お題イラスト   作:夢枕悪

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続いてもた…(;´∀`)




最恐タッグのキャンサー殲滅大作戦★(前編)

「『さあ!子羊ども!懺悔の時間だ!』」

「上等じゃねえか!『インフェルノに焼かれな!』」

 

二人の声に、時が凍る。

午後の休憩中のナービィ広場は、静寂に支配される。

その場にいた者達は、震える時間すら与えられず、身動き出来ない。

パニックを起こした脳は、処理を拒否し、逃げ出すという簡単な命令すら忘れている。

いちごとマリアには、周囲の事など、一切、見えていない。

目の前の相手しか見ていない。

一步、踏み込めば、頭蓋を割れる距離。

軽く、引き金を引けば、頭蓋を貫通する距離。

あとは、相手より速く行動するだけ。

傍にいるアイリーンは、何も出来ない。

声を掛ければ、それは開始の合図となる。

後ろへ退がれば、それも開始の合図となる。

何もしなければ、いずれ開始してしまう。

何をやっても、何をしなくても迎える最悪の結末。

回避する方法を探るも、堂々巡りで頭が働いてくれない。

数々の修羅場を潜ってきた明晰な頭脳も、二頭の凶獣の前には無力だ。

何か、何か、何か…

 

「ハーイ!アイリーン!」

 

空気を読まない、いつも通りの、陽気なキャロルの声。

その声の周囲だけ、日常を取り戻す。

 

「キ、キャロルさん!?」

「Oh、マリアもイチゴも、セラフ出して、ワッツハプン?」

「黙れ。殺すぞ」

「…邪魔すんじゃねえぞ」

 

構えも視線もそのまま、ほんの少しの意識だけキャロルに向ける。

 

「あ、あの、キャロルさん…」

「Oh!そんなことより、次のロケが決まったわよ!」

「えと、あの、キャロルさん?」

「黙れ。殺すぞ」

「邪魔だ」

「Oh!ワタシ知ってるわ!ジャパンでは、こういうのを『ガイシューイッショク』と言うのよ!」

「…どちらかと言うと、『一触即発』ですよ。てか、なんで鎧袖一触は知ってるですか」

「アイリーン…」

「はい?」

「殺すぞ」

「すいません!すいません!すいません!出しゃばりましたあー!」

「イッショクソクハツね!オーケー!邪魔したわね♪」

 

そう言って、キャロルは、一步下がる。

 

「いやいやいや!キャロルさん、止めないんですか!?」

「?ホワイ?ヒーローにとって、アピールはインポータント(重要)よ?自分をアピールしてこそヒーローよ!さあ!レディーファイ!!」

「いやいやいや!煽らないでくださいって!!!」

「ホワーイ?」

 

彼女の判断基準に頭を悩ませる。

どうにか、この場を収める為に、アイリーンは頭をフル回転させる。

 

「えーとですね、お二人が、ここでセラフを召喚してる時点で、軍規違反になります。更に、ここでセラフを使用しての決闘なんてなると、ロケどころか、映画の撮影も出来なくなり…」

「ストーーーーーーップ!!!」

 

アイリーンが言い終わる前に、キャロルは割って入る。

やっと状況を理解してくれたと、アイリーンは胸を撫で下ろす。

 

「…邪魔だ」

「お前も消してやろうか」

「オーケー。二人が納得いかないのは、分かったわ。だから、平和的に解決するわよ」

「は?」

「どういうことだ?」

「ちょうど、次のロケ地にキャンサーの出没情報があるわ。そのキャンサーの討伐数で、ブラック&ホワイトよ!」

「ほう?」

「いいじゃねえか」

 

『平和的に解決』というワードは引っかかるが、少しだけ雰囲気が和らぐ。

まだ殺気を発しているものの、思考停止させる程の重圧は無くなった。

流石は部隊長だ、と思う。

多少、とんちんかんな所があるにしろ、統率力を持ち合わせている。

 

「それじゃあ、他の方々を呼んできますね」

 

そう言って、アイリーンは駆け出そうとする。

たまたま居合わせただけで、ここまで巻き込まれるとは、思ってもみなかった。

これ以上、あの二人に付き合っていたら、胃に穴があいて、本当に殺されてしまう。

さっさと退散するに限る。

 

「アイリーン、ストップ!!」

 

もう逃げることしか考えていないアイリーンを、キャロルが呼び止める。

嫌な予感しかしない。

 

「な、何でしょう…?」

「アイリーン、アンタも一緒に行くのよ」

「ええー!なななな何でなんですか!」

「アイリーンは、審判よ。ジェイミーがいれば、ジャッジが正確になるわ!」

「え、ち」

「確かに」

「ちょ」

「コイツが不正しないか、しっかり見ててくれよ」

「ふた」

「オレが不正するだと?殺すぞ」

「あ、あの」

「あたしにケチつけてきたんだ。そりゃ、信用するわけねえよなあ?あ?」

「マリ」

「ストップ!ヒートアップするのはグッドだけど、バトルにはまだ早いわよ!」

「キャロ」

「今さら祈っても、許さんからな」

「だか」

「は!弱い犬ほどってな!」

「あ、あの」

「オーケー!レリゴー!!」

「ふん」

「ふん」

 

そういう事になった。

 

「話を聞いてくださーーーーーい!」






お盆なにそれオイシイの?でおなじみの夢枕悪です。
なんだかんだと、だいぶ時間が空いてしまい申し訳ありません(;´∀`)
更に、続いてしまって申し訳ありません(;´∀`)
更に、更に、今話でイラスト使ってなくて申し訳ありません(;´∀`)
コンセプトとしては、1話完結のつもりだったのですが…(;´∀`)
次回には完結しますので、もう少しお待ち頂ければ幸いです(;´人`)
そして、碧山さん、コミケお疲れ様でした!
次回のイベントに向けて、英気を養って頂ければ、今作がその一端を担えれば、と思います。

まだまだ続く猛暑に、先日の地震にと、いろいろ起こっておりますが、皆様、どうか無事にこの夏を乗り切れるようお気をつけください。
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