百鬼夜行より連邦へ、弾丸を込めて   作:魚介(改)貧弱卿

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二十一発目 再装填

「と、言うわけでありますな」

 

「それで、その後は?」

「え?そりゃあもうひたすらネル先輩が撃って、他4人でサポートして、まぁこれでおわりであります」

 

 正面の席に座っているのは、カヨコ

便利屋の社長を叩き伏せたこともあって本社建屋まで『返却』に来たのだが、その時に詳しい話を聞かせてくれと言われてカフェに連れ込まれてこれである。

 

「社外秘もあります故、あまり公開できる情報がないでありますから、これでも結構ギリギリでございます」

「……まだあるんだ?」

 

「まぁ、それは色々と、疲れたでありますよー」

 

 コーヒーといちごのショートケーキが店員に運ばれてくる、ここはゲヘナ地区郊外のカフェ『俺』

庵でも淹でもなく、『俺』、主張が強すぎてせめて『O're』にでもすればよかったのではないかと疑問を覚える店名だ。

 

「ウチの社長が一人で仕事に行った時は(ロク)なことが無い、いつものことだけど、今度は輪を掛けて碌でもないね」

「違法蜂蜜漬け、なんともファンシーな響きであります」

 

 コーヒーとショートケーキはカヨコの前に供され、オウカの前にはアイスストレートティーとガトーショコラが並ぶ。

 

「しばらく蜂蜜(ハニー)は見たくないでございますよ」

「そうだね、私も」

 

 社長はどうやら創業から半年の記念に焼肉に行きたかったらしいのだが、どうもここ最近依頼がなかったりやらかしたり依頼が撤回されたりと損ばかりをしていたというカヨコは、疲れたため息と共にコーヒーを啜る。

 

「ん……おいしぃ」

 

 ゲヘナは温泉テロリストと飯テロリストが徘徊するキヴォトスの危険区域、トリニティも救護ガンダムと陰謀屋が駆け巡っては居るが、直接的な危険で言えばすぐその辺りが爆発する可能性が無くならないゲヘナの方が高いだろう

そんな地域でコーヒーをのんびりと飲んでいられるとは豪胆な事だ。

 

「アンタも飲みなよ、ヌルい紅茶なんて美味しくないでしょう?」

「ゲヘナ生徒の温度感覚でヌルいとはどのくらいでありましょうか……」

 

 仮にも校章まで提げたゲヘナ生徒の目の前で紅茶を飲むのは何か危険な気がするが、カヨコはあっさりとそれをスルー。

 

「別に、紅茶か珈琲かなんて、個人の好みに口出しする事じゃないよ」

「その考えができる人は、珍しいであります」

 

 おすすめの通りに紅茶を一口、まぁゲヘナのカフェだからコーヒーの方に力を入れているのだろう、紅茶は並の味だった

ゲヘナで喫茶店を営むという事は、つまりあの悪名高きテロリストどももやり合うのと同義、連中が紅茶を飲むかはわからないが

この味で1杯500C(クレジット)、爆破されないだろうか心配だ。

 

「こっちはどうかな」

 

 ゆっくりと、ガトーショコラにフォークを入れる

チョコ故の表面の焼き跡を割り、スポンジをゆっくりと切る、一口サイズにカットしたそれを素早く口に。

 

「美味しい」

「でしょう?ここはケーキとコーヒーには定評があるの」

 

「××に定評のある○○構文で本当に質が良い事ってあるでありますか……?」

「何言ってるの、味がよくなかったら評判どころか店がなくなってるよ」

 

 向こうもショートケーキの攻略に取り掛かっているようで、機嫌良い声が聞こえてくる

ゲヘナでは珍しい品のある淑女な彼女が、こうまで明るい声色を出すことは珍しい。

 

「それもそうでございます」

 

 言葉はそれで終い、あとは味覚のためだけに唇を開く。

 

「んっ……んっ……く」

 

 こくり、と喉が動く、その奥に滑り堕ちていくうねる舌よりも赤い苺の果肉。

 

「ぁ…」

 

 コーヒーを一口、生クリームの僅かに残る後味を流し去る苦味と、後味の酸味に嘆息する彼女はおもむろにクリームの跡を舐めとって、その唇が透き光る。

 

「っ……ふぅ……」

 

 肩に掛かっていた力が抜ける、視界は眼下のケーキに集約され、そのためだけに使われる

スポンジに混ぜられたいちごの果肉にフォークの刃を立てて、ぶちりと切る、鮮やかな果汁はスポンジに消えていき、それも纏めて彼女の口へ。

 

 溶けゆくクリームの甘味の儚さといちごの歯応えは快い、表情がゆるむその前に、一口のコーヒーを。

 

「んぁ」

 

 言葉にもならない微かな音が溢れる、幸せを音として表すなら、きっとこうなるのだろう、そんな小さな、愛しい音。

 

「この他校の先輩、えっちすぎる……!」

「は?」

 

 そんなYouTubeで流したらアカウントが消失しそうなASMRを間近で聞かされることになったオウカは、わずかな弾痕や焼け跡のあるウッドテーブルに突っ伏していた

支払いは割り勘で。

 


 

「それで、他校の人とお話をして来たんですか?」

「その……なぜわざわざ耳元で?」

 

 なぜか耳元で囁いてくるノアの、耳朶を打つ甘やかな声に溶け出す脳を抑えながら問い返すオウカ。

 

「ユウカちゃんにもC&Cの他の人にもなんにも言わずに、一人でゲヘナに行っちゃった悪い子なんですかー?」

「はひ」

 

 それに答える事はなく、『ゆうかちゃん』の部分だけねっとりとした語調になった彼女が、言い切ると同時に耳に吐息を吹きかけてくる。

 

「わるいこにはおしおきが、ひつようですよね?」

 

 オウカは死を覚悟した、具体的には尊厳の死を。

 

「いっぱいおしおき、しちゃいますね?」

 

 

「あっあっあっ……」

 

 この後オウカはノアに日が暮れるまで耳元で囁き続けられ、カヨコによる残存ダメージと合わさって無事耳と脳味噌が破壊され、回復には三日を要した。

ぶっちゃけ内容どうしよう

  • ストーリー重視(このまま)
  • はやく原作入れ(会長失踪)
  • 戦え……戦え…(戦闘重視)
  • 旅しろはよはよ(関係重視)
  • 消えてクレメンス(削除)
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