続・ポケモン廃人、知らん地方に転移した。【完結】 作:タク@DMP
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──大量のクローンを作るには、想像を絶する巨大な施設が必要だとキリは考えた。
故に、地下のクローンファクトリー探索は二手に別れて行う事になったのである。
地下へと何とか潜入することに成功したノオトとキリは、工房の場所を探すべく辺りの追手や警備を蹴散らしながら進んで行く。
そして、辿り着いたのは強固な防護隔壁。非常時に際し、閉ざされるようになっているが──
「ソルロック、ルナトーンッ!! ”サイコキネシス”でござるッ!!」
ソルロックとルナトーンが共鳴した事で超強力な念動力が発動し、鉄扉が一瞬でへしゃげて破砕されてしまったのだった。
そうして突入したのは、巨大な大部屋。
そこで待ち受けるのは──屈強な筋肉を持つ大男。そして、隣に立つのは黒髪の痩せ型の男だった。名前は知っている。大男がブランカ、痩せ型の男がノーゼンだ。しかし、ノーゼンの方は目に生気が無く、口をクラッシャーマスクのようなもので覆っている。
両者ともにワームホール公団が抱える四天王だ。
「侵入者を──発見ッ!! 余計な仕事を増やしやがって……アドレナリンがドバドバしてきたぜェ!!」
「ぁー……うー……」
虚ろな目で呻き声しか発さないノーゼン。もうその顔からは楽しみなど感じられない。
その明らかに人間として異様な様に、ノオトはたじろいでしまうのだった。
「……なんか片方様子がおかしいッスけど」
「ドババババァ!! 脳を弄られて以来、ずっとこんな調子なんだよなァ!! まぁ、前みてーに喧しくねぇから別に良いかァ!! なぁノーゼェェェン!!」
「……ぁーうー」
「テメェは”あーうー”しか言えねえのかァ!! 殺すぞ!!」
「ぁー」
ブランカが思いっきりノーゼンの頬を殴りつける。
しかし、まるでマネキン人形のように抵抗する様子も見せない彼は、床にたたきつけられたかと思えば、何事も無かったかのように起き上がるのだった。
「……ああ、ムカつくぜェ!! ドバドバドバァ!!」
「ヤバいッスねコイツら……」
「ヤバいでござるな。全部」
二人は身構えた。恐らくあのノーゼンという男は脳に何らかの「調整」を施されたのだろう。
「コチョウ様の命令だ……二度と娑婆に出られねえようにしてやるぜッ!!」
「ぁー……うー……」
【ワームホール公団 四天王の ブランカとノーゼンが勝負を仕掛けてきた!!】
ブランカが投げたボールからは白い毛皮に身を包んだガチゴラスが飛び出す。吼えれば全身の毛皮から燃え盛る炎が溢れ出す。
そして、ノーゼンが投げたボールからは渦巻き状の殻を背負ったオムスターが飛び出すのだった。
前回、海峡で対峙した個体よりは遥かに小さいが、それでも全長は3メートルと通常のオムスターよりは遥かに巨大だ。
「ヴォォオオオオオオオオオオオオオンッ!!」
「オオオオオ……イイイイイ……シィィィ……ソォオオオオオオオオオオ」
対峙するだけで押し潰されてしまいそうな迫力。
二体のREXがノオトとキリの前に立ち塞がる。
「……クローン研究という暴挙、これ以上見過ごせないでござるな」
「テメェらを消せば、全部無かった事になるぜェ!!」
「何処までも腐ってやがるッスね!!」
「だがどうするつもりだァ? REX二匹掛かりをどうにか出来る戦力をテメェらが持ってるのかよ?」
「それは見てからのお楽しみッスよ!!」
ノオト、キリも対抗するようにボールを投げた。飛び出したのはルカリオ、そして──
「──シンボラー、任務開始」
【シンボラー(サイゴクのすがた) とりもどきポケモン タイプ:岩/エスパー】
──砂嵐が部屋中に撒き散らされる。
全身を塗り固めたようなハチドリ型のポケモンがキリの前に寄り添うようにして現れるのだった。キリがサイゴクからマーニャに持ち込んだポケモンだ。
「……何だァ!? シンボラー!! ドバババババァ!! お笑い種だぜェ!! そいつはマーニャにも居るポケモンだが……」
「只のシンボラーと思って貰っては困るでござるな。この子こそ、拙者の秘密兵器。貴様らを倒す為に用意した隠し刃」
辺りは砂に覆われ、視界は悪くなっていく。
ブランカは早速怒りのボルテージが高まっていく。
「何も見えねえ!! 最高速でブッ潰してやるドバァ!! ガチゴラス、”ゆうきのほうこう”ッ!! アドレナリンMAXッ!!」
部屋中の砂嵐を吹き飛ばす勢いでガチゴラスが咆哮する。自分を含めた味方を鼓舞し、敵を怯えさせる特殊波形の音波だ。
そして後に続くようにしてオムスターは圧縮した水の弾を放つ。
着弾。そして爆発。圧縮された水弾が弾け、砂嵐を吹き飛ばす──
「”ふうとん・つむじ”ッ!!」
「ッ!?」
──視界が晴れたと思いきや、そこから襲い掛かるのは巨大な砂嵐の竜巻。
再び部屋は砂に覆われ、更にガチゴラスとオムスターを巻き上げて吹き飛ばす。
「な、なんだ、その技はァ!? また辺りが砂嵐に──ッ!! おいノォォォゼェェェン!! 何か答えろや!!」
「ぁー……うー……」
「チッ、駄目だ、再調整の所為でコイツの頭、使い物にならなくなってやがる!!」
砂嵐の奥から現れたのは、二人も見たことがない姿のポケモン。
シンボラーの姿は砂で出来た空飛ぶ巨城のようになっており、ルカリオは全身の体毛が真っ白に染まっており、生えている棘が紫色のオーラを帯びている。
データとしては彼らも知っている。近似する強力なポケモンのオーラを纏い、その力を借りる現象。その名は──ギガオーライズ。
答え合わせをするかのように、ノオトとキリの右腕にはOの刻印が刻まれた宝石のブレスレットが嵌められていた。
「ギガオーライズ……”ヨイノマガン”ッ!!」
「ギガオーライズッ!! ”ウガツキジン”ッ!!」
【シンボラー<AR:ヨイノマガン> タイプ:[岩/エスパー]】
【ルカリオ<AR:ウガツキジン> タイプ:[氷/毒]】
冷気と砂嵐の共演。
並び立つ二雄は、君臨する王を前に反逆を宣言するように飛び掛かる。
「──ルカリオッ!! ”りゅうのはどう”ッ!!」
「クソがッ!! クソクソクソクソッ!! 何だァ、姿を変えやがってェ!! ボケボケボケボケがァァァーッ!!」
前に出たルカリオ目掛けて火炎弾を何発も放つガチゴラス。
しかし、それらは全てシンボラーの念動力によって止められてしまうのだった。
それによってガチゴラスはルカリオの接近を許し、至近距離での”りゅうのはどう”を許してしまうのだった。
「ゴガァァアアアアア!?」
横転するガチゴラス。圧倒的な力を誇るはずのREXが押されている事に、流石のブランカも怒りより前に戸惑いが勝る。
すぐさま対抗するようにして、オムスターが”ハイドロポンプ”を放ち、シンボラーを狙い撃つ。
だが──今度はルカリオが地面を叩き、氷の柱を出現させて遮蔽物を作り上げ、水のブレスを防いでしまうのだった。
その隙にシンボラーが部屋中の光という光を奪い、その魔眼に溜め込む。
そしてルカリオも、掌に猛毒を帯びた氷柱を出現させ、オムスター目掛けて間合いを詰める。
「オオワザ──”ウガツイチゲキ”ッ!!」
ルカリオの掌がオムスターの口に宛がわれ、一点突破で拳を振るう。
対するオムスターもオオワザの姿勢を取った。最大火力の”カノーネン・スプラッシャー”だ。
高圧縮した水を口の中に溜め、一気に解き放とうとする。しかし、ルカリオの方がはるかに速い。
「あぁ……う……?」
ノーゼンが反応するよりも前にオムスターの鋭い嘴のような歯は全て砕かれ、更に口腔内に鋭い槍の如き衝撃波が貫通する。
「ウ、ウェェェエ……!?」
口の中が弱点であることは前回の戦いで既に学習済み。
ルカリオのオオワザを前に、オムスターは倒れ伏すのだった。
「ッ……クソクソクソクソ!! クソがッ!! 許せねぇ!! 怒りの油に火を点けろッ!! ”げきどごう・かさいりゅう”ッ!!」
「忍殺──”たそがれのざんこう”ッ!!」
【ガチゴラスの げきどごう・かさいりゅう!!】
【シンボラーの たそがれのざんこう!!】
ガチゴラスの口が開かれ、高熱の油がぐらぐらと沸騰する。
そして、シンボラー目掛けて灼熱の砲撃を解き放った。対するシンボラーも吸収した光をエネルギーに光の砲弾を撃つ。
”たそがれのざんこう”と”げきどごう・かさいりゅう”がぶつかり合った。部屋中は光と熱気に満ち溢れる。
しかし──灼熱の勢いは徐々に殺されていく。炎タイプの技と岩タイプの技がぶつかり合えば──押しきるのは岩タイプの方だ。
「ド、ドバァ!? バカな!! 俺のガチゴラスが押し負けてるだとォ!?」
「……他愛もない」
勝負は決した。
”たそがれのざんこう”が押しきり、直撃を受けたガチゴラスは全身が黒焦げになっており、がくりと力尽きる。
「ア、アドアドアド……ッ!?」
ブランカは愕然とした。REXがあまりにも一方的に屠られてしまったからである。
単純なスペック差だけではない。キリとノオトの連携は、殆ど互いに言葉を発する事なく自然に行われている。ただでさえ高いノオトのアドリブ適正に加え、キリの二手三手先を読む驚異的な頭脳によって、互いを補い、そして長所を最大限に生かす最強のタッグとなっているのである。
これが今のサイゴクのキャプテンの双極である。
「……へっ、思い知ったッスか。サイゴクから取り寄せた秘密兵器ッスよ!!」
「REXは倒した。さあ、通して貰おうか」
「……何だ、何だそのジュエルは!! オージュエルは、2つだけだったはず……ッ!!」
マニャカ海峡での戦いの後、キリは追加のオージュエル、そしてオーカードをサイゴク大学から発注していた。ジュエルそのものは、以前ヒャッキに現れたオーラギアスの死骸から採取したものだったが、調整の為に長らくシャクドウ大学で保管されていたのだ。
そんな事をブランカに話すわけもないのだが。
「……まだポケモンが居るんスか? どっちにしても、勝ち目は無ェッスよ」
「大人しくしてもらおうか」
「ドバ……ドーバドバドバドバドバァ!!」
REXが斃されたにも関わらず、ブランカは高笑いを上げる。
「良い。良いぜェ!! 俺がびっくりしたのは、テメェらもオーライズを使えるって点だけだァ!! ノーゼェェェン!!」
「あー……うー……」
キリは驚愕する。
二人が制服の袖を捲り上げると、そこにはオージュエルの付いたブレスレットが嵌められていたのである。
「いかんッ! まさか奴らも──」
「本番は此処からだァ!! 二度と……二度と娑婆に出られねえ身体にしてやるドバァ!!」
ブランカが何処からともなくオーカードを取り出す。そこには紫色の蜘蛛が刻印されていた。
隣のノーゼンも右に倣い、カードをジュエルに翳す。
倒れていたガチゴラス、そしてオムスターの目が不気味に赤く輝き、起き上がる。
「オーライズ……”オーラギアス”ッ!!」
オーカードが拡散し、紫色の粒子となってガチゴラス、そしてオムスターの身体に纏わりつく。
トドメを刺そうと羽ばたこうとしたシンボラーだったが、オオワザの反動で身体が自由に動かない。
そしてルカリオも、二匹から放たれる強大な波動を前に動くことが叶わないのだった。
「アドアドアドアドアド……ブチ殺してやるよ……大ボケ共がァ!! 怒りがぐらぐらと、アドレナリンがドバドバぐつぐつと煮えてきたドバァーッ!! 中華鍋のようになァァァーッ!!」
「ヴォォオオオオオオオオオオオオオンッ!!」
オーライズ。
ポケモンの力をオーラとして纏うその現象は、纏うポケモンの力が強ければ強い程恐ろしいものとなる。
星を蝕む呪禍──オーラギアスの力を纏ったREXが、キャプテン達の前に立ちはだかる。
「ノオト殿……気を引き締めるでござるよ。此処までは前座、此処からが本番でござる」
「ヘッ、上等!! 簡単に倒れられたら、喧嘩の甲斐が無ェっつーもんっしょ!!」
「……アドアドアドアドッ!! テメェらクソ共と一緒の力を使うのが死ぬ程気に食わねえが──これで実力差は振り出しだドバァ!!」
「ぁー……うー……」
ブランカ、そしてノーゼンの目から黒い稲光が迸る。
咆哮したガチゴラスは巨大な蜘蛛の脚で床をズタズタにしながら迫りくる。
それも、先程とは比べ物にならない速度だ。ズラリと並んだ牙に灼熱を纏わせ、REXはルカリオ目掛けて噛みつく。
それをすんでの所で躱し、ルカリオは至近距離から”りゅうのはどう”をぶつけるが──手応えがない。さっきとはタイプが変わっているのもあるが──直撃を受けたガチゴラスが全く動じていないのだ。
「硬ッ──!?」
「……ドバドバドバァ!! さっきと同じと思ったら、大間違いだドバァ!!」
ガチゴラスがルカリオに噛みつき、そして炎を噴き出す。
「ガチゴラス──”ほのおのキバ”ッ!!」
※※※
「……ところで、イデア博士。何でか知らないが私は君と戦うのが初めてではない気がするのだが──これは前世からの運命とかそういうヤツかな?」
「やめてくれよ気色が悪い!!」
”はかいこうせん”で無理矢理扉を破壊し、シャインとイデアが辿り着いたのは巨大なポッドが規則正しく立ち並ぶ地下施設だった。
「成程、これがクローン・ファクトリー! 僕らが先に辿り着くとはね」
「こうも広い地下施設だ。二手に別れて正解だったな」
すぐに、降り立つが──そこで待ち構えていたように何処からともなく閃光が飛んだ。対抗するようにポリゴンZが障壁を展開し、それを防ぐ。
イデアもシャインも身構える。敵が──居る。間もなく答え合わせするようにして天井から鳴き声が聞こえてきた。
「おいおい、ちったぁ加減しておくれよ!! 死ぬかと思ったね!! ああ、僕死なないんだった」
冷気を全身から放ち、翼を大きく広げたプテラ。そして、ポッドの上に乗るアーケオスだ。
当然主は──ワームホール四天王。双子の銀髪少女たちがイデアとシャインの前に立ち塞がる。
「これはこれは、喜ばしいですね。わざわざ蜘蛛の巣に掛かりに来るとは」
「……可哀想に。私達の連携に勝てるわけがないのに。とても哀れ……」
【ワームホール公団 四天王の ユリとサリが勝負を仕掛けてきた!!】
シャインはボールを握り締めた。二匹のREXはこれまで見て来たポケモンとは段違いの恐ろしさだ。
「シャイン・マスカット……貴方も、レモン・シトラスやラズ・クランベリと同じ、クローンになりに来たのですか?」
「……我が友が随分と世話になったようだな」
「彼女は強かったですよ。私が……コチョウ様から力を借りねばならない程に。喜ばしくありませんでしたが……今では私と同じクローン。コチョウ様の理想の礎!」
「……」
「ラズ・クランベリは大した事ありませんでした。所詮は出涸らしですね。まあ、いたぶり甲斐はありましたが!」
「可哀想……姉様に目を付けられて生き残れるわけがないのに」
クスクスと嗤う姉妹たちを前にシャインの顔は一際険しくなる。
「そうか。貴様が──我が友達の仇か」
ボールを放り投げる。
そこから飛び出したのは──ブロロローム。
彼にとってオシアスから長らく付き添い続けた相棒だ。
「私はシャイン・マスカット。……我が代え難き友、ラズ・クランベリとレモン・シトラスの尊厳と魂の安寧の為に──貴様らを此処で討ち果たすッ!!」
作者の作風に期待するものは?(良ければ感想欄でも教えて下さい)
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ラブコメ、純愛
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戦闘シーン
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シリアス、曇らせ
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ギャグ、コメディ