狩人さんはアーク暮らしを夢見たい   作:風袮悠介

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お久しぶりです。
当分更新できなくてすみません(8/15)
リアルが落ち着いたので、更新再開します!


閑話-彼らにも事情があるらしい

「3人は彼を見て、どう思った?」

 

 狩人が部屋を出たのを確認し、エリシオンに所属するエクスターナー部隊のギロチンとメイデンに後を追わせる命令を下したアンダーソン。

 部屋に残った三大企業CEOたちを前に、質問をする。

 最初に答えたのはシュエンだった。シュエンは興味深そうに扉の向こう側を見つめながら言った。

 

「ま、悪くないんじゃない? 持ってる武器も興味深いし。ラプチャーに対抗できる武器を山ほど持ってるんでしょ? カフェ・スウィーティーの記録を見たけど、持ってた武器が違うし、アタシはあれを一つでももらえればいいわ」

「なんのために、だ?」

「決まってるじゃない、分解して原理を解明するのよ。あんなものでただの人間がラプチャーに対抗できるのよ? 今までは鉄クズたちが持ってる人間じゃ扱えない銃火器じゃないと倒せなかったラプチャーを、指揮官も倒せるようになる。地上奪還に近づくじゃない」

 

 椅子に座って偉そうにふんぞりかえるシュエンの言葉はもっともだ。しかしミシリスの内情やシュエンの実情を考えれば、地上奪還という言葉は嘘ではないが真意は別にある。

 シュエンの先代、初代と二代目CEOはそれぞれアーク内の通信網の構築といった偉業を成し遂げてミシリスCEOの座についた。

 今代のCEOとなるシュエンも当然、彼らに並ぶ偉業をもってミシリスCEOにならなければいけないのだが、シュエンはそれに手こずっていたことがある。

 そして、彼女が成し遂げた偉業とは「ゴッデスに並ぶ戦闘力をもったニケの製造」、すなわちミシリス最強の部隊メティスの製作。

 メティス製作に関わる計画の中で作られたのが、ラプラス、ドレイク、マクスウェルの三体。

 この三体は従来のニケに作られるコアに加えて電力を加えた二重動力源を採用、さらにボディを新世代のものに換装することで、単純な戦闘力ならばアークに並ぶものはいないと言ってもいい。

 

 最初にラプチャーと遭遇し戦った、第一次ラプチャー戦争時のニケは手術成功率が低い代わりに類まれな戦闘力を持っていたと言われていた。それが勝利の女神と讃えられたゴッデス部隊。

 しかし、いつの頃からかアークで製造されるニケは手術成功率を上げて安定性を目指すことになり、戦闘力は低くなってしまい、当時のニケの再現ができなくなっていた。この再現を成したのがシュエンというわけだ。

 

 だが、このメティス部隊は今回の作戦に参加していない。

 その前の作戦で侵食を受け、廃棄処分されるところをコールドスリープによる処置を施すことによって、侵食を停止させていた。

 このままではシュエンの偉業の象徴でありミシリス最強の部隊を失うことになる。

 そうなればシュエンはCEOの座を追われる可能性があった。

 

 だからこそ、シュエンは考えたのだろう。

 ニケではない、ニケ化手術を施さない普通の人間でも、ラプチャーを倒せる武器を製造すること。

 そのヒントとなる、狩人の持つ武器の解析と再現のために入手か奪取を狙っている。

 もしこの狙いが本当でシュエンが武器の製造に成功すれば、極端な話『女性』だけではなく『男性』もラプチャーと戦えることになる。

 そうなった時のニケ製造コストとリソースの削減、単純に大量の兵数の確保が可能となるだろう。

 

 シュエンから目を離したアンダーソンは、次にイングリッドへ視線を向けた。

 

「イングリッドはどう思った?」

「危険だな」

 

 イングリッドはキッパリと言い切った。

 腕を組み、難しい顔をしている。

 

「武器の件については彼に希望が通れば良いがな。好きにすればいい。だが、彼の人間性がわからない。

 ここでの様子、ポリたちが仕込んでいた通信での会話から見ても、狂ってると言っていい。

 ラプチャーを人間の体で倒せる人間が強力な武器を持ってアークにいる。危険としか言いようがないだろう」

「だが、その危険な力も使いようだろう?」

「性能がよくても人間が終わってたらどうしようもない……が、言うとおりだ。彼が落ちついているうちに、彼の戦闘方法や戦術理論をまとめたい気持ちはある。……タクティカル・アップ計画にきっと役に立つ。ウンファは反対してるがな」

 

 イングリッドは目を細め、右下を見つめる。

 彼女にも彼女なりの苦労はある。現状、エリシオン最強部隊アブソルートのメンバーの1人であるウンファはラピが除隊したことでメンタルが荒れていた。

 現状で任務達成率に影響は出ていないが、カウンターズへ移ったラピとの関係は冷え切っている。

 そんなラピが、狩人ともに前哨基地にいる。

 彼女たちにどういう影響が出るかわからない。

 というか、報告内容を見ても狩人の戦いかたはウンファの考え方に合うとは思えない。

 そして、タクティカル・アップ計画。

 内実はよくわからないが、以前から推し進めている、と言うのは聞いていたが、ウンファの反対で止まっているらしい。

 なによりイングリッドとしては、報告書にある内容と目にした感想から狩人に対して危険視しているのは間違いない。

 

 一番の理由は、狩人が「人間」であることだ。

 いざという時のエクスターナーによる制圧が困難なために。

 

 ギロチンは目で、メイデンは口でニケを強制的に制圧する。

 だが、その能力が発揮されるのは相手が『ニケ』であることが前提だ。

 相手が『人間』ならば、この能力は使えない。対処するのはポリたちA.C.P.U.になる。

 できるだろうか? もし生身でラプチャーと戦える人間がアーク内で暴れた時、ポリたちが警察の仕事の範疇で制圧することが?

 不可能だ。そのときはトライアングル部隊まで表に出さざるを得ないし、最悪トライアングルの部隊員がニケであることが露見しかねない。

 司法や行政にニケがいるという機密を破るという最悪の未来。

 イングリッドはウンファたちアブソルート部隊と他の部隊たちのことと、タクティカル・アップ計画の充実のどちらに比重を置くか。

 天秤で計りかねている。

 

「マスタングは?」

「dangerousなのは認めマース。彼は強く、人間性はVery Very mysterious」

「なら?」

「Commanderに任せマース!」

 

 マスタングは背中のミラーボールを揺らしながら答えた。

 

「彼は、とても不安定デース。彼がいた場所がそうさせたのか、元々そうなのかはわかりまセン。

 デースーガー……彼は、ニケに対して特別偏見を持っている訳ではない! カフェ・スウィーティーに対しての評価、meは好感を持てマース。

 そして彼はCommanderをRespectしてマスから、これ以上変なことはしないと信じマース」

 

 マスタングにとってニケは、ただの兵器ではない。勝利の女神、今まで散っていたニケたちに報いなければいけないという思いを強く抱いている。

 同時に、彼女たちは輝くべきだという信念を語っていた。

 だからマスタングがCEOを務めるテトラのニケは地上戦闘を目的としないニケが多い。

 商人として活動してるタレント部隊、アーク最大のゲームセンター『コインラッシュ』でバニーガールとして活動している777、スポーツ競技やフェスティバルでチアリーディングをしているリワインド、アークの動物を全て管理、保護しているハッピーズーなど。

 ニケが単純な兵器のままで終わるような形にしない。それがマスタングだ。

 だからこそ、狩人の言葉はマスタングにとって高評価だったのだろう。

 彼女たちは立派だ。

 この一言で、マスタングは狩人を排除する考えを消したに違いない。

 

「それで? 貴様はどうなんだ」

 

 今度はイングリッドがアンダーソンに質問する。

 アンダーソンは手首の時計を確認してから口を開いた。

 

「私も同感だ。彼は危険だが、可能性に満ちている。指揮官なら、彼を良い方向に導けるだろう。

 それに……」

「それに?」

「すまない、そろそろ次の会議の時間だ。続きは、また今度にしよう」

 

 アンダーソンはこの話を打ち切るように言った。

 現在のアンダーソンは、重傷を負った指揮官の為にした輸血の影響で体調を崩している。

 元々、とある理由で長時間動ける体ではなかったが、輸血でさらに活動可能時間は減っていた。下手すれば1時間も保てない。

 そのため、この場を早く離れて処置を受けないといけない状況だ。

 

 同時にアンダーソンは思考する。

 先ほどのシフティからの連絡。

 

『D-Waveは検出されませんでした』

 

 この言葉が意味することは、狩人はゲートキーパーが創造した存在ではなく、本当に異世界からの来訪者ということだ。

 この事が他の誰かに知られれば、もしかしたらラプチャーのいない世界に行けるのでは? 以前頓挫した計画を実行できるのではないか? と言う発言が出るだろう。

 

 だが、無理だ。

 狩人の姿を見たアンダーソンは確信する。

 彼が来た世界は、人間が生きることができない場所だ。

 彼のように狂わないとやっていけない。

 今回のD-Waveが検出されていないことが周知されてしまうと、計画を実行してラプチャーから逃げて彼の世界へ行こう、という提案がされ、実際に行われる未来が見えた。

 ラプチャーという最悪を逃れようとして破滅に向かう提案が出ないように、隠し切らないといけないとアンダーソンは強く誓うのだった。




 リアルで忙しい仕事をしていたので、そっちにかかりっきりになっていました。
 お盆でようやく仕事が落ち着いて時間的余裕ができたので、また書いていきます。

 そして、この時(8/17時点)にエヴァコラボですよ!
 全員お迎えしますとも!
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