暗黒錬金術師伝説6 暗黒!ソフィーのアトリエ   作:dwwyakata@2024

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今回は原作におけるエンドコンテンツボス、光のエレメンタルとの戦闘です。

こいつから文字通りボスの戦力のレベルが跳ね上がる事もあって、本作でも凶悪な敵として描写してみました。


光の暴力
序、焼き尽くす烈光


閃光が迸った。

 

あたしもすぐにそれを確認した。何しろ、ナーセリーの方から、柱のように光が立ち上っていたからである。

 

なるほど。

 

どうやらまた邪神のお出ましらしい。

 

しかもこの様子だと、虚を突くことが可能なはずだ。

 

すぐに仕掛けるべし。

 

邪神も蘇った直後は力が弱まっていることは分かりきっている。以前の場合では、蘇って数日は経過していた筈なのに、相当に弱体化していた。

 

ならば即時に仕掛けるべきだろう。

 

偵察に出ていたフリッツさんが戻ってくると、すぐにカフェに顔役が集まり、会議を行う。

 

当然、総力戦だ。

 

前の邪神との戦いで、かなり厳しい戦況にはなったものの、勝つことができた。

 

それが皆を好戦的にしている。

 

しかしながら、プラフタは、冷や水をその空気にぶっかけた。

 

「今回の相手は、前のとは桁が違います」

 

「プラフタ、何か知っているのであれば話を聞かせてください」

 

「恐らく反応から言って下位の邪神ではあるでしょう。 しかしあの強烈な光は、恐らく光のエレメンタルかと思われます」

 

「光のエレメンタルか。 詳しく頼む」

 

ヴァルガードさんの言葉に頷くと。

 

プラフタは説明を始める。

 

エレメンタルは基本的に複数が存在する下位の邪神で、その実力も「人間がどうにか出来る範囲内」に収まってくる相手だという。

 

勿論この「人間がどうにか出来る」のハードルが非常に高い事は想像に難くないが。

 

問題なのは、同じ「下位」でもピンキリの実力差があり。

 

光と闇のエレメンタルに関しては、他とは次元違いの実力があるそうだ。

 

「あの不完全状態の風のエレメンタルでさえ、あれだけの戦闘力を持っていたことを思いだしてください。 簡単に勝てる相手ではありません」

 

「交戦経験はあるのですか?」

 

「はい」

 

プラフタによると。

 

全盛期、倒した邪神は七柱。その内四柱は地水火風に対応したエレメンタルだったそうだが。

 

残り三柱の内一柱が。

 

光のエレメンタルだったそうである。

 

この光のエレメンタル、中位の邪神に匹敵する実力を持ち。

 

非常に厳しい戦いになったそうだ。

 

なお、中位の邪神は固有の名前を持つのが普通で。

 

戦闘力は基本的に、大きな街が優れた錬金術複数と連携した上で総力戦をしてやっと勝てるか勝てないか、という次元だそうだ。

 

つまり、光のエレメンタルは。

 

そういう次元の相手だと言う事である。

 

「現状の戦力では、不完全状態の光のエレメンタルが相手であっても、この街の全戦力を投入せねば勝つことは難しいでしょう。 しかも負ければこの街は焼き尽くされると判断した方が良いでしょうね」

 

「それほどか……」

 

ハイベルクさんが腕組み。

 

空気が一気に冷えた。

 

だが、此方も武装を強化して、邪神やドラゴンの襲来に備えていたのだ。

 

それに何より、恐らくナーセリーの跡地から出現したことから考えても。ほぼ間違いなく奴がナーセリー壊滅の主犯である。

 

完全に滅ぼしてしまえば。

 

ナーセリーを安全に復興できる。

 

作戦を聞く。

 

プラフタが戦った光のエレメンタルの情報について。

 

記憶を取り戻してくれていたのは良かった。

 

本当に有り難い。

 

それによると、光のエレメンタルは。

 

おぞましいまでの回復能力を持つというのだ。

 

「光のエレメンタルは、基本光を司ります。 光は何処にでも届き、何処でも失われることはありません。 遮ることは出来ますが、光そのものは恐らくこの世界における最速の存在でしょう。 故に光を司るエレメンタルは、圧倒的なまでの再構築能力を誇るのです」

 

「どうやって倒したの?」

 

「かなりの苦戦をしましたが、全火力を投射して滅ぼしました。 守りを考える余裕は無いと判断した方が良いでしょう」

 

あたしの言葉に。

 

プラフタは脳筋極まりない答えを返すが。

 

しかしながら、この世界に出現する邪神には物理攻撃が通用する。

 

それならば。

 

確かにプラフタの言う事は間違っていない。

 

前回戦った風のエレメンタルは、其処まで強力な再構築能力を備えていなかったが。それでも相当な実力者だったし。何よりタフネスが凄まじかった。

 

今回は厳しい戦いになる。

 

「前衛組の武器には既にハルモニウムによるコーティングを終えているから、攻撃は問題ないね。 問題は防具か……」

 

「鏡は使えないの?」

 

「鏡は無力です。 瞬時に溶かされます」

 

「試したのか……」

 

ヴァルガードさんがぼやく。

 

だが、光なら鏡で反射できるだろうと考えて、戦場に持ち込み。通用しなかったら、それはそれで衝撃を受ける。

 

先に試して駄目だったのなら、それは有り難い。

 

プラフタは恐らく。

 

錬金術で作った道具でガチガチに身を守り。

 

体が壊されきる前に、敵を滅ぼし尽くしたのだろう。

 

コアになるような部分を破壊さえすれば、光だろうが闇だろうが、何を司っていても邪神を滅ぼせるはずだ。

 

問題は先に聞いた話。

 

再構築能力。

 

コアも復元できるとなると。

 

破壊するためには、更に更に火力を上げていかなければならないだろう。それに、敵の火力も対策しなければならない。

 

相手が不完全状態の内に叩かないと勝機はなくなる。

 

さて、どうするべきか。

 

時間はあまりない。

 

ましてや、再構築能力が高いという事は、復活までそう時間も掛からない、という事だ。

 

とにかく、出来るだけの準備をする。

 

切り札として、前線で戦う面子には、完成品の生命の蜜を配る。

 

此奴なら。

 

上位次元からの防御不能攻撃にも、ある程度対応出来るはず。

 

大した量は用意できなかったが。

 

それでも、今回の戦いは一瞬で終わる。

 

これを使い切る前に倒せなければ。

 

こちらが殲滅されるだけだ。

 

ハロルさんは、先日完成したばかりのハンドキャノンに、プラティーンでコーティングし、弾芯をハルモニウムにした特別弾を五つ用意。此奴なら、生半可な防御では防げない筈。

 

しかも、ハロルさんは同じ重さに調整した鉛玉で、狙撃の練習を黙々とやっていた。

 

元々この人の狙撃は、ここぞという所で役に立ってくれる。

 

ならば。期待しても良いだろう。

 

あたしとともに戦うメンバーの武器は、全員分をハルモニウムでコーティング済み。

 

流石に上位次元からの防御を切り裂けるかというと微妙だが。

 

このハルモニウム、そもそも超稀少な成分を、更に変質して極限まで強度を上げているものである。

 

少なくとも敵の防御さえかわせば。

 

敵本体に打撃を与えることは可能だろう。

 

後は、幾つか準備をしていく。

 

あたしが取り出したのは。

 

試作品の誘導クラスター弾。

 

通称プニプニ弾である。

 

このプニプニ弾は、街周辺に懲りずに現れるプニプニを解体して作ったもので。

 

奴らの有するプニプニ玉を変質させ。

 

生命を与えつつ、内部にフラムを仕込み。

 

形状を整えつつ、魔法陣を込めたゼッテルで包んである。

 

浮遊の魔術と追跡の魔術が同時に発動するようになっており。

 

仕組みとしては、打ち上げると。

 

上空で数百に分裂。

 

それぞれが違う軌道を描きながら、敵に襲いかかり、着弾と同時に爆裂する。

 

火力もうに袋を数段上回る上。

 

子弾それぞれの火力がフラム並であるため。

 

敵が集団であれば一気に制圧が出来るし。

 

敵が単独であれば飽和攻撃が出来る。

 

爆弾は基本的に手投げしていたあたしだけれども。

 

そもそも、手投げだと事故が起きやすいという事に気付き。

 

多少コストは掛かっても良いので。

 

自動で敵に向かって行き。

 

そのまま爆裂する、誘導型爆弾を開発するべきだと思っていた。

 

これはまだ実戦には投入していないが。

 

それでも、プラフタにレシピは確認して貰ってあるし。使える事は試してある。

 

問題は高価なことで。

 

今回の戦いには持って行くには持っていくが。

 

それでも最初の一撃でドカン、とやるのが精一杯だ。

 

自警団メンバーには、プニプニ弾の着弾と同時に仕掛けて貰う。

 

前回同様、束ねた爆弾による飽和攻撃だ。

 

今回、敵は動く様子が見えない。

 

つまり、待ち伏せをすることは難しい、と見て良いだろう。

 

そうなってくると、敵の目的が見えないが。

 

或いはただ目覚めたばかりで、周囲の情報を収集しているだけなのかも知れない。まあそれはそれでどうでもいいが。

 

此方がやる事は一つ。

 

邪神は殺す。それだけだ。

 

準備を各自が整えるまで半日。

 

その間に作戦会議も済ませる。

 

今回も、避難訓練に沿って、非戦闘員はいざという時に逃げる準備をして貰うが。正直な話、そんな余裕があるかどうか。

 

ナーセリーが滅びたときも。

 

何が起きたのか分からなかった、という証言を得ている。

 

つまり、それだけとんでもない火力を有している相手、という事である。

 

戦力は、街にはホルストさんと、訓練がまだ途中の五名だけが残る。

 

戦況を見ながら、このメンバーだけで、退避の判断と誘導をする。

 

全自動荷車は、足弱の老人や子供の避難に活用するほか。

 

あるだけの旅人の靴も用いる。

 

東の街には、既に情報が行っている。

 

向こうでも、避難民の受け入れ準備および。

 

隣街への警告はしてくれているはずだ。

 

ミゲルさんは陣頭の猛将ではないものの。

 

こういうことは、そつなくこなしてくれる。

 

信頼しても構わないだろう。

 

戦いは、夕方から仕掛ける事にする。

 

相手が光のエレメンタルという事もある。

 

夜も星明かりがあるのだけれども。

 

それでも昼間に戦うよりはマシだろう。

 

都会だと、夜に星があまり見えない、と言うような場所もあるらしいのだが。

 

まあ、キルヘン=ベルではその辺りを気にしなくても大丈夫だ。

 

準備が終わったので、全員出る。

 

敵は分かり易すぎるほどの光の柱を発し続けており。

 

間近で監視に当たっているメンバーも、その凄まじさを逐一報告してくれてきていた。

 

あたしもナーセリー近くの丘に到着すると。

 

遠めがねで相手を覗く。

 

なるほど。

 

風のエレメンタル同様、何だかよく分からない服装をした人型だが。

 

まだ完全に復活していないのだろう。

 

やはり形が崩れている。

 

手も足も、彼方此方が虫食いのように欠けていて。

 

頭に至っては、半分がごっそり抉られているかのように存在しなかった。

 

ある意味非常に不気味な姿だが。

 

あれが完全体になられたら、被害が尋常では無くなるはずだ。

 

そういえば。

 

ナーセリーを滅ぼした後。

 

此奴は何処へ行ったのだろう。

 

そのままキルヘン=ベルに襲いかかっても良かったはず。

 

流石におばあちゃんも、此奴に勝てたとは思えない。

 

そうなると、やはり深淵の者が滅ぼしたのか。

 

分からないが、兎も角。

 

一度は滅ぼされているのだ。

 

だったら何度でも滅ぼしてやる。

 

それだけの事である。

 

展開完了。

 

ハンドサインが来る。

 

作戦の指揮は、フリッツさんに取って貰うとして。

 

あたしはまず、最初に第一撃を仕掛けるところからだ。

 

現在、九個にまで増やした拡張肉体。

 

前回の対邪神戦よりも、更に割り増しの火力を展開できる。

 

だが、前回の邪神より段違いに強い相手だ。

 

それでも足りないだろう。

 

せめて、上位次元からの干渉をぶち抜く事が出来れば。少しは状況はマシになるのだろうが。

 

敵は、此方に気付いていない。

 

というよりも、此方に興味も無い様子だ。

 

いずれにしても、これ以上待つ理由はないし。意味もない。

 

あたしもハンドサインを出す。

 

ぷにぷに弾は準備が完了した。

 

これは筒状になっていて。

 

地面に水平に置く。

 

そして、水平に置いた後、筒の正面に描かれている「目」が相手を確認。

 

その相手に対して、ぶっ放された誘導弾が、飛翔しながら飽和攻撃を仕掛ける仕組みである。

 

相手が多数の場合はその全てに可能な限り攻撃をする他。

 

筒そのものは再利用が出来る。

 

問題は敵味方の識別ができない事で。

 

何かしら動いている相手には、情け容赦なく、徹底的に殲滅を加えるため。

 

相手に先制攻撃を仕掛けるのには向いているが。

 

乱戦時に使用するのには適していない。

 

まあこの辺りは、強力な兵器ほど癖が強い、という事である。

 

フリッツさんが、ハンドサイン。

 

仕掛けろ、という意味だ。

 

あたしは頷くと、プニプニ弾を起動。

 

ドン、と大きな音がする。

 

この音が、実験中に街にも響いて。

 

結構苦情を貰った。

 

だが、多数の敵を瞬時に自動制圧する兵器だという事をホルストさんに話し。試作段階での使用状況を見せた結果、納得して貰った。

 

まあいずれにしても。

 

奇襲用の武器では無く。

 

真正面から相手をねじ伏せるための武器である。

 

いずれ対匪賊用に、街に配備する予定だったもので。

 

キルヘン=ベルと東の街が統合した暁には。

 

防御壁の要所に、数個が配備される事が決まっていた。

 

光のエレメンタルは動きを見せない。

 

打ち上げられた無数の蒼。

 

プニプニに似ているが。

 

それらは全て、内部に爆薬を搭載した自動追尾型の飛翔する殺意なのだ。

 

空中で百を超えるそれらが、一斉に火を噴き。

 

あらゆる方向から光のエレメンタルに迫る。

 

なおどれにも笑顔を描いているが。

 

それは笑顔が相手にプレッシャーを与えるからである。

 

元々笑顔は。

 

敵を殺すために作る物だったという説があり。

 

本当に戦闘が好きな者は。

 

戦闘時に笑顔を浮かべているケースが目立つ。

 

その辺の心理効果も考慮したデザインだ。

 

見る間に光のエレメンタルを包囲したプニプニ弾が、各々着弾。

 

爆発は互いの火力を増幅し合い。

 

一気に光のエレメンタルは爆風に包まれる。

 

さて、ダメージはどれほどか。

 

まあそれはいい。

 

即座にヴァルガードさん達が動く。

 

煙幕を利用して、束ねた爆弾類を、一斉に投擲。

 

息は完璧にあった。

 

爆裂する爆弾。

 

キノコ雲が立て続けに上がる。

 

ナーセリーの跡地は、これは更地になるな。あたしは、何処か他人事のように、そう思っていた。

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