受肉体、緑谷出久   作:助5103

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第十二話「洗脳」

12話「洗脳」

 

 

「それで、どうすんの?」

 

 

 

「緑谷出久は」

 

 

神野区に在中する一棟のビル…その一室には、悪名高い者達が集っていた。USJ襲撃以降顔を出すことがなかった手に覆われた不気味なヴィラン“死柄木”。そしてモニター越しで彼と会話している謎の男はこの裏社会の王“オールフォーワン”。

彼はヴィラン連合を統べる司令塔であり、リーダーである死柄木の“先生”という立場に当たる。今はまだ、オールマイトとの過去の激闘によりその姿を見せる事は滅多にない。そして薄暗い部屋の中で、包帯を巻いた死柄木が緑谷の件について切ってかかった。

 

 

 

 

「切断や斬撃を放つあの異能…本当は是が非でもこの手中に収めたいと思っているのだがねぇ…ここまで手を焼く相手だとは思わなかったよ」

 

 

「すまないねぇ弔…怪我をさせてしまって」

 

彼は普段から飄々とした態度をとっているのだが、今回ばかりは自分の失態だと思っているのかいつもの癪に障るような口調ではなかった。その訳として襲撃の際に死柄木は撤退する前に宿儺の斬撃を微かながら喰らってしまったからだった。

 

 

「別に」

 

 

「そんな事いいんだよ…アイツを捕える策があるかどうか…それが知るのが重要だろ」

 

 

 

「そうだね…」

 

気づけば、扉の横には寄りかかる二、三十代の男が少年の名前を呼びかけていた

 

 

「死柄木」

 

 

 

「久しぶりだな」

 

 

義爛

敵連合への人材斡旋やサポートアイテム提供など、後方支援をする裏のブローカーであり、常に笑みを浮かべながら商談を進めどこか掴み所のない雰囲気を兼ね備える持ち主。今回は、ヴィラン連合の新たに参入した“荼毘” “トガヒミコ”等計画に必要な人材を確保しつつある。

 

 

 

「オールフォーワン」

 

 

「新たな仲間のお出迎えだ」

 

 

その最中で彼はまた新たな仲間を引き連れた。それが義爛がアジトに足を運んだ理由である

 

 

「どうも」

 

 

「…お久しぶりですね、オールフォーワン」

 

 

「…」

 

 

ふらり…と優雅に現れたのは世間的に見ればそれは端正の整った女性であり、それでいてどこか妖艶な雰囲気を醸し出す様子でオールフォーワンに面識のある台詞口に出す。

 

 

 

 

「失礼だが…」

 

「初めまして…ではないかな?」

 

 

 

「…あら、私の顔をお忘れで?」

 

 

 

「…残念ながら、今初めて知る顔だよ」

 

“soundonly”と表示されたビデオで彼女と会話するオールフォーワンは服装やその姿を見れずとも、彼女に面識はないと本人にきっぱりと伝えた。しかし、それは只者ではないオーラを放っているのは画面越しでも強く伝わっている。

それは死柄木も同じで五条袈裟と呼ばれる服装で上品に身振りを見せつけるその女性には思わず魅了されてしまう

 

 

 

「そうですか」

 

 

「では…改めて自己紹介をしましょう。私の名は羂索、勿論これはヴィラン名と呼ばれるもの…以後お見知り置きを」

 

 

「…よろしくね、羂索クン」

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

連合の暗躍が進んでいるとはつゆ知らず、現在の雄英は体育祭の盛り上がりを最高潮に上げ障害物競走と騎馬戦の二種目を終えた僕は、波乱に揉まれながらも最終種目であるトーナメント形式の試合が始まろうとしていた。

午前はレクリエーションを挟んだ娯楽が開催された。これには騎馬戦まで通過出来なかった者、そして試合に出る者達が気晴らしになるようにと自由参加形式で各々が昼のイベントを謳歌していった。僕はというと参加する訳ではなくある人に呼ばれて人通りの少ない道へと待っていた。

 

呼ばれたのは他でもない、僕の幼馴染の爆豪勝己だ

 

 

「デク、てめぇ…」

 

 

 

ポケットに手を突っ込みながら僕の登場に待っていた彼は、顔を見た矢先に睨みつけながら

 

 

「何で呼ばれたか分かってんだろ、さっきの障害物競争

と騎馬戦で見せた“アレ”…」

 

「か、かっちゃん…」

 

 

 

「対人戦で見せたあの“黒い雷”は、テメェの個性だと心の中で決めつけていたが…」

 

 

「オールマイトみてぇに、超パワーを利用した身体能力を俺の目の前で見せつけた」

 

 

 

「テメェ、一体何なんだ?」

 

 

 

「…ごめん」

 

 

 

 

「そればっかりは、言えない…」

 

 

「どうしても言えないんだ」

 

 

 

 

「…」

 

 

「そうかよ」

 

 

 

 

 

「じゃあいいわ」

 

 

 

「てめぇがどんな能力を身につけようと」

 

 

 

「俺は全部ひっくり返して上を行く」

 

 

 

 

「その事には変わりねぇ」

 

 

 

 

「…」

 

 

 

「かっちゃん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「お〜い!デク君〜!」

 

 

 

ひとしきり長い通路を駆け足気味で歩み寄る麗日さんが僕にそう呼びかける。「そろそろデク君の試合が始まるよ」と言われた瞬間、固まっていた身体がほぐれ急いで試合場へと足を運ぶ。

ここまでは一瞬の出来事のように感じるけれど僕は早歩きの中でこれまでの事をふと振り返った

 

 

第一種目の障害物競争は個性使用ありのなんでも

レース。生徒達は己の特技を用いて一の数字を取り合ったが、僕はオールマイトから受けた訓練によって身体能力の強化によってなんとか一位をもぎ取る事が出来た

 

 

『さあて、早速始まったぜ…って言ってる側からもう第一関門まで入っちまってんじゃねぇか!しかも先頭は入学当初から話題沸騰の緑・谷・出・久‼︎スーパールーキー!』

 

 

『まったくどうなっちゃってんのお前のクラスはぁ⁉︎』

 

 

 

『さあな…ただ…アイツは以前よりもメリハリのある動きをするようになった…入試のような力任せに払うアレとはだいぶ変わった』

 

 

 

『少なくとも…使い方を“学んだ”と言ったところか…』

 

 

 

僕が流れている“呪力”というのは感情由来で働く物であり、己の負の感情を律する事でそのパフォーマンスを発揮する事が出来る。そして今、完全ではないが僕はオールマイトとの秘密の特訓により緻密な操作とコントロールを実現させた。足、手と身体全体にまで纏わせ普通なら壊せないものを可能とし、到底辿り着けないような場所へと届く事が出来る。

まさにそれは、オールマイトの“超パワー”のように

 

 

 

 

そして、一位へとなった僕を待ち受けたのは第二種目の騎馬戦だった。一位になった事で得た1000万Pという桁外れの得点を胸に抱えその点数を奪い合う騎馬戦で僕は苦戦を強いられた

ポイントが開示された時に向けられた視線は今でも忘れられない

 

 

「だ、誰か…僕と組みませんかぁ〜…?」

 

 

当然、後半から奪う方が得策である為安易に近づいて組もうという人間はおらず右や左を見て途方にくれていた。そんな見渡している僕の前に麗日さんが現れたんだ。

 

 

「組もう!仲良い人と組んだ方が、絶対に良い!」

 

 

カラッとした笑顔で発したその言葉に自分でも気持ち悪いと思うほどの顔で、僕は麗日さんの参加を快諾した。その後も、常闇くんとサポート科の発目さんという女の子の四人で騎馬戦に挑んだ。結果は惜しくも四位であったが、常闇君のファインプレーによってなんとか滑り込みで最終種目の参加へと漕ぎ着ける事が出来た。

 

 

 

「今思えば、結構ギリギリで戦ってる所があったなぁ…」

 

 

「まぁ、元々器用な方でもないし当然っちゃ当然か…」

 

 

 

でも、かっちゃんの言った一言を再び思い出す。

 

“俺が全部ひっくり返して上をいく”

 

 

直接的な事は言わなかったが、これは僕が勝ち進むのだろうと信じてそう放った言葉なのだろう。つまりは、僕はここで負ける訳にいかないという事。例え、どんな相手でも

 

 

 

「緑谷」

 

 

「あれ…お、尾白君!?なんでここに」

 

 

「ちょっと…急いでる所申し訳ないんだけど、二言で済ますから」

 

 

「え?」

 

 

「君の対戦相手の事だけど…」

 

 

「何があっても、アイツの耳を貸さない方がいい」

 

 

 

 

僕は駆け足で遠くなっていく尾白君を見て、僕は忠告とも取れるその言葉を受けて僕の対戦相手の名前を思い出す。その名は、心操人使…噂ではヒーロー科ではない唯一の普通科の男の人…

 

 

 

「一体どんな人なのか…」

 

 

「いや、気押されるなデク…」

 

 

「僕は勝たなきゃならないんだ…オールマイトの約束の為に…!」

 

 

 

出口へと出た先にはボルテージが頂点へと達した観客達を僕を出迎えるように歓声を上げていた…これが雄英体育祭…さっきから心臓がバクバクする!

 

 

 

『さあてareYou ready‼︎?いよいよ最終種目の第一試合が始まるぜェェ!』

 

 

 

『のっけからとんでもない対決になるかもしれねぇぜリスナーよ!入学当初からHOTな話題を呼ぶハイパールーキー!緑谷出久だぁぁ!』

 

 

マイクの饒舌な言葉で観客のテンションが更に上がり、歓声の雨を浴びる。

 

 

目の前にいたのは、心操君と思わしき人物…

 

 

 

「この人が…」

 

 

 

 

『vs!!普通科、心操人使!!』

 

 

 

 

『ready!!start!!』

 

 

 

「はっ」

 

 

 

マイクのゴングに合わせて僕は呼吸を整え心操君の元は距離を詰める。この試合の勝利条件は対戦相手の意識を奪うか場外へと追い出すか、僕は過度な攻撃は出来ないから、ここは安全策で場外を狙うしかない。何よりも、彼の個性はまだ分かっていない。

 

何故なら、その時間がなかったからだ。

 

 

「あの猿はプライドがどうとか言ってたが」

 

 

心操君が尾白君に負けた言葉を僕に向かってそう口にする。

 

 

「チャンスをドブに捨てるのはバカたと思わないか…?」

 

 

彼は僕が近づくのを気にも止めず続けて言葉を出した。心が揺らいでいるのが分かる。焦り、緊張、困惑、理解…色々あるのだと思う。一つだけじゃない感情が入り乱りあの時は尾白くんが発したアドバイスも頭に入っていなかった。

言葉を返さないというシンプルな忠告だったのだが、思わずその言葉を否定したくて、閉じていた口を開いてしまったのだ

 

 

それは、数刻程前…第二種目のリザルトが発表され最終種目に参加出来る人らがミッドナイトの説明を受けていた時の事だった。騎馬戦にて心操君と手を組んだ尾白君がいきなり挙手をし、こう発言した

 

 

「俺、棄権します」

 

 

彼は騎馬戦の初めから意識がなかったのだという。それが、心操の持つ個性の影響なのだろう…途中で目覚めた時には試合は終わっておりしこりが残る中最終種目に参加できてしまうという事実に尾白君は心の中から納得出来なかったのだろう。

 

ミッドナイトは何故かそれを興奮しながらも了承したが…

 

 

僕は尾白くんの高潔な意識にカッコいいとさえ思っていた。それを侮辱した彼を言われっぱなしで許せなかった

 

 

 

「何を言ってるんだ!」

 

 

 

 

それが、心操君の“狙い”だと言うのに…

 

 

 

「俺の勝ちだ」

 

 

 

そう勝利宣言した直後、僕の身体は鉛のように固まり身動き出来なかってしまった。

 

 

 

 

「な、なんだよ…緑谷動かなくなっちまったぞ!?」

 

 

 

「あれがアイツの個性なんだよ…あぁ、クソッ…せっかく忠告したのに〜…!」

 

 

瀬呂君が会場に指を刺して驚いていると、尾白君が彼の個性について話し出す

 

 

 

「心操の個性は“洗脳”…返答した相手の意識を奪っちまうんだよ…!」

 

 

「俺はあれで暫く乗っ取られて騎馬戦じゃアイツの言いなりだったんだ…!!」

 

 

 

 

 

僕は彼の個性に的中し、意識が段々と落ちていく。思考能力は残されているが神経が切り離されたかのように身体の自由が効かなくなってしまったのだ。

 

 

 

「(ちくしょう…!)」

 

 

 

 

「(尾白君に…忠告してもらったのに…本当に馬鹿だ…!!僕は…!)」

 

 

 

 

「(この…ままじゃあ…)」

 

 

 

心の中で語りかける声が聞こえた。低く、そして冷酷なその男の声は…聞き覚えのあった

 

 

「貴様つくづく下奴に負けるな…小僧」

 

「宿儺…」

 

 

「そ、その姿…」

 

 

僕が彼を見る時は僕と全く同じ姿で現れるのだが、今回はまるで違っていた。腕が4本あり、腹に口があり…それは異形系と言われても人の姿とは思えない恐怖の現れのような姿で宿儺は僕を見下ろしていた。

 

 

「まぁ、見せるつまりはなかったのだがな」

 

 

 

「これが“俺だ”」




大体カットですがすみません!ですが、ここから先は原作から少し離れると思いますのでご理解を…!
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