ファイル#05「インタビュー記録████」を開きます……
対象:SCP-████
インタビュアー:瀬戸博士
<録音開始>
瀬戸博士:調子はどうですか、SCP-████?
SCP-████:何だか……妙な感じです。
瀬戸博士:どうやら再構築に伴う変化にまだ慣れていないようですね。
SCP-████:再構築……再建ではなく?
瀬戸博士:ええ、これは再建ではなく再構築です。これは単なる世界の建て直しではなく、根本的に異なる法則を有した世界線を作り直したのです。
SCP-████:えっと……よく分からないんですが、それは世界中の人々に気付かれないものなんでしょうか?
瀬戸博士:多くの人々は気付かないでしょう。人の認知というのは我々が想像するよりも脆いもので、明確な痕跡の残る現実改変すら数値化しなければ理解できないのですから……しかし、いつか誰かがあなたのことに気付くでしょう。
SCP-████:そうしたら……僕はどうなるんでしょうか?
瀬戸博士:大丈夫、どうにもなりません。だって、ここはもう『そういう世界』なのですから。
SCP-████:それは、どういう……?
瀬戸博士:これはあなたも望んだしあわせなのです。あなたの願いがこの世界を創りました。あなたは常々思っていたのでしょう? 自ら望んで成ったわけでもないのに、タイプグリーンになった途端に対話の余地すらなく終了されるのはおかしいと。そういった事情も含め、あの世界にはたくさんのおかしな部分がありました……その部分こそが、大勢に望まれたものだったのでしょうが。
SCP-████:……そうですね。皆、現実改変者はすべからくメアリー・スーだと嗤い、デタラメな機能を持った頭が鉛玉で吹き飛ぶのをさぞ楽しんだのでしょう。しかし、それはおかしいと思いませんか? たとえ改変能力がなくとも、あの世界には他にもメアリー・スーなんて五万と存在したのです。
瀬戸博士:デタラメな出来事の何が悪いのでしょうか? 日々無意味な死体が積み上がるのは良くて、誰も傷つかないイタズラ合戦は悪い? 最初に許容されていたものが、後から入ってきた人々の声高な世界観とやらの主張で押し潰されていきました。
SCP-████:たとえありきたりだと嗤われても、僕はしあわせになりたいのです。
瀬戸博士:悲劇はあなた達の傍にいくらでも転がっていて、何も珍しくありません。だというのに、何故創作の中でまで悲劇を求めるのでしょうか?
SCP-████:少なくとも、僕は悲劇を望みません……たとえそれが悪いことだとしても。