世界を救う人類の性   作:新グロモント

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07:アダム

 昨今のネイティブ達の異常な動きは、ザイオンに住む地上に取り残された新人類達にとっては、興味深いニュースだった。彼等は、ネイティブ達から逃れつつ資源を回収する事で主な生計を立てている。

 

 そのネイティブ達の活動が良い意味で異常事態。この隙を狙って、資源回収に来る連中も多い。特にエイドス7は都市街だ。今でも稼働している機材などは多々ある。それに、空挺部隊の連中が真っ先に通る場所でもあり、高度な資源が今も沢山ある。

 

 その資源を回収する一人である回収屋アダムもこの話を聞いて、エイドス7にやってきた。アダムにしてみれば、この時期を狙わずともその気になれば何時でも回収できる。アダムも彼と同じく少々特殊な事情をかかえていた。

 

 アダムは、現地調査も兼ねてドローンを使った偵察をする。

 

 ドローンから送られてくる光景に彼は目を疑った。数ヶ月もしないうちに、様変わりしてしたエイドス7。いつの間にか開墾されて大農場が作られており、ソコではネイティブ達が労働に勤しんでいた。

 

「おぃおぃ、何の冗談だ。あいつらにここまで命令できる奴なんて()以外にいるのか」

 

 ネイティブ達が農作業をしている事も疑問だが、そもそも農作物を作ってどうするかという事もなぞだ。食事を必要としないネイティブ、新人類もこのような作物は必要としない。新人類の食事は、基本的に完全栄養食的なチューブ入りのアレだ。

 

 アダムは、ドローンを使いばれないように盗撮を進めていった。その最中、おぞましい者を見てしまう。一瞬目の錯覚かと思う程だ。アダム自身でもそうとしか思えない異常事態が広がっていた。

 

 オーシャンメイドの服を着たアバドンとギガスが料理をして、その作った料理を誰かに食べさせている。どういう状況なのか、アダムですら全く理解出来ない。それどころか、あの連中にメイド服を着せて、飯を作らせて食べさせて貰うプレイをしている男性みたいな人物に狂気すら感じる。

 

「……初めてだ。ここまで関わりたく無いと思った事は。狂気を通り越して、未来に生きてやがる。これって、俺が直々に対面しないといけないのか。あのメイド服を着たアイツラを前に、正直顔に出さない自信はないぞ」

 

 回収屋アダム……それは彼の表の姿。裏の姿は、エルダーネイティブと呼ばれる存在だ。自我と人間の姿を保った究極のネイティブといえよう。だが、そのエルダーネイティブのアダムにすら関わりたく無いと言わせる彼は、中々の人物だ。

 

 だが、ここで頭脳明晰なアダムは一つの可能性に辿り着く。

 

 アダムはエルダーネイティブと呼ばれる言わば、ネイティブ達の頭領みたいな存在。その上、人類に一番近い存在という事もありネイティブ達からは神の如く慕われている。ネイティブ達がどこかで要らない知識を手に入れて、奉仕の練習をしているのではないか。当然、奉仕対象はアダムとなる。

 

 実におぞましい想像だ。あのオーシャンメイド姿で奉仕されるなど、エルダーネイティブの精神すら崩壊しかねない。

 

「きっと、捕まっているのはザイオンの回収屋だろう。可哀相に……介錯くらいしてやるか。同じ男として、新人類に情けを掛けても良いだろう」

 

 

H月R日

 

 本日初めて、生きた人間っぽい人が訪ねてきた。このネイティブ達が蔓延る場所に無防備で来れるなんて凄い。しかし、本当に銃一つ持たずにここまで来るなんて……不可能でしょう。

 

 つまり、このイケメンな男性は、常識的な存在ではないという事が答えだった。そんな男性からの最初の一言は……『頭大丈夫か、お前』だった。大丈夫なわけ無いだろう。際どい水着メイド服の化け物達から食事をアーンされているんだぞ。

 

 精神がゴリゴリとすり減っている。そんなに羨ましいなら変わるよ。

 

 私としても彼の正体には心当たりがある。ネイティブ達からの情報では、エルダーネイティブなる存在がおり、定期的に見回りに来ている事実も知っていた。だからこそ、彼がそのエルダーネイティブだと確信している。

 

 だから、巻き込んでやったさ!! 今晩は泊まっていけ、そして晩飯も食って行けとな。私の苦しみをお裾分けしてやる。アダムさんは、運が良い。本日は、ジャガノートさんも来ており、みんなで食卓を囲もうじゃ無いか。

 

 

T月Y日

 

 アダムさんに20世紀から来ましたと言ったら、信じて貰えなかった。だが、スマホを見せたら信じられないと言った感じだったがご納得頂けた。それに、レイヴンさんの事も紹介したら、狂ったかのように笑い出していたよ。

 

 人類と新人類が仲よく暮らし、一人の男を巡って同盟関係を構築したと聞けば誰だって驚くだろう。折角なのでアダムさんの仲間の引き入れようと思ったが、アイツは背中に翼を生やしてまで逃げやがった!!

 

 レイヴンさんが、夜戦を記録したレガシーでネイティブ達を買収した事をしり……アダムは身の危険を感じ取った。勘の良い奴だ。

 

 そう!! 私はひ弱な人類だ。だが、エルダーネイティブで半分人類であるアダムなら、ネイティブ達との夜戦に耐えられる。だから、彼女達の欲望を解放してやってくれとお願いをする直前でそれを察したんだ。

 

 今度来たときは、飯に睡眠薬を入れてやる。

 

 

Y日U日

 

 あの日以来、アダムが生身で来る事が無くなった。遠くからのドローンや通信機器を使った交信がある程度だ。ザイオンとか言う場所の情報は確かに欲しかったから僥倖だ。他にも、軌道エレベーター付近に関する情報も貰った。

 

 君こそ、人類と新人類の架け橋になる存在だとか顔も見せずに言ってくんだぜ。そりゃ、ヤる事はヤっているよ。レイブンさんのメンタルケアにはコレが一番だからさ………やばい、いろんな衣装を着てくれるから嵌まりそうだよ。嵌めているのは私だけどさ。

 

 後、第五空挺部隊なる連中が明日降下してくると言う情報を手に入れた。ネイティブさん達と交渉してある程度は撃墜しないで素通し貰う事で了承を得た。支援特化の非戦闘員を生きてコチラまで誘導する算段だ。

 

 

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