世界を救う人類の性   作:新グロモント

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15:透き通るような

 ダンナは、宇宙から見る地球に感動していた。映像越しとは言え、このような光景を見ることが出来るとは感無量だ。人類にとって、宇宙とは未知の場所だ。NASAなどの機関が一般公開している映像しか普通は見る事が出来ない。

 

 それをこのような素晴らしい解像度で見られるとは、未来に来て良かったと思うところだ。但し、その見える場所にいるSAN値を削りそうなエリートネイティブのデモクローラーが待ち構えていた。人間の頭部を取り付けた今までに無いネイティブ。しかも、頭部には光の輪がある。

 

「なるほど、これが過去の世界で聞いた事が有る透き通るような世界観で有名なブルアカだったのか。噂のヘイローをこの世で見る事になるとは思わなかった。間違いない、アレは韓国産だな」

 

 映像越しに脳天気な事を言うダンナ。それも当然だ、対岸の火事である。今彼が居る地上から遙か上空に居る為、例え何があっても彼に被害が出ることはない。勿論、現地にいて凶悪なネイティブが眼前にいるカラとしては笑えない冗談だろう。

 

『早く何時も通り対話で解決してよ。今にも襲ってきそうだよ。ねぇ、コッチの声聞こえてる?さっきから、何も聞こえないんだけど』

 

「あぁ、強力な電磁パルスが展開されているね。これはちょっと復旧まで時間が掛かりそう。イベリスも手伝って」

 

 リリーが状況を把握した。ドローンを使った遠隔操作で有るため、通信が出来なければ何も手伝えない。幸いな事に、ここに来るまでの間に中継ポイントは幾つか作ってきた。ソコを踏み台にすれば、この状況下でも何とか出来る。

 

 変態だが一流の技術者だから出来る事だ。

 

「ダンナ様。ルートが確立した今なら半日有ればあそこまで行けますが、どうしますか?」

 

「流石にそれまでにカラさんは死んでいるでしょうから、リリーさんとイベリスさんがコントロールを復旧させるのを待ちましょう。その方が早いですし、カラさんも回収屋です。逃げに徹すればある程度持ちます」

 

 ダンナは、多分大丈夫だろうと思っていた。通信が遮断される少し前にデモクローラーの声を彼は聞いていた。それは、寂しさから温もりを求める声であった。つまり、捕まったとしても直ぐには殺されない。

 

 運が悪くても、デモクローラーの頭部の一つとなり生きていくことになる程度だ。

 

「あ、通信と映像が回復します」

 

『んお゛っ!これやっべぇ!おほぉぉぉ!』

 

 汚いオホ声とデモクローラーに嘗め回されるカラの映像が届けられてしまう。思わず映像を切断したくなるが、我慢するのが大人だ。

 

 カラの脊髄にプラグを差し込んだデモクローラーは、カラが必死にここまで来た理由を理解した。そして、優しく彼女を慰めていた。イモウトの代わりにワタシがなってあげるという感じでだ。

 

『イモウト、ダイジ、ワタシ、ナグサメル』

 

「お楽しみの所、申し訳ありません。私は、ダンナといいます。此方の声が聞こえておりますか。既に、事情を察しているかと思いますが、カラさんはイモウトの為・・・・・・」

 

 ダンナは、知的で家族思いな大家族の長女であったデモクローラーと対話をした。その結果、彼女は状況を正しく理解してくれる。そして、地上で生きる人類のため、ダンナに協力してくれる事になった。

 

 その報酬は、人類の無償の愛。つまり、添い寝して色々お話をしたいと。ダンナは、添い寝はレイブンさんに申し訳ないという建前で断る。定期的に会話の相手をする事や簡単なお願いを聞くことで交渉を終えた。

 

 

 

G月G日

 

 来た道を戻るという選択肢はカラには存在しなかった。軌道エレベーターの全てを掌握しているデモクローラーさんであっても、存在しないルートを作る事はできない。だが、簡単に帰還する方法は残っていた。

 

 それは、脱出用カプセルを使って地上に落ちるという方法だ。耐久年数的に大丈夫か不安が残るが、そこは人類の叡智の結晶を信じるしか無い。店員5人乗りの脱出カプセルに乗って、カラとデモクローラーが地表目がけて降下を始めた。

 

 新人類の中でもエリートネイティブと一緒の脱出カプセルで、宇宙から地上に来た人物はカラだけだろう。本来、宇宙からの飛来物に対しては、地上に居る大型の対空型ネイティブによる歓迎が待っているが、それがない安全な落下だ。

 

 デモクローラーさんが居れば、今後も強力な電磁パルスでコロニーとの通信を遮断できるから安心だ。寧ろ、此方から一方的に情報を連携して遮断すらできる。

 

 そうそう、カラさんの妹が心配ないように色々と映像を送って無事をアピールしておいた。これでカラさんがザイオンに帰った時も安心だな。ザイオンのみんなが温かく迎え入れてくれるだろう。

 

 

T月H日

 

 宇宙から帰ってきたカラさんに、軌道エレベーター地上部分で集めた物資を持たせてザイオン近くまで送り届けた。妹さんを安心させなよといってな。良いことをした後は気分がいいと感じた。

 

 後日、般若のような顔をしたカラさんが殴り込んできたが、無事にネイティブ達によって取り押さえられた。まさか、ザイオンの連中に酷い洗脳を受けたのかと思い、悲しい気持ちでいっぱいだ。

 

 命の恩人であり、物資も大量にあげて、ザイオンまで送り届けた人物である私に敵意を抱くなど、酷い。デモクローラーさんも心配して、脳洗浄を行うまでに至った。だが、何の問題も見つからずに皆が混乱する。

 

 私は、閃いた。古来より洗脳を解くのはエロだと決まっている。友情を育むのもエロだ。よって、私が・・・・・・冗談ですって、レイブンさん。貴方の綺麗な顔が無表情になると本当に恐いから止めてクレメンス。

 

 分かった、リリーさんとイベリスさんならいいでしょ。百合の間に女性ならセーフだから。テンタクルさん達を使った、大人のプレイをしても構わないから洗脳を解いてあげて。その映像は、ザイオンに送りつけるから安心してくれ。

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