受肉体、緑谷出久   作:助5103

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第二話「刻まれる力」

二話 「刻まれる力」

 

 

 

 

 

 

 

次に僕が目を覚ましたのは、焼きこがれた商店街の中だった。ヘドロヴィランは僕…いや、あの時見た“あの人”が少し意識を乗っ取って蹴散らしたのだという。

その数秒後、意識の持続が難しく再び僕の中へと戻ったのだろう。僕が勝手に突っ込んだ、そしてアイツをやっつけた(そう思っている)という事で周りのヒーロー達からお咎めと賞賛の声を投げかけてくれた。

対するかっちゃんも、数分間も恐怖に耐え切った事に対してヒーロー達から褒めの言葉を貰っていた。

 

 

それから、ヘドロ事件による終止符はこれで打たれた。後からオールマイトがタッチの差で現れたが、未成年が退治したと記事にしたら色々と問題になる為、翌朝の新聞には

   『オールマイト ヘドロヴィランを軽快なパンチにより派手に蹴散らす‼︎』

という見出しが大々的に報じられていた。それに対してショック、というのは不思議となかった。何故かというと、あの時の記憶は僕がアイツの元に突っ込んだ時から先は記憶が飛んでいたからだった。

 

それ以来、嵐のような出来事が過ぎてからというものの今まで通りの生活へと戻り…持ちきりだった話題は時がたつにつれ人々から忘れ去られ

 

 

 

 

そして、“あの人”が僕に前に現れる事も 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶりだな小僧」

 

 

 

あった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

受験当日____________

 

 

 

 

 

 

僕は、本当に雄英に受かる為に試験会場にいた。

試験は簡単にいえば二つ、通常の高校と同じような筆記試験と個性を用いて模擬戦闘のような物を行う実技試験…

筆記に関しては勉強さえしていれば僕だってなんとかなるのだろうけれど、問題は実技…

 

 

「(本当に出来るのかなぁ…)」

 

 

プレゼントマイクの小粋なジョークを交えた試験説明を横に僕は人の字を手のひらに書き続け平静を保とうしていた。

 

 

正直、今の僕はまともに説明を聞ける精神状態ではない。

 

 

 

しかし

 

 

 

 

僕はそんな思いをしても雄英の試験に受かったのにはある“秘策”があるからだ

 

 

 

 

それは、当日より半年も前だ…

 

 

 

 

 

 

『久しぶりだな、小僧』

 

「…」

 

「ぎぃやぁぁぁぁぁああああ!!!」

 

『甲高い声を出すな…けたたましい』

 

「あ、ああ、あ、あ…!」

 

 

 

僕のほっぺたに突如として現れた謎の口…そこからあの時に会った“あの人”の声が聞こえた。

 

これはなんだ?個性?もしかして僕は遅咲きの“異形型”だったのか?

 

 

「あの…この口ってなんですか?」

 

『…細かい事を気にするな』

 

これを細かいと言ってしまえば、僕は何を驚いたらいいのだろうか…

 

 

『もう一度聞く』

 

『貴様が能力のもたぬ凡夫なのは本当なのだな?』

 

「は、はい…」

 

 

  

ぼ、凡夫って…この人、この言い回しといい…昔に生きた人なのか?

 

 

『個性、といったな…まぁ呼び名なぞどうでもいい…オレにはそいつが備わっている…』

「え!?」

 

『遠回しにいえばオレは貴様の個性という事だ…至極不快だがな…』

 

「な、なんですか!?貴方…えーっと…」

 

『宿儺…』

 

『宿儺と呼べ』

 

 

「す、すくなさん…その個性って一体なんですか?」

 

 

『“斬撃”…飛ばしたり相手に触れてからより強い斬撃も飛ばす…阿呆に分かる単純なものだろう』

 

「は、はぁ…」

 

「って、メチャ強いじゃないですか!?それ、色々使えますよ!?ヴィランに対する抑圧行為だったり、災害救助だって邪魔な障害物を取り除いたり…ただ人に危害を加えぬよう出力を抑えた斬撃を出さないダメだから調整と規模を」

 

 

ぶつぶつといつもの癖が出てしまう。人の個性とかそういうのを聞いちゃうと自分の中で無駄な考察を繰り広げてしまう。

故に、過去のヒーローの情報を取りまとめる“ヒーローノート”を作るのが僕の唯一の趣味のようなもの…

 

 

 

『うざ…それをやめろと言っている…』

 

「ごめんなさい…」 

 

『まぁ、お前がそれを使えるとは一言も言ってないがな…』

 

「」

 

 

それを先に言ってくれれば、こんなにも胸を踊らせる必要はなかったのになぁ…

 

『あくまで使えるのはオレに精神の支配権を委ねた時…』

 

『以前の時のようにな』

 

「あの時…ですか」

 

『まぁ、せいぜい頑張れ…』

 

宿儺…あの人が一体どういう人物なのか、そしていつから僕の意識の中にいたのか…今思えば疑問の余地は色々がある…けれど、雄英以外に僕が行く場所はない

 

 

そして、挑戦するのなら…今しかないんだ!

 

◆◆◆◆

 

筆記試験は何事もなく終わり、とうとう来てしまった実技試験…

 

 

場所は代わり、広大なビル群が立ち並ぶ市街地…を模した専用の試験会場へと移動した。

この大規模なセットと作り個性を使用する実技試験の為、被害規模を想定したものらしい

流石国立…かける額が桁違いだ…

 

ここから僕達受験生は模擬専用ロボット型ヴィランを撃退してポイント稼ぐ…これを時間いっぱいまで行う事で合計数値を競うという、ここだけ聞けばカンタンな内容…

 

「(確か、中には0ポイントの奴も入っているんだっけか…)」

 

 

「本当に出てくるのかなぁ…?」

 

「はい、スタートォォ!」

 

 

「大丈夫かなぁ…」

 

「クソォッ、いきなり開始すんのアリかよっ」

 

「早く行かねぇと先に取られちまう!」

 

 

「…」

 

『おい』

 

 

「ぎゃあッ、きゅ、急に出た消えたりしないでくださいよぉ!」

 

 

『さっさといけ、とっくに始まってるぞ…試験とやらが…』

 

「え」

 

「もおおおお!早く言ってくださいよぉ!」

 

『つくづく愉快な奴だなお前は…』

 

走っても走っても、みんなの姿が見当たらない。

それもそうだ、個性によって人以上のスピードで移動しているのだからどう考えてもあっちの方がアドバンテージがある。

とはいえ…

 

「あっ…!」

 

出遅れスタートから約10分、市街地の道路をただ走るだけの時間を過ごしていく内に焦りと動揺が大きくなっていく。

しかし突如として向こう側に目にしたのは、僕より数百倍程ある0ポイント仮想ヴィラン…その特大サイズとポイント加算がされない事から多くに人達があの巨大マシーンから距離を置こうと反対側へと走っている。

 

「や、やばいっ…!僕も逃げなきゃ…」

 

 

『…』

 

「(!)」

 

当然、僕は今自分が置かれている状況を見れば他の人のように逃げようと判断した。

ましてや、スタートからまだ一度もポイントを稼いでいない。こんなとこであたふたしている暇なんて、僕にはない

 

 

そして、逃げようとしたまさにその瞬間…僕の目にとあるものが映った

 

仮想ヴィランの足元…その瓦礫の山にいた、女の子が、足を怪我をしていたのか一人逃げずに膝をついていた

 

そこから、僕は考えなしにあの巨大ヴィランに向かって走っていた。

 

『時間がないのだろう?」

 

「でも…ッ!助けなきゃ!!」

 

「あの人!あそこから動けないんだ!」

 

『…』

 

 

「だから……おわッ!?」

 

突然、僕が見ていた景色は早変わりし、“ヘドロ”以来から見ていなかったあの地獄のような心象風景が広がっていた。

 

「ちょ、ちょっと!?今話してる場合なんかじゃ…!」

 

『ここでの出来事は現実においての1秒も満たない時の流れで出来ている』

 

 

『いい加減俺に意識を渡せ…くどいぞ?』

 

「…それは、そもそも君が何者か分からないから…」

 

「あの時突然現れた人の、しらない力を信じて僕の身体を受け渡すなんて事は出来ないよ…」

 

 

「それに、君に手助けをしてくれた形で雄英に受かっても結局は僕の力じゃないし…」

 

『お前を手助けしてやるなど、一言も言った覚えもないが?』

 

「え」

 

冷たい目をしながら「阿呆が」と今にでも言いそうな顔つきで一刀両断された。

 

『俺はただ「力が欲しければ」と言っただけだ…お前に対し一方的なサポートを行った所で俺にメリットがあるか?』

 

『俺はお前がこれからどんな行いをしようが、どんな状況になろうがどうでもいい』

 

『しかしだ』

 

 

『俺の宿主である小僧が死ねば、同時に精神内にいる俺もこの世から消滅してしまう…』

 

『そうとなれば、流石の俺も手を出さざるおえないからな…』

 

「う…」

 

 

『さぁ、どうする?』

 

 

 

 

「…でも、でもでもッ!!」

 

 

 

『このままあの世に行ってもいいと?』

 

 

このままあの世…??聞き間違い、ではない…な。今この耳で間違いなく聞いた言葉だ。ただ、僕の脳みその思考が今暫くストップした。

 

「…あ、あの…世?」

 

 

『まだ分からんのか、小僧』

 

「お前はもう死んでいるのだぞ?」

 

呆れながら発したその言葉は、僕にとっては最大の衝撃であり、そのレベルを超え未だ実感も沸かないほどの信じらない発言にギャグ漫画のように目を飛びだしかけた。

 

 

「えぇぇぇえええええッッッ!!!!???」

 

『…一瞬過ぎて分からなかったのか?お前があの鉄の塊に向かって突っ込んだ時、吹っ飛んだ瓦礫に押しつぶされたのだ』

 

「え…ッじゃ、じゃあ…僕…もう…!?」

 

嘘だ、こんなとこで死ぬなんて

 

 

僕にはまだやる事がある。

オールマイトにもナマで会った事がないし、ましてや夢のヒーローにですらなってもいない…

 

それなのに、こんな所で終わるなんて…

 

 

 

嫌だよ…

 

 

「ケヒッ…」

 

 

 

『生き返りたいか?」

 

 

 

い、生き返り、たい…???

 

 

これも、聞き間違いじゃないよな…さっきから僕は宿儺さんの言葉をよく飲み込めれないな…

 

 

 

そう

 

僕にはまだ、“チャンス”があるようだ

 

 

 

「で、出来るんですか!?そんな事…!」

 

 

ヘドロ事件の時もそうだったけど、この人の人並み外れた発言には毎回驚かされいる…

 

 

『出来るから聞いている…ただし、お前にはある“縛り”を課してもらうが…』

 

 

「し、“しばり”…?」

 

 

『いわば契約のようなものだ…なんせ小僧、お前は既に命が尽きた身だ…それを無償に生き返らせる程俺は人格者ではない』

 

『まず、お前は俺の力でその命を再び吹き返させる』

 

 

『そして、お前に与える条件は二つ』

 

① 俺が『契闊』と唱えた時、俺に身体を明け渡す

 

② その度に明け渡した時間の記憶を“忘れる”こと

 

『お前がこの条件を飲み込めば、貴様を復活させてやる」

 

「…」

『まぁ、お前にとっては断る理由などない訳だが…』

 

確かに、彼の言う通り僕がここでNOという訳にはいかない。そりゃ、既にお前は死んでいるという発言をされてしまえば誰もが生き返りたいと思うのは当然の事、これが嘘でも本当でも、僕はこの現状を前に齧り付くように宿儺さんから提案された条件を飲み込んでいた。

しかし、今思えば…これが大きな“分岐点”であった事は冷静さを欠いたその時の僕にはてんで気が付かないでいた

 

「わかりました…」

 

「宿儺さん、お願いします!」

『契約成立…だな」

 

 

「おいッ!君、大丈夫か…?」

 

「…」

「君…?なぁ、大丈夫なのか!?」

 

「黙れ」

 

「だ、黙れ…?」

 

さて、久方ぶりの運動だ

身体の感覚がだいぶと鈍っているが、練習相手としてはあの鉄の塊が丁度いいだろうな

 

小僧な身体は俺に対して生まれつきかなり耐性がある、恐らく取り込んだ時点では他の人間とは身体の作りとその強度は並大抵の物ではない…

 

あくまでこいつが今までその力を“自覚”していないだけ

 

とはいえ、今の時点でどれだけ俺の力に耐え切れるか…

 

 

「さて…準備体操と言った所か」

 

 

 

試しに、このデカい鉄の塊と遊ぶとしよう

 

強く地面を蹴るだけで、軽く数十メートルを超える高さまで飛び、奴の顔面に拳を叩きつける。

 

「まぁ、こんなものか」

 

 

たかが試験用かつ子供騙しの玩具、対仕掛けもなかったか…

それに、今力を出したこの感じ…おおよそ「三本分」と言った所か…?

 

勢いよく吹き飛んだ鉄の塊はそのまま機体ごとビル群へと突っ込んだ

 

小僧の耳から聞いた話では、ここは市街地を模した仮初の街だと言っていたか…まぁ、本物でもニセモノでも暴れるに支障はない。

 

「しかしここまで発展しているとはな…遊び相手に困らないのは悪くない」

 

先ほどのデカいアレとは一段と小さい塊共が俺の方へと群がってきた。 

 

『標的発見‼︎ブッ殺ス‼︎』

 

 

「教育がなってないな」

 

 

 

 

 

 

    “解”

 

 

 

 

その術は、目をとらえる事も出来ない不可視の状態で俺が指した対象に斬撃を飛ばす通常の攻撃手段

 

今回は『三本分』である事から“あの時”より大分と劣ってはいるが、それでもあの塊を卸すには丁度いい…

 

 

視認した障害物を避けるカラクリが奴らには備わっているのだろうが、俺の術を見切る事が出来ず斬撃により綺麗に三枚に卸された。

 

 

 

「こいつらは特に面白味はないな」

 

 

 

「もしや、これで終わりではないだろうな?」

 

 

 

「準備運動とはいえど、少々力不足だが…」

 

 

「まぁ、久方ぶりの現世だ。もう少し遊んでやるか」

 

 

 

俺はこの街に存在する奴らを片っ端から切り刻んだ。

 

 

 

標的発見‼︎

 

標的発見‼︎

 

標的発見‼︎

 

標的発見‼︎

 

 

 

けたたましく鳴る警告音と、切り刻まれガラクタと化した残骸が落ちていく音が響き渡る。

それと同時に市街地に無数の刻まれた戦跡を残しながら他の受験生達を圧倒していった。

そこには感情はなく、ただ計り知れない力を仮想ヴィランにぶつけていくその様はまさしく人の形をした“災害”かの如く暴れ回る

 

 

 

 

 

 

終了まで約6分、宿儺の斬撃による猛攻により雄英内で存在している全ての仮想ヴィランの残数の底が尽き掛けてしまう事態に陥る。

 

これは近年稀にみる、いや…雄英の歴史史上において一度も前例が無かった程の“異常事態だった”

毎年行われる雄英の入試試験においてロボット破壊による得点を争う実技試験にはあらゆる想定と毎年叩き出される最も優秀な受験生の撃破数から統計をとった上で、駆り出される仮想ヴィランが会場内で尽きぬように想定より多くの個数を学校から年一に発注している。

これは、強力な個性と優秀な生徒が一方的なポイント稼ぎによって他の受験生がポイントが取れないという事態が発生してしまうという恐れがあるからだ。

 

しかし、総数のアベレージを遙かに超えようとするこの現状をモニター越しにて審査を行っていた雄英の教師達は宿儺の災害的パワーに騒然としていた。

 

「オイオイまじかよ…校長センセーよぉ、こりゃやべぇんじゃねぇの?すっかりアイツのワンマンプレーになっちまってるぜ…」

 

 

 

ヴォイスヒーロー“プレゼントマイク”は彼の暴れっぷりに終止引き攣った顔で頭を抱えた校長の根津にそう危惧する

 

「こ、ここまで個性の限界を引き出せる子がいるなんて…!私の想定を遥かに超えた、まさしく才能の原石…!」

 

 

「し、しかしここまで壊されると来年は私のポケットマネーをいつもより少しはたかなくてはならないけれども…」

 

 

「しっかし、あの子本当に15歳の子供なの?去年まで中学生だったのよね?個性使用が制限されている最近の日本ではあんなにも個性を振るう機会なんてないはずなのに…」

 

 

18禁ヒーロー“ミッドナイト”は緑谷出久“だった”彼の様子をモニター越しから見ながらもその力の出所に疑問を浮かべる。

 

 

 

「とりあえず、俺が止めますか?ここまで来ると、このまま奴に試験の続行をさせても他の生徒達にとっては合理性に欠ける…」

 

 

そう手を挙げたのは、マスコミやメディアを嫌うアングラ系の抹消ヒーロー“イレイザーヘッド”

 

 

 

「…」

 

「正直、ここまで来ると彼がどこまで出来るのか見てみたいんだ」

 

「ただ君の言う通り、他の生徒達の為にも彼に対してだけ試験の中止を宣告するのが我々にとって最も重要…!」

 

「…」

 

 

「それなら、もう決めちゃってもいいよね?彼…緑谷君の合格を!早いけど、このままどうせ彼が一位になるんだし!決めちゃってもいいよね!?ね!?」

 

 

 

 

「(遂に投げやりで決めてしまった)」

 

 

“エクトプラズム”は、根津の若干の自暴放棄な発言に引いていた。

 

 

 

 

そして、殆どのロボを破壊し尽くした宿儺は欠伸をしながらも終了間際で焦る生徒達をビルの屋上で眺めていた。

思う存分に戦いを楽しみ、締めのディナーを待つかの如く彼等とは相反して優雅に過ごしている。

 

 

「そろそろ終わりか…」

「よし」

 

宿儺は近くにいた仮想ヴィランA型をひょいと片手で持ち上げた後、

 

 

 

「やべぇよ…このままじゃゼロポイントのまま終わっちまうよ…ッ!」

 

「くれてやろうか?」

 

 

「えっ…?」

 

受験生徒に持ち上げている仮想ヴィランを投げ飛ばした。

 

「うぉあッ!あ、あんた…一体なんなんだよぉ…」

 

 

「ほらほら、早く倒さなければならないのだろ?頑張れ頑張れ…」

 

 

 

ケヒヒ、と嘲笑する宿儺は彼らを弄ぶように必死に足掻く彼等を眺め続けた。

周りからすれば「とんでもない奴」と恐れ慄く程である。

 

 

 

 

残虐であり、自己中心的

 

常に自分を指針としており、それ以外は全て駒、もしくは玩具のように自分の趣くままに遊び、飽きたら捨てる。まさしく圧倒的邪悪であり、それに加え他を寄せ付けない圧倒的力により全てをねじ伏せる、まさに______

 

 

“鬼神”である

 

 

 

 

「…」

 

 

誰か、来たな______

 

 

 

宿儺は一人の男の気配を察知した。

 

 

「そこのお前」

 

 

「誰だ?」

 

 

「少し寝てろ」

 

 

刹那…宿儺は彼の目を見た瞬間、グラついた

 

 

 

なんだ?これは…この感覚…

 

まるで海の底へと沈むような…この感覚は…!

 

 

 

 

「(こいつの技か……!)」

 

 

 

無造作な髭、手入れをしていないボサボサの髪、体術の際に用いる捕縛布を首に巻きつけ、赤い一眼をギラつかせるその男…“イレイザーヘッド”及び相澤消太は個性を用いて彼を静めた

 

 

 

「一体何を…」

 

 

「…ったく、やりすぎなんだよ…」

 

 

 

 

個性“抹消”

 

瞳を開けている間は、対象の個性を“消す”事が出来る。

宿儺の力 “術式”は“個性”とは似て非なる物であり、その特性と性質は根本的な異なる。

しかし、全くの別物と言えばそれも間違いであり

個性の抹消により宿儺は出久への支配権を本人へと再び引き渡した。

 

やれやれ、と悪魔の猛獣を沈めると相澤は深いため息をつく。

 

 

 

「こりゃ、めんどくせぇ事になるな…」

 

 

今年のヒーロー科の担任を受け持つのは相澤であり、当然満場一致の合格である彼を生徒として引き受ける事となる。

そう考えるだけで胃がキリキリと痛みが走る中、気絶した緑谷を抱えて病室へと運んでいった

 

 

 




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