受肉体、緑谷出久   作:助5103

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第四話「宿儺の器其の二」

第四話「宿儺の器其のニ」

 

 

 

“個性”

 

世界で先天的に現る超常現象を引き起こす能力で、世界の約八割が個性を持っている。

 

 

 

その始まりは中国、軽慶市にて一人の赤子を産声を上げた時だった。

 

 

 

「い、院長…」

 

 

「この子、光ってます…!」

 

 

 

その赤子は生まれた瞬間から眩く光っていたという。その子は個性が発現した第一号であり当初は世界中に多大なる衝撃を与えたという。それからは"個性"ではなく「異能」と呼ばれており。その子以外は個性を持たぬ“普通の人間”にとっては恐れる者…又は化け物として避難される対象となり当時は異能を持つ人間が差別により虐げられていた。

 

 

後に異能解放軍指導者となるデストロの母にあたる者が、異能を持つが故に罵倒され石を投げられる息子を庇いながらこう訴えたという

 

 

「…これはこの子の"個性"なんです、どうかこの子が自由に生きられる世の中を______!」

 

 

 

この咄嗟に出た一言から人々は異能から“個性”と呼び始めるようになったという…

 

 

 

 

 

そうして今の時代が開き始めるその何百年も先の時代……かつて平安の世に“個性”とは違う異能が蔓延る時代があった事は、現代で知る者はいない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神奈川県横浜市神野区…その中に位置する某ファミレスにて二人の男女が入店した。

最初の女の方が早く来店しており、待ち合わせ時間までその男を待っていた。

 

 

 

 

 

 

「やぁ」

 

 

 

 

そんな軽い挨拶を投げかけられた女はその顔を見るや否や苦虫を噛み潰したかのような顔でその男に苦言を申していた

 

 

 

「最初に貴様に会うとは…出来ればもう会いたくなかったのだが」

 

 

「つれないね…時間軸で言えば結構久しいのだよ?」

 

 

「あ、ドリンクバーあるけどなんか飲む?」

 

 

 

「いらん、本題だけ寄越せ」

 

 

 

「ふぅん…ま、いいや…確かに僕もあまり時間がないからね…」

 

 

 

その男の名は“羂索”

 

忘れ去られた呪術全盛の平安時代にて、かつて術師として名を馳せた人間である。

 

 

 

 

「我々は貴様の申した通りに進んでいる…約束の時を経て、“予定”なら今宿儺様は現世に降り立っている頃だ…」

 

 

 

そしてもう一人、羂索の仕込みによって受肉を果たした女性の術師である“裏梅”は羂索から言い渡された“約束”について彼に言及した

 

 

 

「そうだね…あれから千年とちょっと…」

 

 

「あの少年に指を飲ませ、受肉による魂の移行は無事に成功した…」

 

 

「まぁ、それなりの器として仕立てあげたからね…生半可な事ではまずくたばらないよ」

 

 

 

 

「そうか…」

 

 

 

「ここでの生活は慣れたかな、裏梅…」

 

 

 

「…」

 

 

 

「千年前とは違い、呪術とは異なる異能を持つ人間が増えるようになったという」

 

 

「だが、私達は違う。ここに降り立ってから暫くして分かったのだ…今待っているものは、あの時と“変わらぬ”というのが」

 

 

「まぁね、その辺も実験済みだよ」

 

 

 

「術式と個性は似ては非なる物…呪力を用いて運用する呪術とは違い、個性はあくま身体的一部の物…その反作用の限りその力を扱えるらしい…」

 

 

「まぁ、ああいう奴もいるけどね」

 

 

 

「あれは呪骸の類いだと思っていたが…」

 

 

 

「あれも個性と呼ばれるらしいよ」

 

 

「何にせよ私が目につけているのはその可能性さ…」

 

 

 

「個性は繰り返し研鑽する事で上限や規模が変化していく物だと、呪術とは異なり生まれ持った素質ではなくその“使い方”と“練度”によってその形は変わり続ける」

 

 

 

「…ちょー面白そうじゃない?」

 

 

「…」

 

 

「少し疑問があるのだが…」

 

 

「貴様が受肉元を選んだのはその力を持たぬ童と聞いた…その訳は当然、何かあるだろうな…?」

 

 

 

 

「ん…ああ…緑谷出久君の事ね」

 

 

 

「個性が生まれてからかつて超常黎明期と呼ばれた時代から“個性”について暫く研究していた時期があってね…まぁ、目的のついでっていう奴さ」

 

 

 

 

 

 

「およそ100年前、最初の個性が発現しそこから伝播するかのように次々と個性を持つ人間が増えていったらしい。」

 

 

「人はまた新たな子を産み二つの個性は絡み合い、複雑かつ強大な個性として時代が経つにつれ進化を続ける…」

 

 

 

「そうして行く内にやがては本人すらも制御できないほど膨れ上がってしまうのでは、と…俗にいう“個性終末論”と呼ばれている力説が唱えられているらしいよ」

 

 

 

「…それで、奴ら個性持ちは術式を扱えるのか?」

 

 

 

「いや、使えないよ」

 

 

 

 

 

「個性を持つ人間と、術式を持つに人間…この二つの種類には身体を形成する設計図が違うんだ」

 

 

「だから、僕たち術師も当然個性を扱う事ができない。なんせ僕らの身体には古の情報が刻まれているからね」

 

 

 

 

 

「ただし」

 

 

「“無個性”は別だ」

 

 

 

 

 

羂索は己の宿願の為に蛇腔総合病院の創設者にして理事長“ 殻木球大として所謂仮初の姿として数十年前に社会に溶け込んでいた。元々殻木球大は日本に実在した人間ではあるが羂索の手によって殺害され、引き継がれた変身の術式によって彼になりすます事となった。

 

 

 

 

「私がその地位と権利を利用し裏で個性と術式、二つの存在の類似性について調べていた所、数年前にとある事を発見した」

 

 

 

 

「屍蝋となった身体の一部を呪物化させ魂を留める…これにより、器となる肉体に取り込ませる事で術師を再生させる事が可能となった…」

 

 

「君や宿儺のようにね」

 

 

「それには“二つの条件”がある」

 

 

 

まず一つが、「受肉に耐えれる身体を持っているかどうか」

呪物化した物は基本的には毒性があり、耐性のない者、または脆弱性のある身体を持つ人間には取り込んでもやがて死に至ってしまう。

故に多くの人間を合理的に検査し調査する為には、病院の院長として成り済ます事が必要不可欠であったのだ

 

 

 

そしてもう一つが…

 

 

 

 

 

「“生まれつき個性のない人間”にしか受肉できない」

 

 

 

「これが私の発見した大きな事実…だね」

 

 

 

「…!」

 

 

「だからこそ、その緑谷とかいうガキに取り込ませた…という事なのか…」

 

 

「そゆこと」

 

 

 

 

「無個性の人間の脳の構造は我々術師の脳とほぼ同じなんだよ。だから、彼らは個性が“無かった”のさ」

 

 

術式は脳の前葉頭と呼ばれる部位に刻まれている、数年前、羂索が院内の地下で行われる極秘の研究施設で無個性の人間を解剖し脳を取り出した所、互いとのメカニズムが90%一致した事が判明したのだった。

つまり、無個性の人間に術式を扱う事が可能ではないかと羂索は能力を持たぬ彼らに恐るべき潜在性を秘めていると確信に変わっていた。

 

彼が意を決したのは、十年前の事だった。宿儺の器にふさわしい人間を見定める為に個性検査の担当を受け持っていた際に、偶然にも“緑谷出久”と出会う事となった。

 

 

羂索がそう確信を感じたのは数秒の間の事だった

 

 

 

 

 

 

「…成程な」

 

 

「私の受肉元も、その無個性という者であると…」

 

 

 

 

 

「彼の両親はもれなく個性を体に宿しているが、そのどちらかを引き継ぐ事なくその体質を生まれ持ってしまったみたいでね…ここからは私の持論なんだけど、これには魂と深く関係していると思っている」

 

 

 

「魂…?」

 

 

 

 

「人が人として生きる為に授かった基盤となる物さ、確証はないけど、これは呪霊にも通じる話だよ」

 

 

「呪霊…そういえば、前々から思っていたがこの世界には呪霊の気配があまり感じられんが」

 

 

「全体的の呪力総量が極端に少ないからさ…超常社会と化した今の現代では、微弱だが呪力しか漂っていない」

 

 

 

核となる魂と負の感情から漏れ出る呪力の残留エネルギーがその周りを覆う事で“呪霊”と呼ばれるものは誕生する。

しかし、その呪力はあくまで非術師か術師にしか生み出せない。今の現代で呪力を扱えるのは羂索、裏梅、宿儺の三人だけである。

 

 

 

 

「そう、だからこそ…鮮明に彼の呪力を肌で感じれる…今も少年の深層心理で退屈に探しているだろうね」

 

 

 

「なら、早急に宿儺様の力を再活させる為にも…我々手を尽くす必要があるだろう…」

 

 

「ここで貴様の研究発表に耳を傾けている暇もないのだからな」

 

 

 

嫌味たらしい言葉を吐く裏梅は宿儺の完全顕現を実現させる為にいち早く行動すべきだと羂索に訴える。

 

 

 

「待ってよ、何もこの話が意味のない事であるとは限らないだろう…?それに…」

 

 

 

「今は少し、動けにくい状況にあるし…」

 

 

「?」

 

 

 

 

 

「…君はNo.1ヒーローという人間を知っているか?」

 

 

 

「…一度は聞いた事はあるが…」

 

 

 

「宿儺に力を取り戻してもらうのは私達にとって必要不可欠な事項…しかしそこには大きな障害があってね」

 

 

 

「その存在がどうしても邪魔で、色々と対策を準備し続けていたんだ」

 

 

 

「…して、その策とは?」

 

 

 

「彼を、個性で一時的に“封印”する」

 

 

 

「個性?」

 

 

「さっきまで言っていたが我々は個性が使えぬのだろう…」

 

 

 

 

「“一度きり”…使い捨てという条件のもの、個性を発動する事が出来る…私の傑作品さ」

 

 

 

 

彼が取り出したのは手のひらサイズに収縮されたサイコロ状の物質…彼が考案し長年の末に手掛けたオールマイト対封印アイテム…。

原則として彼等呪術師は個性を扱いない事を踏んだ上で、外付けのアイテムとして一回の制約つきで羂索の手によって複製された個性“封印”を使用できる事が可能となった。

一度きりである為“閉じ込める”という動作しか操れない欠点があるが、それは本人すらも解除できない永続的な拘束術とも言える…

 

 

それが、オールマイトを実質的に終わらせる事が出来る最強のアイテム“獄門疆”と呼ばれる物である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

個性把握テストを終えた次の日…僕達は通常の五科目の授業を受け、そのまま流れるように昼休みの時間となった。

 

国立である雄英は食堂もその規模とバリエーションは他の高校よりも随一であり和、洋、中、の全てを取り揃えた超豪華なランチセットを学生には優しい値段設定で提供し成長期の少年少女の腹を満たすには充分である。

 

 

 

 

「いやぁ、こんなにあると悩んじゃうなぁ…」

 

 

「油物は控えめにだぞ!緑谷君ッ」

 

 

「スイーツもある…贅沢や!」

 

 

 

 

あれから飯田君と麗日さんと一緒にいる事が多くなっていた。そこには特別な理由はないけれど、ヒーローを志す同い年として僕は自然に惹かれていった。

 

 

 

「なんだか、昨日の種目テストを体験してからか他の授業が味気なく感じてしまうな…」

 

 

「除籍って言われた途端青ざめたもんね…!」

 

 

 

「それでも、次の授業はヒーロー基礎学だ…!張り切らなくちゃね…二人とも!」

 

 

 

「ああ…しかも、担当の先生があのオールマイトだからな…粉骨砕身で望むさ…!」

 

 

 

 

 

 

「確かに燃えるけど…緊張するなぁ…」

 

 

 

“ヒーロー基礎学”

 

 

 

ヒーロー科にのみ受ける事が出来る特別な授業であり、立派なヒーローになる為に特に一番必須となるその科目では主に個性を用いた演習や情報学を実施している。

そしてこれは、現役で活躍するプロヒーローが僕たち雄英の卵に隅々までご教授頂けるというまさしく贅沢の極み…

 

 

 

そして、その中には僕の憧れの人も例外ではない…!

 

 

 

 

 

 

 

 

「わ・た・し・がぁー…ッ!」

 

 

 

「普通にドアから入って来たァッ!」

 

 

 

 

「お…」

 

 

 

 

「オールマイトだぁぁあッ…!!」

 

 

「ホントに先生やってたのかよ!」

 

 

「流石オールマイト…画風が違い過ぎて鳥肌が…!」

 

 

 

僕の憧れですあり、崇拝しているヒーロー…オールマイトは入試の合否でも告げられた通り雄英の担任教師として赴任する事と当時はその話題で盛り上がっていた。

テレビや現場でしか現れない彼が、こうして学校でいつでも会える…しかも今日に関しては現在のコスチュームではなく二世代前の“シルバーエイジ”と呼ばれる時期に装着されていたコスチュームで僕たちの前に現れた!

あのコスチュームは今のオールマイトのイメージカラーとして定着された赤、青、黄色の三つの色でデザインされており今の“ゴールデンエイジ”と呼ばれる最も活躍した全盛期のコスチュームの元地となっている

 

 

「デク君」

 

 

 

今はないけどあの大きなマント一つだけでその威圧感とカッコ良さが段違いで変わる…ッッ!

オールマイト自身体格がとても大きいしどちらかと言えばマントを装着しているシルバーエイジの方が僕は…!

 

 

 

「心の声、漏れとるよ〜…」

 

 

 

「今回のヒーロー基礎学は、これ!“戦闘訓練”だ!」

 

 

オールマイトの一言にクラスメイトの活気さらに増す。今まで生マイトの登場で興奮しっぱなしの僕はその言葉で目を覚まし緊張と少しワクワクがで始まる。

それとは対照的なクラス一好戦的なかっちゃんはニヤリとヒーローらしからぬ顔でウズウズしていた。

 

 

「戦闘…ッ!」

 

 

 

 

「そして、そいつに伴って…コチラッ!」

 

 

入り口の反対側から僕たち生徒全員分のコスチュームが格納されているケースがオールマイトの掛け声によって一斉に現れる

 

 

 

「入学前に提出された個性届けになぞって作られたコスチュームッ!」

 

 

 

 

 

「着替えたら順次、グラウンドβに集まるんだ!」

 

 

 

「はい!」

 

 

 

そうして僕たちは訓練施設へと向かう為に各々の番号が記されたコスチューム入りのケースを取り始める。

 

 

「あれ?緑谷、コスチュームは?」

 

 

後ろに席にいた峰田君がそう尋ねた。僕のケースにはコスチュームが“無い”…これには理由があるんだけど…

 

 

 

「うん、それなら…ここに」

 

 

そう言いながらバックを抱えて僕は急いで更衣室へと駆け込んだ

 

 

 

 

 

話は少し遡る。雄英から被服控除が送られ、それぞれのコスチュームの要望を書き各デザイン会社がそれに沿ったコスチュームを製作してくれるらしく僕はそれに悩んでいた。

 

 

「うーん…」

 

 

「出久!」

 

その時、お母さんが何かを抱えながら僕の元に現れる。

それは緑色のスーツのようなものだった

 

 

「これ、入学祝い!」

 

 

それは、上下がひと繋ぎになっているジャンプスーツだった

 

「そ、それって…」

 

 

「すこし早いけど…ほら、こないだ寝落ちしてた時に偶々出久のノート見ちゃって」

 

 

「ごめんね…」

 

「え?」

 

 

「私、あの日からずっと引っかかって…」

 

“あの日”というのは、僕に個性が無いと発覚したあの時の事を言っているのだろう。子は両親の持つ個性が混ざり合うかそのどちらかが発現するのが普通なんだけど、無個性はその例外…

僕はどちらも発現しない形になってしまい、それ以来母さんは責任感を持つようになってしまった。

 

 

「でも、出久は諦めずにずっと頑張っていたんだよね…」

 

 

あの日、雄英に受かった事を伝えると両目から滝のように涙を流した。僕はそれだけ心配させてしまったし、同時にそれだけ嬉しい事でもあったんだ。

 

 

「次から、手放しで応援するからね…!」

 

 

 

ありがとう、母さん

 

そうさ…最新鋭じゃなくたっていい、高性能じゃなくたっていい…!これに着ずに何を着る…! 

 

僕は、“これで”ヒーローになるんだ…!

 

 

 

 

「おぉ…」

 

「デク君、かっこいいね!地に足ついた感じがして…!」

 

 

「う、麗日…さんッ!?」

 

 

少し遅れたか僕より何人かグラウンドβの周りに集まっていた。そこで目にしたのは麗日さんのその姿。それは…僕にとってそれは充分過ぎる程の刺激…

 

 

「うおお」

 

 

 

「いやぁ…ちゃんと要望書けばよかった…めっちゃパツパツ…恥ずかしい」

 

 

 

麗日さんのコスチュームは、なんかこう…身体のラインがはっきりしているから少し危ういというか何というか…

何にせよ、あらゆる意味で目を向けにくいものだ…!

 

 

 

「雄英、最高」

 

 

それでも見てしまうのが、男の性って奴なんだろうけど…峰田君、君に限ってはアウトだよ

 

 

 

「さぁ」

 

 

A組の皆が集まった所で、オールマイトが授業の本題に差し掛かる

 

「早速だが、戦闘訓練を始めるわけだけども…」

 

 

 

「先生!」

 

 

と、ビシッとキレの良い挙手をしたのは飯田君。フルアーマーで顔は隠れていたがその挙動の良さは隠れていない。てか、横にいたの飯田君だったんだ…

 

 

 

「ここは入試の演習場ですが…また市街地演習を行うのでしょうか?」

 

 

「NO!今回はちょっと違う…」

 

 

ヴィランとの戦いは統計的にみて屋外より“屋内”の方が多い。そうなれば色々と条件や環境も異なり、より制限された個性の扱いを強いられる。

 

 

「まず、クラス内で二人ずつ班を作ってもらうぞ!」

 

 

「その中でさらに二つのチームを作る!ビル内に保管された核を守るヴィランチームとそれを回収するヒーローチーム!」

 

 

「ヴィランは制限時間内に核を守り切ればWIN!対するヒーローは、その核に一瞬でも触れれば回収とみなしWIN!」

 

 

「ま、こういう感じだ!」

 

 

「ちなみに演習で扱われる“核”はただのハリボテだ」とオールマイトは続けて補足をつけた。

 

 

 

 

「ちなみに、班決めについてはくじ引きで決めるぞ!」

 

 

 

クジ!適当ですか!?と驚く飯田君

 

 

「プロヒーローとして活動していく中で急遽チームアップを要請される事もあるから、そういった対処にも慣れる為のものだと思うよ」

 

 

「成程…そういうことかぁ…!すみませんッ!」

 

 

「いいよ、はやくやろうぉ!」

 

 

と、言うことで厳正なるくじ引きによってそれぞれのチームが出来上がった。

 

「ま…」

 

 

「いやぁ、私達縁があるね!デク君!」

 

 

「まじか…!」

 

これまた奇妙なことに僕は麗日さんと組むことになった。中学時代、女の子とは一切会話を行わなかった僕にとってこれ以上緊張する事はない…今まで会話するきっかけはあったものの、僕が会話を持ちかけるのはヒーロー関連しかないのでいつもの悪い癖が出て気持ち悪がられるのがオチだったけど…今度こそ、ちゃんと会話しなきゃ…!

 

 

「(とは言ったものの…)」

 

 

僕が心臓の鼓動を早めている原因はもう一つある…僕達はトップバッターでありながらその対戦相手が決定した。その相手は僕が最も憧れ、同時にその存在を今まで避けていた…

 

 

 

「クソデク…!」

 

 

「かっちゃん…!」

 

 

 

「さぁ!ヴィランチームの爆豪少年達は先にビル内へと入り準備したまえ!」

 

「あれ、爆豪少年!?聞いてるかな!」

 

オールマイトの説明を無視し、かっちゃんはズカズカと威圧感を放ちながら僕の方へと近づく。やっぱり僕はかっちゃんの前だとキュッと身体を身構えてしまう。その強さには一種の憧れを抱いていたが、その苦手意識は切っても離れない

 

 

 

「テメェのその個性を、上からねじ伏せる」

 

 

「使えよクソナード…じゃなきゃコロスッ…!!」

 

 

 

 

「…!」

 

 

 

 

 

やっぱり僕は、かっちゃんが“苦手だ”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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