百階層攻略後に日本に帰れる(かもしれない)ゲーム転移。   作:はめるん用

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☆外伝☆先輩はお助けパラディン・後編

 ロリ系で二刀流のメイドとヅカ系で一刀流のJKは好きですか? 僕はとんかつには直接ソースをかけずに千切りキャベツにかけてからインターセプトして食べるのが好きです。やっぱり衣のサクサク感は大事にしないとダメだと思うんだ。

 

 

「困りますね〜学生さん、お仕事の邪魔されちゃ〜さぁ〜。この闇市でぇ、ロプト教団の教主として崇め奉られてる旦那サマに斬りかかろうとしたんですよ? コッチはモノ知らずのガキに2度と愚かなマネをしないよう躾をしてあげようとしてるだけなのにぃ〜」

 

「闇市には近寄ってはいけない、という約束を破った手前、あまり強く反論できないのはそうなのだけれどね。暗黙のルールで成り立つ秩序を乱したことについては謝罪させてもらうけど、だからといって同じ学園の後輩たちを見捨てられるほど堅物ではないんだ」

 

 

 おぉ、空気がカラムーチョぐらいヒリヒリしてるぜぇ……ッ! まぁそなるわな。なにも知らないのは学生たちだけで闇市の住人の皆さんはシリウスとパッフェルが同じロプト教団のメンバーだって知ってるんだし。またなんか教主が悪巧みしてるぞ、面白そうな催しが始まるぞ見とけーぐらいの温度感なのはしゃーない。

 

 そして鳴り響く剣と剣が衝突する軽やかな金属音。転移してからそれなりに鉄火場を潜らされたおかげで違いの分かる男になってしまったから気づける紛い物の音だ。本物の戦闘音楽はもっと鈍くてネバネバしてるからな。実に不快なほどに。

 気分はタイトル画面を放置して流れるデモ戦闘を見てるだけ。聖戦の系譜はクリア回数で内容が変わるの大変だったなー。アイラとアーダンの模擬戦が面白くて頑張ってカップリングしたっけ。壁の多い屋内マップなら剣士系とアーマー系を組ませるのも悪くないんだけど。

 

 

 あー、いかんいかん。目の前の戦いに集中しないと。空気読んで黙ってるだけの闇市の住人と違って学生諸君の眼差しは真剣そのもの。そんな中で元凶のひとりである怪しい教団の教祖がみそ汁すすってたら緊張感なんてあったもんじゃねぇ。

 

 しかし……ステータスの差も当然だけど、やっぱ本人の経験値が段違いだからか一方的だな。わざとらしいほどパッフェルは忌々しいとでも言いたげに細身の剣とキルソードを操ってるが、それを鋼のナイフとミストルティン(偽)で受けるシリウスに合わせて演技してるのがよくわかる。

 ふむ。そろそろ横やりを入れる頃合いか。学生たちもシリウスが有利と思って気が緩んできたところだし、場面を切り替えて俺が立ち去るタイミングを作るとしよう。あぁ、くそ。まだご飯食べ終わってないのに。お残しなんてしたらロプトウス様から天罰が下ってしまう、こっそり包んでお持ち帰りにしてもらおう。教え導く立場の人間が食べ物を粗末にするなんて許されないよ。子どもたちの手本にならんと。

 

 そうだなー、やっぱ強キャラ感マシマシで俺が止める感じの流れを……せや、闇魔法でハッタリかましたろ。パッフェルの足下からミィルで闇を発生させて、なんか剣っぽく形を整えて周囲をフワフワ浮かせたら似合うんちゃうか? イメージ素材なんてなんぼでもありますからね。

 

 とりま隷属の紋章にメッセ入れて〜

 

 

『(`・ω・´)ゞ りょ☆』

 

 

 意思疎通、ヨシ! 隷属の紋章くんマジ優秀。紋章って一体なんなんだ……? システムという名の自由意志? ワシ転移してからずっと世話になっとるし今度お供えものとかせんとアカンちゃうやろか。

 

 よっしゃ、ほならミィルで浮遊する剣作るどー。

 

 パッフェルの足下から漆黒の球体をポコポコ湧かす。生半可な数だと受け切れると思われちゃうので20本くらい大盤振る舞いしておこう。攻撃に使うのは厳しいが、お遊び程度なら俺にもできる。

 ロプト教団の教主として伊達に子どもたちに魔法の人形劇などを披露していたワケではないのだよ! シンデレラを上演してたらたまたま見てた娼婦の人たちからガラスの靴とか絶対履きたくないって突っ込まれたっけ。

 

 ふよふよ〜、からのこねこね〜。

 

 

「思ったより頑張り屋さんな学生さんに特別サービス☆ ほんのすこぉ〜しだけ本気を見せてあげちゃうゾ♪ ────泣いて詫びて血を流しながら喜べ、ハデに踊らせてやるよハニー」

 

 

 いい、笑顔です。

 

 マンガなら1ページ使って表現されるヤツですわ。手持ちの剣2本を地面に突き刺して両手を開いてるのもポイント高いぜ。さすがは本職と言ったところか。

 学生たちの反応は……そうそう、そういうのでいいんだよ。いま、自分たちが危険なエリアに踏み込んでいて、大人たちが安全に配慮してくれたから無事だってことを理解してくれたことだろう。

 

 ま、いうて彼女らは大事な英雄候補だからな。あんまり怖がらせてロプト教団への対抗心まで萎えてしまったのでは困る。

 

 

「そこまでにしておけ」

 

「えぇ〜? ここからがお楽しみの時間なんですよ〜? それに、闇市で旦那サマにわざわざケンカを売りに来てくれたんですから、とびっきりの高値で買い取ってあげなきゃカワイソウだと思いませんか〜?」

 

「無鉄砲も若さ故の可愛げというものだよ。それに、1度くらいならば子どもたちの失敗を笑って許してやるのも大人の役目だろう。食事の邪魔をされたのは面白くないがね」

 

 

 暗黒司祭はクールに去るぜ。食べ残しのテイクアウトは物陰でものごっつ渋い顔で「また胡散臭いことやってんぞアイツ」て言いたげなアーリィに任せよう。

 

 

「んもぉ〜、仕方ないですねぇ〜。ま、旦那サマが許すと言うのであればワタシはそれに従うだけですけどぉ〜。命拾いしたね☆ クソガキども」

 

 

 パチンッ、と指を鳴らすパッフェル。ミィルの闇を適当に蝶々の形にして散らせばアラ不思議、仮面の下で苦笑いしているシリウスの後ろで学生諸君が苦虫を噛み潰したような顔に! ちょっと面白いからって調子に乗りすぎたか……。

 

 

 ◯□◯□ー

 

 

 で。

 

 ホームに戻ってしばらく。

 

 

「いやぁ、アクシデントに助けられた形ではありますが、ロプト教団から英雄学園に人材を潜り込ませることが出来ましたな。えぇ、えぇ。もちろん手前どものほうで仕込みは終わらせておきましたので、教主様がご心配なさるようなことはございません。あ、こちらお持ち帰りのお包みになります」

 

「丸投げした私が言うのもなんだが、仕事が早いな?」

 

「どんなに清廉潔白な人間でも、100人集めれば10人程度は必ず堕落するものですから。充分な資金をご用意していただけたのですから、これぐらいはして見せなければ商人としての矜持に関わるというものでしょう」

 

 

 働きバチの理論は異世界でも通用するのか。そもそもFEの同人ゲームが元ネタの異世界だもんな、人間の欲望が渦巻いてる集団なんか奴隷商人なら付け入る隙はいくらでも見つかるだろう。原作からしてストーリーが勧善懲悪では終わらないのが魅力でもあるワケだし。

 問題は今後の展開をどう動かすかだな。せめてボスフロアの攻略が終わってからならゆっくり考える余裕もあったんだけど。1度にふたつの盤面を操作するとかムリですが? リセット禁止縛りの難易度ルナクラでマルチタスクとか人間のやることじゃないよ。アレはRTA走者の特権だと思う。

 

 

「……計画の変更が必要か。神竜の塔の攻略と女神教団への調略、どちらも同時にやらねばならんのが異教徒の教主の辛いところだな。もちろん私は自分の限界を知っているので独り抱え込むようなことはしないがね」

 

「手前どもで協力できることであれば喜んでお手伝いさせていただきますが」

 

「いや、まずは目先の戦いを乗り切ることを考えようと思ってね。こうなっては手札を惜しんでいる場合でもあるまいよ。まぁ……利益を得ようとしているのに、危険だけを都合良く払い除けようという考え方は甘いのだろう」

 

「あるじ殿ー、雷神刀を使うのであれば是非ー。千回でも万回でも素振りでもなんでもして武器レベルを上げてみせます故にー」

 

「期待しているところ済まないが、今回は別の手段を取ることにしようと考えていてね。もっと単純で、もっと簡単で……私の手札の中では最も危険な手段になってしまうが」

 

 

 シリウスをひとり敵地に送り込んだ。

 

 暫くすれば保護したガイウスも入学させる。

 

 心の底からイヤだけど、リスク無くしてリターン無し。本当に、本当に、ホンッッッットに嫌だけど危険から逃げ続けるワケには……ワケには……逃げてぇ〜な〜俺もな〜。危険から全力で逃げてぇ〜よな〜。命は、ひとつしか無いから。

 

 だが、俺は使うッ! 

 

 いまこそエリクサー症候群を克服するときッ!! 

 

 

 ────やるか、神器と紋章石の組み合わせ。人間が竜に挑むのであれば、英雄になるしかないのだから。竜狩りは誉れだからね、仕方ないね。

 でもイザというときに備えてマフーで抑え込めるよう光属性の含まれてないヤツにしよう。でぇじょうぶだ、手加減スキルを使えば死にはしないし精神がちょっとアレしてもリカバーの杖がある!




 なおゲームにて状態異常を回復するのはレストの杖。
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