暗黒錬金術師伝説6 暗黒!ソフィーのアトリエ   作:dwwyakata@2024

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4、勝利と血痕

呼吸を整えながら。

 

親分が倒されたぷにぷにどもが。本能に従って、逃げていくのを見る。ジュリオさんとフリッツさんが追撃を開始する中。

 

レオンさんが、モニカを担いでこっちに来た。

 

オスカーも目を回している。

 

無事だったハロルさんと、比較的傷が浅いコルちゃんにも手伝って貰って、手当を開始。

 

幸い頭は打っていないのと。

 

友愛のペルソナとマイスターミトンの防御もあり。

 

二人とも、致命傷は受けていなかった。

 

てきぱきと手当をする。

 

モニカは意外に早く目を覚まし。

 

情けないと、苦笑いしていた。

 

「必殺の間合いだと思ったのだけれどね……」

 

「しっかり効いていたよ」

 

「……」

 

オスカーも目を覚ます。

 

応急処置完了。

 

あたしは、すぐに手袋を嵌めると。

 

「提督」の死骸を漁る。

 

一抱えもある巨大なぷにぷに玉が、複数出てくる。いずれも荷車に詰め込む。純度も高いようで、プラフタも喜ぶだろう。

 

そしてその中には、黄金のものもあった。

 

コレが多分、プラフタが言っていた、ネームドの核、心臓のようなものだと見て良い。此奴を使えば、かなり強力な、土地を緑化するための栄養剤が作れるはずだ。

 

あどみらぷにの体液自体も、大量に取れる。

 

流石に豊富な栄養を取っていたらしく、非常に濃い。

 

硝子瓶に採集している内に。

 

フリッツさんとジュリオさんが戻ってきた。

 

「街の方に逃げようとした奴らは斬ってきた。 後は散り散りだ」

 

「お疲れ様です。 此方の被害は、見ての通りモニカとオスカーは既に意識を取り戻しています。 頭も打っていません」

 

「うむ。 完勝とはいかなかったが、上々だな」

 

あどみらぷにの縄張りは広く。これでまた安全圏が拡がったことになる。この周辺でドラゴンは確認されていないから、採集のために行ける土地も拡がったことになる訳で、非常にめでたい。

 

更に強力な錬金術の道具も作れるだろう。

 

ドナーストーンは使えなかったが。

 

まあ実戦投入の機会はまだある。

 

こういうギリギリの戦闘の時は。

 

使い慣れた道具と、練られた戦術を駆使するのが大前提だ。

 

フリッツさんとジュリオさんが蹴散らしたぷにぷにの死骸も漁って、回収出来そうな素材は回収。

 

ただ。モニカとオスカーは、念のため荷車で運ぶ。

 

まあ帰り道くらいは良いだろう。

 

モニカは自身に回復術を掛けていた。余程悔しかったのだろう。だが、生き延びる事が出来たのだ。

 

この悔しさは。

 

次にぶつければ良い。

 

帰り道。

 

フリッツさんが言う。

 

「ザコ相手には非常に強力な防具になる友愛のペルソナとマイスターミトンだが、流石にネームドの攻撃が相手だと厳しい場面も多いな」

 

「そうですね。 そろそろ更なる強化道具を考えて見ます」

 

「うむ……」

 

おばあちゃんも、現役で暴れ回っていた頃には、もっと強力な装備を身に纏っていた筈だ。

 

キルヘン=ベルの繁栄を構築するだけで。

 

それだけの実力が必要だった、という事も意味している。

 

それにしてもだ。

 

気になる。

 

「あどみらぷにの動きが気になりますね。 どうして急に人払いもしてあった街道に向かったのか……」

 

「そうだな。 奴には明確な知能があった。 少なくとも普通の肉食獣並みの知能は備えていた」

 

あの痕跡の事だな。

 

あたしはそう思ったが。

 

流石にトップの戦闘力を持つ二人の会話は妨げない。

 

だが、ハロルさんが、不意に発言した。

 

普段は寡黙すぎるくらいだから。

 

皆の目が集まる。

 

「けしかけられたんじゃ無いのか、何かに」

 

「……可能性はあるな。 ノーライフキングだろうか」

 

「いや、違うと思いますよ」

 

あたしはその意見を否定。

 

ノーライフキングは、今はおばあちゃんが封印している状態。手下も大半を失っている筈。

 

あんな強力なネームドをけしかける力は無いはずだ。

 

だとすると。

 

匪賊は無理だ。

 

邪神にはそんな事をする理由が無い。ドラゴンには知能がそもそもない。

 

だとすると、残るものは。

 

深淵の者。

 

しかし、どうして深淵の者がそんな事をする。

 

そういえば、おかしな動きをしている猛獣が最近多い気がする。もし深淵の者が裏で何かをしているとしたら。

 

目的は何だ。

 

「深淵の者、か。 彼らとはどうにか接触をしたいのだけれどもね」

 

「案外、もう接触をしているかもしれないぞ」

 

「そうですね……」

 

ジュリオさんも苦笑い。

 

誰が深淵の者かまったく分からないのが現状なのだ。

 

ひょっとしたら、キルヘン=ベルの重役にさえ、深淵の者がいるかも知れない。

 

そして彼らは、決して悪意で動いている訳では無いとも聞いている。だとすると、何が目的なのか。

 

キルヘン=ベルが見えてきた。

 

とりあえず、一休みしてから。

 

栄養剤の調合について考えるとしよう。

 

釜は綺麗にしてある。

 

すぐにでも調合は出来るが。

 

その前に、傷を癒やし。疲れを取るのが先だ。

 

ふと、視線を感じる。

 

この視線、覚えがある。

 

なるほど、そういうことか。

 

ふふんとあたしは鼻を鳴らすと。

 

そのまま、気付かないフリをして。

 

凱旋を果たした。

 

 

 

(続)

 




錬金術師として力を伸ばすと同時に、ソフィー自身の力も箍が外れたように伸びてきています。

魔術師としてだけであれば、此処までは大成しなかったでしょう。

怪物は最初眠っていて。

それが起こされたのです。
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