走る。走る。走れ。走れ!!!
俺は武器を持ち替えて、全力で振りかぶる。両手で持ち、意識を向ける。
月光の聖剣。
教会の英雄と謳われたルドウイークが持ちし武器。
ルドウイークが見いだした導きの光る糸、そして英雄を騙した欺瞞の輝きの糸。
嘲りと罵倒を受けながらも、彼はやり遂げた。
私はドバンの背中にそれを見た。
彼の経歴は知っている。エニックが教えてくれた。
かつてはここ、アウターリム出身であり、その情報を売ることで副司令官の地位を得たとのことだ。
だが、その地位に見合う能力があるとは言えず、専用のニケを持つわけでもなく、たった一つの功績だけで成り上がった彼に嘲りと罵倒があることを知ってる。
それがどうだ。
彼は武器を持ち、誰よりも、私よりも前を走ってるのだ。
「う、うおおおぉおぉああああ!!!」
雄叫びを上げながら遺子に殴り掛かり、胎盤の武器に遮られていた。ゴドゥン!! と凄まじい衝撃音が鳴った。
彼の持つ素質が、才能が、とうとう開花したのだ!
それまではただの人であり、上位者や獣とは無縁であり、無能の誹りを受けた彼が、こうして人のために上位者へ武器を振るっているのだ!
涙が溢れて止まらなかった。
きっと、きっとルドウイークが生きていれば、このような背中を見せてくれたことだろう。
「ちくしょう! なぜ私がこんなことをしなければならんのだ!!」
『×××!』
「くそぉ!! なんか鳴いている!!!」
発狂することもなく、人の意志をこれでもかと見せ、獣を、上位者を狩る。
そうだ、彼はアルフレートではなかった。
彼は、そう、彼は教会の最初の狩人にして英雄。
ルドウイークだったのだ!!!
事実、私の手にある月光の聖剣が、まるで持ち主を求めているかのように鳴動していた。
月光の輝きを放つ聖剣の、その輝きの糸が彼に向かっているのが見えたのだ!
横合いから遺子を切りつける。ドバンとの鍔迫り合いで余裕がなかったのか、遺子の身体に大きな切傷を付けた。
赤黒い血が周辺に撒き散らされるが、遺子の顔に焦りはない。下がりながらも、胎盤をドバンに叩きつけた。ギリギリで車輪で防いだようだった。
しかし、車輪が砕けた。
「はぁ!?」
ドバンは驚いているが、当然のことだ。狩人の武器は、基本的に防御のことを考えられて作られていない。攻めて攻めて、息も吐かせずに攻め立てて獣を狩るために製造された。
防御に使われることなどないのだ。
木の盾というものがある。
獣の夜、獣の猛攻を防ぐためにヤーナム野郎共が使っているが、あくまでも気休めにしかならぬ。
狩人の武器も、似たようなものだ。
死にたくなければ獣を殺せ。
防御など考えるな。
だからこそ、車輪は砕けた。使用用途と異なる使い方をしたものの、当然の結末だ。
しかし、ここにある!!
「ドバン! これを!」
私はよろけるドバンに投げて寄越した。
「お前の武器だ!!」
月光の聖剣が、ドバンの手に渡った。
瞬間、輝きがさらに強くなった。
目映い、あまりにも目映く輝く光の糸を、これでもかと示した。
もはやそこに、英雄を惑わせる欺瞞など存在しない。
真に英雄を導く、月光を放つ聖剣となったのだ!!
「な、なんでっ?」
ドバンは困惑していたが、そこを遺子が襲いかかる。
胎盤が、ドバンに迫っていく。
ドバンはがむしゃらに振りかぶった月光の聖剣を、振り抜いた。
その輝きは一閃となり、胎盤を切り、遺子の腕を、首を、一気に跳ね飛ばす。
『……は?』
遺子の顔が困惑したままに飛び、瞬間月光の光に灼かれたように燃えだした。
声にもならぬ悲鳴に、再び私の目や鼻、耳から血が溢れる。発狂寸前だ、このままでは死ぬ!
だが、ドバンはそのままだった。振り抜いた体勢のまま、困惑した顔のままだったが遺子を見続けていた。
遺子は燃え続け、とうとう灰となり、塵となって消えた。
遺子を殺す。それを為したドバンのその背中は、まさに。
まさに、アークの英雄と言ってもいいだろう。
その背中に、私の目からは血ではなく、涙を流しから羨望の目で見ていた。
ドバン、お前を誇らしく、羨ましく思うよ、と。
ドバンの活躍が三周年でもなかったドバンファンのみんな、不安よな。
ドバン、動きます。
この後のエピソードでNIKKEのサブイベントを盛り込んでも良いかどうか?
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サブイベントも書いていい
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メインストーリーだけ進行して欲しい