第七空挺部隊の生き残りの一人であるタキが目覚めてしまった。状況から誰かに救われた事を察した彼女は、少し安堵している。切断されたはずの腕も元通りになっていることから、空挺部隊の生き残り・・・・・・それもエンジニア部隊の者が居る事を理解する。
コロニー出身の新人類の肉体は、地上での修理は絶望的だ。地上との技術格差はソコまでの域にある。
しかし、タキは同時に気が付いてしまう。エグゾスパインやギアといった戦闘で不可欠なシステムが使用不能になっている。これでは、一般隊員にも劣る戦闘力にしかならない。地上に蔓延るネイティブを相手にする事は現実的に不可能だ。
そんな悩める彼女の元にダンナが足を運ぶ。目が覚めたと連絡を受け、責任者としての責務を果たそうという心意気だ。当然、護衛にはレイヴンがついている。エグゾスパインやギアを使用不能にしたからといって、人間であるダンナが新人類に勝てる要素は何もない。
コンコンと扉がノックされた事に対してタキは警戒する。しかし、選べる選択肢は多くなく、素直に受け入れた。タキは、目を疑う事になる。部屋に入ってきたのは男性と女性の2名。
男性は、ダンナだ。だが、彼の方には、ヒドラが張り付いていた。ヒドラは、飛べる事とステルス迷彩が可能だという生存特化の能力を保有している。事情を知らない者にしてみれば、完全にネイティブに半分食われて操り人形にされている風にも見える。
女性は、レイヴンだ。空挺部隊の隊長格であった事をタキも資料で知っていた。このネイティブが側に居る状況で何もしないレイヴンに対してタキは不信感を募らせた。
「初めましてタキさん。私はダンナといいます。お加減はどうですか?此方の優秀な変態技術者が貴方の治療を行いました。しかし、マザースフィアさんも中々強引に戦力を送り込んできますね」
「仕方ないだろう。コロニーの目的は、失われた楽園の奪還だ。楽園と言うより、地獄に近い場所だな。私は、第2空挺部隊指揮官をしていたレイヴンだ。今では、コロニーから離反してダンナの妻をやっている」
情報で相手を殴るのは止めて差し上げろとダンナは思った。いきなりコロニーから離反したとか、信者には辛い所だろうとダンナは思っていた。
「コロニーを離反?なぜ?その人間・・・・・・いや、ネイティブが関係しているのか?」
タキは、現状の戦力ではここからの脱出は不可能だと理解した。ダンナだけならまだしもレイヴンとかいう新人類の強者だと本能が理解する。万全な状況で戦っても勝てる可能性は三割程度だと。
「贖罪だ。我々人類・・・・・・いいや、新人類は人類からその立場を奪った。それだけでなく、自らの創造主達をこの手で滅ぼした。今すぐに理解しろとは言わん。お前も私達が集めた情報を知れば理解するはずだ。ここに居る者達は、皆がそうだ」
「いや、それはレイヴンさんだけじゃない。リリーとイベリスは、完全に自由恋愛と趣味に没頭できるからここにいるよね。あのくらい突き抜けた新人類も珍しい。普通は、地上を開放するという強い信念を持つ子が多い。この間、来ていたイヴさんもそうだった」
イヴという単語にタキが反応をする。
「安心しろ。確かにコロニーとは方向性の違いから離反扱いになっているが、別に敵対しているわけではない。我々にその気があれば、そもそもお前の治療はしない」
「タキさんも不安はあるでしょう。少し、我々の拠点を案内しますので付いてきてください。次にイヴさんが来た時には会わせてあげますよ」
ダンナ達の後に付いてタキは部屋をでる。そして、建築途中である施設内を歩いて回る。何処を見てもネイティブ達が労働に勤しんでいる。大量のドローンも稼働していた。道中で百合カップルとも顔合わせがなされる。
その際に、リリーが最初にいった一言は・・・・・・
「ダンナって、性格がきつそうな黒髪ロングの女性が好きなんだね。良かったよ、私達は好みから外れてて」
ダンナは、至ってノーマルな性癖だったが、新人類に開発されたのが原因だ。こんな新人類がいたら人類の性癖は直ぐにねじ曲がる。
それから、タキはレイヴンやリリー達が集めた新人類の都合が悪い真実を見せ付けられた。責任感が人一倍強い隊長格であるタキは・・・・・・レイヴンと同じ末路を辿った。
Y月H日
一人でも辛いのに二人とか勝てるわけが無いだろう。新人類の中でも上澄みである隊長格に搾り取られて生き残っているだけで表彰物だと私は思う。マジ、新人類の下半身事情がゆるゆるで困るわ。
これもマザースフィアの方針で部隊内の百合関係を黙認している事が起因しているに間違いない。
今日こそは休息日にするぞと過ごしていると珍しく来客が現れた。寧ろ、初めての事では無いだろうか。ザイオンから来る連中は大半が回収屋であり、ネイティブ達に捕まって地下労働(意味深)に従事させられている。
だが、本日のお客様は実に紳士的だ。正面から堂々と我々の拠点に足を運んできた。しかも丁寧に手土産まで持ってくる。
お客様の名前はスーさん。彼は、ザイオンの上級衛兵だ。なんでも、エイドス7には高性能ドローンが飛び交い、街が整備されつつある。手つかずの過去の遺産が稼働を始めたのでは無いかと噂があるそうだ。
つまり、エイドス7ならエンヤという彼の思い人を救う手立てがあると藁にもすがる思いで来たそうだ。彼女を救えるならネイティブに魂を売っても良い覚悟でこの場にいるらしい。
その勇気ある行動に感動したからうちの変態技術者リリーとイベリスを派遣したかった。しかし、ザイオンで逮捕される可能性もある。その為、ドローン経由で容態確認して手を尽くす事を約束した。
後、ここに住んで居るカラさんとスーさんは顔見知りらしい。お互いに、お前なんでここに居るんだという顔をしている。
カラさんは、スーさんもこっち側に来る事になるのか~と喜んで居た。コレで仲間が増えると。
G月&日
スーさんの彼女であるエンヤさんの容態は思ったより深刻だ。無理な状態で長期間稼働をさせていたツケだ。現状の地上設備では限界があるのも事実だが、よくここまで持ったというのが技術者側の本音らしい。
しかし、運が良いことに換えのパーツは沢山ある。それもコロニー産のがな!! 空挺部隊達の死体を回収して保存している。つまり、そこから必要なパーツを集めて取り替えれば直ぐに元気な身体になる。
おまけに、クソエロボディーもセットだ!!
だが、スーさんは足だけで良い。身体は今のままにしてくれという事を懇願してきた。人には色々と性癖があるから、それもありかと私は納得した。
付け替えようとした足は肉付きが良すぎるとか。もっと機械っぽいのがいいとか、なんだかんだで注文が多いスーさん。世の中には、太ももは肉付きがよく、太ければ太いほどよいという人種もいるのに・・・・・・。
無事に元通りに直したが、スーさんとエンヤさんはザイオンから追放されてしまった。どうにも、ネイティブ達と内通している疑惑がありザイオンに居られなくなったそうだ。これには、先住人であるカラさんが笑顔でようこそって迎え入れていた。
更には、新しい住人であるエンヤさんに大人のプログラムをインストールした変態技術者達。その日からスーさんは、彼女達に頭が上がらなかった。