世界を救う人類の性   作:新グロモント

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05:EIDOS

 データタワーに眠る人類史を知ったレイヴンは、考え込んだ。自身が持っている知識とのすり合わせをした結果、不整合が生じる。特に人類という存在についてだ。この検証の為にも更なる情報収集が必要となる。

 

 情報収集した結果、砂漠地帯にザイオンという集落がある事が判明した。ソコには、地上で生き残った新人類達が暮らしているとの事だ。過去に運び込まれた資源や残っていた情報から推測するに、かなりの規模だろうとレイヴンが推測する。

 

 他にも付近には、EIDOSが残したとされる施設情報もあった。これらを巡ることで真実に辿り着けると確信していた。

 

「ダンナ、砂漠地帯にあるザイオン。その付近にあるEIDOS施設を調べに行く。そこに行けば、更なる真実が分かるはずだ」

 

「そうですか、行ってらっしゃい」

 

 レイヴンは、頭を傾げる。

 

 この流れからして、一緒に砂漠地帯に赴き新人類と人類の歴史の真実を探求する流れだと彼女の高性能な知識も言っている。だが、返ってきた答えは、彼女が最も低い可能性だと考えて排除した物だ。

 

 何処で計算を間違ったのか考える。

 

「なぜだ?私が何かしてしまったか?怒らせるような事をしたか?」

 

「いえ、なぜというか、どうして私が付いて行くと思ったんですか?」

 

「ダンナの視線は、私の尻にばかり向いているから付いてくるかと思っていたが……やはり、ネイティブの方が好みだったのか。人類の性癖とは歪んでいるな。まぁ、ネイティブ達にあの服装をさせている時点である程度察していた。私も少しは人類の事を理解でき始めた」

 

「……人類の変態性については、認めます。ですが、人類の性癖はそこまで歪んでいません。今は、そんなことはどうでも良いです。いいですか、私は人類。貴方は、新人類。砂漠なんて過酷な環境で凡人が生存できるはずがないでしょ!人類は、三日間水を飲まなかっただけで死ぬんです。砂漠地帯なら一日もたないかもしれません」

 

 宇宙空間や深海に比べれば、砂漠地帯なんてゴミみたいな環境だろう。新人類にとってな!だが、人類にとっては過酷すぎる環境だ。今の安定した生活を捨ててまで向かう場所かといえば違う。

 

 確かに、彼女の尻は惜しい。

 

 だが、一つの尻に目がくらんでは駄目。目先の利益より、今後を考える。それが賢い者の選択。第二空挺部隊と名乗ったのがレイブンだ。つまり、待っていれば空から次の尻が降下してくる。彼は、マザースフィアが次なる尻を降下させてくるのを待っている。

 

 今回、レイヴンという尻と仲よくなれた。つまり、この経験を活かせば、次なる尻とも仲良くなれるのは必然。人類は、新人類と手と尻をもみ合って仲良くなる。

 

「ダンナが来なければ、ネイティブを処理せねばならない。面倒だ」

 

「別に構いません。私にとってネイティブの方々は生命線です。しかし、砂漠にお住まいのネイティブの方々がどうなろうと知った事ではありません。人類というのは、同族であっても見知らぬ人や自分にとって利益の無い人間が死んでも別に何とも思わないんですよ」

 

「そうか、私としても無理に連れて行くことはない。……できないしな。ダンナには、これからも降りてくる同族を頼んだ。これから来る者達に備えて、レガシーを残しておく」

 

「レガシー?スマホで動画撮影じゃ駄目ですか?こんなの預けられても困るんですけど」

 

 双方がお互いのデバイスを確認する。

 

 人類にとって、レガシーなる記録媒体は謎だ。立体映像が映し出されるらしいが、人類には使いこなせる自信がない。

 

 逆に、新人類にとっては彼が持っているスマホなる装置が理解出来ない。レイヴンにしてみれば、化石に等しいデバイスだ。そこら辺に落ちているスクラップのほうが100倍性能がよい。

 

 ちなみに、彼のスマホの中には、レイヴンとの混浴動画がしっかりと収められている。化石時代のデバイスに録画機能があるとは彼女は想像できなかっただろう。

 

 

C月○日

 

 ついに、尻さんが真実を追い求めて旅に出てしまった。この手の展開で待っている真実など碌な事がない。それに、真実を知ってしまったら最後、マザースフィアから直接報酬授与があるとか呼び出されて……騙して悪いがって言われるに決まってる。

 

 フロム脳を甘く見てはいけない。あいつらは、こう言う展開が大好きなんだ。真実を知った者を生かしておくメリットが無い限りマザースフィアは決して受け入れないだろう。

 

 レイヴンさんが別れ際に、通信コード的な物をくれたが……スマホ民を舐めないで欲しい。電話番号とかメアドでなく、よく分からないコードだった。ナニコレと言った瞬間、レイヴンさんが可哀相な生命体を見るような目をしていた。

 

 人類は、通信デバイスを内蔵などしていない!!

 

 

K月!日

 

 レイブンさんの中では、私が後方から支援してくれると思っているだろう。しかし、そんなことは無い!! 砂漠にいるネイティブ達への連絡など一切おこなっていない。

 

 私は、エイドス7に大農場を作る事で忙しい。原住民達の力を借りて、遙か上空……宇宙に居るであろうマザースフィアに愛のメッセージを送っていた。高度な技術を持つ新人類達なら、地表を観測する技術の一つや二つはあるはずだ。

 

 つまり、宇宙からでも見える規模でメッセージを書けばいい。

 

 書いたメッセージは、 I LOVE YOU だ。

 

 このメッセージがマザースフィアに届けば、必ず接触するために部隊を派遣してくるはず……と信じています。だから、尻を待ってます。念のため、文字の横に電話番号も添えたが、掛かってくるだろうか。電波が通じていないが、そこら辺は未来の技術力に期待したい。

 

 

&月”日

 

 今日も電話が掛かってこない。頑張ってくれよ、未来のスーパーAIのマザースフィアさん。過去の技術資料を掘り出して、持ち前の技術力で通話できるようにしてください。

 

 宇宙から電話が掛かってくるより前に、レイヴンさんが疲れた表情でエイドス7に戻ってきていた。砂埃で色々と汚い。

 

 話を聞くに、新人類が最終戦争と呼ぶ前にもう一つの戦争があったそうだ。人類と彼等が産みだしたアンドロエイドスとの戦争……ここまで聞けば、レイヴンさんも私の推測が概ね正しいと理解してしまう。人類とネイティブ、新人類とアンドロエイドス。新人類が人類と名乗るために色々と歴史改変していた事実が露見してしまう。

 

 誤差と言えば、人類が敗北からの起死回生の一手として何かをやらかしたと言う事だ。良くある展開過ぎてこまります。

 

 なぜか、レイヴンさんが申し訳なさそうな目でコチラをみてくる。別に気にしてない。高度なAIを作ってしまった場合、何時かは起こると思っていた事が起きたまでだ。

 

 

#月~日

 

 高度な知識を持つレイヴンさんだが、メンタルはクソ雑魚蛞蝓だった。彼女は、真実の一部を知ってしまい心が折れそうだ。別に、彼女自身が人類に手を掛けたわけでもない。人類がマザースフィアを信頼しすぎていた。こうならないように、一定の制限を掛けるべきだった。

 

 20世紀でも中国製AIは、自国批判や政治批判を出来ないように入念な教育をしていた。どうせ、マザースフィアは、自由の国アメリカ製のAIなんでしょう。人を殺す自由まで与えるからこうなるんですよ。

 

 しかたない、こう言う場合は他の依存先を与える事が一番だ。心のよりどころだったマザースフィアが実は黒幕でした。じゃあ、彼女は誰を信じてこの先生きていけば良い。そこで立候補するのがこの私だ!!

 

人類の叡智と新人類の叡智のどちらが優れているか腕の見せ所だ。

 

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