百階層攻略後に日本に帰れる(かもしれない)ゲーム転移。   作:はめるん用

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 令和の時代に聖魔のレベル上げが楽しすぎてストーリーが進まない。



☆外伝☆復讐の小さな勇者(お土産もあるよ!)

「……これは、キサマの仕業か?」

 

「ふむ。その質問には、どのような意味があるのかな?」

 

「確かに、無駄な問答だったな」

 

 

 おやおや、質問の意図を確認しようとしただけでミニマップくんの判定が“敵対的な中立”から“完全な敵対者”に変わってしまいましたねぇ。いうて半数以上が最初からソレだったけどな。

 しかし逆説的には中立判定だった探索者たちは会話をするつもりが多少なりともあったということか。あーあ、俺はただわからなかったところを教えてほしいと言っただけなのに、どうして急に話を聞いてくれない感じになっちゃったのかしら? コミュニケーションって難しいやー。

 

 もはや言葉は不要、とばかりに先頭の女傭兵が鋼の剣を抜こうとするが。

 

 

「────がッ?!」

 

 

 見事ッ! 肩と手首らへんに弓矢が刺さるッ! 弓は刺さんねぇよ矢だけだよ。潜伏させておいた弓使い4人、スナイパーのリカールとヴォルド、絡繰師のルカ、アサシンのスカーレルに戦闘開始と判断したら撃ってヨシと命令しておいたのが良かったようだ。

 それで不意打ちに抵抗無さそうなほか3人じゃなく貴族のお坊ちゃんだったヴォルドが最初に撃ったのは意外だったけど。お貴族様の決闘ごっこから野蛮人の殴り合いへと順調に適応しているな。それとも逆に、貴族社会的には敵対の意思があった上で武器に手を伸ばしたらアウト判定なのだろうか? 本人は腹芸とか嫌ってそうだけど、嫌ってるからといって勉強しないタイプでもなさそうだし。

 

 もちろん蛮族ソウルをインストールしているのは彼だけではない。探索者たちが動揺している間にもディナダンとパーシバルのふたりが銀の剣と銀の斧を片手に走り出している。

 慌てて迎撃しようとするが……判断が遅すぎたな。建物や足場の悪いところから開けた空間に飛び出すようなシチュエーションでも切り込み隊長を続けてきた、成長の可能性の塊であるキッズたちだぞ? 走りながら騎馬の腕輪を使用して加速&突撃なんて芸当もできるんだ〜よ。

 

 特にグレートナイトとして機動力のある壁を引き受けてきたパーシバルの突撃は強烈だ。本人は重装レベルとクラス補正で軽々と動けるが、馬も含めて全身鎧の騎兵が累積レベル40オーバーのステータスで銀の斧を握り締めてスマッシュ攻撃をぶちかましてるワケだから迎撃の体勢が整っていない中級職など簡単に吹き飛ばされる。

 

 

「ま、まてッ!? 俺たちはキミらを助けるために────」

 

「戦いの最中にスットロいこと言ってんじゃないわよッ!!」

 

 

 あれれ〜? 見敵必殺なんてオンリーワンのオーダーしてないはずなんだけどな〜? 自分や仲間の危機以外では手加減するようにと命令を込めた隷属の紋章から散歩中に大型犬に引き摺られる人が助けを求めてるみたいな感触が伝わってくるんだけど。殺る気マンマンだねパーシバル! お前何処ぞのゲームで蛮族より蛮族やってるフン族の親玉ソウルでもインストールした? 

 

 うーん、これはもう俺の出番いらないだろ。数人ほど上級職もいるけれど、このぶんなら立て直すより先に数の不利を覆せるはず。いうて天使の衣とか、幾つかのドーピングアイテムも使ってステ底上げしてるからな。

 

 よしよし。

 

 ならば、俺は俺ができる仕事をしよう。

 

 コッソリ物陰に隠れてミニマップを確認。離れてたところにポツンとあるそれに意識を集中して集中して……ステータス、オープン! ふむ、キルソード装備のアサシンか。しかし暗黒司祭の防御なら必殺で3倍ダメージでも余裕で耐えられる。

 

 スキルをチョコチョコっと整理して────転移ッ! 

 

 

 

 

「────。────ッ?!」

 

 

 

 

 おっと。

 

 さすがはアサシン、背後に転移したのに反応が早い。剣殺しをセットしていなければ普通に直撃コースだった。ま、あくまでキルソードに対する俺の反応速度が上がれば儲けもの〜ぐらいで最初からHPで受け止める前提だったんだけどね。

 冷静に、かつスムーズに反撃してきたのは褒めてやろう。だが俺が刀身を素手で握ったことに驚いてしまったのは残念だったな。ステータスの関係で100パー回避ムリだと割り切って、相打ち前提で絶対命中もセットしてるから逃げられないぜ? 

 

 オラ〜、隷属〜。

 

 

「あぐぅッ?!」

 

 

 よく見れば小柄な女の子タイプのアサシンやんけ。見た目通りの年齢かは不明だが、アサシンとは思えないほど可愛らしく着飾っちゃってまぁまぁあらあら。顔面に掌底カマす形になったせいでよろけちゃったあたり、防御の数値は悪くないけど体格的に踏ん張れなかったようだ。

 

 

「……チッ」

 

 

 舌打ち。からのお洋服ポンポン。大人しく武器をしまって土埃を払っているのは立場上、隷属の紋章の強制力を知っているからだろう。

 

 よし。

 

 取り敢えず話を聞いて────。

 

 

 

 

「イヤ〜ン♪ 負けちゃったぁ〜ん☆」

 

 

 

 

 ……また味付けの濃そうなリアクションが。

 

 

 

 

「さっすがウワサのロプト教団の最高司祭サマ♪ ワタシなんかじゃ手も足も出ないぐらいとぉ〜ってもお強いんですね☆ そんな御方のために奴隷としてこれからお仕えできるなんて、ワタシってば超ラッキー♪ これからヨロシクね? ご主人サマ☆」

 

「ロプト教団には趣味でメイド服着用してる奴隷がもういるから、ご主人様呼びは若干キャラが被るぞ」

 

「これからヨロシクね? 旦那サマ☆」

 

「見事な瞬発力だ、さすがはアサシンだと褒めておこう。それでは、これからロプト教団に所属している間は【パッフェル】と名乗るように」

 

「かしこまり☆ それにしてもぉ、ワタシもそれなりに情報は持ってますけどぉ、本当に旦那サマは奴隷にまともな名前を与えちゃうんですね〜?」

 

「そのほうがわかりやすい。闇市の、特に商店街の者たちから苦情が寄せられても面倒だ。さてパッフェル、早速だが仕事をひとつ頼むとしよう。ここよりさらに外側からこちらを監視している連中を追い払ってくれたまえ」

 

「は? 監視? そんな話はなにも────チッ! 教団の連中、アタイを切るつもりでいやがったな……。カスどもが、テメェで散々に使い倒した手札にテメェでビビってりゃ世話ねぇぜ。まぁ〜あ♪ それだけワタシが超☆優秀なアサシンちゃんってことの証明なんですけどね! それで旦那サマ、ご注文は皆ゴロシですか? 全ゴロシですか? それとも一匹残さずデストロイ?」

 

「末端を駆除しても次が派遣されるだけだろう? ならば生きて帰れるようにしてやるといい。仮に……そうだな。向こうがそれを勝手に私からのメッセージだと解釈したとしても知ったことではない。人間とは、どうしても“自分ならこうする”という前提で物事を考えてしまう生き物なのは承知しているからな」

 

「了解でぇ〜っす☆」

 

「武器は必要かね? 銀の剣に銀のナイフもあるが」

 

「いえいえ〜、取り敢えず自前のキルソードで充分ですよ。それじゃあサクッと殺ってきますね旦那サマ☆」

 

「……命までは奪うなよ?」

 

「うぃ! 命“までは”奪いません♪ ではッ!」

 

 

 すげぇ。木々の間を軽快に飛び跳ねて消えていったのに、ほとんど音とかしないし揺れたりとかもしてない。フリフリ衣装アサシンすげぇ。チラ見したときレベル8しかなかったけど、もしかしなくてもプルフ使った2周目アサシンなのかも。スキルで滅殺を無効化してなかったらワンチャン死んでたかな……。

 まぁ、いい。ファイアーエムブレム的には“かもしれない”よりも結果が全て。自分のターンに回ってきたときに味方ユニットが全員生存しているなら、それはプレイヤーの判断が正しいという証明なのである。でも敵の増援に悩まされて頭を抱えるパターンは誰もが1度は経験しているんだろうなぁ。そしてリセットしてからはただの経験値ですな。

 

 

 つまりなにが言いたいかというと、探索者という名の襲撃者たちが全員瀕死になった状態で部下たちがピンピンしているのであれば現場を離れた俺の判断は間違えていないってコト。

 

 

「ほんで、ご主人様はコイツらをど〜んな感じに処理するおつもりなんで? わざわざ隷属の紋章に命令してまで手加減させたってことは、なにか使い道ってヤツを考えてるんでしょう?」

 

「そうだ、と言えれば少しは見栄も整うのかもしれないがね。残念ながら、いまのところはなにも思いついていないよ。生きている限り選択肢はゼロにはならないだろう、程度のその場しのぎでしかない」

 

「確かに……情報を吐かせるにしても、そもそも大したモノ持ってなさそうですからねぇ。いまさらロプト教団に都合の悪い話を流されたところで、本当にいまさらなんで口封じする意味も無いですもんね」

 

 

 なにをやっても評価が変わらないなら、なにをやっても開き直れる。どうしてラノベの主人公をやってるチート転生者やチート転移者たちが正義に拘るのか俺には理解できないね。そんなんだからスローライフを目指すとか言いながらS級冒険者になってハーレムとか真逆の生き方することになるんだよ。

 

 

「ちなみに、だが。武器レベルは少しぐらい」

 

「知ってますかご主人様。人は偉そうな雰囲気でどんな経験も無駄にはならないって言いますけど、実際には消費した時間に見合うだけの利益を得られないなら、それは結局のところ無駄な経験なんですよ」

 

「……そうか。なら、さっさと帰るとしよう。多少なりとも収穫はあった、少なくとも無駄足にはならなかった。それでヨシとして帰って食事と入浴を済ませてさっさと寝るとしよう」

 

 

「……後悔、するぞ」

 

 

「うん?」

 

「ここで、オレたちを……生かしておいたこと、必ず……後悔させてやるぞ。なんの罪もない人々を、こんな……自分の手は汚さず、奴隷を使って好き勝手しやがって……テメェは、必ず、ブチのめしてやるから覚悟しておくんだな……ッ!!」

 

「ふむ……」

 

 

 なかなか活きの良いヤツ、おるやん。ボロボロだけど心は錦、って感じ? いいねぇ〜カッコいいぞぉ〜! 相手が俺でなければ捨て台詞として処理して貰えたのに、残念だったね? 

 

 

「そうか。ならばアドバイスに従い全員まとめて隷属の紋章を刻んでやるとしよう。抵抗されても逃走されても面倒だ、探索者たちの意識を刈り取れ。うっかりトドメを刺すなよ?」

 

「「「「了解ッ!!」」」」

 

 

 ◯□◯□ー

 

 

 作業、完了です。

 

 全員黙れと命令してあるので静かなもんだ。40人に一斉に騒がれたら面倒だしうるさいしで教主様だって困っちゃうもの。憎しみを込めて睨まれるだけなら痛くも痒くもないんだな〜コレが! 

 いや、マジでコイツらどうしよう? 反抗心しかない連中だ、自主性を期待できない時点で手札として使うのは論外だろう。いっそのことステータスだけ剥奪して解放してしまうのも手か? 表の探索者クランと揉めるのは確定したワケだし、逆に足手まといを仕込むことで牽制となったりならなかったりしたりしなかったりするんじゃないかな。いやわかんねぇよそんな政治的駆け引きチート転移でステータスは高くてもベースの知力は低いままなんだよ一般人舐めんな。

 

 

「旦那サマ〜☆ アナタのパッフェルちゃんが仕事を終わらせて戻ってきましたよぉ〜♪」

 

「ん、ご苦労。その様子だと、特に問題はなさそうだな」

 

 

 経験値は加算されてるのにフリルに返り血のひとつも付着してないもんね? 部下たちが誰だコイツみたいな表情している中でスカーレルとレブロブスのふたりだけものすご〜くイヤそうな顔して目を逸らした辺りからも、こやつが女神教団の暗部の中でも上位の実力者なんだろうなって想像できて楽しいね! 

 

 

「どうやら、同じ女神教団の暗部ということで多少の繋がりがあるようだな?」

 

「知ってるっていうだけで、別に交流があったワケじゃないわよ」

 

「むしろ交流なんて無いほうがウレシイぐらいなんだけどよ」

 

「なになに〜? ふたりともワタシみたいなキャワイイ女の子と知り合えてぇ、本当はウレシイくせにぃ☆ もぉ〜、て・れ・や・さ・ん♪ なんだから☆ 狼狽えんな下っ端ども、これから同じ組織で奴隷として働くんだ、過去のこたぁ水に流してやんよ。それに、カマ野郎が戻ってこれなかった理由も察したし、ゴリラのほうは裏切りっつーより神殿騎士の無能どもの尻拭いでココに派遣されてたしな」

 

「尻拭い? ……あぁ、そういうコト。良かったわねレブロブス、ここで“仕入れ”を担当していた神殿騎士たちが真面目な働き者だったら、アナタもアノ子も死んでたわよ」

 

「チッチッチ。こちとら表向きは敬虔な神父様として真面目に迷える子羊たちの悩みを聞いてんだぜ? 今回同行した神殿騎士たちがそーゆー部分でも信用できねぇ連中だってことぐらい見抜いてガキ庇ったに決まってんだろ? 結局ボスに助けてもらえなきゃ死んでたワケだがな!」

 

 

 いや〜出るわ出るわ女神教団のウラ話。いろんな血腥い頭の痛くなるような話題のついでにパッフェルが暗部の中でも黒薔薇の首輪、なんて異名を持つ始末屋だったことも判明した。

 危なかった、これで薔薇繋がりで茨の君とかそんな感じの二つ名を持っていたら、スカーレルにも珊瑚の毒蛇みたいな二つ名を名乗らせたくなっちゃうところだったぜ。似たようなゲームのエムブレムジャナイサーガの二つ名、ちょっと好きだったなぁ。ナヨナヨした見習い騎士の少年が黄金の騎士にクラスチェンジしたりとかね。

 

 

「ご主人様。お止めしなくてもよろしいのですか?」

 

「聞いていて愉快な話ではないのはそうだが、こうした会話も仲間として受け入れるための儀式のようなものだろう? ならば、あまり口を挟むのも」

 

「いえ、そうではなくて」

 

「うん?」

 

「わたくしたちはご主人様の奴隷として、ロプト教団の幹部(仮)として女神教団の後ろ暗い活動についても承知しています。しかし、あちらの方々はそうではないのですから、あまり余計な情報を与えるべきでは無かったのではありませんか?」

 

「あちらの方々? …………あ」

 

 

 いたわ。

 

 ついさっき自分で奴隷にしたオーディエンスが40人以上いるの放置してたの忘れてたわ。んも〜、俺ってばうっかりさん☆ ハイ、これで面倒だし解放しちゃおっかな〜という選択肢は消えちゃいましたね! リロールのコマンドは何処かな? 実装してない? そう……。

 

 

「こちらの配慮が足りていなかったとはいえ、聞かれてしまったのではこのまま解散というワケにもいかんな。仕方ない。────命令を与えよう」

 

「ひとつ。女神教団の名誉を貶めるようなことを口にしてはならない」

 

「ひとつ。女神教団の教義に反するようなことを口にしてはならない」

 

「ひとつ。女神教団の活動を否定するようなことを口にしてはならない」

 

「ひとつ。女神教団の布教に不都合となることを口にしてはならない」

 

「そして……ひとつ。女神教団の神器ライナロック復活の儀式に関する分野で、それが弱者の生命と尊厳を踏み躙るような行いであったとしても────お前たちはそれを正義であるとして受け入れ称賛しなければならない」

 

 

 たぶんコレが一番早いと思います。最適解なのかは知らん。だがコイツらを好き勝手に喋らせるのがろくでもない未来に分岐するのだけは確かだと信じている。相手は国家ではなく宗教団体、その気になれば中立地帯であろうと些細な口実でなんぼでも踏み込んでくることが可能だろう。

 ならばどうする? できる範囲でコントロールを試みるしかない。闇市の中……は管理会の負担ばかりが大きくなるので、ちょっとだけ彼らにとっては愉快ではない損失が出るかもしれない可能性を気持ち程度に俺の個人的な感想レベルでお話してからスラム街にコイツらの拠点を適当に設置してしまえばいい。ロプト教団に奴隷にされた反抗的な探索者が敬虔な女神教徒として集い反撃を企んでいると知れば、少しはそっちに流れてくれる……かなぁ? あとでクロードとルカに相談しようそうしよう。

 

 取り敢えず……取り敢えず……コイツらも使って犠牲になった村人たちを弔うとしようか。マンパワーこそ正義、だいたい人数さえ確保できれば大抵の作業は捗るのだ。せめて祈りぐらいは本気で真摯に捧げるとしよう。此方の世界どころか日本の御経も知らないけれど、転移者の俺の存在に神竜ナーガが気付いているならきっと彼等の魂も救われる……だろうか。できるならガイウスもソラネルまで連れて行ってやれば……いや、それは俺の自己満足だな。いまは考えないでおこう。




(またメンバー増えてきたし、もうひとりぐらい加入したらまた盗賊のメモでお茶を濁そう……)
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