃん」
「そうだよ!! 二人の薄情っぷりに怖さも全部すっ飛んだよ!!」
二人はスッ、と例のお面を付ける。「み”ッ」とアルカの口から悲鳴が短く漏れた。怖さは吹っ飛ばなかったようである。
「その仮面付けるのやめろ!!」
「おいおい、売ってなかったから自作したんだぜ、もっと褒めてくれよ」
「ええ。アルカさんを懲らしめる為に作ったんです」
「うわああああん!! ボクが悪かったからぁ!! 許してよぉぉぉ……ごめんなさぁぁぁい」
へたり込んで再び泣き出すアルカ。
「酷いよ酷いよ……普段の優しい二人に戻ってよぉ……うええええん……」
「どうする? ミア」
「”しきじか”観ましょうか」
何処までも薄情なミアであった。しかし──
「……アルカさんも一緒に観ましょう」
「え?」
「そうだな。今寝たって、絶対夢に出てくるぜ」
「……もう脅かしたりしないよね?」
「俺達もやり過ぎたよ。悪かったな」
「うう……」
「これに懲りたら、もうお酒は飲み過ぎないようにしてくださいね、アルカさん」
「……うん」
猫のようにメグルの膝の上に乗っかったアルカ共々、そのままアニメを観始める3人。
そして──しばらくしたら、3人共仲良く一緒にソファの上で寝てしまうのだった。
※※※
「とゆーわけでっ、”怨”っていう列島のクッソ怖い映画借りてきたんだけどぉ」
「……ミア」
「メグルさん、私はホラー耐性があるので平気ですが……ご愁傷様です」
「おい待てよ。ちょ待ーてーよ。ヤだよ俺、まだ死にたくねえよ」
「……観るよね?」
「キュオオオオオオオオオン」
アルカの横で、サニゴーンが恨みたっぷりに威嚇している。言う事を聞かなければ何をされるのか分かったものではない。
「……つ、謹んで鑑賞させていただきます……」
「よしっ決まり!! 今日は帰ったら三人でホラー映画観るぞー!!」
「人にやったことは……そっくりそのまま返ってくるのか……トホホ……」
今日の教訓。自分の嫌がる事を人にしてはいけない。
作者の作風に期待するものは?(良ければ感想欄でも教えて下さい)
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ラブコメ、純愛
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戦闘シーン
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シリアス、曇らせ
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ギャグ、コメディ