百階層攻略後に日本に帰れる(かもしれない)ゲーム転移。   作:はめるん用

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 ミステルトィンのことも考えましたが、アレを扱えるのはFE世界でもウード、オーディン、オフェリアの3人だけですので。

 3人だよ、3人(迫真)


おそらく第35階層のボス戦より興味がありそうな過去の出来事をひとつまみだけ。

「忌々しくも懐かしい……生きとし生けるもの全て、れーがい無くせーめーのこどーをひてーする無機質なこーりの世界がクッソさむぅぅぅぅッ!? しぬ、しんでしまうぞぉぉぉぉいッ!! アルバッ! アルバぁッ!! このままだとわれは凍え死ぬぞッ!! なんとかするえーよをおヌシに与えてやるから助けろくださいお願いしますッ!!」

 

「あー、はいはい。ホラ、マントの中に入ってください。まったく、そんな格好しているからですよ? 教主様が仰るには第40階層まで雪と氷ばかりになるそうですから、帰ったらもっとちゃんとした防寒着を選んでください」

 

「おー、ぬくいぬくい♪ あのなぁアルバ、このいしょーはソーサラーとしてのアイデンティティなんだぞ? いくら極寒の世界での戦いとはいえ、それを簡単に手放すなど言語どーだん! でんとーを蔑ろにすれば文化もぶんめーも廃れることは歴史がしょーめーしておるのだ!」

 

「びっくりするぐらい説得力が行方不明です。はぁ……氷の遺跡なんて珍しいモノ、僕も教主様と同じチームでゆっくり探索したかったのになぁ……」

 

 

 第35階層、氷の遺跡にて。

 

 これまでの階層とは違う極寒の世界に慣れるため、ロプト教団のメンバーは取り敢えず思いついた防寒対策を施しつつ現地の偵察を行っていた。

 今回は適当なタイミングで撤退する前提ということもあり、自然とメンバーの意識は戦闘よりも巨大な氷の遺跡そのものに向けられる。明らかに人類を基準としたサイズではない、窮屈そうではあるものの天馬や騎竜がなんとか飛行できるほどの規模となれば……ソレの正体を想像できるロプト教団のメンバーとしては、簡単に無視できないのも仕方のないことだろう。

 

 もちろん遺跡の外を徘徊する幻影兵への警戒は疎かにしていない。騎()の腕輪を装備した氷の部族という特殊なクラスがステータス以上に厄介な存在だからだ。

 一応ほかのクラスと比較して攻撃力が低いという弱点もあるのだが、速度を活かした集団での“狩り”は先にこのフロアを攻略した探索者クランたちに少なくない犠牲を強いている。

 

 

 ちなみにロプト教団はどうなのかというと、騎兵たちで釣り上げて叩くという戦法を徹底したためいまのところ犠牲どころか損害もほぼゼロである。クラン内部における序列やら発言力やらの面倒な人間関係が存在しないが故に、全員が勝てばよかろうの精神に染まっているのだ。正々堂々とした戦いがしたければ手加減のスキルが活きる闘技場で充分なのである。

 

 

「周囲の壁……見たことのない模様だ……学園の図書館で読んだ本にもこんな、いや、並び方に法則性があるのかな? 模様じゃなくて、もしかして文字? なにか意味のある文章が刻まれているのか……」

 

「ゆーきゅーのとき、朽ち果てぬ輝き、選ばれしえいゆー、空に続く道、異界より来たるきょーいを退ける者。まぁ、だいたいこんな感じのことが刻まれておる。この前われが語って聞かせたじゃろ?」

 

「未然に防いだ滅びの運命が、姿形を変えて絶望の未来から異界の軍勢として襲い掛かってくる……ですか。第30階層でアレを見ていなければ、とても信じることなんてできませんでしたね」

 

「かつての人類はいまとは比較にならないほどぜーじゃくだったと母様から聞かされている。蠢く闇より産まれしモノと戦うためには異界のえいゆーたちの力を借りねばならないほどに。もっとも、ロプトウスやドーマは反対したそうだがの〜。それは人の成長を、可能性を妨げる行為であるとしてな」

 

 

「フンッ。安易に他者の助けに頼ってしまえば永遠に己の実力が磨かれることはない。そんなことは当たり前だ! だが、いまそこに迫る危機に対して悠長なことを言っていられないのも事実。戦う力を持たぬ民衆にしてみれば理屈など関係ない、助けを求める側というのはすでに限界なのだからな……」

 

「あたしなんかメッチャ安易な手段を選んだほうだからな〜んも言えないっていうね。だって雑用ばっかりでしんどかったんだもん、しょうがないと思わん? かと思えばとんでもない戦いに巻き込まれるっていうサプライズ待ってるとか、マジ意味わかんないって感じ?」

 

 

「ヴォルドさん、シルメリアさん、お帰りなさい。どうでしたか?」

 

「幻影兵の強さはそれほどでもないが、やはりゴーレムとかいうデカい人形が少し面倒だな。薄い魔力の膜のようなものに覆われていてダメージが思うように通らん。もっとも、動作が遅く単調だから面倒なだけで苦戦するような相手ではないがな」

 

「つーか、なんも知らんかったとしてもアレと正面からぶつかるとか控えめにいってダメじゃない? 死んじゃった人たちを悪く言うつもりはないけどさ〜、あんなんあたしだってひと目見てヤバいってわかるのに。やっぱりテンション上がってて冷静な判断ができなくなってるのかな〜?」

 

「全ての人間がそうだと決めつけるつもりはないがの〜、過去のやらかしを聞かされているわれとしてはそんなもんじゃろとしか思わんの〜」

 

「いいんじゃないですか? 別に。どうせ40フロアまで進んだところで思い知ることになるでしょう。探索者クランが全滅して帰ってこなくなったとき、表通りのギルドがどんな言い訳をするのか楽しみですね」

 

「アルバくんってばホント容赦ないときあるよね……。だがそれも善き哉! くっ、優しい微笑みの毒舌ショタとか供給過多で鼻血が出そう……ジャーリーちゃんをマントで包んで抱っこしてるのもポイント高ぇよ……氷の遺跡でなければもう出てたかもしれない……イロイロと……ぐふっ♪」

 

「また発作が始まったな。難儀なことだ。それで……あの話をしていたということは、この遺跡は『光の神竜ナーガ』とやらが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ことと関係があるのか?」

 

「あると言えば、あるぞい。異界との繋がりを得たことによるだいしょーは大きかった。人間を守護るために異界の神々ときょーりょくした結果、より激ヤバな悪意が襲い掛かってきたのじゃからの〜。詳しいことはわれも知らん。母様なら知っておるかもしれんが、いまごろどこでなにをしておるのやら。ちょっと昼寝するとかいって20年ぐらいスヤスヤと眠り続けて起きなかったこともあるからなぁ〜」

 

「うん、ホントにもう感覚が人間の僕たちでは理解できないレベルだよね」

 

「われはもう人間のリズムにズビズバッとてきおーしたがな! えーと、それでなんだったっけ……」

 

 

 

 

「このタワーが人間のヒーローをセレクションするための場所だとレクチャーするところだったのだろう?」

 

 

 

 

「お〜、おぬしも戻ってきたか。さすがにこの寒さでは楽器を奏で続けるのも難儀だったろう。ホレホレ、遠慮なくあったか〜い茶を飲むがよい」

 

「フォニムさん、お砂糖と蜂蜜もありますがいれちゃいます?」

 

「ありがとうレディ。でもそのまえにキュートなお鼻がブラッディなのをケアするのをオススメしておくよ。……さて、お話の続きといこう。魔の者たちとの戦いも落ち着いてきたあるとき、異界と異界の繋ぎ目からソレは現れたんだ。異形の軍勢……人間も、竜も、モンスターでさえも例外なく、この世界の全てをデストロイしようとしているかのように暴れる謎の存在が」

 

「でも、それも異界の英雄たちの力を宿した紋章石と神器の力で倒したんですよね?」

 

「その通り。そして最初の襲撃を乗り越えることで人類もレベルアップしてね。戦闘力、技術力、スキルに目覚める者……次第に異形兵との戦いは立ち向かうたびにパワーアップを繰り返す人類側が有利となり、ピースフルな時間も増えていった。襲撃の間隔も5年、10年、50年、100年とロングバケーションになったのだけれど」

 

「長い平和は人々からきんちょーかんを奪った。われら竜人族からもな。ようは平和ボケしたということなんじゃろうな〜。だから、どうにかして歴史を次の世代に伝えるための、戦いを忘れないための場所が必要だった」

 

「それがこの神竜の塔、というワケか。いつか再び異形兵とやらが攻め込んできたときに備えて。フンッ、なんとも笑える話だな? 誰もが命懸けで挑んでいる迷宮の正体は、実は巨大な訓練所でしかないということだ。なら、この遺跡は差し詰め座学のための教室モドキと言ったところか?」

 

「なんじゃい、そんな不服そうな顔をするでないぞ。こーして準備万端にしておいたからこそ、数百年前のしゅーげきも無事に……無事に? う〜ん。人類は滅んでおらんし、竜人族も生き残ってはおるのだから、ある意味では勝ちのようなものなのかの?」

 

「神器に認められた英雄たちのほぼ全てと、最後まで彼らに協力することを選んだロプトウス様率いる竜人族の多くが異界に飲み込まれて消えてしまったけれど……死を覚悟して旅立った彼らにとっての勝利は“次へ繋ぐこと”だからね。そういう意味では文句なしのヴィクトリーということになるのかな」

 

「は〜。何度聞いてもスケールがデカ過ぎて意味わかんないわ〜。ひとつだけ理解できることがあるとすれば──その英雄と竜人族が一緒にいなくなったときに消えたはずの神器を何故か教主様が持ってるのってヤバくね? ってことぐらいかな〜」

 

「そ〜なんじゃ〜いッ!! なんなんじゃアイツはぁッ!? 最初はてっきり異界から戻ってきた竜人族とかそーゆー類いかと思ったが、やはり気配は人間のソレじゃし……ワケわからんぞいッ!!」

 

 ギャーギャー吠えるジャーリーの姿に皆もただ同意するしかなかった。冗談で信仰しているとばかり思っていた闇の神竜ロプトウスが実在していたという話も含め、失われている歴史の裏側を知れば知るほど教主の存在が理解できなくなる。

 だからといってジャーリーとフォニムが語る内容を嘘だと否定することもできない。そもそも第30階層で戦った火竜たちが人の姿から竜へと変身しているところを見ているし、そのあと目の前で行使された神器アポカリプスの理不尽なまでの破壊力を無視するのは不可能と言ってもいい。

 

「どのみち手遅れなのだから考えても仕方あるまい。俺たちは皆、ヤツの奴隷なのだからな。いったいなにを企んでいるのかは知らんが、少なくとも完全な悪党というワケでもない。ならば、塔の攻略に従いながらヤツのことを見定めるしかあるまい」

 

 

 

 

 

 

 一方そのころ。

 

 

 

 

 

 

「どうしたのかね、氷の部族の諸君。仮にもウルフナイトに近しい存在でありながら、司祭の私に追い付けないなど恥ずかしくないのかね?」

 

「「「「グギィ〜〜〜〜ッ!!」」」」

 

「教主さんは敵を挑発せんと死んでまう病気かなにかなんか? ちゅーかメッチャ器用に氷の上滑っとるなぁ。なに無駄にクルクル回っとんねん子どもか」

 

「氷の上を滑りながらのパフォーマンス……これは、新しい商売の可能性を感じますね。さすがはご主人様です、撤退したらさっそくお母様と相談してみることにしましょう」




 一応、ナーガ様が異界やら時空やらをゴニョゴニョできるのは公式設定といえばそうです。一応ね。
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