続・ポケモン廃人、知らん地方に転移した。【完結】   作:タク@DMP

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戻ってきたいつものノリ、束の間の安寧


最終章「ポケモン廃人と双つの闘神」
第68話:ようこそフォートマウンテン


「──確認できました!! この星に近付いてくる、小惑星天体ッ!!」

「何ですってェ!?」

 

 

 

 ──ベニ大学・宇宙研究センター。

 その巨大天体望遠鏡が捉えたのは、凄まじい速度でこの星を目掛けて迫る小惑星であった。

 

「ま、まるで意思を持っているかのようです!! この星の公転軌道に合わせて、自らの軌道を修正しながら接近してきます!!」

「メグルちゃんの言ってたことは本当だったわね……! もし、その天体がこの星に衝突したらどうなっちゃうわけ!?」

「……少なくとも、いち地方の消滅は免れず、それ以上に大きな気候変動が起こるかと……!!」

「ッ……マズいわね。現時点での隕石の落下地点の予測は──」

「──計算が終わりました!!」

 

 研究員がハズシの方を向いて叫ぶ。

 

 

 

「隕石の衝突地点は──マーニャ地方……ッ!!」

 

 

 

 彼女は押し黙る。

 このままでは、マーニャ地方は消し飛ぶ。

 そればかりか、もしも隕石にメグルの言っていた「危険なポケモン」が潜んでいた場合、マーニャを起点として世界の危機が始まるのだ。

 

「隕石を撃ち落とす方法……考えないといけないわね……!! でも、後1週間以上あるし手立ては──」

「一週間どころではありません!!」

「え”」

 

 ハズシが目を見開いた。

 

 

 

「……小惑星は現在、速度を更に加速しており……このままの加速ペースでは──」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「メ・ガ・ラ・ラ・ラ」

 

 

 

 宇宙空間では、当然自身に衝突してくる小天体も多数存在する。

 しかし──迫りくる小天体も、小惑星も、ガルヴァチスの前では全く障害足り得なかった。

 巨大な蜂の巣のような形をしたそれは、迫りくる障害物全てを稲光のみで破壊し、突き進む。

 

 

 

 狙いは──あの青い星だ。

 

 

 

【ガルヴァチス<ネームレス> いなずまポケモン タイプ:電気/虫】

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 ──同時刻、スリング島。

 森に覆われた、鬱蒼とした場所。

 沿岸に港町や空港は散在しているものの、残りは殆どが大自然に包まれており、人の手が加わっていない。

 否──加えられないというのが正しいだろう。

 この辺りに現れる野生ポケモンの数は尋常ではなく、その強さも同じく尋常ではないという。

 港湾都市・ポートマリーから南西へ進んだ場所に広大なスリングフォレストの入り口がある。

 それを突き進んだ先に──目的地である城塞岸壁・フォートマウンテンがある。

 

「かつて、フォートマウンテンは要塞都市として名を馳せていました。今は、フォートタウンとして王家の末裔を中心とした人々が居住しているらしいですね」

「住みづらそうだな……かと言って、こんな森に囲まれてたら外に出る事も出来ねえだろ」

「どうやら、空を飛ぶポケモンで外界との接触をしているそうです」

「俺達も空を飛べるポケモンが居ればな……いや、居るんだが──」

 

 クワガノン:一人しか運べない

 

 ゼノ:あんまり表に出せない

 

「……ダメそうだな……」

「加えて、フォートマウンテン周辺は電波が通っていない上に、非常に迷いやすいです。素人が飛行するのは危険ですね。加えて──フォートマウンテンは城塞都市。住民の警戒心は非常に強いです」

「と言うと?」

「余所者が空から侵入しようとすると、先ず戦闘になるでしょうね」

「こっわ……何から何を守ってるんだよ」

「世の中の闇から町を守ってるんでしょ」

「知らねーよ」

 

 それだけ警戒心が強い都市だからこそ、今の今までワームホール公団の介入を受けなかった──と考える事は出来る。

 しかし、それはそれとして正攻法で陸から入らなければならないようであった。

 

「それに、空で野生ポケモンとの戦闘が起きないとは限らないしね……大人しく陸路を使った方が良いって事だ」

「……ん? ちょっと待て。さっき、フォートマウンテン周辺は電波が通ってねえっつったか?」

「はい」

「じゃあ何だ!! フォートマウンテンの近くに来たら、スマホロトムは使えねえって事じゃねえか!!」

「はい……」

「おいおいどうするんだ!? こんな鬱蒼とした森の中で迷ったら、俺達猛獣共の餌だぜ!!」

「はいはーいっ!! そんな時に役立つのが、この方位磁針ってワケ!!」

 

 アルカが自信満々に取り出したのは、如何にもなコンパスだ。

 成程、デジタル機器が使い物にならなくなる時こそ、このようなアナログの利器が役に立つときがあるのだろう、とメグルは頷く。

 

「流石だな、アルカ……やっぱり困った時はお前の判断がいつも助けてくれる」

「えへへへへー、褒めて褒めてー♪」

 

 メグルの胸に抱き着いて頬ずりするアルカ。さながら駄犬の如しであった。

 

「うーわ、こんな所でもイチャつくなら捨て置きますよ」

「イチャついてないよぅ。そうだ、ミアもよしよししてあげよっか」

「要りません」

「アルカ、そろそろ邪魔だから離してくんね?」

「塩い!! 塩いよ、メグル!!」

「歩けねえんだよ!!」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

【野生のレアコイル があらわれた!!】

 

【サメハダーの インファイト!!】

 

【レアコイルは たおれた!!】

 

 

 

「ど、どうしよう~~~!! さっきのレアコイルが放ってた磁気の所為で、方位磁針狂っちゃったーッ!!」

 

 アルカが涙目で方位磁針を取り出した。

 ぐるんぐるんと針が回っており、成程これでは全く使い物にならない。

 アナログの利器は一瞬にして使えないガラクタになってしまったのである。

 きっかけは、レアコイル──目玉の付いた磁石が3つ連結されたようなポケモンが突然飛び出してきた事であった。

 このポケモン自体は、大して珍しくもなく、メグルのサメハダーによってあっさりと撃破されたのである。しかし──問題は此処からであった。

 1つ、レアコイルは確かに珍しいポケモンではないが出現場所が明らかにおかしい点である。普通、レアコイルは廃工場や発電所を中心に発生するため、こんな森には出て来ないのだ。

 2つは──再三述べるが方位磁針がイカれてしまったことである。

 

「おい秒殺じゃねーか、どうするんだよ!! ぐるんぐるん方位磁針回ってんぞ!!」

「参りましたね……どうやらこの辺り、数日前からコイルやレアコイルが大量発生しているようです」

「何でだ!? コイルもレアコイルも、こんな森の中に出てくるようなポケモンじゃねえだろ!」

「発電所に生息しているはずの個体が何故かこっちの方まで湧いて出てしまっているようですね。このようにレアコイルが大量発生している場合、いくつかの要因が考えられます」

 

 1つ目は、雷の発生。雷雲がやってくると、その電気を食べにレアコイルたちが大量に発生するのだと言う。しかし、今日は晴れだ。 

 2つ目は、太陽の黒点が多くみられた場合。これについては不明だが、大抵磁気嵐の元になり、電子機器の使用に影響を及ぼす。 

 そして3つ目は──

 

「──例の、ガルヴァチスなるポケモンの接近。確か電気タイプのポケモンだったはずですが」

「ああ、使ってる技を見た限りはそうだったな」

 

 ──今、この星に迫っている最大の危機、巨大な羽虫のようなポケモン・ガルヴァチスだ。

 コチョウを含めた人造ポケモンの群れを圧殺し、そしてオーラギアスさえも捕食する恐怖の生命体。

 加えて、その配下たちによって未来の生態系を大きくかき乱した、文字通り災厄のようなポケモンである。

 その振るう権能は電気。稲光の槍によって、ありとあらゆる生物を貫き、餌食としてしまう。恐ろしく高圧の電気を操るポケモンである。

 

「となれば、ガルヴァチスの接近に伴って、他の電気タイプのポケモンも何かしら反応を示しているのかもしれません」

「ガルヴァチス……なんか、すっごいバチバチしてそうな名前だよ!!」

「……バチバチの(バチ)だから、ガルヴァチス……なのでしょうか?」

「……」

「……」

 

 メグルとアルカが黙りこくり、ミアの顔は真っ赤になった。我ながらつまらない洒落を言ってしまったことに気付く。すっかりこの二人に気付かないうちに毒されてしまったようだ。

 

「い、いや、違──今のは違うんです、言葉の綾っていうか」

「うん、ボクは面白いと思うよ。ボクはね」

「忘れて下さいっ!! だいたい、全てはアルカさんの方位磁針が壊れたからです!」

「はぁー!? 方位磁針が壊れたのはボクの所為じゃなくない!? レアコイルが出てきたから、壊れたんじゃないの!?」

「持ち主がポンコツだから、持ち物もポンコツになるんじゃないですか!」

「ひどい!! そんなこといったら、ミアだって結構ポンコツだよ! こないだなんて間違えてボクのベッドに入ってきたじゃんか!」

 

 ぼぼぼ、とミアの顔が真っ赤になる。すっかりアルカを姉のような存在として気を許していた証拠なのであるが、それはそれとして恥ずかしいのであった。

 

「あっ、あれは!! あれは、寝ぼけてただけで──」

「ついでにさぁ、あの時ボクの胸揉んでたの覚えてるよ!! くすぐったいなんてモンじゃなかったよ!!」

「無駄に大きいのが悪いと思います!!」

「責任転嫁だーッ!!」

「うるせーうるせー!! 方位磁針くらいでピーピーうるせーんだよ!!」

 

 言い争い始めた女子二人にメグルが怒鳴る。足元を歩くニンフィアも不機嫌そうに「ふぃるふぃー」と鳴く。

 

「ったく、この星の危機って時に歪みねえ奴らだよ。ちったぁ反省しろや」

「はい……」

「ごめんなさい……」

「仲間割れしてる場合か? こんな時俺達はどうやって解決してきた?」

「……ポケモンの力?」

「あるいは知識と知恵、でしょうか」

 

 チッチッ、とメグルは指を振って言った。

 

 

 

「──()()だろ? 方位()()だけに」

 

 

 

 メグルは女子二人(そしてニンフィア)に置いていかれた。

 残念でもないし、当然の結末であった。

 

「いこっ、ミア! あんなヤツ放っておいてさ!」

「全くです。一番面白くないのはメグルさんでしたね」

「ふぃるふぃー」

「待っておくれよ!! なあ、おい!! 見捨てないでくれよ!! ニンフィアまで!! ほんの出来心だったんだって!! いやマジで!!」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 ──とはいえ幸い、野生のノズパスを発見したことで事態は変わる。

 このノズパスというポケモンは、鼻から強い磁力を常に発しており、野生の個体は同じ方向を向いて微動だにしないのだ。

 鼻の大きな石像のような姿をしていながら、生きた方位磁針という役割も持つのである。

 即ち、ノズパスの向いている方向を北として、南西に進み続ければ自然とフォートマウンテンに辿り着くという寸法だ。

 

「いやー、やっぱりこんな時こそアナログの利器だよ!」

「にしても、こうもノズパスが多いって事は、アレか? やっぱりガルヴァチスが近付いている影響とかなのかね」

「見て下さい。見えてきましたよ──フォートマウンテン!」

 

 森を抜けていくと、その先にあったのは標高200メートルほどの岩山が見えてくる。

 この岩山自体がかつては要塞化されており、高度な文明都市が築かれたのだと言う。

 実物を見ただけで、アルカは目を輝かせており、ヨダレを垂らしていた。遺跡、古代都市、彼女の大好物である。

 

「えへへへへへへ、遺跡!! 遺跡だよメグル!! もうこれは探索するしかないんじゃない!?」

「ああ、すげぇな。この岩山、全部遺跡だったのか。階段らしきものが見えるぜ」

 

 ゴーグルで岩山の外観を確認したメグルが感心したように言った。

 

「今も町自体は残ってますがね。ヴォルカニドとブリザベオを祀る部族の……集落です」

 

 麓は城下町らしきものだった形跡があるが、既に風化してしまっている。

 此処までの道が険しすぎるからか、観光客らしき姿は見当たらなかった。用事が無ければ、誰も立ち寄らないのだろう。

 問題は、此処から集落のある天辺まで非常に険しい山登りになるという点である。

 しばらくすれば、石段のあるエリアに辿り着けるようだが、そこまでがまあまあ長い。

 標高200メートルなので、軽い山登り程度は覚悟しなければならない。

 

「此処からは、ポケモンの力を借りて一気に駆け上がろうっ!!」

「そうだな──後少しだ。一気に行くぞ!」

「ええっ」

 

 そう言って三人がポケモンを出そうとしたその時だった。

 

「キレイハナッ!!」

「ラフレシアッ!!」

「ドサイドンッ!!」

 

 何処からともなく声が聞こえてくる。

 子供らしき声だが──次の瞬間、ボールが飛んできて、メグル達を取り囲むようにしてポケモンが現れた。

 綺麗なハイビスカスに似た花を咲かせた妖精のようなポケモン、そして巨大な花弁を持つポケモン。

 更に──全身が泥に塗り固められ、そこからコケのような植物が生えた重戦車の如き威容なポケモン。

 それぞれ三者三様ではあるが、メグル達は包囲されてしまうのだった。

 

「な、何だ何だ!?」

「いきなりなに!? 野生のポケモン!?」

「いえ、この辺りに住んでいるポケモンではないようですが……!!」

 

 

 

「何だかんだと聞かれたらぁ!!」

「答えてあげるのが世の情け!!」

 

 

 

 ざっ、と城下町の遺跡の影から子供たちが飛び出してくる。

 そして空のボールを手で弄びながら、にやにやしながら言った。

 いずれも、浅黒い肌に白い紋様のようなボディペイントを施している。

 布切れを身に纏っており、獅子のタテガミを模したような飾りを皆頭に被っている。

 どうやら、この辺りの子供たちと見て間違いないようだ。

 

「此処から先はぁ、神聖な場所! 余所者が入っちゃいけないんだぞぉー!!」

「いけないんだぞぉー!!」

「……へーえ、成程ねぇ。そう言う歓迎の仕方かよ」

「どうします? 事情を話しますか?」

「バカ、大人しく聞いてくれるように見えるかコレが」

「じゃあどうするのさ?」

「決まってんだろ。揉んでやるんだよッ!!」

 

 メグルはクワガノンの入ったボールを繰り出す。

 それを見て、アルカとミアも頷き合った。目と目が合ったらポケモンバトル。この世界の常識だ。

 そして、相手が連れているポケモンはいずれも最終進化形。侮るのは危険である。

 

「──結構強敵そうですね。子供だからと言って甘く見ない方が良いかもしれません──ランクルスッ!! お願いしますっ!!」

「オーケー、それじゃあボクはこの子だっ!! サニゴーン、久々に出番だよ!!」

「よっしクワガノン、一丁やってやろうぜ!!」

 

 

 

【子供たちが勝負を 仕掛けてきた!!】

 

 

 

 これにて3対3。突発的なバトルが始まったのである。

作者の作風に期待するものは?(良ければ感想欄でも教えて下さい)

  • ラブコメ、純愛
  • 戦闘シーン
  • シリアス、曇らせ
  • ギャグ、コメディ
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