今年もおねショタを量産していきましょう。
ちなみに、キヴォトスの設定っぽいのはほぼ全部オリジナル設定だと思って流し読みしてください。
真っ暗な中、フウの耳には、後ろから抱き着いて一緒の布団で寝ているカヨコの息遣いのみが聞こえていた。
『キヴォトスの外』とは比べ物にならない科学力を持つミレニアムサイエンススクールの存在があるからか、びっくりするぐらいのハイテクが散見されるキヴォトスの廃墟とあって、それなりにしっかりとした建築物として残っており、長い間使われてなかったであろう電灯や給湯器も使用できるくらいに丈夫。
窓や壁だって防弾仕様の特別性であるためか、風化の跡は目立つし多少汚れて曇っているが使えないわけではない。
つまり、防音材を貼り付ければ、立派な作戦基地が完成する。廃墟にゴロツキが陣取る理由は、大半がそれである。
とはいえ、人の手があまり入っていなかったこともあって、風化の魔の手からは逃れられない。
つまるところ、断熱効果がいくらか失われ、夜中はものすごく寒いのだ。
どうやら断熱材の一部がダメになっているようである。
「こうすれば、あたたかいね」
そういうわけで、2人くっついて寝ているわけである。
カヨコは当然、下心なんてものは微塵もない。全てはフウのためにと姉としてのプライドと責任感にかけて、あらゆる煩悩を砕き、捨てた今の彼女はスーパービッグシスターとして覚醒している。
この廃墟に陣取って3週間。夜中寒いのはカヨコは知っていたから、フウとこうして温めあっているのだ。
だが、フウはそんな事情知るわけがない。
何だったら、何か物事を考える余裕すらないのだ。
(柔らかい暖かいふにっとしてる息が当たってるいいにおいする……)
顔を真っ赤にして、まぶたをぎゅっと閉じ、ただカヨコに抱きしめられながら寝ているしかない。
寝られる気はしないのだが。
「フウ君、寒くない? ここ、暖房器具だけそろわなくてさ。足先とか、へいき?」
ぽしょぽしょ、と耳元で、カヨコの声が響く。
お風呂の時とは異なり、ベッドの上、布団の中であるためか反響などで耳の中で反芻し、まるで洗脳のように響くようなことはない。
しかし、これはダメだ。別の意味でだめだ。
お風呂の時はしっとりとした柔らかさと、声が反響することによる洗脳ウィスパーボイスでやられかけたフウ。
お布団はお布団で、女性用の寝巻のふわふわとした柔らかさとカヨコの声の柔らかさ、ベッドの上という特殊な状況と、寝巻の服と肌の隙間から香ってくる風呂上がりの少女と石鹸の匂い。
端的に言うと、掛布団という存在があることで風呂の中よりもカヨコが、フウには近く感じられる。
掛布団にくるまって、フウにカヨコがまるで包むように抱き着いている。
密室と言っても過言ではない。
キヴォトス人であるカヨコから、『外』のヘイローが無い人類の子供であるフウが逃げられる道理などないのだから。布団の上限定の密室監禁状態。もはやフウはなすすべなく、ただこの嬉し恥ずかしな現状を受け入れカヨコに甘えたおすしかないのである。
「寒くない、平気だからもうちょっと離れてくれると……」
「……だめ。キヴォトスじゃ深夜でも銃撃戦なんて普通にあるから。こうしてないとフウくんを守れないし、ちょっとだけ我慢して?」
もぞ、とフウが動いてカヨコから離れようとすると、がっちりとカヨコが腕をお腹側に回して離さないように抱きしめる。
ようは、今現状で、最もフウの命を守れるようにしているのだ。
カヨコが盾になれるよう、壁の一番薄いほうにカヨコが背を向けて、フウを抱きしめているのである。
「……それに、私は少しさむくて。だめ、かな」
すり、と、少し冷たい足先がフウの足元に触れる。
一瞬フウは声を上げそうになったが、抑えた。
「じゃあ、いい」
寒いんならしょうがない。カイロにでもなってやる。そう思って、顔を真っ赤にしながらフウは言った。
この時カヨコは、フウに対して弱みを見せることでフウを抱きしめ続ける権利を得たわけだが、フウはそれに気が付いていない。
大人に近い子供と、未だ子供な思考回路の子供。その差は歴然。
(だからこそ、わたしが守らないと……)
最早、母性まで出ていないだろうか。そんな勢いで、フウをカヨコは抱きしめて、眠りにつく。
すりすり、と、胸の中にいる暖かい小さな子供の体温を感じるようにしながら。
決意を新たにしようとも、寒いものは寒いのだ。
*
午前零時。
今すぐに寝ないと明日に支障が出るため、仕事を終わらせなければいけない時間帯だが、キヴォトスに唯一存在する『先生』はパソコンに向き合いながら、思考を巡らせていた。
(救急医学部には、フウ君が
カタカタカタ、とパソコンのタイピングの音が室内に響く。
時折、ピコン、とパソコンの近くにあるタブレット端末から、通知音が響く。何やらやり取りを行っているのか、通知音が響くたびにタブレット端末も先生は操作し、またパソコンに向き直る。
(……結果として、目を覚ましたし……病院には、搬送しない方がよかったかもね。頭に外傷はなかった、脳も救急医学部の判断では異常なし……あとは、明日ゲヘナに向かって風紀委員会と……万魔殿にフウ君のことを伝えておいた方がいいかもね……)
フウ君の今後をどこで過ごすかも、決めないといけない。
そう思いながら、先生は作業を続ける。
もう彼の中には、フウを元の世界に送り返す、という考えはない。
先生は大人だが、明らかに捨てられていた子供を元の地獄に叩き込むほど、順法精神と冷徹さには満ちていなかった。
もし裁判になれば、先生は最悪、自分だけで済むようにしている。
責任を取る、とカヨコは言っていたが、『任せる』という最終判断を下した大人として、先生は責任を取らなければならない。彼は少なくとも、そう思っているし、そうするのが正しいと思っている。
ピコン、また通知音が鳴った。
(カヨコに『任せた』のは、あくまでも『フウ君の身柄』だけだからね)
通知の正体は、モモッターというSNSのダイレクトメッセージ。その送信者の欄は黒く塗りつぶされ、誰が送ってきたものか、判別できないようになっている。
当然のように、モモッターアカウントのIDも、意味が解らない記号の羅列でしかなく、規則性がないからか、送信者が大人か、子供か、男か、女かすらも分からない。
しかし、先生は、送信者がわかっているのか。
怪しいアカウントからのメッセージを躊躇なく開き、返信する。
やり取りがずっとあるのか、先生と、謎の存在の言葉の応酬がそこにはあった。
(______『それ以外』は、全て私に任せてもらおう。……ズルい大人なようで、子供には嫌われちゃうかもだけれど、そこは許してほしいかな)
先生の返信はが届くと同時に、謎の存在からすぐさま返事がまた届き、ピコン、と通知音が鳴る。
その内容を見た先生は、一瞬目を見開き……そして、
(______そうか。やっぱりか。これで今回の『敵』がはっきりとした)
見たら生徒たちが怖がりそうな『大人の雰囲気』を醸し出しながら、ギリィ、と奥歯をかみしめる。
怒りごと噛み砕いて、すぐさま冷静になれるように。
チャット欄には、黒い背景のアカウントから、続けざまに返信が来た。
______先生、あなたが『妄想』と称したご推察の通りでした。
______どうやら、あなたと
______観測できた事象から、私の所感で申し訳ないですが、どうやらキヴォトスを『外側』から『閲覧』という形で干渉を繰り返しているものと推察されます。
______呰上フウ。彼は恐らく、『閲覧』しかできなかった彼らが『子供』という
______彼を大切に思うのであれば、彼から目を離さないことをお勧めしますよ、先生。
カヨコ身長157cmなのかわいいね……。
身長が意外と高そうに見えて実はちょっぴりカヨコが見上げる形になっちゃうのすごくかわいいんだ……。
だから、さ。例えばおねショタとかカヨコでやった時に、男子の平均身長的にカヨコと比べて頭ひとつ分くらい小さいんだけれど、逆に言うとそのくらいしか身長差がないから抱きしめるとちょうど胸のあたりに頭が来るんだよね。
胸元の匂いをダイレクトに吸っちゃって性癖ぶっ壊れる男の子もかわいいと思うんだ。
皆はどーだい。