暗黒錬金術師伝説6 暗黒!ソフィーのアトリエ   作:dwwyakata@2024

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錬金術。

それは無力な子供だったプラフタとルアードに力を与えました。

二人はそれを皆の為に惜しみなく使いました。

こんな過酷な世界であったのに。


2、栄光の階段

プラフタが家を回る。

 

薬が必要な人はいないか確認。

 

今は死にかけていた長老さえ活力を取り戻している。怪我が絶えず、苦しんでいた皆も。生活が楽になったと喜んでいた。

 

薬は商人にも売れた。

 

痩せた作物など、比較にならない値段で。

 

最初値段を聞いたとき、思わず耳を疑った程である。

 

錬金術の道具が、まさかこんな小さな村で手に入るとは思わなかったと、商人は言っていたが。

 

今までの搾取されるだけの関係が。

 

この時点で、対等に取引できる状況に変わったのだ。

 

商人も、大きな街のクソ高い錬金術の薬よりも、此処で仕入れる方が良いと判断したのだろう。

 

こぞってやってきては。

 

錬金術の道具類を売ってくれる者も出始めた。

 

流石に粗末な安物だと一目で分かったが。

 

割れかけたお椀やら。

 

コップやらを使うよりも。

 

遙かに良い。

 

村人達も、元気になり。

 

更に、簡単な爆発物を作る事により。魔術に長けた魔族がいないこの村でも。猛獣を容易く追い払う事が出来るようになった。

 

前は見張りをしていても侵入してくる猛獣たちを。

 

総力戦で毎回追い払っていたのだ。

 

今は違う。

 

猛獣たちも、仲間が散々爆破され。

 

返り討ちにあうようになると学習すると。

 

村にはぴたりと近づかなくなった。

 

この爆弾も商人に売れた。

 

幾つかの木の実を組み合わせ。

 

その「意思に沿って」内部に爆発性のガスを充満させ。

 

そして同時に内部に鋭い尖ったものを仕込む。

 

放り投げると同時に、起爆ワードを唱える。

 

こうすることによって、凄まじい速度で飛び散った尖ったものと、爆発の衝撃そのものが猛獣を仕留めるのだ。

 

村は、安全になり。

 

人口も増え始めた。

 

同時に匪賊が目をつけるようになり。

 

一度、三十人ほどの匪賊が、夜に襲撃をして来た。

 

だが。

 

プラフタとルアードはそれを見越していた。

 

商人達が錬金術の道具を扱うようになれば。それは野良の錬金術師がいる、という事を意味している。

 

錬金術がどれだけの金を生み出すかなど、言う間でも無い。

 

ある程度の秩序があるのも、城壁に守られた大きな街の中だけ、という世界なのだ。

 

無法の世である荒野では。

 

暴力が全てを支配する。

 

だから匪賊を取り締まる者などいない。

 

中には、堂々と街の外で匪賊を行い。

 

戦利品を街の中で売りさばく輩までいると聞いている。

 

故に容赦も手加減もしなかった。

 

攻め寄せてくる匪賊の通り道をルアードが特定。

 

二人で作った爆発物を仕込み。

 

そして、多くの実績から、既に村の指導者として実質的に見られていたプラフタが。松明を掲げて威圧的に近づいてくる匪賊達があるラインを踏んだ瞬間。

 

起爆ワードを唱えた。

 

自分でやったのは。

 

これが正当防衛と言っても。

 

殺しに相当するからだ。

 

殺すからには。

 

責任を取らなければならない。

 

既に錬金術を始めた頃とは、プラフタもルアードも、腕は比較にならないほど上がっていた。爆弾も複数種類作れるようになっていた。文字通り燃える物質を使ったものや。稲妻を走らせるもの。周囲を凍り付かせるものなど。奇蹟に近いものも作れるようになっていたのだ。

 

というよりも。自分達でさえ、自作の爆弾を全力で展開したら。

 

どうなるか分かっていなかった。

 

結果。

 

キノコ雲が出来た。

 

巨大な爆発が起きると、キノコ雲が出来る事は、爆弾の性能実験で知っていたが。これほどの規模のものははじめて見た。

 

凶暴なドラゴンの咆哮がごとき爆圧が、地面を撫で。そして周囲を張り倒す。

 

備えていたのに、吹き飛ばされそうになったほどだ。

 

いずれにしても、爆心地にいた連中などひとたまりも無い。

 

爆発で、半分の匪賊が消し飛び。

 

そして残りも大半が手足を吹き飛ばされた。

 

村人達が襲いかかり。

 

彼らを皆殺しにするまでそう時間は掛からず。

 

戦闘と言うより虐殺は。

 

一瞬で終わった。

 

奪った防具や武器。

 

装備品は。

 

全て血や臓物を洗い流してから商人に売り払い。

 

主にヒト族で構成されていた匪賊の死体の山は、全て砕いて焼き払うと。村の外れにある無縁墓に埋めた。

 

そして、商人達には、彼らの末路を告げておく。

 

これだけで充分だ。

 

三十人からなる腕利きの匪賊が、一夜にして手も足も出せずに全滅した。それだけで、もう生半可な武装集団は攻撃を仕掛けてくることも無い。

 

薬や爆弾を売る事で得た収益も大きく。

 

また噂を聞いて、村に逃れてくる者も増えていた。

 

錬金術を始めてから、四年が過ぎた頃には。

 

村の人口は100名を突破。

 

戦闘が出来る腕利きのヒト族や魔族も増え。

 

商人も常駐するようになりはじめた。

 

収益の大半をプラフタは村に還元し。

 

そして残りを錬金術の道具や、珍しい素材の購入に充てた。

 

道具はルアードが見極めた。

 

少なくとも、商人がカスを売りつけようとしているか、そうではないかは、ルアードが見抜くことが出来たし。

 

プラフタは村の皆に丁寧に声を掛けて。

 

困ったことがあったら解決し。

 

そしてプラフタにつけ込んで悪事をしようとする輩に関しては、ルアードが側でそれを見抜いた。

 

いつしかプラフタは。

 

光の錬金術師と呼ばれるようになっていた。

 

だが、ルアードは。

 

相変わらず醜悪のルアードと呼ばれるだけだった。

 

プラフタは、自分がどう呼ばれようと興味は無かった。

 

だが、どうしてルアードが悪く言われるのか。

 

それは理解出来なかった。

 

ルアード自身に相談してみたこともある。

 

だが、ルアードは。

 

寂しく笑うばかりだった。

 

 

 

錬金術を始めて六年。

 

村の人口は200人を軽く超え。

 

立派な櫓と堀と塀で守られるようになり。

 

川に沿って作られた堅固な天然の要塞になった村は。近隣の集落で最大になった。

 

しかも現在進行形で、人口が増え続けていた。

 

人々は健康と平穏を謳歌し。

 

畑には錬金術で土地を改良した結果、豊かな作物が実るようにもなった。

 

長老は大往生したが。それに伴って、プラフタが長老に全会一致状態で認められ。仕事があると判断した傭兵や、凄腕の魔族も、村に訪れるようになった。

 

村と言うよりも、もう小さな街という規模かも知れない。

 

いずれにしても、プラフタの発言には周囲は耳を必ず傾けた。

 

恩人であるし、何より最大戦力と見なしていたからだろう。

 

匪賊の襲撃はそれでもたまにあったが。

 

最初の何回かで、プラフタとルアードが、圧倒的火力で殺戮してからは。

 

彼処にはドラゴンをも倒す凄腕錬金術師がいる、という噂が流れたらしく。

 

以降は余程のアホか。

 

それとも、物知らず以外は。

 

仕掛けてくる事も無くなり。

 

対処も常駐している傭兵や戦闘タイプの魔族に任せれば良くなった。

 

同時に。

 

村人達が、アトリエの作成に着手して「くれた」。

 

今までの扱いを考えると、思うところもあるのだが。

 

兎に角、金も充分に貯まり。

 

ちゃんとした錬金術の道具も手に入れ。

 

更に本まで買えるようになると。

 

アトリエが欲しくなるのも人情、というものである。

 

元からあった家は、必要なものを全て運び出してから取り壊し。

 

アトリエを作る事になった。

 

石造りの大きな家。

 

書斎も欲しい。

 

だが、此処でおかしな事になった。

 

村人達が出してきた図面を見たプラフタは、思わず眉をひそめていた。

 

「居住スペースと部屋が、私の分しかないようですが」

 

「はあ、当然なのでは」

 

「ルアードの分も必要です」

 

「あの小間使いがですか? 側の小屋で充分でしょう」

 

小間使い。

 

思わず真顔になった。

 

後ろで黙っていたルアードは。そのまま何も言わない。

 

まさか、そんな風に見ていたのか。

 

「ルアードは私と同格の実力を持つ錬金術師です。 貴方達を救った薬も、匪賊や猛獣を退けた爆弾も、私とルアードの二人で作り上げたものです。 私だけがこの村のために働いたとでも思っていたのですか?」

 

「貴方がその醜い男を高く評価しているのは分かりましたが、どうにも信じられない事です」

 

「良いから、言ったとおりにしてください」

 

「プラフタ」

 

ルアードが、自分は別に良いと言い出そうとしたのだが。

 

こればかりは譲れない。

 

今でもルアードとは竹馬の友で同志だ。

 

男女の関係ではないが。

 

それがなんだというのか。

 

小間使いなどという事を言われて、流石にプラフタも頭に来た。

 

醜悪のルアードとまで呼んでいることは知っていた。

 

何度もその現場を見ていた。

 

それでも、怒ることはないルアードだったのに。

 

「分かりました。 それでは言われたとおりにします」

 

プラフタの剣幕を見て、流石にまずかったと判断したのか。村の者達は引き下がる。この村は、プラフタとルアードがいないと、あらゆる意味でやっていけないのだ。

 

いずれにしても、充分な機能を持つアトリエが出来た。

 

それぞれのパーソナルスペースと、共用スペースがあり。

 

少し値段は張ったが、商人から仕入れた錬金術に最も重要な道具となる「錬金釜」を二つおき。

 

多くの道具類と。消毒用の設備。星を読む設備。魔術に必要なマナを集める魔法陣。二人とも魔術は使えないので、これは必須だ。マナは蓄えておいて、錬金術の道具によって様々に活用できるのである。

 

素材を保管する地下の氷室。

 

氷室に入れる事で、素材が痛む時間を大幅に伸ばす事が出来る。これによって、痛みやすい素材を使いやすくなる。

 

それらを備えた施設が完成した。

 

できばえは充分。

 

少なくともプラフタは満足した。まさか自分の部屋がもてるとは思わなかったから、である。

 

ルアードに、聞いてみたが。

 

静かに頷くだけだった。

 

「私はこれで充分だ」

 

「良かった。 それでは、今後も人々のために頑張りましょう」

 

「匪賊についても、今後は殺さなくても済むかも知れない」

 

「そうですね。 錬金術の力がついてきた今。 相手を殺さずに制圧する、という選択肢も出てくるでしょう」

 

皆のために。

 

世界を少しでも良くしたい。

 

そんな事さえ、考える事が出来るようになりはじめていた。

 

昔は、毎日を生きていくだけで精一杯。

 

ドラゴンでも攻めてきたら、一瞬で全てが終わってしまう絶望の世界だった。だが、これからは。

 

或いは遠征をして。

 

周囲の村々を救ったり。

 

難民の群れを受け入れたり。

 

そういったことも、視野に入れていくことが出来るだろう。

 

既にドラゴンに関しても、一度攻めてきたのを撃退した実績がある。錬金術はそれだけ力がある学問、という事だ。

 

そして力がある以上。

 

多くの人々のために使わなければならない。

 

最初は病み衰え死を待つばかりの村を錬金術は救った。

 

今度は、この力で。

 

手の届く範囲の人々を救わなければならない。

 

その結論に。

 

プラフタも、ルアードも。違いは無かった。

 

 

 

村の守りが充分だと判断すると。

 

まずはプラフタから遠征に出る。コレが上手く行ったら、今度はルアードが行く予定だ。

 

村はルアードに任せる。

 

とはいっても、村の経済はホム達が扱うようになっているし。守りは傭兵と魔族達が交代でやってくれている。

 

まずは、一人旅での錬金術師が、どれくらい通用するか確認し。

 

無理そうだったら、護衛を雇って様子を見る。

 

そのつもりだ。

 

懐かしいな。

 

一人でフードを被って村の外を歩いていると、プラフタはそう思った。勿論街道など存在しない。荒野が殆どで、たまに森や草原がある程度だ。川があれば、その周囲には緑がある事が多いが。それ以外の荒野が圧倒的に多いのが現実だった。

 

幼い頃は、こんな風に。周囲にいつ何をされてもおかしくない空間にいて。

 

夜道だろうが炎天下だろうが歩き続け。

 

倒れて死んで行く者も何度も見た。

 

自衛のための道具も持ってきている。

 

奇襲を防ぐための道具も。

 

自律思考して様々に相手を防御する、空中に浮かんだ腕だ。現在は一対だけだが。いずれ数を増やしたり、大きくしたりする事も考えている。普段はぶらりと垂れ下がるようにしてプラフタの周囲に浮かんでいるが。

 

それも敵意や殺気を感じ取ると。

 

瞬時に敵を容赦なく制圧する。

 

同じようにして、荷車も後ろから着いてきている。

 

自律思考して移動する四輪型の荷車で。充分な量の薬と爆弾を搭載し。更にプラフタとルアードの承認が無い限り、蓋は開かない造りだ。

 

隣町に行くまでに、現実を見る。

 

街道に転々としている白骨。

 

見かける度に、手を合わせる。

 

これが何の意味を持つのか分からないが、生死を司る神への祈りという話もある。いずれにしても、死者の尊厳は守らなければならない。

 

死者を見かける度に埋葬。

 

今は死者から追いはぎをしなくても生きていける。

 

だから、持ち物を奪うこともしなかった。

 

埋葬が終わると、天を仰ぐ。

 

今も世界は安定していない。

 

国と呼ばれるものはあるにはあるが。何処も城壁の内側を守る事しか興味が無く。その外には無法の土地が拡がっている。

 

創造神がやる気を無くしたため、暴走状態になったり、好き勝手をして災厄をばらまいている邪神が。

 

そういった国を滅ぼす事もある。

 

今までに何度かそういう話を商人に聞いた。

 

事実、雷神ファルギオルという邪神は、今までに何度も破壊の限りを尽くしており。多くの錬金術師を返り討ちにしていると言う。腕利きの錬金術師が歯が立たない相手となると、相当なバケモノなのだろう。

 

ドラゴンの中にも、そういった神々に比肩する実力者がいるとかで。

 

世界は広く。

 

そして荒廃していることがよく分かる。

 

隣の村に到着。

 

昔の自分の村のようだなと、プラフタは思った。

 

人間はヒト族も魔族も獣人族もホムも含めて、三十人程度。いつ誰に襲われ、滅びても不思議では無い。

 

少なくとも、錬金術師がもっと多くいれば。

 

そして、城壁の内側で我が世の春を謳歌せず。

 

こういった人々を救おうと考えていれば。

 

少しはマシになるだろうに。

 

悲しくなるプラフタだが。

 

ともあれ、やるべき事をやらなければならない。

 

けが人はいないか。

 

病人はいないか。

 

だが、誰も顔を出さない。

 

唯一、青い顔で歩いていた若いヒト族の男性を見つけて、話を聞いてみたが。プラフタが錬金術師だと聞いただけで顔色を変えた。

 

「そんな金、あるわけないだろう! 錬金術で作る薬は、簡単な薬でもそれこそ家が買えるほどの価値があるって聞くぞ!」

 

「私は無償で皆様を助けに来ました。 出来る範囲内の人々を救いたいのです」

 

「そういって、後から好き勝手な事をするつもりだろう! 俺たちで人体実験でもするつもりか!」

 

いきなりの拒絶である。

 

無数の視線が集まっている。

 

恐らく、この男が言うことは、本当なのだろう。

 

商人と取引したり。

 

傭兵から話は聞いている。

 

悪徳錬金術師の中には、貧民を使って人体実験をしたり。

 

戦争に錬金術を使って、谷一つを消し飛ばしたり。

 

山一つを吹き飛ばしたりする者がいると。

 

自分だって、匪賊を退けるために、爆弾で虐殺を行った身だ。彼らを一方的に邪悪と罵ることは出来ないだろう。

 

猛獣だってたくさん殺した。

 

身を守るためには、色々と必要な事もあった。

 

だが、今は。

 

守れる範囲のヒトは守りたい。

 

「私は隣街の錬金術師プラフタです」

 

「!」

 

「私が周囲から金を取って錬金術を使ったという噂を聞いた者はいますか。 それならば、それは嘘だとこの場で証明しましょう」

 

隣街の繁栄。

 

それにプラフタの名前なら知っている筈だ。

 

怒気を収め、俯いた青年。

 

プラフタは、周囲の視線に視線を返すと。

 

一人ずつ、診察することを告げた。

 

そうすると、やっとやせこけ、襤褸を纏った人々が姿を見せる。誰も彼もが、昔の村と同じだ。

 

世界中がこんな状態なのだと。

 

改めてプラフタは理解させられる。

 

とにかく、今は出来る事から順番に、だ。

 

皆、栄養失調と怪我が酷い。

 

栄養を凝縮したレーション類を分け。

 

怪我を治す薬。

 

様々な病気に対しては、対応した薬を処方。

 

更に、村の周囲に出向き。

 

村に害を為していた猛獣を全て駆逐して追い払い。

 

更に村を伺っていた匪賊を制圧。

 

全て縛り上げた。

 

彼らはどうするべきなのか。

 

爆殺しなくても、簡単に捕らえられるほどに腕を上げたプラフタだが。しかしながら、十人からなる匪賊をどうするか。これは大きな問題だ。人間なら食事もする。水だって飲まなければならない。

 

考えた末に、一度アトリエに戻る事にした。

 

捕縛した匪賊は、街の自治に任せる。

 

しばらくは牢に入れ。

 

その後は兵士として使う。

 

それで構わないだろう。

 

多くの人間が手を血に染めている時代だ。

 

匪賊からは身を守らなければならないが。

 

匪賊として生きていくしか方法が無い者もいる。

 

プラフタに叩きのめされた匪賊は、そう嘆き。殺すなら殺せと叫んでいた。そんな事は分かっている。

 

だが、彼らにも、生きる権利はある筈だ。

 

一度アトリエに戻り。

 

捕縛した匪賊達を街の民に引き渡す。

 

傭兵の一人が、彼らの素性を知っていた。

 

「此奴ら、確か商人を狙って畜生働きをする匪賊だ! 何処かの街で奪った商品を売っていたことがあるぞ!」

 

「野郎、ブッ殺してやる!」

 

「吊せ!」

 

わいわいと騒ぎが起こるが。

 

プラフタが手を上げると。

 

さっと騒ぎは静まった。

 

「裁くなら決めた法に従って厳正に行いなさい。 本当のことを喋らせる薬も用意します」

 

観念して項垂れていた匪賊達は。

 

結局、その薬を飲んだ結果。

 

今までに六人の商人を殺し、連れていた奴隷や家族も十人以上殺した事を白状した。

 

結局彼らは、吊されることになった。

 

その様子を見つめて、プラフタは思う。

 

世界が良くならない限り。

 

ああいう人達は減らない。

 

多分世界が良くなっても、0になる事はないだろう。

 

それでも、出来るだけ0には近づけたい。

 

ルアードが来る。

 

「随分と早かったね」

 

「隣の村を救ってきただけです。 今度はルアードが行ってきますか?」

 

「私はあまり人々に信用されることは無いだろう。 凶暴な猛獣や、凶悪な匪賊の情報がある。 それらの討伐をしてくる」

 

「分かりました。 もしも殺さなくても良いのなら、そうしてください」

 

頷く。

 

二人して、この街を離れる訳にはいかない。

 

ふと気付く。

 

ルアードが、荷物をまとめて荷車に入れているのを。

 

露骨に嫌そうな顔で、街の者達が見ていた。

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