百階層攻略後に日本に帰れる(かもしれない)ゲーム転移。   作:はめるん用

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まさか原作シリーズのアレとかコレを参考にストーリーを組み立てているだけなのに厄ネタ扱いされるとは。
大丈夫、ファイアーエムブレムの世界観ならこれぐらいのフラグなんて普通ですよ、普通。


第27階層を攻略する前に部下のメインストーリーが進行しそうなんですが?

「ようやく見つけたぞ盗っ人め! 観念して盗んだ神器を返せば命だけは見逃してやる! 抵抗は無駄だ、射抜かれて死にたくなければ大人しく指輪を出せッ!」

 

 なんか始まった、と思ったら青年が俺のほうを向いている件。いや、正確には一緒に歩いていたアルバのことを見ているっぽいな。

 

「それは……ッ! 誤解ですッ! 僕は神器の指輪を盗んだりなんてしていませんッ!」

 

「フンッ、よくも白々しい嘘を堂々と……ッ! 前日の夜、貴様が不審な行動をしていたのを見たという者たちの証言があるんだぞッ!」

 

「ですからそれはッ! レベルが足りなくて修道士になれないなら、せめて魔法の練習だけでも頑張らないとって……ッ!」

 

 

 あ〜なるほど、それ系ね。

 

 ハイハイ、もうだいたいの流れとかは理解したわ。これアレでしょ? 追放系の物語のテンプレート的なヤツ。それの序盤にある無実の罪を着せられるってイベントの続きね。察するよそりゃあ、だって俺テンプレ作品好きだもん。同じ内容ばかりって批判もあるけど、なんだかんだ作者の色が現れるからいろいろ読んでたよ。

 

 つまり、俺の想像通りの物語が展開されているとすれば──あの青年と会話をする意味は無しッ! サクッと終わらせるか。

 

 アルバを庇うように一歩前、へ。

 

 

「司祭様……」

 

「なんだ、貴様は? 部外者は大人しく下がっていろ」

 

「いくら、欲しい?」

 

「……は?」

 

「報酬だよ。どうせ何者かに雇われて追ってきたのだろう? いくらだ、その値段の20倍の報酬を私が一括で支払ってやる。それでも足りないというなら、30倍でも40倍でもいいぞ? 金さえ手に入れば満足なのだろう?」

 

「な──ッ!? き、き、貴様ァッ!! この俺を愚弄するのかッ!! 神器の奪還という崇高な使命を託されたこの俺にッ!! 報酬目的などと、よくも……よくもそのような侮辱をォォッ!!」

 

「嘘だな。貴様に使命感などあるものか。充分な報酬を約束されているから行動しているだけに過ぎん。もっともらしい言い訳を並べたところで薄汚い物欲を秘匿できると思ったら大間違いだ」

 

「あの、司祭様、その! 彼はプライドが高い人物で、そういうタイプじゃ……」

 

「いいだろうッ! どこの誰だか知らんが貴様から先に始末してやるッ! 我が鋼の弓の威力をその身で味わ「トロン」ほげげげげッ!?」

 

「よし」

 

「え、えぇ……?」

 

 とりあえず手足だけは適当に縛っておいて、俺やアルバがライブの杖を使うと回復し過ぎちゃうから傷薬を半分くらいブッかけておくか。

 

 

 そんでもって。

 

 

「く……殺せッ! 生き恥を晒すぐらいなら、潔く敗北を認めて首を差し出してやる。さぁ、ひと思いに殺すがいいッ!」

 

「生殺与奪を握られている立場で元気なことだ。よほど素直か、どうしようもないほどにバカなのか。まぁ、奪われた神器を取り返すなどという偽りの使命にあれだけ意気込むところをみるに後者だろうが」

 

「部外者が知ったような口をッ! そいつが王国の魔法学園から神器を盗んだのは紛れもない事実だッ! 3つの神器が──ファラフレイム、トールハンマー、フォルセティの指輪が紛失しているのだからなッ!」

 

「ほぅ、そうなのか。つまり王国の魔法学園とやらは無能な人間ばかりが集まる掃き溜めのような場所という認識で良いのだな?」

 

「なにィッ!!」

 

「やはり気づいていないようだな、このたわけが。そんなに大事な神器ならば、私なら……レベル不足で修道士にすらなれんような人間が盗み出せる程度の雑な管理などせんぞ? 厳重に保管しておくか、学生のために展示するにしても警護の人間を常に配置する。それこそ、夜間だろうと持ち場を離れるなど絶対に許可しない。絶対に、な」

 

「──ッ!? あ……いや、しかし……くッ」

 

「そこで感情的になって反論しないあたり、どうやら本物のバカではないらしい。なら、私が金銭で黙らせようとした理由にも納得がいったか? 冷静に考えれば違和感にも気づけただろうに、金に目が眩んで真実を無視しているなら買収も容易だろうと判断したワケだ」

 

「……報酬など、無い。俺は、本当に……神器を、王国の宝を取り戻すために……正義のために、自分で……」

 

 鋼の弓を自慢していたあたり、クラスはアーチャー系かな? 魔法学園の関係者なら魔法も使えそうだけど、もしかしたらそれぞれのクラスに対応した学部でもあるのかもしれない……と、それはともかく。いかにも貴族的なアーチャーといった服装をしているが、アルバを引き立てるための噛ませ犬という雰囲気ではなさそうだ。

 もしかしたらこんなRTAみたいな暴力全振りの手段でへし折らなくても、時間をかければ衝突を繰り返して分かり合うこともできたのかもしれない。それに俺が付き合う義理なんてないので遠慮はしなかったし、これからの扱いについても手加減してやる理由はないけれど。いや〜、リカールひとりに弓兵を任せるのも大変だと思ってたから丁度いいわ〜。

 

「さて、それでは敗者であるお前には人生を諦めてもらおうか」

 

「なに……? まて、まさかそれは!? や、やめろッ! 隷属の紋章をこの俺に刻むなど、貴様正気でぬぉぉぉぉッ!?!?」

 

「えぇッ!? ちょ、司祭様ッ!? いまの話の流れはこう……解放する流れじゃなかったんですかッ!? ほ、ほらッ! 改心したことを認めて、真実を自分の目で確かめるんだな〜、みたいな感じでッ!」

 

「知らんよ、そんなことは。私を始末しようとした、それだけなら見逃してやってもよかったが……この男ははっきりと“自分を殺せ”と言った。それが衝動的なモノだったとしても、自分の命を軽んじる発言をした者に配慮などしてやる必要はない。これは学生の模擬戦でもなければ闘技場の試合でもないのだからな」

 

 どうせ簡単に捨てても構わない程度の価値しかない命なら、俺が有効活用してやってなにが悪い。だいたい、生き恥がどうだこうだとギャーギャー騒ぐ元気があるなら舌でも噛み切ればいいんだよ。そうすれば俺は自分の手を汚さなくていいし、本人は自己満足の中で溺死できるしでみんなハッピーうれピーよろピクねーで終わる話なんだから。

 

「私はあまり賢いほうの人間ではなく、会話による交渉を選択していればまた結果は違ったかもしれない。しかしこのバカは簡単に命を差し出してしまった。だから私に利用されることになる。アルバ、お前も覚えておけ。自ら可能性を捨てて生殺与奪を他人に委ねるとはこういうことだよ」

 

 

 ◯□◯□ー

 

 

「えーと……こっちが武器とか傷薬とか、神竜の塔を攻略するのに必要な物を売っているエリアで、そこの十字路から向こう側が屋台とかすぐに食べられる物を売っているエリアだよ」

 

「ふん……なるほど。闇市という名称のわりに、それほど悪くない活気に満ちているではないか」

 

「そうですね、ちょっと怖い雰囲気のヒトがいるぐらいで表通りや魔法学園の近くにあった商店街とそこまで大きく変わらないと思います。その、ヴォルド……せん、ぱい?」

 

「……チッ! 先輩はやめろ。上目遣いの敬語もだ。ここは学園ではなく、俺も学生ではなくなったのだからな」

 

「は、はい……ヴォルド、さん。あの、司祭様の奴隷としてロプト教団に参加することになっちゃったけど、そのことについては」

 

「納得などするワケがないだろう! 名を奪われ奴隷の身分に堕ちるなど、解放されたとして二度と貴族を名乗ることは……俺のプライドが許さん! 兄上がご健在なのがせめてもの救いだと、自分に言い聞かせて無理やり怒りを抑え込んでいるぐらいだ!」

 

「あはは……。やっぱり、そうなるよね」

 

「当たり前だ! ……だが、あの男の言う事は一理ある。悪かったな、思い込みだけでお前を犯罪者だと罵るような真似をして。こういう言い方も、その、アレだ、悪意があるように聞こえるかもしれんが、その、な? ……修道士にすらなれない平民が、王国の国宝である神器を盗むなど不可能だと……いや、なんで俺はこんな言葉選びしかできんのだ……」

 

「大丈夫だよ、気にしなくてもヴォルドさんの誠実さは伝わってきているから。それに、いまの僕のクラスは賢者だからね。ほら、ボルガノンの指輪だってちゃんと僕の魔力に反応して赤く輝いているでしょ?」

 

「おぉッ! やるな! しかし、そんな貴重な指輪を奴隷に持たせるとは、う〜む……あの男、胡散臭いローブ姿のくせに神竜の塔を第30階層の先まで攻略すると豪語していたのは虚勢ではなさそうだな」

 

「……最近はボルガノン程度じゃ貴重だとは思わなくなっちゃったけど。エクスカリバーの指輪って実在してたんだなって」

 

「うん? なにか言ったか?」

 

「気のせいじゃないかな」

 

「? そうか。しかし、あの男の指摘をそのまま受け入れるのも癪な話だが、確かに不自然だったな。お前を神器を盗んだ犯人だと決めつけていながら、こうして英雄王の街に逃げられている。いや、奴隷の身分に堕ちているのだから無事ではないのだろうが……王国の、国宝だぞ? ファラフレイム、トールハンマー、フォルセティの全てだ。それこそ、学園のみならず周囲の都市も全て封鎖するぐらいのことをしてもよかったはずだ」

 

「でも僕のことは神器を盗んだ国賊になってるんだよね? 僕を騙して奴隷商人に売り渡した宿屋の人は知らなかったみたいだけど、仲介人のおじさんは僕を姿絵と見比べて頭を抱えていたし」

 

「そうだ。俺もそれを頼りに見つけたからな。この闇市の住人どもは心底どうでもよさそうにしているがな。だからこそ、なおさら学園側の対応が不自然だと思い知らされた。生徒たちはそれなりに騒いでいたというのに、教師たちはまるで神器のことはどうでもいいと言わんばかりの態度だったような気もする。まさかとは思うが、闇魔法の研究の弊害で思考が鈍っているのか?」

 

「そういえば、そんな話を魔法学科の寮で聞いたことがあるような……パント様の魔導書とは別の、どこかの遺跡から発掘された古文書に記されていた闇魔法の神器を再現するための研究だったかな」

 

「そうだ。研究そのものは兄上の、いや父上が学生だったころから盛んだったらしいのだが、近年はどうにも不穏な話が聞こえてくると言っていた。寝不足や空腹で倒れる者などは昔からいたらしいのだが、数年前からは本当に精神がおかしくなってしまうような魔道士やダークマージが増えているのだと。言葉を濁していたが……死者も、出ているらしい」

 

「……ッ! もしかして、神器の指輪が盗まれたこととなにか関係が? 例えば犠牲者が出てしまうほど研究が難航しているから、王国に黙ってサンプルとして利用するために隠しているとか」

 

「それはわからん。わからんが、もしも魔法学園が神器を悪用しようとしているのであればッ! ……奴隷になってしまった俺ではなんにもできないではないかぁッ! あの司祭め、いつか自由を勝ち取った暁には一発ブン殴ってやるッ!」

 

「えーと、すごく言い難いんだけどヴォルドさん。仮に奴隷にされてなかったとしても、魔法学園そのものを相手に戦うのは普通に無謀っていうか、さすがに無理だと思うよ」

 

「ぐぬぬ……ッ! クソ、とりあえず父上と兄上に手紙でも書くしかあるまい。正直に奴隷になってしまったことも含めて、別れの言葉と一緒に司祭が指摘した違和感についても報告するとしよう」

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