百階層攻略後に日本に帰れる(かもしれない)ゲーム転移。   作:はめるん用

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周回プレイヤーだっていまさら第38階層で新しい発見をすることもある。

「人間の力では自然の力には勝てない。古事記……いや、歴史にもそう記されている」

 

「コジキってのがなんなのかは知りませんが、自然のほうがキツいってのは俺っちも賛成です。こんだけの猛吹雪でも元気に襲いかかってくる幻影兵ってズルいっすね」

 

「よほど視力が優れているのか、あるいは向こうもレベルとステータスが強化されていることで気配察知の能力も高いのか……ふむ、視力か。リカール、ちょっと天候を無視して狙撃してみろ。隷属の紋章は瞳に宿っているしイイ感じになんかこう目がキラーンと光ってズバーンと撃ち抜くとかできるだろ。やれ」

 

「だから隷属の紋章を困らせないで下さいよ。これはあくまで他人を支配するためのものなんですから、紋章そのものまで含めての無茶振りには対応してないんですってば。……あぁホラ、どうにかして俺っちの視界を強化して広げなきゃってしてるせいで目の奥のほうがムズムズしてきちゃったじゃないですか」

 

「つまり無理難題と知っても営業努力はするということか。大変結構、可能性を信じるには充分な成果だと言える。これを量で補う、例えば両目に刻んだり額に第三の目として……まてよ? それができるなら重装の腕輪を展開して兜の外側に刻めば視界の確保も期待できる……フフフ、隷属の紋章石そのものを鍛えるという発想はなかったな。まだまだ在庫はあることだし、これから試す価値はあるな……ククク……!」

 

「じんわりと優しい温かさが広がってる……先にもう俺っちに使われてて良かったって安堵してんのか……? なんなんだコレ」

 

 

 いや実際問題このエリア吹雪がヤバくて無茶振りのひとつやふたつ命令しないと攻略できないんじゃないかって本気で悩んでるんだよね。

 

 まず飛行ユニットが凍傷のリスクが高くて使えない。GBAではイリアの天馬騎士が雪国出身だったけど、別にペガサスナイト系が雪に強いとかそういう恩恵は無いようだ。そらそうよね、この世界はそもそも天馬の腕輪装備すりゃ女は誰でもペガサス乗れるんだから。

 一応、いろんな状況に備えて全員にプチファイアーの指輪を渡してはいるが……吹雪の空ではなぁ。雪の民スガのアドバイスを参考にアンナさんに協力してもらって防寒具を揃えてはいるが、大自然の猛威はその程度で乗り切れるほど易しくない。そもそも普通の騎馬もまともに運用できないし、なんなら重装の腕輪も鎧がキンキンに冷えてキツいって言われちゃったし。

 

「せめてもの救いは積雪が穏やかということか。これで足場の条件まで悪かった場合、感情に任せて暴走魔法を連発していたかもしれん。敵を警戒しながらいちいち雪を踏み固めてルート構築なんてしていられないからな」

 

「寒いのはともかく、視界だけでもどうにかして欲しいところですね。教主さまの火と風の魔法で一瞬だけでも吹雪に対抗したりとかって、実はできたりとかしません?」

 

「やろうと思えば可能だろう。だが雪が溶けた水滴を全身に浴びることになるだろう? そのあとのことを考えるとあまり試したくはないな」

 

 何処かのゴマ団子の仙人様みたいに電気分解して水素と酸素に変換なんて器用な真似できるかよ。仮に太極符印あっても素人の頭じゃムリだって。

 試すだけならダイムサンダの指輪でやれるか? どう? え、そもそも電気分解ってなんですかって? あ、そうだよねそうなるよね。うんうん、ゴメン気にしなくていいから戦闘のときよろしく頼むよ。

 

「ん〜、撤退する前提ならそれはそれで後学のために体験してみるってのもアリですが……まぁ、やめておきましょうか。味方からとんでもない苦情がきちゃうでしょうし。いっそのこと、暗闇をパァッと照らすみたいにトーチの杖で解決しませんかね〜」

 

「それはさすがに──いや、まて」

 

 イケんじゃね? 

 

 ファイアーエムブレムの世界で松明とは“暗闇を光で照らす”アイテムではなく“視界を確保して地形や敵を見えるようにする”アイテムなワケで。

 そしてこの吹雪は普通の自然現象ではない。ゲームシステム的にはプレイヤーを邪魔する……というか塔の攻略がマンネリ化しないようにという変化ではあるが、世界観から考察すれば別の意味合いになる。

 

 探索者よ、ファイアーエムブレムを求めオーブを求めるなら知恵と勇気を示し給え〜みたいな。

 

 よろしい、さっそく試そうじゃないか。なぁに、トーチの杖なら在庫が3桁ほどあるからな。もう途中から売るのも面倒になってドロップ回収してそのまんまだったもの。たくさん余ってると言いながら1本しかくれないケチな村人のジジイとは違うのだよ! 

 

 

「さて、どうなるかな? トーチ」

 

「うぉッ!? マジっすか」

 

 

 どうだ、明るくなっただろう? なんならトーチの効果範囲では敵が見えるどころか吹雪も弱まってんな? これは嬉しい誤算だ、俺は紋章の効果とミニマップの力で味方の位置を把握できるが当人たちは同士討ちを警戒しながらの戦いだったからな。

 これはいろいろと可能性が広がる。トーチの効果が予想外だったのはもちろんのこと、ほかの杖と組み合わせることで戦略的な価値はさらに高まるだろう。魔法の指輪だって同時に発動できたんだから、杖だって同時に使うことできるだろ、たぶん。そのうち試そう。

 

 

 とりあえず。

 

 

「リカール」

 

「あいよ。──あと十秒あれば間に合ったのに、なッ!!」

 

「ギギャッ!?」

 

 

 恐らくは隊長ポジションの最上級職グリフォンナイト、しかしステータス的にはそれほどでもなし。いくら強敵枠とはいえ、飛行ユニットではスナイパーに射たれて耐えられるものではない。

 問題はデルフィの守りを装備するようになってからだけど、そこは素直にアクスバスターを持たせたファルコンナイトをぶつけて対処すればなんとなるだろ。

 

 

 ◯▢◯▢ー

 

 

 んで。

 

 まぁフロアボスっぽい騎兵が守る、おそらく次の階層に進軍するための魔法陣があるっぽい建物の前まできたけれど。

 うーん、なんとも格好良い槍を持っているじゃないの! そのせいで奴隷たちが一斉に俺のこと注目して次のセリフを待ってるじゃん。

 

「神器のひとつ『氷雪の槍・マルテ』の、レプリカ……だな。まさかこんなところでお目にかかれるとはな」

 

「なんとな〜く予想はしとったけど、やっぱり槍の神器って帝国にあるグラディウスだけとちゃうんやな。ちなみにやけど教主さん、アレ、あのパラディンみたいなん倒したらあのレプリカ奪えたりするん?」

 

「在庫が増えるぞ、やったなアーリィ」

 

「やっぱり持ってるんか〜い! そんなこったろ思っとったわ! ……ま、ええわ。お宝は自力で手に入れてこそ価値があるってもんや。とりあえずウチが挑戦してみてもええやろ?」

 

「構わんよ。だが油断だけはするな」

 

「心配せんでも神器のレプリカ持ちを相手に油断するほどボケに命かけとらんわ。よっしゃ、吹雪も収まっとるしコッチも腕輪から愛馬を出して尋常にィ──おん?」

 

 気合い充分といった様子で槍を軽く振り回してから構えたアーリィに対して、幻影兵も一礼をしてからマルテのレプリカを勢い良く構える。まるで人間同士が一騎打ちをする前のパフォーマンスのようだ。

 階層が進むにつれて脳筋突撃から戦略的な動きをしてくるようになってはいるが、ここまで明確に意思のようなモノを感じるのは珍しい。伊達にステータス画面でも名前が『試練の幻影』でクラスが『マスターナイト』なだけある。は? この階層でマスターナイト? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……周回プレイ仕様だコレェェェェッ!?!? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2周目以降のプレイであること、対応するオリジナルの神器を所持していること、出撃メンバーに対応する武器のレベルがA以上のキャラクターがいること、これらを満たすことでランダムで登場する強敵枠の中でもさらにレアなユニット出てきちゃってんじゃんッ!! 

 あぁ……マジかぁ……暴走竜帝が出てきたのはオーブが盗まれたせいだけじゃなさそうだなコレ。たぶん俺以外の探索者はもっと難易度がマイルドな神竜の塔を攻略してるんじゃなかろうか? その辺りの交流とか情報交換してないからなぁ。いや、それでもメンバーは俺より外部と交流あるだろうに。

 

 あとミニマップくんがマスターナイトのことを敵じゃなく敵対的な中立勢力として判定しているのも意味わかんないんですけど? お知り合いかな? この先に、具体的には第40階層でマムクートに挑むのであれば我を打倒してみせよ的なイベントかい? 言っちゃ悪いけどレプリカの効果で技+5されたところでアーリィのほうが余裕で強いからね? 

 所詮はレプリカ、ファンの力によって魔改造された神器マルテには遠く及ばんようだな……。でも武器威力30、速さ+25、技+25、魔防+10は盛り過ぎのようなそうでもないような。ファルコンナイトやダークペガサスに持たせて魔法職相手に無双してもよし、ドラゴンマスターやレブナントナイトに持たせて苦手なステータスを補ってもよしと多彩な活躍してくれるからプレイヤーとしては助かるけど。

 

 

 しかし、いやぁ……そうかぁ……周回プレイ扱いなんかぁ俺……。引き継ぎデータ持ってるし妥当と言えなくもないけど、コレ第40階層から先のこと考えたくないなぁ……。

 大真面目に次のマムクート戦に向けて追加で味方に神器を渡すこと考えるか? 対応する紋章石まで渡すのはさすがにまだ怖いから控えるとしても、俺とジャーリーだけじゃ手数が足りなくなるかもしれない。取り巻きのマムクートにもなんか追加で防御系のスキルが追加されてる可能性もあるからな。

 

 あぁ〜考えるだけでもぽんぽんが痛む音ぉ〜。難易度は上がってるけど低確率ではあるけど神器のレプリカを補充することができると前向きに……いやレプリカは在庫あるんだって。いまはステータスで有利だけど後半はレア枠の敵ユニットも強化される上にスキルも追加されるから事故要素になるんだって。なんならこれから挑む第40階層がヤバいんだって。

 とりあえず問答無用で全員に天使の衣を使わせよう。ブレスの威力を40と仮定して強化すれば耐えられるはずだ。ゲームと違って一撃でHPが削られるのではなくスリップダメージみたいにジリジリ減っていく感じだったし、即死さえ回避できれば最悪メガワープで仲間を逃がしてしまえばいい。フハハハハ、我ながらチート系ゲーム転移者らしい完璧な作戦だぜガハハハハッ!

 

 さ、アレコレ考察している間に無事アーリィもマルテのレプリカをゲットしたことだし、帰ったらメンバーに振り分ける神器について本気出して考えるとしよう。




 マルテはシャニーに持たせてロイの隣が定位置……の、ときもある。お嫁さん候補が沢山いて大変だわ〜。
 ところで作者の持ってる封印の剣だとロイとキャスが結婚できないんですがバグ修正版はどこで手に入りますか?
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