百鬼夜行より連邦へ、弾丸を込めて   作:魚介(改)貧弱卿

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十八発目

「結局ノッキング法、うまくいったんでしょうか……」

 

 結局彼女のメイドとしての仕事は部屋の掃除と料理という依頼事項がほとんど達成できなかったのだが、アイデア料と危険手当として結構な額を押し付けられてしまった

本当は仕事を達成せずに報酬だけを受けとりたくはないのだが、流石にオウカも渡された金を突き返すほど裕福なわけではないので、それに関しては諦めている。

 

「あ、オウカ!」

「はい!」

 

 ミレニアムの校舎の廊下を歩き、今日の依頼の場所である図書館へ向かっていたオウカだったが、背後から突然ユウカに呼び止められる。

 

「なんでございますか?」

「貴方に依頼が来ているの、C&Cとしてね」

 

「あとでやっとくでございますよ、今は先約の図書室掃除を済ませなきゃいけないでございます」「これはセミナーを通した正式な任務よ、それにもうネル先輩にも話は回っているから、じきに上司からの直接命令が降りるわ」

 

「……仕方ないでありますな、ブリーフィングを確認させてほしいのですが、よろしいですか?」

 

 一つ嘆息するオウカ、残念ながら図書室の掃除は後回しのようだ。

 

「これが今回のその作戦の資料よ、目標は以前潜入してもらった『廃墟に繋がる道』を隠し持っていた企業、『星精機械』よ

この企業は以前から廃墟の秘匿工場の中で『蜂蜜酒』(ミード)と呼ばれる特殊な薬品を製造していたみたい、それで残渣物(ざんさぶつ)から調べてみたところ、これは成分からして違法な薬物であることがわかったわ」

 

 精密機械の会社がなぜ蜂蜜酒などというファンシーなアイテムを製造するに至ったのかはオウカにわかる所ではないが、それがマズイ、危険だということはわかる。

 

「違法薬物、それは例えば……覚醒剤のような?」

 

 一般ブラック企業が学生を労働させているような環境で気化した酒の匂いを嗅がされるのはほとんど酒を飲んでいるのと同じであろう、

そのように酩酊・幸福感をもたらし苦痛を遮断する薬となるブツとなれば底辺階級からでも引くて数多となるであろうことは想像にたやすく、そういった労働者はつまり各校からドロップアウトした生徒達なのだから、児童飲酒の大量生産とも言える事態になるだろう。

 

「いわゆるドラッグに近いものね、具体的な効果で言うなら……人体に投与すれば陶酔・興奮を起こして強制的に神経の感覚をシャットアウトしたり、神経伝達物質の放出量を上げて反応速度を底上げしたりするようなものよ」

 

 ユウカの表情は暗い、薬や毒物を研究するものも多い都合から研究の進歩の速度に法整備が追いつかないという理由で、ミレニアムの法ではエナドリ以上の神経興奮などを起こす物質の大半は違法とされ、私用が禁じられているのだが、やはりそういう物は依存性も併せ持つもの

使用・乱用を試みようとする者もまた、後を絶たないのが現状である。

 

「用法も覚醒剤やマリファナ、戦闘用途でのモルヒネと大体同じでございますな、薬による強化(ブーステッド)、あまり好かない概念であります

外付けの力に頼っているのは俺も同じと言われれば黙る他ないでありますが……しかし、蜂蜜酒(ミード)、ねぇ」

 

 蜂蜜酒、人類最古の酒ともされるそれ

林檎酒(シードル)葡萄酒(ワイン)と並び醸造の概念の始まりとなる奇酒であり古酒、互いを愛し合う者達の元に夢を紡ぐその酒の名を冠する物が違法薬物に成り果ててしまうとは残念なことだ。

 

「やはり人には愛など高尚すぎたのかもしれませぬ……

まぁ……任務であるなら、従うのみであります」

 

 襲撃予定の時間は明後日の日付となっている、準備期間を開いたのだろう

だが大丈夫だろうか?C&Cの面々は全員容姿端麗でメイド服という大きすぎる特徴を持っている

『メイドに襲撃された』という情報はつまり『C&Cに襲撃された』に置き換えられるくらいには知名度があるのだから、C&Cを執行部同様のエージェントとして知る企業なら、自分たちの所業がセミナーに捕捉されている事もわかるはずだ

ミレニアムで企業を営む以上、公権による営業停止命令や店舗の差し押さえといったリスクを鑑みて即座に退却するのではないだろうか。

 

「夜逃げされるんじゃないか、って考えてるところかしら?」

 

 ニヤリと口角を上げたユウカ、赤い虹彩と青い瞳孔の彼女は既にオウカの考えを察していたらしい。

 

「心配はいらないわ、もうリオ会長のドローンが当該企業の営業所及び各店舗を見張ってる

当然、同様の地下通路を備えていた場合に備えてパッシブソナー搭載機もいるわ

つまり、夜逃げの恐れは、極めて低い!」

 

「具体的な数値でお願いするであります」

 

「具っ……貴方ね、未確定な可能性の話を具体的な数値で現すなんてナンセンスだわ」

 

 慌てたような早口で(まく)し立てながら肩をすくめて首を振るユウカ、動作一つ一つが可愛い。

 

「カオス理論による短期予測は可能かもしれないけれど、量子的な重なりや可能性の偏在性を鑑みて計算のための時間が……あっコラ!」

「失礼するでございます」

 

 あまり長い話ばかり聞いていられないので、程々のところで気配を消してそっと歩き出すオウカに気付かず、しばらく早口を回し続けていたユウカだった。

 

「待ちなさい!せめて理由を聞きなさい!」

「ごめんでありますー!」

 


 

「ということなんでありますよ……」

「それでたんこぶなんて生やしてんのか、世話ねぇな」

 

「うぅ……ネル先輩が冷たいであります……暖めて……」

「よしよし、冷たい先輩は居ませんよー」

 

 メイド部の部室にて、アカネの胸に顔を埋めるオウカ、後頭部のたんこぶは痛いが別に治療が必要な怪我というほどではないため、アカネも優しく撫でるにとどめている。

 

「テメェらイチャつくなら他所でやれ!」

「……作戦は理解した、つまり今回は……」

 

「アタシの単騎突撃」「フロントメンバーによる潜入作戦」

「みんなでとつげき!」

 

「だな」「ということか」「だね!」

 

「「「……?」」」

 

 ネル・カリン・アスナ、いちゃついているアカネとオウカを除いた三人の意見が全員見事にすれ違う。

 

「どうするでありますか?普通に突入するならネル先輩、俺、アスナ先輩の3人で入ってアスナ先輩とコユキちゃんとでセキュリティを割りながら突破、というのが基本だと思うのですが」

 

「私も大体同じことを考えて居ましたが」

 

「「……」」

 

 

「「「「「作戦会議」」」」」

 

「しよっか!」「しよう」「「しましょう」」「するか!」

 

 ちなみにこの後2時間くだらない言い争いが続いた。




昨日初投稿できなかった分の初投稿です

ぶっちゃけ内容どうしよう

  • ストーリー重視(このまま)
  • はやく原作入れ(会長失踪)
  • 戦え……戦え…(戦闘重視)
  • 旅しろはよはよ(関係重視)
  • 消えてクレメンス(削除)
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