百階層攻略後に日本に帰れる(かもしれない)ゲーム転移。   作:はめるん用

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次回こそ第40階層の攻略始めるから!

 判断は冷えた頭で下すのは基本中の基本。決して深夜テンションで戦略系のゲームを遊んではいけないし、異世界とはいえ他人の命を動かす立場なのであれば尚更のこと。

 

 だから、しっかり睡眠を取る必要があったんですね。

 

 

「たのもぉぉぉぉッ!!!!」

 

 

 一応これでも闇の教団っていう設定で活動してるのに、朝一番で来客があるのは違うだろイメージ的に。でもミニマップくんは中立的味方の緑ではなく自軍扱いの青で歓迎してるし、ここはちゃんと出迎えておいたほうが良いのだろう。友好的な人物なら丁寧に対応して損はあるめぇ。

 

 

「ようこそ、ロプト教団の総本山へ。入信希望かね? なら、まずは闇市の子どもたちと一緒に朝のロプトウス体操を覚えるところから始めてもらうことになる。目覚ましの軽い運動は健康に良いからね」

 

「おぉッ! それは実に素晴らしい心掛けですなッ! して、そのローブ姿、ウワサのロプト教団の教主殿とお見受け……いや、ここは己のほうが先に名乗るのが礼儀だな。失礼した。自分は帝国の、いや元帝国重装騎士団の……まて、下手に名乗ればその時点で了承無く厄介事に巻き込んでしまうも同然ではないのか? むむ、むむむ。むむむむむ……ッ!!」

 

 

 これは善人。間違いない。

 

 

「ふむ。気遣いには感謝するが、もとより我々は邪教徒だよ。キミが他者の不幸を願うモノではないと自分自身の誇りに誓えるのであれば、まずは用向きを聞くとしよう。名乗るかどうかはそのあとで構わんよ」

 

「おぉッ! それは助かり申すッ! 実は人探しをしておりまして、自分と同じ帝国の人間で、国家ではなく個人に槍を捧げたロイヤルナイトで、年齢のわりに若々しく顔立ちが整った人物がこちらのロプト教団の一員として活動しておられると聞き及んでおりましてな」

 

「目当ての人物なら朝の鍛錬に出かけているよ。そろそろ戻ってくる頃合いだろうが。キミ、朝食は済ませているかね?」

 

「むむ、知らぬうちに腹の虫でも鳴りましたかな? いや、情けない話ではありますが帝国を褒められたのではない形で飛び出しておりますので、節約のために食事をケチっておりましたもので」

 

「我が教団の教導騎士がキミの目的の人物かはまだわからないが、それはそれとして朝食には招待しよう。祈る神が違ったとしても、困っている者に手を差し伸べるのも宗教の仕事だからね」

 

 このオッサンが言ってるのは確実にデルムッドのことだろう。ロイヤルナイトの元帝国騎士を訪ねて、同じように国を飛び出してきたらしいフォートレスがやって来た。コレだけで面倒事のタネだとわかるのはテンポが速くて助かっちゃうね!

 

 

 で。

 

 目的通り顔合わせが済んだのは良いとして。

 

 

「教主殿。まずは己に隷属の紋章を刻んでいただきたい」

 

「先に理由を聞こう」

 

「お力添えを頂くため己の命を……いや、この言い方は卑怯だな。己は教主殿とロプト教団の戦力を利用したいと目論んでおります。ならば、オレの命も────失礼、つい。えー、ゴホンッ! 己の命もまた使い捨てにされる覚悟を示さねばならぬでしょう。つまりは、単なる自己満足ですな!」

 

「ふむ。デルムッド」

 

「この男なら大丈夫でしょう。実力も、人間性も。但し、アストラ様個人のために槍を振るう自分とは違い、この男は帝国“の”騎士ですからな。それが責任を放棄してまで逃げ出してきたとなれば、まぁ、只事ではありますまい」

 

「つまりロプト教団にとってはいつものことか」

 

「そうなりますな! 賑やかで退屈知らずなのは結構なことです。心身共に衰えている暇がない」

 

「よかろう。ならば貴様は今日からロプト教団の騎士【ガラハッド】を名乗るがよい。重装の腕輪は用意する、あとで好みの物を選ぶといい」

 

「はッ!! ありがたく頂戴しますッ!!」

 

 

「それでガラハッド。お前が逃げ出すぐらいだ、帝国ではさぞかし愉快なことが起こったのだろう? アレか、ついに陛下がお亡くなりにでもなられたか?」

 

「おい、あっさりと先回りするな。不敬だぞ」

 

「ワシは騎士だ。賊の手先になった覚えはない。どれだけ豪華に着飾ったところで、無辜の民を食い物にするようであれば山賊の頭目と違いはない」

 

「その民を護るために国家という枠組みもまた必要で……いや、国家論など酒のつまみで充分だったな。いまここで話すほどのことでもない」

 

「……本当に、なにが起きた? あまりにもお前らしくない」

 

「毒殺だそうだ。まだ公表はされていない。いまは御病気による御療養中ということになっている。それと治療にあたっていた司祭が共和国からの刺客だとして処刑されたそうだ。己には信用できる侍従長からの手紙でな」

 

 毒殺……だと……ッ!? 

 なんだいつものFEか。

(※教主個人のイメージです)

 

「それだけでは弱いな。人が入れ替わっても国は残る。少なくとも帝国が傾きそうだという噂は大声で流れてこないのだから、文官たちも良く尽くしてくれているのだろうに」

 

 

「仮にも国のトップが毒殺されたのであれば充分過ぎるほど大事な気もするがね。リカール」

 

「真面目に領地の管理をしている貴族が2割。ここは説明はいらんでしょう。で、真面目に私腹を肥やしている貴族。これが4割。贅沢のためには生産性の向上が1番の近道だと考えている連中ですね。貴族階級の肩書を持った商人みたいなモンです。人は人材にして資源、贅沢を求めるからこそ無駄遣いを嫌い領民の生活にも気を使ってますので機能としての信用があります」

 

「合わせて6割。残りの4割がやらかしても2割余る計算か。涙ぐましい努力によって表向きは平穏、と。頭が潰れても問題なく運営が続いていることを流石と褒めるべきか、頭に求められていた役割がその程度しかなかったことを笑うべきか迷うな」

 

 それはそれとして私腹を肥やすために領地を豊かにとは。なるほど、全体の生活レベルが上がれば税収も勝手に増えるってのはストラテジー系や街作り系のゲームではお馴染みの流れだ。

 

 

「城に出入りする人間の勘定がどうにも合わんようだ。第二皇子が中心となって乱痴気騒ぎのために人を呼び付けているが、まぁ、権力と財力に溺れたのではその後は察して知るべし、とな。しかし、そこに女神教団が後始末に来るとなればまた話は変わる。大層な土産を持って帰るらしいが、金庫番が言うには貯えが特別に減る様子もない。なら、連中はいったいなにを持ち帰っているのだということになるワケだが……?」

 

「さて、困ったな。ロプト教団の教導騎士として教主殿に付き従っていたものだから、心当たりばかり多くてなにから話せばよいものやら」

 

 

 ほぅ、もしかして後継者問題の絡む権力争いですか。ネタの吸収が良く設定を愛用するラノベ作者もいるぐらいです。そこに血腥い宗教団体も添えられてバランスもいい。

 

 それにしても女神教団も働き者だねー。コレもしかして俺が原因? やっぱり第30階層を突破されたことに焦ってんのかね? 神器の独占というアドバンテージを揺るがせる存在は許せねぇよなぁ!

 別に独占はしてないのか……してないのか? いまさらだけど、俺の手持ちの神器が本物なら女神教団や各国に奉られているハズの神器は実際のところどういう扱いになってるんだろう? 本物だと思っていたのに急にこう、神々しいオーラが消えちゃったりしたとか。

 

 

 …………。

 

 この流れで神器解放するのか……俺……? 

 

 …………。

 

 …………。

 

 …………。

 

 …………。

 

 逆に考えよう。様々なトラブルに余裕を持って対応するためには、速やかに、まず、目先のボスフロアを攻略しなければならない。そのためには手札を惜しんではならんのだ。切札は使うべきときに使わなければタダの紙屑も同然だろう。

 どうせアレだろ? 第40階層も周回プレイ仕様になってんだろ? 氷竜の王がパワーアップして【暴走竜帝・碧】になってんだろ? 知ってるんだ俺は、詳しいから。結局アポカリプスで押し切ったから生き残れてるんだし、もう後先とか考えるのヤメヤメ。

 

 おっと、神竜の塔とは別に解決するべき目先の問題があったわ。

 

「ガラハッド。帝国で重装騎士と呼ばれるぐらいなら、守りの戦には期待しても良いのかね? 私が塔の攻略を進めている間の留守を任せたい。闇市の住人と協力して、知り合いの教会で生活している孤児たちを、女神教団の追手から守護って貰いたいのだが」

 

「孤児たちに……女神教団からの追手、ですと? ……むむ、むむむ! むむむむむッ! ────お任せ下され教主殿! この騎士ガラハッド、両手両足が砕け頭ひとつになろうとも! 幼き命を守護るため女神ミラのご加護などと嘯く不埒者など残さず噛み砕いてご覧に入れましょう! おっと、教主殿は攻略に向かわれるのですから見せようがありませんでしたな! ダハハハハッ!」

 

 

 ◯□◯□ー

 

 

「道案内、助かるぞデルムッド! 親切な方々に助けられロプト教団のホームまで辿り着けはしたが、闇市の地形はサッパリだからな! なに、コレでも警邏任務などもこなしてきたのだ、1度の案内で完璧に頭に叩き込んでみせるぞ!」

 

「懐かしいな。ワシは鉄の槍を、お前は鉄の剣を携えて朝から晩まで見廻りを命じられたときを思い出す。もっと重要な仕事を任せてほしいと愚痴を零していたが……自分たちが護るべき街の姿を、人々の生活を知らずして騎士など務まらんというのにな」

 

「おう、その通りだ! 騎士たるもの、なんのために戦うかを知らんのではな! ……いまはアストラ様と名乗っておられるのか。元より槍の鍛錬には真面目な御方であったが、ますます善い顔付きになられた」

 

「酷いか? やはり」

 

「第二皇子はもう無理だ。腹の肉が邪魔で槍も馬もな。他も姦淫で頭が蕩けて政治のことなど抜け落ちて────いや、ひとり」

 

「……第五皇子か。あの御方は皇帝の座よりも英雄王の街ばかり気に掛けておられたが」

 

「陛下が御存命の頃から人目を盗んでグラディウスを振り回していたらしい、が……あるいは、陛下も敢えて黙っておられたか。事実、ステータスはもちろん槍の武器レベルも決して低くない。あとは、確か……そうだ、なんでも()()()()()()()がどうとか仰っていたらしいが」

 

「星の導き? 第五皇子は占いなど好みそうにない印象だったが。しかし、神器であるグラディウスをなぁ。……聖盾アイオテはまだわからんが、辻褄は合うな、それなら」

 

「うん? なんの話だ?」

 

「教主殿が罰ゲームでゲテモノを飲まされたのは妥当な結末だった、というだけの話だ」

 

「なるほど! わからん!」

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