続・ポケモン廃人、知らん地方に転移した。【完結】 作:タク@DMP
まさに悪夢のような光景である。問題はこれが悪夢ではなく現実である点であった。
ゼノの最大出力で倒したはずのガルヴァチスだったが──肉体が滅びる寸前に、自身の力を全て分け与えた卵を地中に埋め込んだのだ。
結果、それは恐ろしい速度で成体までに成長し、約4匹分のガルヴァチスを地中から生み出したのだ。
というより、元々ガルヴァチスが地面に埋まってでもいなかったのでなければ、それしか考えられないのである。
流石に先程の個体に比べれば大きさは小さいが、胸部の発電器官は完全に再生しており、パルスシールドも健在。
ここにきてようやく、メグルはあのガルヴァチスが「生態系を荒らす存在」であるかを理解するのだった。
この怪物に、既存の生物の繁殖の概念は通用しないのである。
虫のような姿をしていながら単為生殖のみで姿を増やし、そして恐ろしい成長速度で成体と変わりない姿にまで成長する。
「メガララララ……!!」
「なあ、俺また目ェ悪くなったのかな……? 乱視が酷くなっちまったのか?」
「ううん、ボクも同じだ……あいつ、ヤバいよ……!! 消したら増えるって言うけどさ、まさか目の前でやられるとは思わないじゃん!!」
兎にも角にも、動けないミアだけでも離脱させなければ危ない、とメグルは判断する。
ゼノは動けそうにないのでボールに戻し、続け様に彼女のボールを勝手に取ってランクルスを繰り出した。
「ランクルス、頼む!! ミアを抱えて、岩山を降りろ!!」
「ぐりゅ!?」
状況をいまいち飲み込めないランクルスだったが、向こうの方に浮かぶ凶暴そうな4匹の大蜂を見て全てを察したようだった。
「良いか、行け!! 速くッ!!」
「ぐりゅりゅりゅりゅっ」
そのままミアを抱きかかえ、ランクルスは勢いよく岩山を駆け下りていく。
目覚めたばかりで、動きが緩慢なガルヴァチス達だったが──それでも、周囲に展開されたパルスシールドは健在だ。
すぐにニンフィアとセグレイブを狩る対象として認めると、ガルヴァチスの群れは次々に襲い掛かる。
電気の槍を両前脚に握り締め、ニンフィアとセグレイブに連携して襲い掛かってくる。
流石に捌き切れない。敵の数が多すぎる。そう考えていた時だった。
『ヒーローは、遅れてやってくるゥゥゥーッッッ!!』
【ヴォルカニドの プロミネンスフレア!!】
爆炎の雨がガルヴァチス達に襲い掛かる。
更に、氷の槍が追い打ちをかけるようにしてガルヴァチス達を貫いた。
『兄弟にッ!! 我も続くッ!!』
【ブリザベオの コキュートスホーン!!】
吹き飛ぶ大バチの群れ。
しかし彼らはやはりパルスシールドを展開しており、闘神たちの攻撃を防ぎ切ってしまう。
だが、それでもちかちかとシールドは点滅しており少なからずダメージを受けているのは確実であった。
最初の個体に比べれば、小さい分幾らか弱くなっているのだ。
そしてメグル達にとって救いだったのは、闘神たちが此処に来てやってきた事である。
「ヴォルカニド!!」
「ブリザベオ!!」
『へへん、待たせたなァ!! 寝てたおかげで、すっかりこの通り回復よ!!』
『だがあいつら見ないうちに増えているぞ兄弟』
『関係ねえ!! 伸しちまうぞッ!!』
4人は並び立ち、再びレイドバトルが始まる。
襲い掛かってくるガルヴァチス達の群れだが、このサイズならばニンフィアとセグレイブでも1匹ずつならば相手が出来る。
すぐさま一匹はセグレイブがパルスシールドを突き破って顎を掴み、地面に叩きつけた。
そして、もう一匹はニンフィアが癒しのオーラを放つことで戦意を削ぎ落す。
残る2匹達も、ヴォルカニドとブリザベオが直接抑え込みに掛かる。
──戦局は混戦を迎えた。
高速で動き回るガルヴァチスの群れを引き離すのに苦労はしたものの、一度引き離してしまえば後は簡単だった。
「”パワフルエッジ”ッ!!」
セグレイブの岩の刃がガルヴァチスの頭部に叩きこまれた。
脳天を叩き割られ、一匹目から目の光が失われ、地面に落ちる。
そして、ニンフィアもまた大きく息を吸い込むと──”はかいこうせん”を至近距離でもう1匹に撃ち放った。
未熟なパルスシールドではそれを防ぐことができるはずもなく、ガルヴァチスは消え失せる。
一方のヴォルカニドも電撃を喰らう事も構わず、3匹目を大顎で挟むと岩盤に思いっきり叩きつけ──火炎弾を撃ち放ち、焼き尽くした。
『これで最後だ!!』
残る1匹も、ブリザベオが氷漬けにした上で角で叩き壊し、砕け散る。
これで4匹全員──全てのガルヴァチスが始末されたのである。
しかし。
「メ・ガ・ラ・ラ・ラ……!!」
全員は慄いた。
雷雲から稲光が鳴ると共に──周囲に大量のハチの群れがわんさかと湧いている事に気付く。
「じょ、冗談キツいぜ……!!」
「まさか……あいつが産んだタマゴって、あれだけじゃなかったの……!?」
『違う! こいつら、今の戦闘の間にもタマゴをばら撒いていたんだ!!』
『……あの水の龍は強かったが、増えはしなかったな』
今度は倍の数だ。
倍の数のハチ達が宙をぶんぶんと飛んでいる。
そして、幾ら小さくなっていようが、集まれば彼らの電撃は強大なものとなる。
一気に固まったガルヴァチス達は、一斉にパルスシールドを展開。そして、巨大な電気の球をメグル達目掛けて放つのだった。
【ガルヴァチスの プラズマスフィア!!】
そのサイズは、フォートタウン全てを覆い隠す程であった。
『いけねぇ!! 野郎、見境なしか!!』
『やらせて堪るものか!!』
しかし、そこはやはり闘神である。
二匹は息を合わせ、熱波と寒波、相反する二つのエネルギーが絡み合った防壁を展開し、稲光の球体を押し返そうとする。
だが──流石に発電器官が健在のガルヴァチス合計8匹が集まった状態での”プラズマスフィア”は二匹だけで押し返せるものではなかった。
故に、ニンフィアがそこに力を貸すように鳴く。
「こっちもオオワザだ!! 闘神を助けるぞッ!! ”しんぴのめぶき”!!」
「ふぃるふぃーあ!!」
癒しのオーラが闘神たちを包み込む。
消耗していた彼らのエネルギーが急速に回復していく。
それでも、”プラズマスフィア”を押し返すのに力を使っているので、どんどん彼らの力は枯れ果てていくが──
『サンキュー、人間!! 良いアシストだ!!』
『これならば、押し勝てる!!』
二匹の防壁は”プラズマスフィア”を押し返し、そして跳ね返した。
想定外の事態に、羽ばたくしかないガルヴァチス達の群れ。
彼らは──自らが放った電気の球、更に熱波と寒波の荒れ狂うオーラに飲み込まれ、散り散りになっていく。
「っしゃぁ!! 跳ね返した……!!」
『つっても、ヘロヘロだぜ……今のはヤバかった!!』
『今のは奴らにとってもなかなかに効いたとは思うが……!!』
バラバラになり、隊列が乱れるハチの群れ。
しかし、闘神、更に彼らにエネルギーを供給したニンフィアも疲弊していた。
戦いが長引く度に不利になっていくのは──こちら側だ。
一方で今のはガルヴァチス達にとっても、小さくないダメージだったのか、彼らは慌てたように再度編隊を組んでいく。
「……待って。何やってんの、あいつら」
再び、パルスシールドが再展開された。
彼らは巨大な円を描いていた。
「メガラララララ……!!」
「メガラララララ……!!」
「メガラララララ……!!」
「メガラララララ……!!」
共鳴するような不気味な鳴き声が辺りに響き渡る。
雷雲が、いっそう激しくなっていく。
ピキ、ピキピキと何かが割れる音がした。割れるものなど周囲にありはしないのに。
「おい。待てよ、そういやアイツ──」
──ワープしたに違いないわ。きっと、時空の裂け目を使ったのね!!
おかしい、とメグルは思ったのだ。
時空の裂け目を開ける程の力があるポケモンのはずなのに、ガルヴァチスはこれまでに1度もそれを用いた攻撃をしてこなかった。
マイミュのように、裂け目を攻撃に使う技があっても良いはずなのに、それを使ってこなかったのだ。
使ったのはワープに使ったたった1度だけ。
連続して使えないのか、と思っていたが──最悪の可能性にメグルは行き着く。
「裂け目だッ!! あいつら、裂け目を開けようとしてるッ!!」
「はぁ!?」
『おいおい、ふざけんなよ!! 流石に、あのシールドをブチ割る元気は……』
『こっちには無い……!!』
もしも彼らの本命が「こっち」だったとするならば、とメグルの額に汗が伝う。
全ては囮だったのだ。此方が消耗するまで、彼らは待っていたのである。
獲物を追いかけ、追いかけ追いかけ追いかけ続け──弱ったところを仕留める狩人。
彼らが空を舞う中、セグレイブが”ストーンエッジ”をありったけぶつけるが──やはり、パルスシールドに阻まれて全て弾かれてしまう。
空が割れた。
そして裂けた。
ハチ達が囲む中、裂け目の奥からそれは堂々と現れたのである。
全身は黒い外骨格に覆われてはいるものの、ところどころに黄色いラインが迸っている。
二本の触角は捻じれており、まるで王冠のような威容さえ見せつけている。
そして羽根はひときわ大きく、まさに神話の悪魔の如し。
悪魔を統べる、悪魔の王。それが今──降臨したのである。
「メ・ガ・ラ・ラ・ガ・ルーダッ!!」
【ガルヴァチス<キング> いなずまポケモン タイプ:電気/虫】
全員は慄いた。
これまで現れたどのガルヴァチスと比べても比べられない程に大きく、そして強大な稲光のオーラを持つガルヴァチス。
まさに”キング”の名を冠するに相応しい巨大バチだ。
現れるなり咆哮した王は、周囲に居る
そして、
メグル達は漸く悟った。今まで自分たちが戦ってきたのは、ただの尖兵であり、先遣隊でしかなかった。
本命は──間違いなく、今時空の裂け目から現れた巨大なこの個体だ。
「そっか、そうだよな……狩りバチはそもそも群れを作らねえ……繁殖とかじゃなかったんだ。分身を先に向かわせて、狩場を調べたり、相手が弱ったところで本体が狩りに行く。最初っからこれが、あいつの”狩り”だったんだ」
「……じゃあ、やっぱり、あいつが今までで一番ヤバい個体ってこと……!?」
『そうみてーだな……!! 分かるぜ……あいつは繁殖なんざ考えてねえ、獲物を狩り尽くす事しか考えてねえんだ!!』
『此度の獲物が生命の多いこの星だった、ただそれだけの事だ』
巨大なパルスシールドを展開したガルヴァチスは両前脚に巨大な槍を握り締める。
どちらにせよ、落胆している場合ではない。戦わなければ、狩られるのは此方の方なのだ。
「来るぞッ!!」
「う、うんっ!!」
しかし──ガルヴァチスの姿が突如消えた。
そして、気が付けばセグレイブの背後を取っていた。
振り向く間もなく、ガルヴァチスは大きな槍を振り上げると、思いっきり薙ぎ払う。
岩の鎧で固められた巨体があっさりと吹き飛び──岸壁から転がり落ちた。
「ッ……ウソ!! セグレイブッ!!」
「の野郎ッ!!」
『我が相手だ、星の狩人よ!!』
ブリザベオが全身に冷気を纏い突撃する。
しかし、それを一瞥したかと思えば、全身にこれまでにないほどの分厚さのパルスシールドをガルヴァチスは展開した。
そして──弾き返されたブリザベオの頭部に──
『がァ……!?』
──これまで、どのような攻撃も貫きとおせなかった闘神の頭部に、稲妻の槍を貫き刺したのである。
一瞬の出来事に、メグルもヴォルカニドも何が起こったのか分からなかった。
ブリザベオの目から光が消え失せ、一瞬で物言わぬ骸と化す。
「おい、ブリザベオッ!!」
『きょ、兄弟ッ──てんめぇ、よくも──兄弟をッ!!』
「メ・ガ・ラ・ラ・ガルーダ……ッ!!」
そして、今度は気が付けばガルヴァチスの大槍が──ヴォルカニドの頭部と腹の間の関節を貫いていた。
『んぎッ……テ、メェ……!!』
「メガラララララ……」
どくん、どくん、どくん、と大槍が脈打つ。
その度に──ガルヴァチスの身体もまた、大きく脈動していく。
『この野郎──我の力を──ッ!! ふざけんじゃねえ、一緒に燃やし尽くしてやるッ!!』
「メ・ガ・ラ・ラ・ガ・ルーダ!!」
しかし──炎の弾を放つ前に、ヴォルカニドの身体からはどんどん色が失われていく。
逆に、ガルヴァチスの身体を走るラインは黄色から灼熱の如き赤へと変貌していくのだった。
『がッ……バカな、力が出ねえ……!! む、無念だぜ、兄弟……!!』
「ヴォルカニドッ!!」
『がぁっ、クソ……!! 何を、呆けてやがる──奴はヤバい──テメェらじゃ勝てねえ!! 逃げろ──ぁ』
真っ白に灰化したヴォルカニドは力無く地面に崩れ落ちる。
対して、ガルヴァチスの身体には赤い溶岩の鎧が纏われていく。
槍もまた、溶岩が固まったものへと変じていく。
ヴォルカニドの全てが、ガルヴァチスに吸い取られていく。
常夏の化身は今、沈んだ。
彼らの前に立つのは──全てを焼き尽くす終焉の太陽。
「そんな……闘神が……食べられた……!!」
灰化したヴォルカニドを踏み砕き、悪魔が嗤う。
「メ・ラ・ヴォ・ル・ガ・ルーダ……!!」
【ガルヴァチス<インフェルノ> いなずまポケモン タイプ:電気/炎】
──此処からが、真の狩りの時間だ。
【ガルヴァチス<キング> いなずまポケモン タイプ:電気/虫】
【ガルヴァチス<ネームレス> いなずまポケモン タイプ:電気/虫】
【繁栄に適した土地かどうかを探る為に分身であるネームレスを狩りの先遣隊として送り込む。そして、増えたネームレス達が時空の裂け目を開ける事で降臨する。】
キングとネームレスに、種族値上の差は無い。また、キングとネームレスは元々同じ単一の「個」であり、彼らに繁殖の概念は無い。ネームレスは、キングが狩場を調べるための分身であり、先遣隊でしかなく、普段は各地に隕石として飛来している。
作者の作風に期待するものは?(良ければ感想欄でも教えて下さい)
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ラブコメ、純愛
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戦闘シーン
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シリアス、曇らせ
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ギャグ、コメディ