百階層攻略後に日本に帰れる(かもしれない)ゲーム転移。   作:はめるん用

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いうて第37階層までついてこれるアンナさんがただの商人なワケがない。

「神竜特需、とでも言えばいいのかしら? 基本的に温暖な気候の地域だから、防寒具が飛ぶように売れてアンナ商会としては大儲けで嬉しい悲鳴よ! ……凍傷で探索者を引退しないといけない人たちがいるのは素直に喜べないけれど、ね」

 

「さすがの私でも彼らのことを哀れとは思うがね。極寒の世界での行動を甘く見たことによる自業自得、というのは簡単だろう。そうなる前に撤退すればよかったのだ、と結果に文句を言うだけなら誰でもできる」

 

「痺れが残る程度ならレストで、ある程度の損傷もリライブで回復できるんだけど……手遅れになった部位はちょっとダメみたい」

 

 どうにも少し認識が甘かったようだ。ひ弱な文明人の俺と違い、この世界の人たちなら厳しい自然環境にも適応できると勝手に思い込んでいたが──そうだよね、知識も経験もなければ普通に失敗するよね。

 いうて俺だって日本にいるときに東北出身の友人からスキーに誘われなかったら雪の恐ろしさを舐めてたかもしれん。アドバイスを、いや警告を無視して汗を吸ったシャツをそのままに遊んでいたあの日のことは一生忘れることはないだろう。マジで死ねるぞ? 

 

「探索が活性化したのはいいが、犠牲者が増えるのはいただけない。表通りのクランが停滞しているうちに攻略を進め、ロプト教団のメンバーで雪原での立ち回りについてのお手本を示さねばならんか」

 

「そうしてくれるとウチとしても助かるわ。人の命に関わることですもの、アンナ商会としても値段に見合うだけの価値ある商品をお届けしないと」

 

「このタイミングで雪の民との繋がりを得られたのは僥倖だな。しかし、こうなってくると今後の攻略プランも変更せねばなるまい。表の連中を利用して情報を得るのは諦めるとしよう。好き好んで死にたがる探索者はともかく、学生諸君に先行させるワケにはいかんからな」

 

「でも止めたりとかはしないのね?」

 

「そこまでしてやる義理はない。人助けというのは時間と資金に余裕があって行われるものだ。お金がなくて困っている人がいたから代わりに借金して助けてやった、妻と娘は飢え死にしたが自分は人助けをしたのだから正しいのだと自慢げに話す男がいたらどう思うかね?」

 

「さすがに極端すぎるけれど、言いたいことはわかるわ。慈善事業を否定なんてしないけれど、身を削るように、というか取り憑かれたみたいに頑張ってる人にはあまり近寄りたくないわね」

 

「私には理解できない価値観だよ。ともかく、楽しいピクニックを満喫してもらうためにも下見を急がねばならん。防寒具はもちろんだが、今後の面倒なフロアの攻略に向けていろいろと準備をしてほしい物があるからね」

 

「つまり、これからまだまだ驚きの新商品が陳列されるってワケ?」

 

「熔岩の流れる地底の洞窟ほか、落下した先が何処へ繋がっているのかも定かではない空中庭園、訪れた者の姿を写し取って襲い掛かってくる水晶の神殿など豊富な品揃えでのおもてなしが待っている予定だ」

 

「う〜ん、聞いているだけで頭が痛いわね……。それっぽい地域に住んでいる人たちと取引のある姉妹に相談してみるわ。水晶の神殿はさすがにムリかもしれないけれど」

 

 疑わない、か。

 

 わりと突拍子も無いこと言ってると思うんだけどな。こんなことでも簡単に信じるような話をジャーリーから聞かされたからなんだろうが、マジでどんなストーリーが展開されてんだろう? 俺の扱いが普通の人間じゃなくなってるのは予想できるけど。

 気になるけれど、下手に知ると逆に面倒になるから聞くこともできん。こういうのは放置したまま自然体で過ごすから効果的に勘違いしてもらえる、みたいなとこあるし。せっかくそれぞれ自由に辻褄が合うように空想してくれているのに、ここで変に色気を出して介入すれば台無しになるのは確実だ。

 

 やっぱりね、自主性を尊重するのって大事だと思うんですよ。いざとなれば命令できる立場だからこそ、いざというとき以外は好きにさせておくのが一番簡単だと思います。

 

 

 それはそれとして。

 

 

「ほかになにかロプト教団側で動くべきことはあるかね? あぁ、探索者の治療は引き受けられんよ。リカバーの杖を納品するぐらいなら構わないが」

 

「そうねぇ……いまのところは特にないかしら。英雄学園との取引についても交渉中だし。強いてお願いしたいことがあるとすれば、できれば当分の間は女神教団との衝突を控えて欲しいぐらいね。もちろんこの前みたいな状況になれば話は別よ?」

 

「そうか。最大限の努力と善処を約束しよう」

 

「あら、理由も聞かないでそんなこと言っちゃっていいのかしら?」

 

「これでも迷惑をかけている自覚はある。その程度の要求も飲めない度量でアンナ商会を利用しようなどと軽く考えてはおらんよ」

 

「あら〜、そんなふうに言われちゃうとアンナさんとしては張り切らないとって気分になっちゃうわね♪ な〜んて、言っておいて実は私も詳しい事情は聞いてなかったりして。姉妹から連絡が届いたのよ。普通の手紙屋さんじゃなくて、アンナ商会お抱えのペガサスナイトに依頼してまで、ね」

 

 なんとも贅沢な速達だな? そんな扱いばっかりしてるからペガサスナイトが奴隷落ちを承知で俺のところに頭下げに来るんでしょうが。アンナさんのことだし、信用問題や長い付き合いまで考えて不遇な扱いはしていないと思うけれど。

 しかし女神教団との衝突についてアンナ商会から牽制されることになるとは。別に個人的な恨みはないから構わないが。いうて連中と関わってなにがあったかって、スカーレルという優秀なアサシンをプレゼントしてくれたことぐらい? 教会でのドンパチについては……うーん、多少の事情は知れたけど「だからどうした?」感があるしなぁ。

 

 

「一応確認するが、悪い報せではないのだな?」

 

「少なくともいまの段階では。徐々に付き合い方を見直すとは聞いていたし、姉妹の中にはアサシンや上忍もいるから簡単には遅れを取らないハズよ」

 

 クラスチェンジの幅広いな? 同じ顔、似たような顔で別々のクラスがそれぞれの年齢で……うん、ちょっと見てみたいなソレ。

 

 

 ◯▢◯▢ー

 

 

「アンナ様、よろしかったので?」

 

「なんのこと?」

 

「さきほどのロプト教団との会話……アンナ商会は女神教団との取り引きを停止することを“正式に決定”なさいましたよね?」

 

「あら、ウソは言ってないわよ? 事実としてまだ完全に関係を断ち切ったワケじゃないでしょ?」

 

「それはそうですが」

 

「あのね? 確かに私は商人だもの、利益を優先して動くこともあるわ。当然よね、だってアナタも含めて大勢の部下を抱えているし、私との取り引きが無くなれば明日のパンすら買えないような人たちもいるんだし」

 

「もちろん承知しております。人は霞を食して生きてはいけません」

 

「だから安易にタダ働きなんてしない。無償の慈善活動そのものを否定はしないけれど、現実から目を背けて理想と妄想の区別もつかないような偽善者になんてなりたくないもの。でもね? そんな私でも──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

(ぐ、あ────ッ!?)

 

「歴史が大きく動くとき、人々に大いなる災いが降り注ぐとき、あらゆる脅威に立ち向かい未来を掴むために戦う英雄たちを支えてきたのが私たちアンナ一族なの。その末裔である私が、私たちが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と手を組んで仲良くお金儲けしましょうなんて考えると思う?」

 

「…………い、いいえ」

 

「まったく、姉さんたちもずいぶんムチャなトコまで潜入なんてしてくれちゃって。それだけ女神教団の裏側にご立腹だったってことなんだろうけど。正直なところ、一枚噛んでる英雄学園もキナ臭いと思うのよね〜。ま、だからこそ教主さまもシリウスちゃんを手駒として送り込もうって判断したのかもね」

 

「そちらは……よろしいのですか? 子どもを利用するという意味ではロプト教団も同じですが。村からやってきた少年たちも含めて」

 

「ん〜〜〜〜〜〜〜〜」

 

「あ、そこは普通に悩むんですね……」

 

「ここで万が一があれば責任を持って私が始末する、って言えればカッコいいのかもしれないけど〜。ねぇ、伝説と言われているような本物の竜を相手に伝承に残されているような魔法を連発する自称司祭ってどうやって倒せばいいのかしら?」

 

「お世話になりましたアンナ様、私は次のアンナ様のサポートに──ぐぇッ」

 

「いや〜、優秀で働き者の部下ってステキね♪」




 小説のネタになるかもと自身に言い訳をしながら無双をふたつとも購入。

 魔法のエフェクトもそうですが、各種ナイト系のモーションも面白いですね。ミネルバとか豪快で使って気分爽快ですし、ナバールもなんというか……なんというか。なんだアレ? ユニコーンガンダムかなにか?
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