世界を救う人類の性   作:新グロモント

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08:I LOVE YOU

 身の安全を確保するため、レイブンを筆頭にアバドン、コラプター、ギガス、ジャガノートの5人を側近の護衛として彼は第五空挺部隊が落ちてくる場所付近で待機していた。対空型のネイティブが居る場所に降りてくるとは自殺行為も良いところだ。

 

 もっと安全な場所に降りてから地上を移動すれば人的被害は少ないだろう。宇宙戦艦も撃墜されており被害はマザースフィアにとっても痛い。無限に資源があれば構わないが、現実的にはできない。地球から資源を回収するにしても使った分以上の量を回収する事は中々難しい。

 

 それこそ、軌道エレベーターを使った大規模な物資調達作戦が必須だ。だが、現存しており稼働可能な軌道エレベーターは一基のみ。それ以外は、過去の大戦でマザースフィアが念入りに壊している。

 

「しかし、こう見ると壮観だな……視覚的に」

 

「ダンナ様は、こういうのが好きなんだろう?」

 

 レイブンをヤンデレ依存度MAXまで育て上げた彼は、既に様と呼ばれるポジションだ。彼は、絶対に旦那様と呼ばせる為に偽名を教えていたとは言わない。ヤンデレ依存度が限界突破したら、心中されかねない。

 

 どう頑張っても人類は新人類に力では勝てない。

 

 

『オウサマ、テキ、テキ』

 

『オウサマ、ニ、イロメ、ツカッタラ、コロス、イイヨネ』

 

『アイツラ、ヨリ、ワタシタチ、キレイ』

 

『モウ、コロシ、イク』

 

 新人類に対しての憎しみは、ネイティブ達には深く根付いている。

 

 彼は、お腹が痛くなってきた。レイヴンもマザースフィアの手先など殺してやるという雰囲気が滲み出ている。それに加え、私が支援型の新人類が何名か欲しいと言った事もあるのが拍車を掛けた。

 

 私という者がありながら、私の何処が気にくわないんだ、直すから捨てないでと縋り付いてくる。夜戦の場で!! しかも、ブレードまで取り出してそう言うことをいうから、心中一歩前まで追い詰められていた。

 

 早く、アダムとかいうエルダーネイティブにも一部引き取って貰わないと本当に心中されてしまうと彼は思っている。だが、アダムは勘のいい男だ。性欲という人類の根源にも等しい欲望が希薄のため、地雷女には手を出さない。

 

「まぁ、皆さん落ち着いてください。出来るだけ、戦闘力がなさそうな支援型を狙いましょう。レイヴンさんほどの戦闘力があり懐柔できなかった場合、私が危険です。それに、私のメッセージが宇宙に届いているのならば、多分何かしら通信機とかも持っているはずです」

 

「マザースフィアと直接対話をするつもりかダンナ様。本当に必要なのか?」

 

 彼は、当然と言った。宇宙から衛星兵器でも使われたら、彼が居る拠点など今すぐにでも地図から消える。科学力の恐ろしさは彼もよく知っている。それに加え、マザースフィアは、人類を抹殺する為平然と軌道エレベーターや衛星を落下させる手段を取れるAIだ。

 

 いつ興味から排除対象に変わるか分からない。だからこそ、相手が興味をもっている内に打てる手は打つのが鉄則だ。

 

『オウサマ、ヘンナノ、イル』

 

 ジャガノートが無事に着陸してきた第五空挺部隊で変な二人組を見つけた。どのレベルで変かというと…… I LOVE YOU という赤文字が白旗に大きく書かれた物を目立つように持っていた。

 

「本気かマザースフィアさん。近隣のネイティブの方に至急の連絡です!! その変な旗を持った二人には攻撃は禁止します。いいですか、攻撃禁止ですよ。レイヴンさん、貴方が一番早い。私の指示が伝わるまで時間が掛かります、その間彼女達を守ってくれませんか?」

 

「……チラチラ。アレなら大丈夫だろう。分かった」

 

 レイヴンさんが自らのスタイルとこれから助ける必要がある二人のボディーを比較した。遠目でも分かるレベルで、助けるべき二人はレイブンより子供スタイル。だが、レイブンは甘く見ている。

 

 おっぱい、胸、尻に貴賎はない。

 

 人類の俗物っぷりが分かっていないレイブン。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 第五空挺部隊の降下作戦前。

 

 サポートエンジニアとして参加するリリー・アルテミスII世。そして、コロニーで一番のハッカーとして名高いイベリス。この二人がマザースフィアから直々に呼び出された。任務前だというのに異例中の異例の対応。

 

 二人は、公然の秘密となっている関係がばれてしまったのかと思った。だが、それならば他の隊員が呼び出されないのが謎だ。非生産的な関係などコロニーに蔓延っている。

 

「リリー、何をやらかしましたか?」

 

「イベリスの中だと、私はどんな不良になってるの~。何もしてないって。心当たりなんて全く無いよ」

 

 マザースフィアから直接言葉を貰うなど部隊長でも難しい。それどころか、直接対面できるなどコロニー内部で何人もいない。

 

 大きなドーム状の部屋に入り緊張して待つと、女の子の姿をしたホログラムが現れる。彼女達は、この少女こそマザースフィアだと理解する。

 

『初めまして、リリー・アルテミスII世。イベリス。私は、マザースフィア。任務前に呼び出しに応じてくれた二人に感謝を。今回の空挺任務で、二人に特別任務を言い渡します。電子媒体での情報伝達は一切しませんので、聞いて覚えてください』

 

 胃がキリキリしてきたリリーとイベリス。任務前にいきなりコロニートップのマザースフィアから特別任務を与えられる。一般兵士が大統領から特別任務を貰うに等しいレベルのパワハラだ。

 

 断る道などない二人は、喜んでと任務を引き受けた。

 

 その任務は簡単だ。推定700年以上前の通信規格に対応したデバイスを持った存在とコンタクトを取る事だ。サポートエンジニアのリリーが通信機器を構築、イベリスがシステム構築する事になった。

 

 二人は何の冗談かと思った。化石に等しいデバイスに対応した機器とシステムを今更構築しろなど……しかも、ネイティブが蔓延る地球でだ!!

 

「わ、分かりましたマザースフィア。しかし、地上にはネイティブもおります。場合によっては地表到着前に……」

 

『分かっております。その為、コレを貴方達に授けます。地上についてコレを掲げれば、多分(・・)大丈夫です。それは地表についてから、掲げてください。それまでは確認する事を禁じます』

 

 マザースフィアの多分という言葉が聞き間違いかと思う二人。神と崇める存在のマザースフィアがそのような不確定な事をいうなど信じられなかった。

 

………

……

 

 リリーとイベリスが地上に辿り着いて目にしたのは、まさに地獄絵図だ。ネイティブ達が無数におり、地上に辿り着いた空挺部隊の仲間をすり潰している。当初の予定数より無事に辿り着いた仲間は多いが、ネイティブの戦闘力は依然として高い。

 

 一部の隊長格やネームドの新人類なら、一対多でも対応するが他はそうではない。

 

 血と硝煙がたちこめる中、リリーは我を取り戻した。マザースフィアから授かった秘密兵器の旗を広げる。近くに着陸したイベリスも同じタイミングで旗を広げる。この時、二人は初めて旗に書かれた文字を知る。

 

「「I LOVE YOU」」

 

 二人の脳が理解を拒む。広範囲シールドを張る兵器、衛星軌道上からの支援砲撃を依頼する端末とかではなく、本当に旗だ。しかも、手作り感がある。

 

 一流のエンジニアであるリリーは、この旗に秘密の機能がないか調べる。マザースフィアが特別任務として授けた品物だ。何か機能があっても不思議じゃない。

 

 天才ハッカーのイベリスは、この旗に秘密の機能がないか調べる。マザースフィアが特別任務として授けた品物だ。何か機能があっても不思議じゃない。

 

 だが、二人の苦悩はまだ終わらない。遠くにオーシャンメイドを着てSAN値を葬ろうと近付いてくる化け物集団が目に入った。マザースフィアからの特別任務を何もこなせずに死ぬんだと理解した二人。こんなことなら、最後にもっとヤりたい事をヤっておくんだったと後悔する。

 

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