暗黒錬金術師伝説6 暗黒!ソフィーのアトリエ 作:dwwyakata@2024
それが邪神です。
何しろ本物の力の権化です。
それが××であったとしても。
背筋にぞくりと来た。
本能が告げている。
戦うな。
逃げろ。
それは分かるが、此処は引くわけにはいかない。相手が、人間が普通手に負えない相手だとしても、だ。
近寄ってくるのは、女に見えた。
成熟した女だが、体はうっすら透けている。
口元を隠し。
露出の高い、神話に出てくる羽衣に似た不思議な服を着込んでいるが。
その服にしても、構造が不可思議で、どういう仕組みなのかよく分からない。人間が着る服とは、根本的に違うように思える。
恐怖を必死に押し殺している自警団員達を。
二手に分かれて。
ヴァルガードさんとハイベルクさんが統率している。
フリッツさんの作戦は簡単で。
それ故に間違えようがない。
ただし、あの風。
恐らく上位次元からの干渉が実体化しているもの。
あれによって攻撃を受けでもしたら。
魔術で展開している防御なんて、それこそ意味を成さない。
プラフタは教えてくれた。
例えば、絵にとても凄く強いキャラクターを描くとする。
そのキャラクターは、絵の世界では最強で。どんな奴でもそのキャラクターに逆らう事さえ出来ない。
しかしながら、我々は。
その絵をびりびりと破いてしまうことが出来る。
邪神が使う上位次元からの干渉とは。
そういう理不尽極まりない力、なのだと。
文字通り次元が違う存在なのだ。
だが、幾ら次元が違う力を使っていても。
邪神はこの世界の住人で。
体もこの世界にある。
その時点で。
勝ち目はある。
まして相手はまだ力を殆ど発揮できていない状態。
倒すなら、今しか無いのである。
「構え……」
フリッツさんが剣を天に向ける。
邪神は意に介せずという感じで、此方に進んできている。
こっちにはとっくの昔に気付いている筈だ。だが、それでも平然と進んできているという事は。
つまり、敵とさえ見なしていないと言う事だ。
剣を、フリッツさんが。
降り下ろした。
「ファイエル!」
わずかにずれながらも。
一斉に自警団員達が、レヘルンを放る。
邪神はよけさえせず。
それらは直撃。
起爆した。
瞬時に、巨大な氷山が出来る。文字通り丘のようなサイズだ。三十を超えるレヘルンが同時に炸裂したのである。
当たり前だが、
この時点で、通常のネームドなど、既に形も残っていないだろう。
だが、邪神は。
内側から、その氷山を、一瞬にして粉々に打ち砕いた。
あの冷気は、それこそ世界の冷気の限界に達するレベルの代物なのだが。まあ別に良い。想定の範囲内だ。
続けて、フラムが投擲される。
邪神は、鬱陶しいと思ったのだろうか。
周囲を吹き荒れさせている風を、不意に展開して、フラムを中空で防ごうとしたようだが。
それが命取りだ。
あたしが、そのタイミングで。
地面に仕掛けておいた、ドナークリスタルを起爆したからである。
しかも、風を使って、自分の周囲を上位次元から隔離していたことが徒になる。
モロに雷撃が、邪神、風のエレメンタルの全身を蹂躙。
それも情け容赦なく。
徹底的に。
逃げ場すらなくなった雷撃は乱反射しつつ、何度も邪神の全身を焼き尽くした。
そして、それ故に、上位次元への干渉が緩み。
風による防御が薄れる。
フラムが飛び込み。
一斉に起爆。
風のエレメンタルは、悲鳴さえ残さず爆発の中に消えた。
全員無言のまま、次の段階に移行。
こんな程度で倒せる相手だったら。
どこの街だって、邪神に滅ぼされていない。
大きな街には公認錬金術師や優れた腕の傭兵がいるだろうし。
普通に撃退が可能だろう。
だが、それがかなわないという事は。
下級の邪神でさえ。
途方もない実力を持っているから、である。
風が。
爆炎を吹き飛ばした。
無傷とは行かない。
全身に、おぞましい傷が出来ている風のエレメンタル。
人間の傷と違い。
傷口は真っ黒で。
まるで世界が其処だけ欠けているかのように錯覚させる、不可思議な傷だった。なるほど、こういう点でもこの世界のルールは通用しないという訳か。
手を向ける邪神。
ハイベルクさんが指示をすると、わっと自警団が逃げ始める。
その背中を撃とうとする邪神。その周囲には、無数の風の刃が、群れとなって姿を見せる。
どんな防御魔術も。
ドラゴンの鱗を使った防具さえ。
役には立たないだろう攻撃。
だが、邪神は振り向き様に、それを放った。
フリッツさんがレオンさんを抱えて、飛び退く。
地面が不自然なくらい抉れ、それは遙か遠くまで続く。文字通り、地面がかっぱりと削り取られるかのようだ。
邪神は音も無く、向きを変えていた。
今、詠唱さえしていなかったように思える。
風の攻撃を、詠唱さえせず。
こんな風に、大地を穿つことさえできるのか。
なるほど、手に負えないわけだ。
続けて、ヴァルガードさんの方に向き直ると、再び風を準備し。
今度はそのまま、全方位に、風の刃を放ってくる。
ヴァルガードさんには、最初から防ぐなと告げてある。
だから、さっと逃げ散る。
此方も近寄らない。
相手の傷は修復されていかない。
つまり、其処まで完全には復活していない、という事で。
好機だと知らせてくれているようなものだ。
「愚かな人間共よ。 如何に我が蘇ったばかりだとしても、そのような浅知恵で勝てるものか」
手を上空にかざす風のエレメンタル。
なるほど、上空に風の膜を作り。
それを地面に叩き付けて。
まとめて真っ平らに押し潰すつもりか。
それも上位次元からの攻撃だ。
防御魔術など、通用する筈も無いだろう。
その時。
邪神の体を、弾丸が貫く。
邪神が、流石に一瞬動きを止める。
まさか、たかが弾丸が。
自分を貫くとは思っていなかったのだろう。
プラフタにアドバイスを受けて造った、最高位金属プラティーンの弾丸だ。竜の鱗から抽出した成分を用いて作り上げたインゴット。それによってコーティングしたものである。
更に撃ちだした長身銃も、常識外れのサイズで。
持つ事はせず。
地面に固定して撃つ。
ハロルさんには、レンズ付きの銃で、このタイミングを狙って貰っていたのだ。
ただし、あまりに弾丸が大きい事。
銃の負担も大きいことから。
一発撃つと、次までが時間が掛かるし。
何より動き回る的には当てられない。
だから相手を怒らせて。
動きを止めて、大技を放つ隙を狙って貰ったのだ。
体に空いた大穴に、風のエレメンタルが呆然としている間に。
フリッツさんが、その真下に。
そして、舞うように斬り付け。
更にレオンさんが左から。
ジュリオさんが右から。
裂帛の気合いがこもった一撃を叩き込む。
初めて苦痛の悲鳴を上げた風のエレメンタルは、残像を作って移動。狙撃をしたハロルさんを狙って、躍りかかるが。
岩を吹っ飛ばしてハロルさんを殺そうと超高速移動した邪神は、誰もいないのを見てまた動きを止める。
ハロルさんは狙撃後。
即座に移動して、退避して貰っている。
当たり前だ。
「上位次元に干渉できても……頭は良くないね?」
あたしの声に。
邪神は唖然とする。
その側頭部に、オスカーのスコップがモロにめり込んだ。
これもプラティーンでコーティングしている特別製。普通だったら頭が砕けているか吹っ飛んでいるが。
風のエレメンタルの頭は拉げるだけで済む。
叫びを上げると、反撃に出ようとする風のエレメンタルだが。
その全身を、魔術が拘束。
ずっと詠唱を続けていたプラフタによるものだ。
更に、待っていたと言わんばかりに、モニカが頭上から降ってくる。プラフタが落としたのだ。
稲妻のように切りおとすモニカ。
邪神の左腕が吹っ飛ぶ。
更にコルちゃんが、拉げている頭にドロップキックを叩き込んだ後、ありったけのフラムを残し、残像を作って消える。
起爆。
邪神は周囲に滅茶苦茶に反撃しながら、それでも慌てて周囲を探す。
あたしの声が聞こえたのに。
あたしがいないからだ。
造ったばかりの拡張肉体で視界を確保しつつ、あたしは戦況を見ている。奴は完全に頭に血が上っているが、あたしへの警戒を解いていない。
奴の攻撃が擦るだけで致命傷になる。
攻撃の余波だけで吹っ飛ばされる。
モニカもオスカーもそれで今、地面に叩き付けられ。
コルちゃんを抱えて飛んだレオンさんも地面に。
隙を突いてフリッツさんが奴の腹を貫くが。
地面に降り下ろされた風の刃を見て、閉口して飛び退く。刃は、それこそ地底にまで届くような勢いで、地面を抉る。
さて、そろそろか。
ジュリオさんの一撃を防いだ邪神が、反撃で消し飛ばそうとするが。
血だらけのまま飛びかかったモニカが、剣を振るい上げる。
それを残像を作って避けた邪神だが。
またその体に穴が開く。
おのれ。
凄まじい怨念の声が上がり。
別の場所に移動して、また狙撃を成功させたハロルさんを探すが。
その瞬間、オスカーのスコップが、脇腹にめり込み、突き刺さっていた。
金切り声を上げながら、邪神がオスカーを吹っ飛ばす。
華奢な腕だが。
振るっただけで、オスカーが上空まで吹っ飛んだ。
慌ててプラフタがオスカーを受け止めるが。
その時には、邪神は。
上空に、残った右手を向けていた。
その全身の傷口は、真っ黒で。
血も流れていない。
風の力が凝縮される。
余程頭に来ているのか、詠唱までしている。あの様子だと、この空が丸ごと消し飛ぶかも知れない。
だが、これぞ。
待ちに待った好機だ。
バンと、大きな音がして。
扉が開く。
そう、扉が開いたのだ。
あたしは拡張肉体の八冊目。まだ造り途中で、視界共有の機能しか持たせられなかったそれを、ずっとプラフタの側に展開し、上空から戦況を見続けていた。
狙うのは、奴が決定的な隙を作る瞬間。
そしてあたしは魔術で掘った穴の底に旅人の道しるべを隠し。
その上に板をおいて土をかぶせ。
奴と接敵するまで、ずっと詠唱を続けていた。
既に七つの拡張肉体と、あたし自身による八倍の全力砲撃の準備は万端。
そして今、あたしの気配に気付いた邪神が。攻撃の矛先を向けようとした瞬間。
決定的な一撃が入る。
ジュリオさんが。
傷だらけながら、この間のナザルスさんの一件を解決した褒美として賜ったらしい。以前に他の邪神を倒した事もある剣で。
邪神の頭を唐竹に割ったのである。
二重に出来た隙。
だからできた事だ。
それでも邪神は動く。
頭が拉げていても動くのだから、当たり前か。
ジュリオさんは、怒りの声を浴び。それだけで派手に吹っ飛ばされたが。
好都合。
あたしは呟く。
死ねと。
地面を吹っ飛ばしつつ。
超極太の砲撃が、斜め下から抉り込むように、邪神に叩き付けられる。
邪神も流石だ。即応して、上位次元に干渉。
壁を造り、砲撃をそらす。
だが、本命はこっちじゃあない。
その瞬間、プラフタが。
ありったけのシュタルレヘルン。つまりレヘルンの上位爆弾。一つで湖一つを凍結させるそれを。
投擲し、その場を逃れていた。
あたしの全力砲撃を防ぎつつも、邪神は唐竹に割られた頭で降り注ぐ氷結爆弾の群れを見たが。
先に見た攻撃。
恐るるに足りないと判断したのだろう。
それが命取りだ。
プラフタは自分が宿っていた本で魔術を展開。
シュタルレヘルンの火力を極限まで凝縮、一点に収束させた。
それは、さながらにして。
神話の時代の戦い。
神が投擲した必殺必中の槍が。
巨大な怪物を貫くような光景。
最初、光が迸り。
続けて出来たのは、あまりにも巨大な氷の柱だった。
それはあまりにも高密度だったため。
山よりも高く天へ伸び。
そして邪神の体の大半を、木っ端みじんに消し飛ばしていた。
もはや体のわずかな部分しか残らない有様になっても。
邪神は浮き上がり、体を再構成に移ろうとする。
だが、其処に待っていたのは。
戻ってきた自警団の戦士達と。
フリッツさんと。
あたしと。
残りの皆だ。
後は原始的な攻撃あるのみである。
遠慮も容赦も必要ない。
邪神によってナーセリーが滅ぼされたのは周知の事実。此奴を生かしておけば、数千、数万の人命が奪われる。
圧倒的な数の暴力が、邪神に降り注ぐ。
悲鳴さえ上がらない。
それはそうだ。
頭の一部と。体のわずかな残骸しか残っていないのだから。
其処に情け容赦なく、攻撃の雨が降り注ぎ、残りも粉々にしていく。上空からプラフタは様子を見ながら。細かいかけらが逃れようとするのを、容赦なく魔術で打ち抜いた。
やがて、あたしがとどめを刺しに出る。
砲撃後。
吹っ飛んだ地面から出てきたあたしは。
もはや抵抗能力を無くした邪神の頭半分を掴むと。そのままみしみしと握り潰して行く。
前線で戦ってくれた皆は傷だらけ。
ほんの少しでも攻撃が擦っただけでもこのダメージだ。
直撃を受けたら即死だった。
流石は邪神である。
だが、その邪神の強い、いや強すぎる気配が禍して。
もはや周囲には此奴の残骸は残っていない事が明らかだった。
あたしも全力砲撃で魔力を使い果たしたが。
此奴を握りつぶすくらいは出来る。
邪神の残っている目に、恐怖が浮かぶ。
これはお笑いだ。
邪神も恐怖するのか。
面白い。
錬金術師として、今後記憶しておこう。邪神は恐怖する。面白い発見ではないか。
そのままあたしは。
容赦なく。
ナーセリーを滅ぼした可能性もある邪神を。
握りつぶしていた。
最後の瞬間、何かの木の実を握りつぶすような感触がして。
そして、後は粒子となって、邪神は消えていく。
気がつくと、地面には何かが落ちていた。
それは、木の葉のようにも見えたが。
黄金色をしていた。
キルヘン=ベルに戻る。
大量の物資を消費し。
大勢のけが人を出したが。
それでも邪神の撃滅には成功した。
死者も出なかった。
だが、あの巨大な氷の槍は、キルヘン=ベルからも見えたらしい。
最初にレヘルンで攻撃し。その後シュタルレヘルンを使うという話は事前にしてあったが。
まさかあれほどの光景が現出するとは、思っていなかったと、ホルストさんは笑っていた。
更に、何度も地震のような揺れが来たので。
子供が泣き出したりして、大変だったとパメラさんに笑顔で言われて、思わず背筋に寒気が走った。
この人は結構怖い。
何だかんだで今でも頭が上がらない。
まあ、結局の所、この人があたしにとって母親代わりだったこともある。おばあちゃんっ子だったあたしにとって、この人はそういう不思議な立場でもある訳だ。
けが人の手当はスムーズに進む。
戦地でも応急処置はした。
そして此方で本格的な手当をする。
レオンさんが嘆息していた。
「この防具、自信あったのに」
彼女の嘆きも無理は無い。
あたしが造った最高ランクのインゴットと。更に特別に編み込んだ布を変質させて作り上げた強力な防具だ。
それなのに、文字通り紙のように切り裂かれている。
不完全状態の下位邪神でこれだ。
もしもこれ以上のランクの邪神が姿を見せたら。
文字通り手に負えない。
いずれにしても、今後はいつでもあたしが此処に戻れる態勢を作らなければならないだろう。
それと、地面に埋めた旅人の道しるべを掘り出すのが大変だったのも、あたしの疲労に拍車を掛けていた。
とりあえず、一通りの手当は済ませ、自警団員は解散。
だが顔役は。
此処から現状の把握が残っているのだ。
出来るだけ早めに終わらせたい所だ。
皆疲れ切っているのだから。
カフェに集まると、フリッツさんが戦闘の経緯を説明。
邪神の戦闘能力の凄まじさと。
その圧倒的なタフネス。
上位次元からの攻撃が如何に危険かを説明。
それを、戦闘に参戦したヴァルガードさんとハイベルクさんが、間違いないと証言した。
戦闘に参加しなかった、街の運営に参加している顔役も青ざめている。
邪神の話は聞いたことが誰でもあるが。
不完全状態の下位邪神でさえ。
其処までの実力だとは、誰も思っていなかったのだろう。
文字通りの「神」。
邪であっても。
その存在は、まさしくこの世界のルールに接触するものなのだ。
あたしは、あの場で拾ったあの謎の金色の葉っぱを油紙に包んで持ち帰ってきている。もうコンテナに収めたが。
しかしながら、アレには興味がある。
プラフタが見て、はっとしていたからだ。
間違いなく貴重な素材だろう。
ホルストさんに、不意に話題を振られる。
「ソフィー。 貴方の意見を聞かせてください。 邪神との戦闘は今後も行えますか?」
「準備があれば」
「即答ですか。 頼もしい」
「ただし、ドラゴン同様警戒が必要です。 基本的に他の街とも連携して、邪神と戦う態勢は整えていかないとならないでしょうね」
満足そうにホルストさんは頷く。
まあ、皆もこれで安心してくれるはずだ。
それにしてもあの邪神。
神の槍を思わせるあの一撃を食らって即死しなかった。
不完全状態の下位邪神でアレだ。
上位になってくると一体どれだけの戦闘力があるのか。まだあたしでは、実力が足りなさすぎる。
彼奴くらいなら、素手で殴り倒せるくらいまで実力を上げないと今後は厳しいだろう。
会議が終わったので、皆疲れ切った顔で家に戻る。自警団の留守組は、戦闘に出たメンバーが一度寝て起きて戻ってくるまで仕事継続だ。大変だと思うが、我慢して貰うしかない。
あくびをして寝台に潜り込む。
プラフタが、自分から話を振ってくる。
「あの黄金色の素材ですが」
「ああ、やっぱり知っているんだ」
「あれは非常に貴重な素材です。 後で負担は掛かってしまいますが、コルネリアに増やして貰うと良いでしょう」
続きは起きてからだと、プラフタには言われる。
いずれにしても、そのつもりだ。
それにしても、だ。
全力での砲撃を即応で完封される。
攻撃をまともに食らったら確実に即死。
色々考えさせられる戦闘だった。
対邪神用に何とか装備を調整できないだろうか。
上位次元からの攻撃を受けても対応出来るような装備はないのか。
そういえば。
中級以上のドラゴンと、下級の邪神は実力が大差ないと言っていた。実際問題、今回は不意打ちを仕掛けたこともあるけれど、飽和攻撃に近いやり方で押し潰すことが出来た。勿論念入りな作戦(しかし分かり易い)も事前に立てていたし、アクシデントもその場で克服したからできた事だが。
いつの間にか、眠りに落ちていたが。
目を覚ます。
外でストレッチをして。
杖の素振りをした後。
魔力を練る。
あたしの魔術師としての力量はもう相応に高い筈だが。どれだけ強化を掛けても、まだ不完全な下級邪神とつばぜり合いも出来ない。
ならばあたし自身も強くなり。
掛ける強化も倍率を上げていかなければならない。
どちらが欠けても。
今後更に強い敵と戦う事になった場合。
勝利を得るのは難しいだろう。
井戸水で顔を洗う。
キルヘン=ベルの方を見ると。
中断していた、東側の緑化作業と、防護壁の移動作業が再開されている。
朝の内だから五月蠅い作業はしていないし、子供も小遣い目当ての手伝いはしていないが。
その代わり、朝が早い老人が、全自動荷車の誘導などをしているようだった。
力がなくても。
スキルがなくても。
働く事が出来。
社会に貢献できる道具。
あたしが造った道具は。きちんと役に立ってくれている。
あくびをすると、アトリエに戻り。
金色の木の葉について、プラフタに聞こうと、あたしは思った。
いずれにしても、数日は街の態勢を立て直さなければならない。休息をしっかりとってからだが。
背伸びをする。
まだまだ、あたしは鍛え方が足りない。