時間は少し遡る、ネルによる戦闘開始宣言がされた直後。
「戦う相手を間違えたなぁっ!」
「ここで、決める!」
全力の抜刀術による攻撃を狙い、オウカは背負っていたアルを放り捨てて左腰に手を送り、軍刀を鞘ごと引き抜いて頭上に上げ、鞘を左手、柄を右手に握り、右足を出して半身になり体側へ切り抜けるように攻の型『竜虎双撃の構え』を取る
この構えは相手の攻撃に対する先の先を取る攻勢反撃に特化し、防御を捨てた命懸けの反撃の構え
当然、相手の攻撃の方が早ければただ死ぬのみ。
普段使いする脚を大きく開き、三戦立ちのように膝を内にする事で姿勢を安定させ重心を落とした心地光明の構えとは構えが違うことを悟り、ネルはニヤリと笑ってさらに前に出て、THSMGの制圧掃射でゾンビ生徒共を打ち据える。
「デカブツは任せた!」「生徒を頼みます」
他生徒をネルとアカネが蹴散らし、アスナはその援護に回る、オウカはチェーンソーを回すUFOのような巨大な機体へと正面から立ち向かう事を選び、カリンはオウカの後ろからライフルを構え。
「目標を捉えた」
射撃、先ほどのアルよりも高火力の一撃がチェーンを弾き、火花と炸裂音が響く
ギャリィインと鳴る激しい音は耳障りで、カリン自身も思わず顔を顰めてしまう。
「ええい不愉快な!進め!」
ソーサーに命令を下す社長は間近で聞いた分そのダメージは大きかったのか、機械の耳を押さえて大声で叫んでいる。
「すぅ……はぁ……」
そんななか、流石に雑にやっていてはこのデカブツを斬れそうにないと判断したオウカはまず居住まいを、構えを、そして
極めれば流血すらも自発的に停めるというセルフコントロール術、その一端
大岩を断つ斬術のための第一歩。
「天道流抜刀術、零の型、三番」
名前があまりにもクサ過ぎて言いたくなくなるその型番を静かに呟き、結ぶ。
「阿魏悪双頭剣」
その抜刀は、カリンの目には見えなかった
背後にいたカリンが鞘ごと刀を見失い、そしてようやく攻撃を察したのは、ソーサーが激音を響かせてから
8メートル先にいた彼女が攻撃してから実に0.025秒後、彼女にその着弾音が届いてからだった。
「な……何が起こった……!?」
彼女がコンクリートを斬る時のような綺麗な断面ではない、力尽くで引きちぎられたビニールのような荒れた裂け目が開く、それと同時に千切れてこちらへ吹き飛んでくるチェーンの先端を自分自身に当たらないように避けるオウカ
しかしあまりに高速で回っていたのか、破断点から高速で飛んできたチェーンに肩から背中に掛けて肉を抉られる、回転軌道の内に入ったことで胴体両断による即死だけは避けたが重症と言うべきだろう。
[シールド!]
カリンにまで飛んできたチェーンの断片はその身をもってドローンが防ぎ、墜落爆散、消滅する
それと同時に
「やるじゃねえか!!」
ゾンビじみた生徒達は撃っても手応えがない、運動野も感覚野も壊れかけなのだろうその連中を相手しながらネルが叫んだ、彼女の音速を超えた連続攻撃を見切れたのはこの戦場で彼女だけだ。
(あいつ、剣でチェーンを斬ってから鞘で本体を斬りやがった!刃もついてない鞘なんかで!)
「なんだ!何があったんだ?!」
「すっごーい!じゃ、私も行っちゃうよーッ!」
スライディングでゾンビの群れを素早く突破したアスナが浮遊しきれなくなった巨大なベイブレードへと接近、そのまま裂けた胴体に銃口をねじ込むようにして連射する。
「あっ勝手に!……もぅ、仕方ありませんね」
カリンが狙撃した天井の電気回路からの爆発によって数人の生徒が吹き飛ばされ、ごちゃ、というなにか潰れたような湿った音が鳴る
ろくに受け身も取れないのだろう、吹き飛ばされた数人は起き上がる様子も見せない
それを観察していたネルは号令を放った。
「頭が無いから起き上がれてねぇ!アカネ!爆発物でこいつらを行動不能にしろ!」
「承りました」
弾が切れるより早くハンドガンをホルスターに戻したアカネはスカートの裾の中から次々に爆弾を取り出しては設置し、起爆していく
彼女はハンドガンユーザーではあるが、潜入工作員として爆弾の扱いにはなれているのだろう、するするとスカート内から沸いてくる爆弾には暴発の二文字が浮いて見えるほど安全確保がされていないように思える。
「優雅に」
バコン、ズガン、ととても優雅とは言えない音と共に吹き飛ばされて壁や地面に叩きつけられていく生徒達の本能的な悲鳴が響き、手を離れ、取り落とされた数々の武器が転がる。
「ええい!センチネル!やれぇい!」
もはや絶叫のような金切りが浮遊能力を失い独楽と化したソーサーの中から出てきたアンドロイドの遺言となった。
「《いいえ》」
センチネル、そう呼ばれたオートマタが発砲したのは主人に向けて、星精機社長、安土へだった。
「これ以上は付き合いきれませんので
我々が援助した金で玩具を作るのはいいが、ちゃんと実用品にして貰わなくては困る
いくらエージェントとはいえ、子供の数人に壊されてしまうようでは、やはり玩具の領域を出ない程度のものだった、ということだ
貴方もまた、ね?」
メインモニターやセンサー、メモリが存在する頭部あたりを見事に吹き飛ばしたオートマタはニヤリと笑う。
「『コレ』が解析したいなら、どうぞ?
ミレニアムサイエンススクールは『技術に目の無い学校』だ開発には投資がいるが、残骸でも現物があるならそれで十分、違いますか?」
投げやりな言葉と共に曖昧に手で指したのは、果たして機械なのか、生徒なのかは判然としない、そして彼はそのまま右手にハンドガンを、左手にタブレットを握ったまま、『センチネル』は道の奥へと去って行こうとする。
「行かせるか!」
「全てを吐いてもらうぞ!」
彼が進んだ道の奥、そこはカリンの狙撃射程、狙撃と呼ぶかもわからない距離だが、とにかく一撃で命中させる。
「行って!」
アカネの声とともに残っていたドローンが飛翔し、彼のボディか、さもなくば何か破片やデータだけでも回収しようとする
しかし、彼は狙撃で左腕を吹き飛ばされながらもハンドガンを巧みに操りドローンを撃墜
そのままタブレットを握ったままの左腕ごと引っ掴んで放り投げる。
「起爆!」
閃光、腕に自爆装置でも仕込んでいたのか、立ちこめる煙と閃光が視界を覆う
もともと廊下が薄暗いのと彼が去り際に照明を破壊していったこと、そしてこの通路や部屋自体が地下屋内設備であることも相まって換気は鈍く、煙はなかなか晴れず、視界は極端に悪化した。
「ドローン!」[ダメよ、サーマルカメラとソナーを搭載した機体はあれが最後、残り3機は普通の光学カメラしか搭載していない]
廊下という一直線の道、移動可能な範囲は滅法狭い、そしてネルの二丁銃は掃射能力に長けたSMG
この状況と相性は良い、
だが、多数を相手にし続けた事で、弾はもう残り2マガジン分しか残っていない。
「クソッ!」
ヤケクソで全弾ばら撒いてみるが、
「リーダー?突撃する?!」
「よせ!単独行動は危険だ!」
「…………!」
オウカも思いつき程度にその辺りに転がっていた銃を二丁持ちでぶっ放すが、やはり応答はない
もうどこか先に抜けてしまったのだろうか。
「おいリオ!追跡は!?」
[ソナー機がやられた以上、光学カメラで行うしかないわ、それにまだここはミレニアムの校区内、こちらで地図と照合して出口を炙り出すわ
それよりも、今は被害者の回収を急ぎましょう]
「……チッ!!」
あまりにも勢いの強い舌打ちと共に、
その翌日、ミレニアムの『保健室』に収容された二十数人の生徒達と陸八魔アルのデータを画面に浮かべたノアに、部屋に入ってきたリオが問いかける。
「ノア、健康診断の結果は出たわね」
「はい、全員分滞りなく」
こちらがそのデータとなります、との一言と共に示されたのは便宜的に作成されたExcelの画面、個人名の聞き取りができた人は名前欄もあるが、質疑応答も困難な状態にあった数人は番号を当てさせてもらっている。
「有機脂肪酸に干渉する成分のせいで脳にダメージがある生徒もいますが、共通する最大の問題は薬物の禁断症状と条件付けの解除方法が現状無いところです」
「……禁断症状はともかく、条件付けの方に関して、思いつくのは催眠療法や精神治療、具体的な数値や基準のない物は、どうしてもミレニアムでは妥当性を証明しづらい、ゆえに研究されず、発展もない、無理もないわ」
今は希望を探す他に無い、そう言葉を終えた彼女は、再びノアへと目線を合わせた。
「『彼』については?」
「ミレニアムの当該地区マップデータと照合しましたが、『彼』……センチネルが姿を消したのはペーパーカンパニーの貸し倉庫のようです、通路全域をマップしたところ、やはり数箇所に出入り口がありましたが、複数のペーパーカンパニーと、実体ある企業が入り乱れていて、立ち入り調査は、残念ながら進んでいません」
「……カイザーグループ、オートマタがカイザーマークを消されてはいたけれど、
「しかし、カイザーは
はぁ、と一つ大きな声が出る。
「ビッグシスターなど呼ばれてはみても、やはり若輩は変わらないものね、こうも校区内で好き勝手に暴れられて、いまだ尻尾を掴みきれないなんて
失望したかしら?」
大体1時間くらいで急いで書き上げました
誤字脱字随時修正します
初投稿です
ぶっちゃけ内容どうしよう
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ストーリー重視(このまま)
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はやく原作入れ(会長失踪)
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戦え……戦え…(戦闘重視)
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旅しろはよはよ(関係重視)
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消えてクレメンス(削除)