世界を救う人類の性   作:新グロモント

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03:人の業

 彼の目の前に現れたのは、ドスケベのスケスケスーツに身を包んだ女性だった。黒髪ロングで抜群のスタイルを誇る女性。まさに人類が作り上げた美の頂点だ。そのロマン満載過ぎて、過剰過ぎるスペックは人類の業を感じさせる。

 

 この出会いは、彼にとっても幸運だ。存在している事が分かっており、探していた相手が向こうから来てくれた。このような無防備に近い状況で接触されたという事は、最悪な状況になっても逃げ切れる算段が彼女にはある。

 

「私は、コロニー所属の第二空挺部隊所属レイブン。単刀直入に聞こう……お前は何者だ?ネイティブを従えているようにも見えた。うん?どうした?言葉が分からないのか?」

 

「いえ、失礼しました。私は…!? ダンナと言います。出来れば、ダンナ様とかダンナと呼んでください。日本人で先日目が覚めたばかりなんですよ。右も左も分からない状況で彼等の助けで何とか生きながらえております。えーーと、レイブンさんでしたか。そうですか……レイブンかぁ~~。やっぱり、フロムじゃねーーか」

 

 この男……息を吐くように嘘をついた。本名を隠して、このドスケベ女性からダンナ様とか呼ばれたい為に嘘をつく。これが人間だ。

 

 そして、彼女の名前がレイブンである事からこの世界は、やはりフロムソフト製だと考える。レイブンと言えば、歴戦の傭兵。人類の敵など様々な呼び名が存在している。ネイティブ達が真の化け物と呼ぶ事も納得できる。

 

「日本人?なんだそれは。お前は、人類ではないのか?」

 

「間違いなく人類ですよ。折角ですので、色々とお話をしませんかレイブンさん。我々は、もっと相互理解すべきだと考えております。私の拠点は、雨風も凌げますし、食事もお出しできます。歓迎しますよ、宇宙からの来訪者」

 

 この誘いにレイブンは迷う。この優位な状況だからこそ、彼女は姿を現した。対話のために相手の本拠地がある敵陣営ど真ん中に行くなど自殺行為に等しい。それなら、ダンナを攫った方が遙かに効率的だと考えた。

 

 幸い、武装の類いは見えない。護衛と思われるネイティブも居ない。やるなら今だ。

 

「レイブンさん。私を攫うのは悪手ですよ。友好的であろうと考えている相手が今目の前に居るのです。この手を取る事こそ、貴方達の目的に近づける最良の手ではないでしょうか。どうぞ、私の事をダンナさんと呼ぶ事から始めて見ませんか?」

 

「……そうだな、ダンナさん。我々には、相互理解が必要だ。ネイティブとコンタクトが取れる存在を蔑ろにするつもりはない。そちらの指示に従おう」

 

 彼は、今晩の食材を確保してレイブンを連れ拠点へと戻る。その間、ネイティブ達が襲ってこないように懇切丁寧に説明をする事に骨を折った。ネイティブ達にとって、真の化け物が王様の横にいるのだ。誰もが不安になるのは仕方が無い。

 

 

T月I日

 

 本日、レイブンさんを拠点にご招待した。自宅に連れ込んだと思ったら、お出迎えしてくれたのがアバドンさんとギガスさん。つまり、相手は罠に嵌められたと思い誤解を解くのに苦労した。

 

 アバドンさんとギガスさんが『オウサマ、ソコ、ドイテ、ドロボウネコ、コロセナイ』とか敵意丸出しだったのには驚きだ。私が割り込まなければ、レイブンさんが挽肉にされていた。

 

 命懸けでレイブンさんの命を救ったこともあり、一定の信頼を得られた。だからこそ、レイブンさんに一瞬の隙を作ってしまう原因となったネイティブが着るレッドパッションを私が用意したという事は墓の下まで持っていくことにする。

 

 

G月○日

 

 レイブンさんが拠点に着てくれて二日目。新たな問題が発生した。スカリングさんが操作している肉体を見たレイブンさんが仲間の死を愚弄するなと怒った。それも当然だ。言い訳の余地がない。

 

 スカリングさんが、私の寂しさを紛らわす為に涙をのんで行っていた行為と説明する。そもそも、ネイティブ達にとってレイブンさん達は真の化け物。その化け物の肉体を操る事は彼女達にとっても楽しい行為ではない。そこら辺を理解して貰うことに苦労した。

 

 

T月Y日

 

 レイブンさんと情報交換をしている内に色々と認識齟齬がある事が判明してきた。ネイティブ達からの話とかなり食い違う。知的なレベルで言えば、レイブンさんの方が遙かに高い。

 

 レイブンさんの話では、人類はネイティブ達との最終戦争で宇宙に追いやられた。しかし、いつしか地上を取り戻そうと反抗の機会をうかがっている。その任務でやってきた第二部隊に所属しているのがレイブンさんらしい。

 

 この話をきいて一つの仮説を思いついた。レイブンさん達がいう人類とネイティブ達がいう人類で差があるのではないかと言う点だ。大凡、間違っていないだろうが……まだ伝えるのは早い気がする。

 

 

U月×日

 

 レイブンさんと食料調達に浜辺に出かけた際、恐ろしい事実を知った。彼女が素潜りで中々帰ってこないなと思い三分経過した当たりで溺れていると思い飛び込んだら、逆に助けられた。

 

 どうにも、彼女達の生命活動には酸素は必要ないらしい。それどころか、宇宙空間でも生存できる。銃弾を受けても死なない。高所から落ちても死なない。死なない限りどんな傷でもチャージタンブラーとかいう回復薬で一瞬で元通りになる。

 

 汗もかかない、排泄もしない。

 

 更には、製造されて数時間の学習で人類の知識レベルを大きく上回る教育が行われる事も判明した。これを人類と呼んでいいのか疑問しかない。

 

 

Y月%日

 

 レイブンさんが拠点にきてある程度の日が経過した。

 

 彼女も大分馴染んできた。当初は警戒心丸出しだったが、少しずつだが変化があった。特にアバドンさんやギガスさんに対して女性として敗北した事が原因だ。

 

 私の夕食を準備してくれる事になり、日頃の礼との事でレイブンさんが準備をしてくれた……チューブ入りの謎液体を。それに対して、アバドンさんは、海の食材を使った海鮮定食やお吸い物を準備してくれており、どちらが女性として素晴らしいかは言うまでもなかった。

 

 

G月$日

 

 そろそろ、レイブンさんと真剣に会話をする頃だと思い色々と切り出した。

 

 まずは、人類の定義についてだ。レイブンさんがいう人類。ネイティブ達がいう人類。これの認識齟齬について話し合った。レイブンさんは、理解出来ないといった感じだったが、そこは今も生きる人類であるこの身体で証明する。

 

 機械部品が何処にも使われていない純度100%の肉の塊。彼女からしたら、なぜ、これが我々人類と同じレベルで稼働しているのか理解出来ない。レイブンさんからしたら、睡眠という行為は動力不足から来るスリープモードみたいな物だと思っていたらしい。

 

 ちなみに、レイブンさんがその手で調べると言って全裸にされて診られたのは役得だった。但し、アバドンさんやギガスさんの監視の目も恐かった。

 

 後、この機会に私もレイブンさんという人類を知るために同じ事をやった。

 

 ハッキリ言おう!! 人類、お前等の欲望って凄いわ。マジで尊敬する。よくぞここまで作り込んだ。実際、滅んでも悔いは無かっただろうと言いたい。

 

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