百鬼夜行より連邦へ、弾丸を込めて   作:魚介(改)貧弱卿

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十五発目

「お前、やはりただのメイドではないな…何者だ!」

「メイド、それ以上でもそれ以下でもない」

 

 改造修復を終えた軍刀と義眼で100%の実力を取り戻したオウカは金曜の夜にとどいた新品のメイド服に身を包み、C&Cとして初めての正面戦闘をしていた

 処女任務(ハジメテ)の相手となった連中はヘルメット団の格好をしてはいても、その実ヘルメット団ではない

知らず知らずのうちに何者かに組織ごと乗っ取られてしまった傀儡達だ

その『何者か』の正体を探りに廃墟近くの僻地にまで足を運んでいたのだが、上層部が某悪徳企業との癒着・組織侵奪に関する強い証拠を掴んだということもあり、戦闘による組織殲滅は許された。

 

「奪うでありますよー」

 

 ライフル、初期型のAKか、あるいはそのコピー品と思われる物を振り回すヘルメットモブの顔面に飛び膝蹴りを叩き込み、力の差をわからせてやると銃を取り落とした。

 

「せっかくだ、俺が使ってやる」

 

 神秘を集約したオウカの手によって即座に神格化(アポテオーシス)従属化(サブドネーション)された粗悪品の銃が光を放つ。

 

 本来他人の神秘が込められた武器を万全に使いこなすことは困難だ、双方の神秘の性質や相性にもよるが、発揮できる力は概ね5割から6割

だが、オウカの神秘は並大抵の生徒の神秘くらいなら塗りつぶすほどの出力がある

より大きな力によって他を制圧し、平定し、服従させる神秘のオーバーライド

無理やりに込められた神秘(エネルギー)が暴走するリスクを壊れてもいいと踏み倒して、奪った他人の銃をぶっ放す。

 

 バン、バン、バン、バキィ

4度目のトリガープルに応えたのは、それまでと違う不快な炸裂音。

「あっ壊れた」

 

 漏電火花と共に銃弾を吐き散らしたARが爆発して四散、しかしその前に出た弾によって他数人が気絶に追い込まれている

使える銃はまだまだそこに転がっているのだ。

 

「借りる」

 

 適当に転がったハンドガンを掴んで雷を走らせ、再び自らの武器として染め上げたオウカは、右眼の赤い残光を曳きながら走り抜ける。

 

 封鎖され、校則(ほうりつ)で立ち入りを禁じられた廃墟、その場所へと繋がる道を隠し持った秘密基地、その長い長い廊下を駆け抜けていく

他に例を見ない機械技術の発展によって夜のない学校とも呼ばれるほどのミレニアム、だがここは本当にミレニアム校区内か、と疑うほどに暗い廊下だ

その一角を駆け抜けようとしたその時、反射的に足を止めて銃弾を前に撃つ。

 

「そりゃああるでありますな」

 

「罠」

 

 ()()()()()()()、突如として廊下中に張り巡らされたレーザーセンサー、しかもおそらくこれ自体が超高出力で触れたものを焼き切る『赤の女王式』だ

暗い廊下がレーザーの僅かに拡散する光で照らされる。

 

「こんな時、ネル先輩なら何をする?」

 

 アスナなら、全てを回避して走り抜けるだろう、アカネなら、レーザーの発振元を潰して止めるだろう、カリンならそもそも現場に入らないに違いない

誰も再現できない、故に今この状況で最も参考になるのは、ネル。

 

「よし……突撃だオラァァ!」

 

 レーザーは小面積、銃弾が溶けて消えるにはわずかながら余裕がある、銃弾がレーザーに当たっているその瞬間だけはレーザーは途切れているのだから、その間に突っ切れば良い

それに。

 

「光を斬るのは、水を斬るより容易い!」

 

 分たれても混ざり合い、形を取り戻す『水』ではなく、分割できる『光』なら、壊せる、ならば斬れる

銃弾に加えて軍刀を抜いて刀身を鏡がわりにすることで盾にしかならない銃弾よりも強固な防御を確保し、レーザー網の中を突っ切るオウカ

光よりも速い、わけではない

ただ、光よりも鋭いのだ。

 

「全く……メイド服が破れてしまったではありませんか、高価いのですよ?」

 

 (ひゃっきやこう)の意匠を取り込み幅広の袖と身頃の袷を持つ、黒紺の地に青ラインの縁取り、同じく紺の膝丈の女袴(スカート)、スカート部のみに白いエプロンを重ねているそれは、やはりところどころは焼けてしまったのか、廊下を突破する前より裂けた跡や焦げ傷が目立つようになってしまった。

 

「俺のメイド服を随分と前衛的(アヴァンギャルド)にしてくれた礼は……しなきゃならないでしょう」

 

 廊下を抜けた先に待ち構えていたのは、大楯を装備した大型のオートマタ、そいつへ向けて軍刀を抜き、宣言する。

 

「ミレニアムサイエンススクール、クリーニング(Cleaning)&クリアリング(Clearing)、コールサイン05、戦闘を開始する」

 

 左半身を相手に向けて、弓のように大きく引かれた右手に握った剣の刃先は肩の前で地面と水平、鋒に左手の中指を沿わせる『忍耐の型』を取り、マシンガンと思しい迎撃兵装を露出させたオートマタの先制制圧射撃が来ると同時に打ち返す。

 

 獣を狩るために編み出された第一の『修練の型』、剣士同士で戦うことを前提に作られた第二の『決闘の型』、そして銃による攻撃を打ち返す第三の『忍耐の型』あらゆる敵を翻弄する第四の『踏破の型』、相手の剣や盾をまとめて押し切る第五の『激闘の型』、それまで作られてきた5つの型の特徴を取り入れ、ハイブリッド化した第六の『研鑽の型』、禁じられた第七の『獰猛の型』

 

 七つの型の中で最も防御に長けるこの戦法、真に極めた使い手は傷つくことすらありえない。

 

「照準が寝惚けている」

 

 エンジニア部の手によって超硬金属化した刀身は、以前のように数発受けて折れるようなことはない

恐れることなく弾幕に立ち向かい、百発近い弾を逸らして、あるいは跳ね返して反撃する

そもそもガードマシンであり、対多数戦のために作られたのだろう大楯型の装備している武装はMG、制圧能力こそ高くとも単独の敵に弾を集中させて精密射撃を繰り出す武器ではないのだから、そう

反動や過熱で照準がズレるのだ。

 

「貰った」

 

 上向きに一歩、ずれた照準

射撃管制装置(FCS)による照準補正での自動修正が、僅かに遅れる

反射された弾によって打ち上げられた砲身が、能動的防弾制御システム(ACS)との連携を遅れさせる

そのわずかな隙に、刃が突き立てられた。

 

溶断

 

 胴体部の分厚い装甲に斬りつけた刀身は、幾度となく銃弾を撃ち付けられその運動エネルギーを熱として吸収、白熱化し、装甲を溶融させて切断するヒートサーベルと化していた。

 

「おおぉぉぉっ!」

 

 裂帛の奇声を込めた渾身の抜き胴、その勢いのままに切り抜けると、背後で爆発が巻き起こる

やはり弾薬を多く積んでいたのが連鎖爆発したのだろうか、火を吹きながら粉々になるオートマタ。

 

「……修め方が足りないでございます」

 

 自らの剣技の甘さを恥じる言葉と共に、背後を振り返らずに進んでいく

道はまだ続いているのだから。

 

「……あと何体いることやら」

 

 流石に何度もレーザーやら爆撃やらは受けていられない、直接攻撃でなくても疲労やダメージは溜るのだから、衝撃を受け続ければ倒れてしまうだろう

敵地で倒れたエージェントに救いはない

当然の事実として必修科目(メタルギア)で習った通りだ。

 

「いたぞ侵入者だ!」「たたき返してやれ!」

「鉛弾を喰らわしてやるぜー!」

「貴様……私の会社の社屋にこんなことをしてくれてタダで済むと思うなよ!」

 

「……はぁ……」

 

 意気軒昂、元気一杯、気力充溢、とでも言えばいいのか、無駄に希薄の籠った強い声と共に奥から湧いて出てきた迎撃のマフィアモブ達

ヘルメットモブでも民間軍事会社(PMC)でもなくマフィアモブなあたりお察しだが、押っ取り刀で駆けつけてきた彼女達はある程度距離をとって構え、陣を敷いて自分たちの得物を乱射し始める。

 

「効かないと言っているでしょうに」

 

 キンキンと跳ね返される弾丸、薄暗い道を明るく照らす火花が舞い散り、打ち返された弾丸が彼女達に直撃する。

 

「邪魔だ、どけ……」

 

 うぐぅぅ!やらぎゃぁぁ!やらと自業自得の悲鳴をあげる彼女達の下に駆け寄るのも億劫になり、もうこのまま徹底的に遠距離攻撃だけで倒すことを決まるオウカは軍刀を納めて抜刀術の姿勢を取る。

 

 天道流抜刀術、攻防一体、涅槃妙心の構えから繰り出される一の型八番、無影無綜

鞘の中から電磁カタパルトのように加速させた刀身の一撃が放たれ、銃や壁ごと一刀両断に切り伏せる。

 

「あっ……」

 

 マフィアの親分っぽいやつもまとめて叩き斬ってしまったことに気づいたのは斬ってからしばらくあとだった




初投稿です

ぶっちゃけ内容どうしよう

  • ストーリー重視(このまま)
  • はやく原作入れ(会長失踪)
  • 戦え……戦え…(戦闘重視)
  • 旅しろはよはよ(関係重視)
  • 消えてクレメンス(削除)
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