暗黒錬金術師伝説6 暗黒!ソフィーのアトリエ 作:dwwyakata@2024
そろそろ良い頃だろう。
プラフタはアトリエの外に出る。
真夜中。
普通だったら、誰もいない時間だ。
だが、ソフィーが眠っているのを確認してからプラフタが外に出ると。
其処には、二人がいた。
いや、二人になっている人物というべきか。
ルアードは。
静かに待っていた。
「プラフタだけを起こすのは苦労したよ」
「あの子、どんどん強くなっているものね。 気配だけなら簡単に察知される」
「何の用です」
場合によっては、戦う事も辞さないつもりだ。
周囲に護衛がいるとしても。
今のプラフタは、全盛期とはおよぶべくもないほど力を落としているが。
それでもただで負けてやるつもりはない。
ルアードの片割れ。
アトミナは静かに笑う。
女の子の姿をしていても、ルアードはルアード。
また、メクレットは物静かだ。
姿は昔のルアードには似ても似つかないが。
これは恐らく。
いや、そんな事をいうのは無意味だ。
「ソフィーが邪神を倒した事は確認済みだよ。 想像を絶する成長速度だね」
「ソフィーだけで倒したのではありません」
「分かっているわよそんな事」
「我々だって、毎度彼奴らには苦労しているんだからね」
会話の間に剣呑な殺気が混じる。
だが、それでも。
まだ激発には至らない。
「始原の錬金釜について、少し面白い情報がある」
「何ですかわざわざ」
「この世界そのものにアクセスする扉を開けるかも知れない」
「!」
この世界そのもの。
つまり創造神か。
各地に姿を見せる創造神については、プラフタも調べた。だが、何カ所かで姿が見かけられるという話がある。それも同時期に、である。
つまりそれは、創造神本人では無く。
端末の可能性が高い。
ルアードの発言からして。
その可能性は更に高くなったと言っても良いだろう。
「ただしそれには、高純度の賢者の石が必要だ」
「貴方の組織で作れば良いでしょう」
「いや、君と、ソフィーの手で作って欲しい。 僕達はあくまで君の言葉が正しいかを確認したいんだよ」
「やって見せなさいよ。 私達との全てを否定までしたんだから」
唇を噛む。
二人を。いや、ルアードを此処まで追い込んでしまったのはプラフタだ。
どうして人間の醜悪さをもっと早くに気づけなかった。
醜悪とルアードを蔑ずんでいた人間達の方が。
余程醜悪だったことに。どうしてもっと早く理解出来なかった。
もっと早くに固定観念を脱していれば。
あんな悲劇は避ける事が出来た。500年に渡る確執だってそれが原因だ。
悪いのは、プラフタなのだ。少なくともプラフタはそう考えている。
「勘違いしないで欲しいな。 僕達だってこの世界をより良くすることを考えている事に違いはないよ」
「それを疑ったことはありません」
「あら、奇遇ね」
「ただ、今の貴方たちのやり方は間違っています」
ルアードは気長に待った。
だが、それでも、最終的に。自分達が正しいと判断したら、躊躇無く根絶の力を使うだろう。
そしてそれによって、世界を強引に作り替えるだろう。
今まで彼らがやってきたのはその下準備。
創造神が何を考えているのかは分からないが。
アクセスした結果次第では。
ルアードは再び凶行に手を染める。それは疑いの余地が無かった。
「準備を整えて待っているよ」
「ああ、それともう一つ教えておこうかしら」
「……!」
邪神が。
それも、光のエレメンタルが。
近々、この地に姿を見せるという。
ぞくりと来た。
下位の邪神であるエレメンタルと言っても、光と闇のは他と実力が段違いだ。姿を見せると言う事は、当然不完全状態だろうが、それでもこの間の風のエレメンタルとは実力にしても次元が違う筈。
「他の邪神が瞬時に粉々になったからね。 世界に直接影響が出たのに等しい。 刺激されて復活が早まったんだろうね」
「準備をしておくことだ。 間に合わなくなる」
二人が消える。
恐らく、相当な手練れの手によって、一瞬で移動したのだろう。
光のエレメンタルか。
恐らくは、ナーセリーを滅ぼした邪神だ。
嘆息すると、プラフタはアトリエに戻る。
もはや、戦いは。
避けられそうに無い。
そんな悲観が、心を軋ませていた。
もはや体に肉はないというのに。
(続)
原作で「此処からは別物」となるエンドコンテンツボス、光のエレメンタル。
その影が、姿を見せ始めます。
様々な思惑が交錯する中。
錬金術師の目標である賢者の石の作成が見え始めてきました。