狩人さんはアーク暮らしを夢見たい   作:風袮悠介

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これを書くためにBloodboneをダウンロードし直し、三週目を開始しました。
とりあえず三週目クリアを目標にすることと、聖杯ダンジョンに潜り直そうと思います。


02話-匂いたつ血の酒は意味がないらしい

 自身が傷つくことで撒き散らされる血の匂いに酩酊する。

 謎の敵をぶち壊したときの鉄が砕ける音に陶酔する。

 

 私は回転ノコギリをぶん回し続けていた。

 

 火花を散らし、轟音を鳴らし、見る者を震え上がらせる殺意の塊。

 かつて狩人の工房の中でも異端と謳われた、つまらぬものはそれだけでよい武器とは言えないと嘯く火薬庫。

 その火薬庫が作り上げし、異形の仕掛け武器が回転ノコギリ。

 獣の肉も骨も微塵に切り裂き砕くためだけのもの。

 

「フハハハハハッ!」

 

 回転ノコギリに搭載されている無数の刃が敵の体を無惨を切り裂き破壊する。

 散らばるのは、臓物や血ではなく何かの部品。

 

 こいつ、なんなんだ?

 

 なんというか、もしかして生き物じゃない?

 いや、こいつらは空から来た。聖歌隊のメモにあった『宇宙は空にある』という言葉から、こいつらは上位者の眷属のはずだ。生き物なのは間違いない。

 なのに、私の知っている生き物の範疇にこいつらはいない。

 

 なら獣か?

 

 いや、こいつは獣じゃない。人としての名残がない。

 試してみるか? 回転ノコギリを分離させ片手を空けてから、腰鞄からものを取り出す。

 

 匂い立つ血の酒。

 獣を前にしてこれを投げると、獣はこれをぶちまけた箇所目掛けて突撃する。

 血の匂いにあらがえない獣たちは、これを無視できない。

 

 酒をあさっての方向に投げてみる。

 同時に振り返りつつ槌鉾で迫ってきた敵の横っ面を殴ってぶっ壊し、短銃を左手に持ち直す。

 視線で酒を見るが……敵が引き寄せられている様子がない。

 香(かぐわ)しい血の匂いに酔いそうになるが、敵が引き寄せられていない。

 

 ということは獣じゃないな、うん。

 

 短銃の水銀弾を装填、発射して別の敵を殺す。

 

「おい!」

 

 ふと、少女の声が聞こえた。生意気そうな様子の少女の声だ。

 

「援護するから好きに動け!」

 

 同時に、私の傍に来ていた敵を弾丸が貫く。

 他の敵も同様に撃ち落としてくれているようで、次々と破壊されていった。眠たそうな様子の少女とのんびり屋な少女も合わせて動いていた。

 ありがたい!

 再び回転ノコギリを連結させ、起動させる。再びノコギリの刃が火花を散らした。

 

「これで楽勝か」

 

 

 その後、私と少女三人によって、敵は次々と粉々になっていった。

 

 

 

 

 

 回転ノコギリの刃を止め、肩で息をしながら周囲を見る。

 ようやく敵の襲来が打ち止めになったらしく、もう来る様子がない。私は短銃と回転ノコギリをコートの下にしまい、少女たちの方へと向き直った。

 

 なんとも、現実味のない少女たちだな。

 

 改めて観察するが、少女たちはとても見目麗しい。まるで……そう、狩人の夢にてゲールマンと共にいた、人形のような美しさだ。

 三人とも耳に手を当て、こちらをチラチラと観察しながら話している。

 

「あー、ディーゼルか? あぁ……そっちは終わった? 地の底の爆破とヘレティック確保は……半分成功ぉ? どういうことだ? 兄貴たちは……わかった」

 

 生意気そうな少女の言葉が聞こえてくる。

 ……誰と話している? その場にいるほかの二人と会話してる雰囲気でもないが……。

 私と同じ、脳の中から声が聞こえているのか。

 ほかの二人もか?

 

「それと、こっちに迎えを寄越せるか? 燃料もそうだが……あー、地上に生存者を……嘘じゃねぇって! 目の前にいるから! ブリッドも疑うな! とにかく、よろしく!」

 

 ジーッと私が見ているのに気づいたらしい少女たちは、耳から手を離した。

 そして3人で話し合うようにして、身を寄せあった。

 

「……地上には……いないはずだろ……」

「でも……いる……」

「どうかしら……ヘレティックの……」

 

 ボソボソと何か話してるが、断片的にしか聞こえてこない。

 そして、こっちを見る頻度が増えてくる。

 

「話しかけろよ……」

「めんど……」

「嫌よ……あなたが……」

 

 小声で言い争いをしてるらしい。私に対してどのように接触するのか決めあぐねているのか。

 このままでは埒が明かない。私から行こう。

 私が少女たちに近づくと、明らかに警戒した様子を見せる。

 警戒を解くならこれだ。

 

 左手を真上に、右手を真横に伸ばした。

 

「こんにちは。私は獣狩りの『狩人』だ。君たちも狩人か? この交信が分かるか?」

 

 少女たちの目に、明らかな不信感と警戒が浮かんだ。

 おかしい……これではダメか? あるいは、アレか。

 交信を止め、次はカインハーストでやった礼を行う。

 

「すまない、警戒させた。こちらなら分かるだろうか? 君たちも宇宙にいる上位者の子供を妊娠するために存在する一族なのか?」

「こいつ、頭おかしいぞ!! 撃て!」

 

 生意気な様子の少女が私に銃を向けてきた。何故だ?!?!

 違うのか、そうじゃないのか?!

 

「私たちは妊娠できないわよ」

「違うだろ、なんで冷静なんだよシュガー?!」

「話、進める」

 

 眠そうな少女がほかの少女たちを抑えつつ、私の前に立った。

 

「よお」

「……あ、ああ」

 

 一瞬、何を言われたのかわからなかったが、どうやら私を呼びかけたらしい。

 あまりにも言葉数が少なすぎて、理解が遅れてしまった。

 私は自分の胸に手を当て、答えた。

 

「な、なんだろうか」

「誰? どこ?」

 

 眠そうな少女が、私を指さす。

 今度はわかったぞ。お前はどこの誰だ、と聞きたいんだな。

 

「私は『狩人』だ。すまないが、自分の名前がわからない……。目覚めてから、自分のことがあいまいなんだ」

「ふーん」

「も、もともとは獣の病を患ったものたちを相手にしてたんだ」

「獣? 病?」

 

 よし、手応えはある。話が通じそうだ。

 眠たげではあるが、こっちの話はちゃんと聞いてくれてるようで安心した。

 自分のことだ、わからないことも多いが、きちんと説明しよう。思わず言葉に力が入り、早口になってしまった。

 

「ああそうだ。元は地下にある宇宙、トゥメルの遺跡から見つけた上位者の赤子や聖遺物を元に研究していたらしく、上位者の考えを、存在を理解し観測するため脳に瞳を得ようとしたものたちが、まぁ、いろいろとやった課程で広まってしまったらしい。私にもわからないことが多いんだ。脳みそに海水を注入したり、三本目のへその緒を使ったり、上位者の腹を開いて子供を摘出したとかなんとか言われてるがわからないことだらけだ。ともかく、獣の病……これに罹患した人は己の獣性に支配されていき、最後には化け物になる。私はその獣を狩り、血の力と遺志を」

 

 説明の途中だったが、眠たげな様子の少女は唐突にこっちに背を向け、仲間たちの元へ戻ってしまった。

 どうしたんだ、説明の途中だったのに? 眠たげな様子の少女が私を指さして言った。

 

「変!!」

「だから言っただろ! あいつ、頭がおかしいんだって!」

「おちつきなさい。私が聞いてみるわ」

 

 今度はのんびり屋の少女が私の前に立つ。

 何か質問しようとしたのだろうが、私の体を観察しているみたいだ。

 

「その前に、あなた、傷だらけじゃない。応急処置の道具は持ってる?」

「ん? あ、ああ」

 

 改めて私は全身を確認して納得する。

 戦闘で傷つけ、血だらけになっていたようだ。痛みを忘れていたな。

 応急処置をしておこう。

 

「確かにこのままだといけない。道具は持っているから、少し待ってくれ」

「そう」

 

 私は腰鞄からいつもの輸血液を取り出した。

 

「……何それ?」

「これか? これは輸血液だ」

「包帯とかは?」

「必要ない。これを、こう」

 

 私はいつもの通り、太股に輸血液の針を刺した。操作すると、中の血が体に流れてくる。

 

「ふぅ……」

 

 襲い来る酩酊と陶酔、同時に体中の傷が治っていく僅かなかゆみ。

 一瞬でそれらが過ぎ去り、私の体の傷が塞がった。

 

「ふぅ、これで問題は、ない」

 

 空になった輸血液を投げ捨てる。遠くで液を入れてた瓶が割れる音がした。

 

「では話を……あれ?」

 

 だが、のんびり屋の少女は私から離れて仲間たちの元に戻ってしまった。話はどうした。

 のんびり屋の少女が私を指さした。

 

「私じゃどうしようもないわ」

「変!」

「だからおかしいって! 頭がおかしいんだって!」

 

 ぎゃーぎゃー喚き散らす少女たちを見て、私は空を仰いだ。

 

「話が……できない……」

 

 困ったな……どうすればいいんだ。

 私は騒ぐ少女たちを尻目に、途方に暮れるのだった。




 改めて書いてみると、ブラボの記憶が薄れていました。
 ブラボの攻略と考察サイト巡りが捗る捗る。

 ただ、やはり考察不足や知識不足が出てくるので、読者の皆様に「こうだったよ」とか「これはこうだと思うよ」という感想や意見がありましたら、感想欄にて教えてください。

 読んでいただきありがとうございます。
 頑張って書きますので宜しくお願いします。
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