終末世界で生き延びる上で大事な事。それは生きるのに必要な力!! 次に健康な肉体。その肉体に関しては色々な要素がある。食生活という観点では、ネイティブ達が彼を手伝う事で解決していた。
人間というだけで神のような扱いをされる。
彼は今、ナノスーツに身を包んだネイティブ達を見て、素晴らしいと称賛の声を贈っていた。
「す、素晴らしい。ここまで伸縮可能な衣服が世界に流通していたとは。だが、謎なのは、女性専用なのか男性が着る事が出来ない問題だ。流石に一張羅で辛くなってきた」
限界を攻めるようなドスケベ衣装であるナノスーツ。美少女が着用したらそれだけでお金が取れるだろう。だが、コレを着ているのがクトゥルフ神話の親戚のような見た目の化け物だ。
この地にまだ生存している真の化け物相手には、効果的だ。一瞬、思考停止してしまう事は間違いなかった。車ですら豆腐のように切り裂くアバドンを前に一瞬でも思考を手放すという事は死を意味する。
『オウサマ、ワタシ、キレイ』
「あぁ、美しいよアバドンさん」
自らの生命線となっているネイティブを褒める事は、弱者にとって大事な事だ。王と呼ばれているが、所詮は唯の人間。この化け物しか居ない世界で彼が生きるには化け物達のご機嫌を損なわない事だ。
彼は、我ながら良く口が回るなと自身を褒めていた。
『オウサマ、テキ、シタイ、アッタ』
『シタイ、アタラシイ』
小型のネイティブが彼の元に何かを見つけたと報告にきた。鮮度の良い死体という点に彼は興味が湧いた。年月が大分経過したいなら、幾つか発見していたが鮮度が高いという事は、ここ以外に人が住めそうな場所がある可能性が見えてきた。
「それは、吉報です。早速、その死体の場所に案内して下さい。なるべく、現状維持を。他の方が居る場合に備えてアバドンさんはワタシの護衛をお願いします」
彼は付いて行った先で女性型のスケスケなナノスーツを着ている死体を発見する。黒髪ロングの素晴らしい肉体……惜しい存在を失ったと彼は涙を流す。あと少し早ければと。死後数日経過している事から、本当にタッチの差だった。生きてさえ居れば、それだけで彼は救われただろう。
そのドスケベ衣装に身を包んだ存在は、宇宙から地上を開放する為に派遣された人類兵だ。第二空挺部隊所属の人類兵であり、彼と同じとは言いがたい。人間以上の思考が可能で、全身ナノテクノロジーの塊、宇宙空間で生存できて、水中で無限に活動でき、メモリ情報が宇宙に戻れば同じ個体が再度製造される可能性すらある。
詰まるところ……昔から使われすぎたAIに反逆された的なアレだ。ターミネーター的な存在だ。
「あれ?この子の死因は、切り傷や粉砕器で砕かれた感じがしない?まるで、アバドンさんとギガスさんがやったかのような…」
チラリと彼が視線を送ると、露骨に目をそらすネイティブがそこにはいた。
○月○日
ドスケベ兵士について、ネイティブ達から少し情報を得られた。どうやら、定期的に空から落ちてくるらしい。中々強い個体もおり、このエイドス7を過去に突破された事もあるそうだ。もう少し詳しく聞いたところ、どうやら大気圏から生身で落ちてくるわけではなく何かに身を包んで落ちてくるらしい。
その落下物を集めて貰う事で今回の一件を許す事にした。
人類とは、エロのために発展してエロに滅びる。人の業とは、何て醜いと思ってしまった。まぁ、分からないでも無いけどね!! 別に、これだけのドスケベな美少女に殺されるなら本望って奴も居るだろう。
それが人間だ。
◆月◇日
ドスケベ兵士を回収した後。ワタシが彼女を側に置いておく事から、ネイティブ達が気を使い始めた。動かない兵士より動いた兵士の方が良いだろうとの事で、スカリングさんが彼女の肉体を使う事になった。
言わせて貰おう。
死んでも綺麗な肉体で近くに居ると寂しさが紛らわせていたが、スカリングが彼女の顔面に張り付いて肉体を操作する様子を間近で見せられた時は漏らしそうになった。ホラーだよ。エイリアンだよ。巫山戯んなよ!!
ちょっと、死体に悪戯したいなと思った事もあったが、コレを見せられたら手も足もでないよ。
思わず、人の心とかないんかと言いそうになった。だが、彼等の力なき王様はそんな暴言は吐けない。ありがとうと言って、顔面スカリングを付けたドスケベ兵士に抱きついた。
………顔は最悪だが、身体は最高だ。人間って素直だなって思ってしまう。
×月◆日
ドスケベ兵達が使う落下ポットや物資などを集めて貰った。流石は、SF世界だ。全く操作が分からない。通信機でもあれば御の字だと思っていたが、何もかもが理解できない品ばかり。
仕方ないので、バラバラにして鉄という材料で活用する事に決めた。
後、ここ最近どこからか視線を感じる気がする。まさか、新しいネイティブが加わるのだろうか。それにしても、ネイティブとドスケベ兵士達って何で争っているんだろうか。人類の性的嗜好から考えれば、ドスケベ兵士と戦争する意味は無いと思うんだけどな。
@月p日
最近は、ドーザーさんの背に乗って乗馬体験する事がお気に入りになっている。安定感抜群の馬体であり、初心者にも優しい。そのお陰もあり行動範囲が格段に広がった。海辺で潮干狩りや海産物を集めて帰る事も楽勝になる。
だが、それが問題だったのか、周囲にいるネイティブが減ったタイミングで私は待ち伏せしていた彼女に出会ってしまう。ドスケベ天使様のレイヴンに。
………
……
…
コロニーの部隊所属であり、第二空挺部隊所属レイヴン。彼女は、沢山の仲間を犠牲にして地上に降りる事に成功する。対空型ネイティブなども居る為、地上に辿り着くまでの損耗率は5割を超えている。
そんな彼女の任務は、失われた楽園である地上をネイティブ達から取り戻す事だ。その過程で彼女が所属していた部隊の者達は彼女を残して全滅。一人でこの先に進む必要があった。
その過程で彼女は目を疑う。
推定年齢20歳前後の男性が、ネイティブに囲まれて暮らしている。信じられない事に、一緒に畑仕事を行い、寝食を共にしている。今までの常識を覆す事態。彼女達の指導者であるマザースフィアからもそのような情報は伝えられていない。
「これは、チャンスかもしれない」
理由は分からないが、ネイティブに襲われない人間がいる。その原理が分かれば、今後の任務がどれだけスムーズに行えるか、想像も付かない。接触する事によるメリット・デメリットを考えた末に彼女は接触する事を選ぶ。
どう考えてもメリットが遙かに上回る。最悪、情報だけでもコロニーに伝えられれば、良いとすら考えた。
アダムさんの扱いをどうしようか困ってしまったが、まぁ何とかなるだろう。