暗黒錬金術師伝説6 暗黒!ソフィーのアトリエ   作:dwwyakata@2024

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相手の土俵で戦わない。

ソフィーがこういう戦術を選んだのも。

相手が手強いというよりも。

完全にソフィーの怒りを買っていたというのもあります。

容赦なく、徹底的に叩き潰す。

それがソフィーの、ノーライフキングに対する考えです。


2、屍の王の最期

三組に分かれて、探索開始。

 

周辺の地図を徹底的に埋める。

 

あたしはプラフタとモニカ。

 

フリッツさんはコルちゃんとオスカー。

 

ジュリオさんはハロルさんとレオンさん。

 

この三組に分かれ、周辺を徹底的に確認。近くを流れている川についても、おかしな流れがないかをチェック。

 

実は、ノーライフキング討伐作戦発動の前に。

 

ホルストさんに聞いている。

 

ノーライフキングを封印したとき。

 

奴を封印する前に。

 

少しだけ巣穴に踏み込んだらしい。

 

すぐに出て戻ったらしいのだが。

 

その時、奴の住処が地底湖になっているのを見たらしいのだ。

 

という事は。周辺の川から考えて、かなり深い位置に奴は巣くっている、と見て良いだろう。

 

そうなると、川の水位などから計算して。

 

山のかなり奥の方に、奴は住み着いている。

 

そう判断して良さそうだ。

 

周辺を調べていく。

 

途中で猛獣にも遭遇するが。

 

この辺りは、元々ノーライフキングの庭。

 

猛獣の方でも、根絶の力を感じ取って、近寄ろうとしないのだろう。経験が浅い個体はともかく、である。

 

というわけで、周囲を回っても。

 

強力な猛獣と遭遇する事は無かった。

 

ただし、別の出入り口も見つからない。

 

ノーライフキングが、根絶の力を弱める結界のせいで、身動きできないことは分かっている。

 

もしそうでないのなら、今頃キルヘン=ベルは何度も直接襲撃を受けている筈だ。

 

此処で重要なのは、横やりを入れられる可能性を徹底的に潰すことで。

 

ノーライフキングそのものに対しては、倒せる自信がある。

 

ただし、全員が生きて戻るのが最大の重要点なので。

 

其処をはき違えないようにも。

 

徹底的に調査はしなければならないのだ。

 

もう一日掛けて。

 

周辺の調査を徹底的に実施。

 

結論としては。抜け道は無い、という事になった。

 

肉眼だけで調べたのでは無い。

 

此方は魔術が使えるのだ。

 

風の流れなどを確認し。

 

不自然な穴がないかを徹底的にチェック。

 

川なども確認し。

 

水が何処かに不自然に大量に流れ込んでいないかもチェック。

 

いずれもない、と結論出来た。

 

勿論魔術で誤魔化している可能性もあるが。

 

魔術は魔術で探知出来る。

 

おばあちゃんが張った結界以外に、不自然な魔力は無い。

 

ならば可能性は一つしかない。

 

ノーライフキングは穴熊どころか。

 

モグラを決め込んだ、という事だ。

 

根絶の力が弱まっているとは言え、文字通り死者を統べる王なのである。いずれ結界の力が切れるのを気長に待ち。

 

そしてまた根絶の力を使ってパワーアップして。

 

地上に這い出してくるつもりなのだろう。

 

小賢しい。

 

そうは行くか。

 

こういった時、相手の土俵に乗ってやるほど愚かな事は無い。どんな弱い獣でも、自分の領域でならばある程度立ち回れるものなのである。

 

ましてや、ノーライフキングは今や弱体化して怖れるに足りないとしても。

 

油断して掛かれば、手酷いダメージを受ける事になるだろう。

 

ならば、手は一つだ。

 

相手が想定していない事をやれば良いのである。

 

順番に、仕掛けていく。

 

更に巨大な魔法陣を、奴が潜んでいる山の周囲に描いていく。

 

あたし自身は、山の頂上まで上がる。

 

何、大した大きさでもない山だ。

 

登るのにさほどの苦労はいらない。

 

準備が整った所で。

 

あたしは、全員を、山から遠ざけさせる。

 

側にはプラフタだけ。

 

彼女は飛ぶ事が出来るからである。

 

勿論あたしも拡張肉体を展開しているが。

 

それはそれだ。

 

もしもの時に備えて。

 

失敗をリカバーできる要員が必要になる。

 

フリッツさんに相談して。

 

この作戦も許可を得ている。

 

というか、正直な所。

 

作戦ですらないが。

 

あたしが片手を上げたのを見て。

 

コルちゃんが、手を麓でぱたぱた振っているのが見えた。

 

さて。仕掛けるぞ。

 

起爆。

 

魔法陣によって火力を極限まで増幅されたオリフラム二十個が、同時に爆裂。山の中枢部分を打ち砕いた。

 

更に、それによって山が崩落した瞬間。

 

あたしが、三刻がかりで詠唱した大火力砲撃を。

 

山の上から。

 

脳天をたたき割るようにしてぶち込む。

 

六つの拡張肉体による補助があるため、七倍の火力による砲撃だ。

 

それは文字通り。

 

光が山を溶かし尽くすような光景だった。

 

衝撃波が複数、山を蹂躙し。

 

瞬時に赤熱したはげ山が、根こそぎ崩落しながら、溶岩になって地底湖に流れ込んでいく。

 

どれだけの下僕を隠していようが。

 

罠を作っていようが。

 

関係無い。

 

粉々に消し飛んだだろうそれらと一緒に。

 

膨大な土砂がノーライフキングのいる場所を埋め尽くす。

 

何、死によって支配された湖だ。

 

貴重な生態系もなければ。

 

植物だって存在し得ない。

 

根絶の力に覆われた場所がどうなるかは、以前北の谷を見て良く知っている。植物の声さえしないとオスカーが嘆いていたが。

 

それどころか、他の雑音も一切無かった。

 

本当に、世界を食い尽くしてしまう力なのだ。根絶というものは。

 

それを自分のためだけに使い。

 

強欲のまま何もかもを蹂躙する。

 

まさにこの世の悪の権化だろう。

 

おばあちゃんが閉じ込めても、反省する気配さえなかったのは、この間の東の街の難民襲撃でもよく分かっている。

 

ならばこれが最適の処置だろう。

 

周囲の地盤が激しい勢いで崩落していく。

 

埃が舞い上がり。

 

轟音と共に地底湖が地底湖だったものへと化していく。見えなくても、それくらいは分かる。

 

爆音と殺戮が収まると。

 

其処には、赤熱した大地と。

 

クレーターだけが残っていた。

 

山が丸ごと岩盤ごと打ち抜かれたのである。

 

周囲の川も、流れが変わり。

 

水が激しい勢いで、赤熱した山の残骸とぶつかり合い、水蒸気爆発を何度となく引き起こしていた。

 

さて、どうなった。

 

仮にも古豪。

 

これで死んだのならいいのだけれど。

 

反撃くらいはしてくるか。

 

手をかざして見るが、根絶の力を封じる結界は消えていない。

 

物理的なものではなく。

 

魔術オンリーでくみ上げたらしい。

 

なるほど、おばあちゃんのことだ。

 

山を掘り進められて、別の入り口から脱出される、とかの可能性を考え。

 

その全てが出来ないように、根絶の力を徹底的に押さえ込んだ、と言う訳だ。

 

流石である。

 

しばし無言が続くが。

 

程なく、赤熱していた溶岩も固まり始め。

 

熱も収まり始めた。

 

プラフタが動いたのは、その時だった。

 

あたしを無言のまま、拡張肉体で突き飛ばす。

 

同時に、真下から魔術砲撃。

 

プラフタの拡張肉体、屈強な一双の腕が、半ばから吹き飛ぶ。

 

溶岩を吹き飛ばしながら、姿を見せたのは。

 

それはもはや、元が人間とは思えない存在だった。

 

全身は黄色いローブに覆われていて。

 

一見すると、背中が曲がった老人に見えるが。

 

しかしながら、その姿は、無数の肉が寄り集まり。

 

大量の触手によって構成されている。

 

雄叫びが上がる。

 

ふうと、あたしは嘆息。

 

やはりこれだけでは死んでくれないか。

 

彼奴が、ノーライフキング。

 

おばあちゃんでも滅ぼしきれなかったのだ。

 

今の砲撃も、直撃を受けていれば少し危なかった。

 

「ソフィー!」

 

「プラフタ、まだやれる?」

 

「本を媒介にした簡易魔術と道具での支援限定なら」

 

「ならば第二段階!」

 

ハンドサインを出す。

 

同時に、周囲から放り込まれるのは、ドナークリスタル。

 

既に溶岩の熱は収まり、周囲の川から水が流れ込んできている。その中に立っているノーライフキングに。

 

極限の雷撃が炸裂した。

 

流石に、魔術で大威力砲撃を撃った後。

 

しかも根絶の力を封じられている状態。

 

絶叫するノーライフキング。

 

更に放り込まれるレヘルン。

 

一気に、川が凍り付いた。

 

悲鳴を上げているノーライフキングが、氷に半ば埋もれるようにして、動きを封じられる。

 

その時には、あたしもプラフタも、近くの山肌に着地。

 

他の面子も、大きく奴を包囲するようにして、展開を終えていた。

 

「おのれ……! 錬金術師め……!」

 

今のでも死ななかったか。

 

全身から煙を上げ。

 

下半身を完全破壊されたにもかかわらず、ノーライフキングは呪詛の声を上げる余裕がある。

 

無数の触手が、体を覆っていく様子は。

 

終末的でさえあった。

 

根絶の力を封じられても。

 

まだこれだけの力を残していたか。

 

だが、想定の範囲内だ。

 

凍らせたのも。

 

此処を戦闘できる状態にするため。

 

雄叫びを上げるノーライフキングに。

 

全員が一斉に襲いかかった。

 

まるで大蛇のような巨大な触手が振り回され。

 

横殴りに叩き付けられてくる。

 

ジュリオさんが一刀両断にしようとするが。

 

なんと剣を受け止め、押し返す。

 

根絶を封じられたとしても。

 

世界のルールに反逆した魔術師だ。

 

魔術師の領域を超えている、というわけか。

 

それに多数の生命を、体内に取り込んだのだろう。その力が、全身から溢れ出しているようである。

 

ノーライフキングであるくせに。

 

多数のライフを奪い。

 

自分のものとして、活用している。

 

その矛盾したあり方に。

 

何か疑問を感じることは無いのだろうか。

 

多数の触手を振り回しながら、ノーライフキングが高速で詠唱を開始。

 

部下も罠も全て失い。

 

後がないのだ。

 

この攻撃部隊を撃退しても、もはや身を隠す場所も無ければ。

 

ダメージを回復する術も無いだろう。

 

ならば、狂的に反撃してくるのもよく分かる。

 

触手を振り回して、フリッツさんさえ押し返しながら。

 

奴は詠唱を完了。

 

上空に多数の火球が出現。

 

降り注いでくる。

 

広範囲を薙ぎ払う、いわゆるメテオと呼ばれる術式だ。

 

フリッツさんが、下がれと叫ぶ。

 

爆裂が連鎖するが。

 

どうにか誰も巻き込まれずに済む。

 

ノーライフキングは、本体へ誰も近づかせないように、周囲に制圧攻撃を続けているが。理由は何だ。

 

あたしは距離を取ったまま、時々軽めの砲撃を叩き込みつつ、常時移動し様子を見る。

 

触手のリーチは百歩四方。

 

メテオで薙ぎ払ったのも同じくらいだろう。

 

つまりその中に入り込まれるのが、何かしらまずいという事だ。

 

また詠唱を開始するノーライフキング。

 

プラフタが半壊している拡張肉体を使って、剛速球でフラムを投げつけるが、触手がそれを跳ね返そうとする。

 

だが、その瞬間に起爆。

 

触手が吹っ飛ぶ。

 

しかし、触手は即時再生。

 

プラフタは、以前自分だった本を手にしているが。

 

それを媒介に魔術を発動。

 

無数の光が、矢となってノーライフキングに襲いかかる。

 

複数の触手を盾にするノーライフキング。

 

その隙に、フリッツさんが懐に潜り込み、一太刀を浴びせた。

 

だが、それがノーライフキングが狙っていた瞬間だったらしい。

 

地面から、無数の錐状の触手が突きだしてくる。

 

間一髪かわしたフリッツさんだが。

 

触手の一本が、横殴りに追撃。

 

ジュリオさんが斬り伏せに掛かるが、二人まとめて吹っ飛ばされた。

 

モニカは距離を取って聖歌でターンアンデットをかけ続けているが。

 

多分もはや死者という概念から外れてしまっているのだろう。

 

まるで効く様子が無い。

 

というよりも。

 

これは常時再生していると見て良い。

 

早い話が、体内に取り込んだ生命体を消耗しつつ、自分の体に変えている、という事なのだろう。

 

ノーライフキングのくせに。

 

生を消耗しながら、自分の力にしている、というわけだ。

 

ゲスが。

 

ただ、気になる事もある。

 

またあたしを狙って砲撃してきたので、拡張肉体と協力して防御魔術を展開し、防ぎきる。

 

その隙を狙おうとレオンさんとオスカーが別方向から迫るが。

 

いずれも、触手が一薙ぎして、近づけない。

 

モニカもターンアンデットは効果無しと判断したのか。

 

剣を抜くと、突進して、触手と渡り合い始めた。

 

また詠唱を始めるノーライフキング。

 

きりが無い。

 

奴は超長時間、洞窟に引きこもり。

 

配下の不死者を使って多くの命を奪い。

 

喰らって力にしてきた。

 

という事は、それが尽きるまでは、永遠に攻撃を出来る、と言う分けだ。

 

爆発的な力こそ無いが。

 

兎に角いやらしい戦法を採る奴だ。

 

おばあちゃんが封じるわけである。

 

おばあちゃんの性格だったら、こんな奴、しばき倒して消し炭にしていただろうに。それをしないと言う事は、リスクが大きすぎたから。

 

この再生能力は。

 

おばあちゃんが全盛期の時、つまり数十年前から健在だったのだろう。

 

ならば。

 

「プラフタ!」

 

「分かっています!」

 

作戦第三段階開始。

 

いずれにしても、此奴を生かしておく訳にはいかない。

 

 

 

ソフィーのハンドサインを見て、モニカは冷や汗を拭った。

 

聖歌が通じない。

 

不死者に対しては圧倒的なアドバンテージを持つターンアンデット。それが通じないと言うことは、可能性は二つ。

 

ターンアンデットでは倒し切れないほどの不死者か。

 

そもそも不死者では無いか。

 

恐らく後者と見て良いだろう。

 

本体なら兎も角。

 

触手にさえ効かないのだ。

 

戦いの開始前。

 

山を吹き飛ばした後の展開については、幾つか作戦を練ってあった。

 

フリッツさんが判断のタイミングはソフィーに任せると言ったが。

 

それは恐らく。

 

ソフィーが一番、戦術眼に優れていると判断しているからだろう。

 

全員が、無数の触手と渡り合い。

 

激しく攻防を繰り広げているが。

 

触手は太くしなやかで。

 

更に非常にパワーがあり。

 

容易に近づかせてくれない。

 

横殴りの一撃を、どうにか剣撃で相殺。

 

しかし太い触手は、どれだけ傷つけても、即座に再生してしまう。これは本当に、もと人間か。

 

ジュリオさんとフリッツさんは、少しずつ敵を押し込んでいるが。

 

それも少しずつ。

 

相手の体力が無尽蔵である以上。

 

いずれ押し切られてしまう。

 

更にノーライフキングは、先からソフィーを完全にマークしていて。

 

詠唱をさせないように、時々砲撃を浴びせて牽制している。

 

あの黄色いローブに隠れた顔は。

 

この距離では見えない。

 

兎に角今は。

 

作戦実施のタイミングを計って。

 

触手を少しでも切り続けるだけだ。

 

気合いと共に。

 

上から降り下ろされた触手をかわし。一刀に斬り飛ばす。

 

呼吸を整えながら、再生していく触手にクラフトを放り、距離を取る。

 

爆裂したが。

 

それでも再生を始める。

 

タチが悪すぎる。

 

だが、再生している間に、徹底的に切り刻み続ける。

 

此方に複数の触手が伸び。

 

また、地面からいきなり生えてくる。

 

小賢しいと言われている気がして。

 

頭に来た。

 

詠唱。

 

そして、触手が殺到すると同時に、壁を展開。

 

まとめて壁にぶつかった触手を、今度は壁を軟体化させる事で拘束。一瞬だが、複数の触手が、動きを止める。

 

その隙を見逃すソフィーではなかった。

 

ソフィー自身が、プラフタと一緒に突撃開始。

 

ノーライフキングが、流石に驚いたのか、多数の触手を向けようとし。

 

却ってフリッツさんの接近を許してしまう。

 

慌てて触手で壁を作ってフリッツさんを足止め。

 

更に死角から衝撃波を飛ばしてきたジュリオさんの一撃を、触手の壁で防ぐ。

 

その隙間を縫うようにして、レオンさんが槍を投擲。

 

これも、地面から生えてきた触手が、身を以て防ぎきる。

 

上空。

 

オスカーが、スコップを降り下ろすが。

 

ノーライフキング本体から直接生えた巨大な触手が、オスカーをはじき返した。

 

ハロルさんが狙撃。

 

本体に直撃。

 

特別製の弾丸。

 

恐らくはソフィーが作ったインゴットによるものだろう。

 

ノーライフキングの魔術防御を貫通。

 

確実に通った。

 

さっきのフリッツさんの一太刀に続けて二撃目。

 

そして、必死にソフィーの突撃を阻害しようとしているノーライフキングの頭に。

 

今まで姿を徹底的に隠していたコルネリアちゃんが。

 

横からドロップキックを叩き込んでいた。

 

幾ら軽いと言っても、体重は相応にある。

 

それが弾丸同様に飛んできたら、流石に揺らぐ。

 

更に大量の爆弾を至近にばらまくと、残像を作って消えるコルネリアちゃん。

 

慌てたノーライフキングが、触手を纏うようにして壁を造り。

 

爆裂から身を守る。

 

そして、それは。

 

視界を奪われる事を意味してもいた。

 

各自が触手に猛攻を加える。

 

ノーライフキングが混乱している今が最大の隙だ。

 

奴が触手を内側から弾き、ソフィーが突進してきていた方向を見る。

 

いない。

 

その間にソフィーはプラフタの魔術を背中に受けて加速。

 

傷だらけになりながらも。

 

奴の左下に潜り込んでいた。

 

そしてその手には。

 

殲滅の光が、既に宿っていた。

 

三刻がかりの詠唱を行った、先ほどの山を消し飛ばした砲撃ほどの威力ではないにしても。

 

拡張肉体による詠唱サポート。

 

更に至近距離。

 

ノーライフキングが。

 

絶望の悲鳴を上げるのが、モニカにも聞こえた。

 

ソフィーはそれに対して。

 

冷静過ぎるほどに。

 

相手への死刑宣告を発していた。

 

「死ね」

 

ノーライフキングが、それでも必死に防御壁を展開しようとするが。ソフィーの容赦ない砲撃の方が遙かに早い。

 

灼熱の光が、ノーライフキングを包む。

 

粉々に消し飛んでいく黄色いローブ。

 

剥ぎ取られ、消し飛んでいく触手。

 

その更に下には、やせ衰えた、無惨すぎる老人の体があったが。

 

それも一瞬で、光の中に溶け消えていく。

 

光が収まったとき。

 

呼吸を整える血だらけのソフィーが立ち尽くし。

 

周囲には。

 

腐臭を放ちながら、溶け崩れていく、ノーライフキングの残骸である触手の成れの果てが散らばっていた。




結構善戦したノーライフキング。

理不尽の権化であるドラゴンを仕留めたソフィー相手に、これだけやれれば充分です。

ゆっくり眠れ。永遠に。
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