崩壊:アークナイツ   作:猪のような

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やっぱ小説書くならアニメ描写が使いやすいんだわ。


第二話 霧を晴らすは銀狼

 

 

 

 

「何?大陸ハンター?」

 

『そうよ、大陸ハンターの連中がチェルノボーグに入り込んで暴れ回っているの』

 

「……何故奴らがこの都市に?」

 

『さぁ?よく分からないけれど、こっちに敵意があるのは間違い無いわ。今のところ被害が出てるのは私とメフィストの担当区域だけど、気をつけた方がいいわよ〜』

 

そう言ってWの通信が切れる。通信を受け取っていたレユニオンのリーダー、タルラは大陸ハンターが現れたという報告を受けて考え込む。

 

「大陸ハンター…テラの各地で事件を引き起こしているテロリスト共か…ヴィクトリアの大公爵襲撃事件、クルビアの工業地区へのサーバー攻撃、シラクーザのマフィア壊滅事件、カジミエーシュの騎士の遺産の奪取、ウルサスの貴族の暗殺…無視すべき存在では無いな」

 

タルラはそう言って立ち上がり、側に置いてある剣を手に取る。

 

「貴様らの狙いが何であろうと…全て、焼き尽くすだけだ」

 

 

 

 

そして一方その頃、アーミヤの小隊は黒棺からドクターを回収し、地上への脱出を目覚していた。地下の至る所にレユニオンの兵達が彷徨いており、ドーベルマンの小隊との合流ポイントを目指していたが…

 

「合流ポイントにもレユニオンが…」

 

「戦闘の形跡は無いようです」

 

「あそこはもう使えませんね…プランBのポイントに移動しましょう」

 

アーミヤが指示を出し、ステラが先導しようとすると、直ぐ近くの曲がり角の先から足音が聞こえ、後ろのアーミヤ達に止まるようにサインする。

 

「足音がする、戻って」

 

アーミヤが急いで後ろの階段を確認するが…

 

「!こちらからも人が来ます…!」

 

挟み込まれてしまい、ステラの目の前をレユニオン兵が通り、発見される。

 

「ん?何だお前ら、ここで何をしている。武器を捨てろ!」

 

そう言ってレユニオン兵はステラに剣を突きつける。ステラは自身に添えられた剣に一瞬目を向けると、レユニオン兵をジッと凝視する。

 

「何者だ、ここで何をしている!言え!」

 

するとアーミヤが手を挙げながらレユニオン兵に話しかける。

 

「私達はあなた方の敵ではありません。落ち着いてください」

 

そしてステラは僅かに視線をアーミヤ向けると、アーミヤもステラに向かって僅かに頷いた。

 

「本当の事を言うつもりは無いようだな。所持品を全て調べる、連行しろ」

 

(数は三人、油断してるし、直ぐに制圧出来ると思うけど…後ろからも来てるし、慎重に対処しないとな)

 

そう思いながらレユニオンの兵がステラの腕を掴んで立ち上がらせようとした瞬間…

 

「ふんっ」

 

「なっ、ぐおぉっ!?」

 

ステラは素早く立ち上がり、そのレユニオンの兵の股間を思いっきり蹴り上げた。

 

「なっ、おまグハッ!?」

 

「うおっ!?」

 

直ぐに横に居たレユニオン兵がステラに剣を向けようとするが、その前にステラは野球バットサイズのスタンロッドを振い、そのレユニオン兵の顔面を横から振り抜く。吹き飛ばされたレユニオン兵は後ろに居た三人目のレユニオンに激突し二人で倒れ込んだ。

 

「Guard、コイツ締めといて」

 

「お、おう…」

 

ステラは股間を蹴られ悶絶してるレユニオン兵をGuardに任せると、重なって倒れているレユニオン兵二人に近く。因みにこの時Guardはステラに若干恐怖を抱いていた。

 

「お、おい!しっかりしろ!」

 

「………」

 

上のバットを顔面に食らったレユニオン兵は気絶しており、下敷きになったレユニオン兵が動けずにいると、ステラはその二人を上から踏みつける。

 

「き、貴様っ…!」

 

「動かないでね、一回で気絶しないと痛いよ」

 

そう言ってステラはバットを振り上げ…

 

「!まっまて──」

 

ゴンッと鈍い音が響き、三人目のレユニオン兵は気絶した。

 

「来て、後ろから追加が来る前にドクターをこっちに」

 

「はい!」

 

ステラはアーミヤ達を誘導すると、階段の方から人影が飛び出し…

 

「あれ、ドーベルマン教官?」

 

「アーミヤ、無事だったか」

 

現れたのはドーベルマンの小隊だった。

 

「ドーベルマンさん…!」

 

「すまん、遅くなった…皆無事…みたいだな」

 

「はい、大丈夫です!」

 

「あそこだ、捕まえろ!」

 

「逃すなぁ!」

 

するとステラがレユニオン兵三人を制圧した騒ぎで下のレユニオン兵達も気付き、一斉に動き出す。

 

「下の連中も気付いたな…抜け道を発見した、ついて来い」

 

ドーベルマンがそう言って走り出し、アーミヤ達もそれに続いた。

 

レユニオン兵達の追跡を振り切り、抜け道に入って一息ついたアーミヤ達は足を止め、状況を整理する。

 

「はい。ドクターも無事救出出来ましたし、後は地上を目指して…」

 

「それなんだが、大量のレユニオンが地下通路に侵入している。何かを探しているようにも見えるが目的は分からん。ただ確かなのは、我々が既に敵として認識されているという事だけだ。使う予定だった地上への出口は全て占拠されてると見た方がいい。だが他の出口を探す時間は無い、戦闘は避けられないだろう。ドクター、お前の戦闘指揮能力は噂に聞いている。出口を突破するための戦闘指揮を頼みたい」

 

ドーベルマンがそう言うとアーミヤが懐から端末を一つ取り出す取り出し、ドクターに差し出す。

 

「ドクター、PRTSです!

 

ドクターはジッとそれを見つめる。

 

「無理をさせ続けてしまってごめんなさい。でも、あなたの指揮なら、全員無事に地上に脱出できる筈です!お願いします、ドクター。私達を助けてください!」

 

ドクターはPRTSを受け取り、喋ろうとするが、咳ごんでしまう。

 

「ドクター…「せない…」え?」

 

心配するアーミヤを前にドクターは何とか言葉を紡ぎ、アーミヤ達にある事を告げた。

 

「思い、出せない…何も、思い出せない…自分が、誰か……分からない…君が、誰なのか…分からない…」

 

ドクターが告げた事実に、アーミヤ達は固まる。

 

 

 

「……マジ?」

 

そしてその時、アーミヤ達の会話を盗み聞きしている一人のループスが居た。そのループスは高いビルの一室におり、目の前にはホログラムの画面が広がっている。

 

「………取り敢えず連絡……カフカ?聞こえる?」

 

『銀狼?どうしたの』

 

「トラブル発生、ちょっと不味いかも」

 

『トラブル?』

 

「例のドクター、記憶喪失になってる。指揮が出来る状態じゃない」

 

『──何ですって』

 

「どうする?」

 

『……こっちも予定を変えるしかないわね。最悪、銀狼がドクターとアーミヤとあの子を飛ばして脱出させる必要がありそうね』

 

「りょーかい、二人はどうする?」

 

『Wのせいで思ったより立て直しが早いわね…もう少し暴れる必要がありそうだけれど…流石にあのウェンディゴも動くでしょうね』

 

「そのウェンディゴって奴、そんなに強いの?」

 

『知らないの銀狼?彼はヴィクトリアの蒸気甲冑やラテラーノの教皇騎士にカジミエーシュのシルバーランスにも勝利を収めたウルサスの大英雄よ』

 

「は?何それ化け物じゃん」

 

『全くね……流石に彼や彼の遊撃隊を動かせる訳にはいかない…サムが居たらやりようはあったのだけど…刃ちゃん?』

 

『……何だ』

 

『遊撃隊を襲撃してあのウェンディゴの気を引いてもらえる?』

 

『…あのウェンディゴにそのような策はあまり意味は無いと思うが』

 

『だとしても、あのウェンディゴだけは野放しにしてはおけないでしょう?』

 

『…承知した』

 

『私も出来る限り敵を惹きつけるわ。銀狼、ロドスの脱出ルートの方に私を送って、刃ちゃんは勿論…』

 

「ウェンディゴの方ね。分かった、そっちも気をつけて」

 

二人をワープさせ通信を切り、銀狼はボロボロになったソファから立ち上がり、背伸びする。

 

「全く…面倒な事になってきた…天災が来る前に終わればいいけど…」

 

 

 

 

 

 

 

アーミヤ達は地上への出口でレユニオンの待ち伏せに遭い、包囲されるがAceの部隊が合流しこれを突破。負傷者を一名出しながらもなんとか危機を脱した。

 

「えっマジ?戦うの?」

 

その後、民間人を助ける為に複数のレユニオン兵と交戦。ヒヤヒヤしながら見守っていた銀狼だったが、なんと記憶喪失のドクターが部隊を指揮し、無事勝利。

 

「いや指揮出来るじゃん。余計な心配だった…今からでもカフカに伝えようかな?……まぁいいか、今更やめられないだろうし」

 

そうしてドクターの指揮能力に関する問題も解決し、歩みを進めるアーミヤ達。

 

「えっと、この区域の担当は…お、カフカがめっちゃ掻き乱してんじゃん、これなら余裕そう。なんかここまで意外とあっけなかったな〜、なんか拍子抜け……ん?」

 

すると銀狼は、ある異常に気付いた。ホログラムをジッと凝視し、つい「は?」と声が出る。

 

「何でコイツ自分の担当区域離れてるわけ?」

 

 

 

 

 

 

アーミヤ達は木々が生えた広い公園の中を進んでいる。するとドクターが足元を見て止まる。

 

「ドクター?」

 

「どうした?」

 

「…霧、変だ」

 

そう言われアーミヤも視線を落とすと、霧が広がっており、それは徐々に濃くなってアーミヤ達を包み込んでいく。

 

「確かに、どんどん濃くなってます」

 

「敵のアーツか?」

 

「…隊列を円形に」

 

「了解。戦闘員はタンクを中心に、方陣形を組め。視界が晴れてる内に、急げ…!」

 

ドクターがPRTSの画面を見ると、機械音声が響く。

 

『周囲に敵影は確認出来ず───訂正、敵ドローンを確認』

 

その報告にアーミヤが上を向くと、上空から戦場を見下ろす役割を担っていたロドスのドローン二機が爆発した。

 

『味方偵察機いずれも被弾、破壊されました』

 

「!総員、木の影に退避、急げ!!」

 

ドーベルマンが指示を出した瞬間、レユニオンのドローンが急降下し、アーミヤ達に弾丸を放つ。アーミヤがドクターを連れて近くの木に退避すると、すぐ近くをドローンが通り過ぎていった。

 

「くうっ!」

 

「…今のは、威嚇射撃」

 

「!狙いは、私達の分断…って事ですか?…っ、霧がこんなに…これじゃ味方の位置が…!」

 

するとアーミヤ達が居る場所から公園の道によって隔たれた反対側の木々の方から犬の咆哮や医療オペレーターの悲鳴が聞こえる。

 

「っ…!」

 

「アーミヤ」

 

「!ドーベルマンさん…!」

 

するとドーベルマンが合流し、アーミヤに声をかける。

 

「道の向こうでAce達が戦っている。敵の数は不明だが、多くは無さそうだ。今から信号弾で応援を呼ぶ。我々は霧の主を叩き、視界を改善する。援軍と共に敵を制圧し、この場を脱出するぞ」

 

「はい…っ!?」

 

「どうした?」

 

「ドクターがいません!」

 

先ほどまで一緒に居た筈のドクターがいなくなっており、アーミヤは混乱する。

 

「何、一緒だったのか!?」

 

 

 

その時、ドクターはアーミヤ達から少し離れた場所で、レユニオンの幹部の一人…クラウンスレイヤーに押し倒され、首元に剣を添えられていた。

 

「っ…!」

 

「動くな…騒げば殺す。私は人を探しているんだ、知ってる事は全て吐いてもらう」

 

「…知らない、何も、知らない」

 

「忘れたとは言わせん…!」

 

「ぐっ…」

 

首まで覆われたフェイスガード越しに当てられた剣が少し強く押される。すると、ドクターはクラウンスレイヤーの顔越しに上空が光るのを捉えた。

 

「っ!」

 

クラウンスレイヤーも何かを察知し、ドクターを片手で抑えながら、振り向いて上を見ると、銀色のループスが直ぐそこまで迫っていた。右腕に装着された装備から光の刃が伸びており、それをクラウンスレイヤーに振るう。

 

「ちっ!!」

 

クラウンスレイヤーは瞬時にドクターから飛び退き、距離を取ると、ドクターの眼前を光の刃の切先が通り過ぎる。

 

「ッと、危ない危ない」

 

銀狼の左手がドクターの顔の直ぐ横に着き、地面に壁ドンしたような形でドクターと銀狼の視線が交わる。

 

「ごめんごめん、直ぐ退くからさ」

 

「あ、ああ…」

 

「お前っ、何者だっ!?」

 

クラウンスレイヤーのその声に向き合っていた二人の顔が同時にクラウンスレイヤーの方に向く。銀狼は立ち上がると左手を右腕の装備に添えると、刃が消えて光が収束する。

 

「っ!」

 

クラウンスレイヤーは横に回避すると同時に装備からビームが放たれ、クラウンスレイヤーが居た場所に命中する。

 

「ちっ、フゥゥゥゥ…!」

 

クラウンスレイヤーがマスクを外し息を吐くと、霧が吐き出され、二人の周囲を包み込んでいく。

 

「!彼女が、霧の原因…!」

 

「ふーん…」

 

ドクターは立ち上がって周囲を警戒すると、銀狼は左手でホログラムの画面を操作する。

 

「?な、何を…」

 

「あなたは動かないで」

 

銀狼は画面に集中しており、周囲の事は全く気にしていない。ドクターがどうしたものかと考えていると、クラウンスレイヤーが飛び出して来る。

 

「っ、危ないっ!!」

 

「邪魔を、するなぁっ!!」

 

クラウンスレイヤーは真っ直ぐ銀狼に突っ込んで来るが、銀狼は変わらず画面を操作中。ドクターが間に入ろうとするが、そんな暇も無くクラウンスレイヤーは銀狼に迫り…

 

「はい、さよなら〜」

 

「──は?」

 

次の瞬間、クラウンスレイヤーは銀狼との間に現れたワープゲートに突っ込んでいき、その場から消えた。

 

「…え?」

 

「よし、これでクリア。楽勝〜」

 

クラウンスレイヤーが消えた事により霧が晴れ始める。レユニオン兵達は突然霧が晴れた事に困惑していると、通信が入り、撤退していった。

 

「敵は引いていく…!霧も晴れてきたな」

 

「……っ、ドクター!」

 

アーミヤは霧が晴れた事で周囲を確認出来るようになり、辺りを見渡すとドクターと銀狼の姿を確認する。

 

「いや〜、さっきは危なかったね〜」

 

「あ、ああ…助けてくれてありがとう。君は「その人から離れなさい!」!アーミヤ…」

 

ドクターと銀狼が話していると、アーミヤ達が現れ、銀狼に対して武器を向ける。すると銀狼の前にドクターが出る。

 

「アーミヤ、待ってくれ。この子は、私を助けてくれたんだ」

 

「え?そ、そうなんですか?」

 

「ああ。霧の主も、彼女が追い払ってくれた」

 

「そうそう。私が助けなきゃこの全身コートの人、死んじゃうかもしれないところだったんだから。ほら、早く行きなよ」

 

銀狼がそう言ってドクターの背を押してアーミヤ達の方へ歩いていき、アーミヤもドクターに近付いて保護する。

 

「ドクター!…ありがとうございます、ドクターを助けてくれて…それと、すみません。早とちりしてしまって…」

 

「別にいいよ、判断は何も間違ってないし」(それにまだ警戒されてるし)

 

するとAceも合流してドーベルマンの隣に立つ。

 

「ドーベルマン、大丈夫か?」

 

「ああ」

 

「あの少女が霧の主か?」

 

「いや、彼女は霧の主を追い払ったようだ。ドクターを助けてくれたが、目的も正体も分からん」

 

「ふむ…聞いてくれ。幸い全員生きてはいるが、数名が負傷。酷い怪我だ…」

 

ロドスの隊員達は今の襲撃により少なくない被害を受けており、どこかで応急処置を施さねばならない程だった。

 

「そうか…ここを抜ければ処置に使えそうな場所がある。ドクター、よく戻った」

 

「さて…後はあの少女か…」

 

Aceがそう言ってアーミヤを見ると、アーミヤは頷いて銀狼の顔を見る。

 

「改めて、お礼を言わせてください。ドクターを助けてくださりありがとうございます…それで、貴女は一体…」

 

「…う〜ん…あんまり関わるつもりは無かったんだけど…まぁ、こうなったら仕方ないか……」

 

銀狼は少し考えてから結論を出すとアーミヤの質問に答える。

 

「じゃあ、先ずは自己紹介でもしよう。私の名前は銀狼…『大陸ハンター』の一員であり、稀代のスーパーハッカー」

 

「!大陸ハンター…」

 

大陸ハンターと言うワードにステラが反応し、他のロドスのオペレーター達にも緊張が走る。

 

「そんなに警戒しなくていい。少なくともこのチェルノボーグでは私達はあなた達の味方だよ?だから歩きながらゆっくり話をしよう。ね?」

 

銀狼はニヤリと笑いながら、アーミヤ達にそう言った。

 

 

 




クラウンスレイヤー…貴様はどう足掻いてもなぁ!強制移動(ワープ)には勝てないんだよぉ!!
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