今回は、ヘブバンからのでしたので、原作知ってる分、かなり難しかったです(;´∀`)
アラームが鳴る前に、目を覚ます。
起き上がり、アラームをオフにする。
外はまだ暗い。
秋の夜長と言うように、少しずつ、日が短くなっていく。
寝具を整え、顔を洗う。
寝間着から制服に着替え、髪を束ねる。
その日の予定を確認しつつ、お湯を沸かす。
一分も経たないうちに、カチッと沸く。
インスタントコーヒーをカップに入れ、お湯を注ぐ。
コーヒーの薫りが、部屋に漂う。
一口含むと、頭が更に覚醒していく。
一昔前なら、何気ない朝も、今では、充分な贅沢だ。
コーヒーを飲みながら、優先事項をピックアップする。
外壁の損傷状況、各拠点への補給、燃料関係、etc、etc…
いつもの朝、いつもの日常の筈が、何か少し違う。
久しぶりに、夢を見たからだろう。
内容は憶えていないが、懐かしい夢だったことだけは憶えている。
何となく思い出そうとするが、思い出せない。
どうでもいい事なのだが、妙に引っ掛かる。
時計が目に入り、いつもより数分過ぎている。
いつの間にか手も止まっている。
時間には余裕があるが、急いで書類を片付ける。
身なりを確認し、部屋を出る。
各部隊の点呼をとる。
いつも通り、月歌を軽くあしらい、朝食へ。
カフェテリアで朝食を受け取ると、焼き立てのパンが、鼻腔をくすぐる。
いつものテーブル、いつもの席に座る手塚を確認し、同じテーブルの席に着く。
朝食を摂りながら、軽い打ち合わせ。
朝食を終えると、司令官室で本日の作戦予定、今後の方針についての打ち合わせ。
出撃予定時刻より、30分早くヘリポートに行き、整備状況、装備を確認。
「おっはよー、ななみん♪今日も可愛いねえ」
「ありがとうございます」
「ななみんが、デレた!?」
「デレてません」
またも、軽くあしらい、作戦内容を確認する。
「…以上が、本日の作戦となります」
「よし!ちゃちゃっと終わらせてくるぜ!」
「お気を付けて」
「ななみん、いってらっしゃいのちゅーは?」
「ありません」
「えーなんでー」
「やる意味が、ありません」
「いやいや、めっちゃあるよ。あたしのやる気が、めっちゃ上がる」
「そうですか。では、気を付けていって来てください」
「やあだ!ななみんに、いってらっしゃいのちゅーして欲しい!」
「おいおい、七瀬が困ってんだろ?いい加減にしてやれ」
「本妻の登場ね」
「このまま、『あたしが、ちゅーしてやるよ』って流れね」
「自分、やるなあ」
「大!胆!」
「やるかあー!」
「え?ユッキー、あたしのこと嫌い?」
「い、いや、そうじゃねえけどよ…」
「これは、ちゅーの流れね」
「やっぱり、するの?」
「やるやないか、自分」
「キタワー!」
「やるかあーー!」
「え?ユッキー、あたしのこと嫌い?」
「い、いや、そういう訳じゃねえけどよ…」
「これは、ちゅーの流れね」
「やっぱり、するの?」
「やるやないか、自分」
「キタワー!」
「やるかーーー!何っ回やんだよ!この流れ!!」
「そろそろ出撃の時間です」
「…冷静だな、おい」
「まあまあ、ユッキーも反省してるから」
「ちょっと待て。あたしが、悪いみたいな言い方すんな」
「え?」
「え?じゃねえよ。…ったく、さっさと行こうぜ。悪いな、いつも時間取っちまって」
「いえ、これも仕事ですから」
そう言った瞬間、今朝の夢を思い出す。
ちょうど、この位の時期だ。
手塚が、指揮官から司令官へ昇進した頃。
補佐官として任命され、間もなかった。
作戦部隊を見送り、ヘリで基地に戻る時。
キャンサーの襲撃で、撃墜された。
なんとか無事ではあったが、トランスポートの発動がほんの少し遅く、デフレクタを大量に消費してしまった。
制圧区域ではあるが、キャンサーは、まだ多数いる。
身を潜め、出来るだけヘリから離れる。
しかし、離れ過ぎる訳にはいかない。
救援は、ヘリの落下地点から始まるだろう。
自分は、セラフを持っていない。
デフレクタの残量も、残りわずか。
身を守る術は、無いに等しい。
唯一の救いは、背の高いススキの群生地に落ちたことだ。
お陰で身を潜めるのに、事欠かない。
時計を確認する。
13時42分。
ヘリの飛行時間から、おおよその距離を計算する。
距離はそれ程でもないが、セラフ部隊は、全ての部隊が出払っている。
近くの部隊をヘリで拾ったとしても、それなりの時間が掛かる。
(なかなかの状況ですね…)
それでも、絶望しない。
それでも、希望を持たない。
絶望が、人を殺す。
希望が、人を殺す。
現状、生きる事に必要なのは、恐怖することなく、楽観することなく、落ち着き、冷静に、自分に出来る最善を尽くす。
気配を殺し、息を整え、周囲の音を分析する。
風か。
虫か。
獣か。
キャンサーか。
…どれ程の時間が経っただろう。
日が、かなり傾いている。
焦燥が、侵食してくる。
暗くなれば、敵に見つかり難くなる反面、味方からも見つかり難くなる。
焦るな。
ゆっくりと目を瞑り、深呼吸をする。
ひとつ。
ふたつ。
みっつ。
焦るな。
焦るな。
焦るな。
自分に言い聞かせ、目を開ける。
と、
(キャンサー!)
そう思った瞬間には、吹き飛ばされていた。
どこか愛嬌さえ感じてしまう、その姿と動き。
キャンサーの中でも、最弱と言われるドール種。
しかし、それでもキャンサー。
今の一撃で、デフレクタも消えた。
一応の訓練を受けているものの、セラフのない自分では、撃退は無理だ。
ドールが、左右に跳びながら、こちらへ向かってくる。
こちらに迫った瞬間、目を瞑る。
ふわり、と身体が浮く。
痛みも、苦しみもない。
これが、死ぬ、という感覚か。
物語の中では、冷たくなると聞くが、むしろ温もりを感じる。
こういう感覚ならは、死も悪くないのかもしれない。
そう思った。
ぱきん
と、何かが破裂する音。
その音に、目を開ける。
「遅くなったわね」
そこには、夕日に照らされ、黄金に輝くススキ。
その中で、自分を抱きかかえる手塚の顔があった。
「司令官、何をしているんですか?」
「あなたを、救助しに来たのよ」
「ご自分の立場を、分かっているのですか?」
「分かっているつもりよ?」
「でしたら!」
「隊員を守るのも、司令官の務めよ…あなたの言葉を借りるなら、『これも仕事だから』といったところかしら?」
手塚はそう言うと、ふっと笑った。
「ん?どしたの?ななみん?」
ヘリに乗ろうとした月歌が、振り返る。
「やっぱり、ちゅーしてくれる気になった?」
「なりません」
「月歌ちゃーーん、ショック!」
「おーい、バカやってないで、さっさと行くぞ」
「あいよ。じゃあ、ななみん、行ってくるね」
「はい、お気を付けて」
そう見送る七瀬は、どこか笑っているように見えた。
碧山村貞(@Midoriyamamuras)様からのイラストは、いかがだったでしょうか?
前書きでも書きましたが、原作知ってる分、かなりの難しさがありました(;´∀`)
キャラ崩壊させず、イラストを活かす…
リア多忙と重なったのもあり、かなり時間が掛かりました(言い訳)
…はい…自分の実力不足です…(`;ω;´)イイワケシテ、スイマセン…
まだまだお題イラスト、募集しております。
絵師の皆様、文師の皆様、どうぞよろしくお願いします(* ̄人 ̄)✨