百鬼夜行より連邦へ、弾丸を込めて   作:魚介(改)貧弱卿

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二十三発目

「カイザーグループと星精密機の背後関係調査、ですか?」

「ええ、報酬はもちろんいつもと同じ潜入任務基準で出すわ、必要な物質・支援があればユウカに言ってちょうだい」

 

「わかりました」

 

 C&Cの任務報酬、本来は部活動として部費支給以外はノーギャラなのだが、そもそもC&C自体が任務のたびに何某かを破壊してその清算のために大金を支払わらせて部費不足となっていた事で導入された『報酬制』によって

オウカが受けた分の依頼報酬は一定割合の手数料をC&Cの債務返済に持っていかれる以外はオウカの手元に入ることになっている

これはオウカがあくまで留学生であり、セミナーからの紹介による外部からの雇用という形で所属する員数外メンバーであるという扱いの違いに起因する例外措置である。

 

「久々の潜入任務でございます」

 

 任務報酬は掃除や料理、研究手伝いなどの一般的なメイド部としての仕事が『一般事務・業務』として最低額

エージェントとしての『戦闘・監視任務』は時間外手当や危険手当によって変わってくるが中規模

そして『潜入・工作任務』のような特殊な技能を必要とする危険度・難易度の高い任務は高報酬になる傾向がある。

 

「……100万、届くでございますな」

 

 ただの不良の制圧くらいであれば10万取れれば良いところだが、暴走した機械兵器の制圧破壊や暴動の鎮圧など規模の大きい戦闘にはそれなりの額がつく

すでに今月の目標である700万のうち400万は取ることができている

本当は450万ほどあったのだが、残念ながらえぐれた背中の治療と武器の改修、衛生用品や食事その他諸々に消えてしまった

設備投資は生活必需品並みに削れない部分なので仕方がないと言わざるを得ないだろう。

 

「500万あれば自信持ってアビドスに()()()であります♪」

「貴方!?」

 

「え?」

 

 生徒会室を離れ、教室へ向かっていたオウカの背後から声がかけられる、タブレットとバインダーを握った銀髪少女がその声の正体だろう。

 

「貴方、いま『アビドス』と言いましたか!?」

「……まぁ、はい」

 

「貴方はアビドスの関係者ですか?」

「一応、アビドス高校からの留学生でありますが……」

 

「なら!」

 

 銀髪少女は勢いよく距離を詰め、オウカの胸に飛び込んでくる直前まで身を寄せてきた。

 

「小鳥遊ホシノちゃんは、居ますか……!」

 

アビドス(ウチ)でうへうへ言いながら生徒会やってるでございますよ?それで、彼女がなにか?」

「ホシノちゃんに、伝えてください……

『私はまだ諦めてないから』って」

 

 震える声で、震える拳で、その一言を絞り出す彼女には、それ以上は何も問えない

そう判断したオウカは、幾分低い彼女の背に目線を合わせる。

 

「責任を持って、俺が伝える

だから、あなたの名前を教えて欲しい、()()

 

 オウカは確信していた、正体定かならぬその人物は、かつてアビドスに在籍していた先達である、と。

 

「私は、改殻(かいがら)ムスビ、元アビドス高校生徒会書記、ムスビです!」

「伝言確かに承った、俺がホシノ先輩に届けます」

 

「はい……お願いします……!」

 

 彼女に背を向けて、再び歩き出すオウカ。

 

「ミレニアムにも、元アビドスの生き残りってまだ居たでありますな……

それにしても、モモトークなりなんなりで自分で伝えれば良いのに」

 


 

 そしてその後、教室で今日の分の授業(BD視聴)を終え、C&C部室へと来たオウカ

だが今日は流石にC&Cとしての活動はできない

つい一昨日にネルも驚くほどの超兵器と対峙し、その操り人形にされていた生徒たちを回収、治療に当たっているため他の依頼にまで手が回っていないのだ。

 

「そういえばあの社長はどうなったでありますかな」

「あぁ、それならちょうどよかった」

 

 その時、メイド部(C&C)部室に入ってきたのは、仕立て屋(テーラー)技術者(マイスター)としてお世話になっている先輩、猫塚ヒビキだった

普段部室から動くことがあまりない彼女がわざわざC&Cの部室まで来ているという事実に対して期待が高まるオウカ、しかし彼女の言葉はそれを裏切るもの。

 

「残念ながら、修理は不可能だった、データの抽出もできない、完全にスタンドアローンの機械がメモリを残さずに完全破壊されてしまった状態で、そこから情報を得ることはほとんどできなかったよ

一応、一時的(テンポラリ)ストレージの方からは抜けたデータもあるけれど、残念ながら重要そうなものはなかった」

 

「そうなると……」

 

「つまり、彼の遺体を復旧することはできず、できたとしてもメモリが残っていないから情報を抜けない

振り出しに戻ってしまったようだね」

「……はぁ……」

 

 あっさりとした口調で彼女が告げた事実は、やはり喜ばしくはない情報だ

メモリが復旧できたのなら、人道的観念を一旦無視してでも情報を抜くことができたのだが、それができないとなればセンチネルの事やカイザーとの相互関係も裏取りへの道がかなり遠くなってしまう。

 

「私たちも引き続き復旧を試みるけれど、物理的に破壊されたメモリの情報を抽出することは結構難しい、期待はできないよ」

「わかりました、部長たちにもそう伝えるであります」

 

 オウカが手で目元を覆いながらそう言うと、ヒビキはそうそう、と言葉を続ける

左手でドアを抑えながら右手で壁のレールに寄りかかる器用なポーズでドアの前に立ったままで。

 

「きみの刀はまだ強化回収が完了はしていない、今は中断されているだけ、だから今度またエンジニア部に来て、メイド服の修繕依頼の時でいいから」

「わかりました」

 

 すでに白熱刃の時点でオーバーパワー気味なのだが、それでもなお満足がいかないらしい彼女たちはさらに軍刀を強化改造するつもりのようだ

もともと百鬼夜行・百花繚乱紛争調停委員会で制式採用を目指して試験制作された試作武装だけあって、拡張性をもたせる緩めの造りではあるが、これ以上どう強化するつもりなのだろうか?

 

「具体的な強化プランはどのようになる予定でありましょうか……?」

「宇宙戦艦の主砲……とはいかなくても、近接戦兵装として使えるくらいにはしたいかな、

まだ完全に方針が決まったわけじゃないから、具体的なことはあまりいえないけれど、私達も軍刀(サーベル)の形には浪漫を感じている

だから、その形を変えずに強化する方向になると思うよ」

 

 左手をぷらぷらさせて拳銃付き軍刀『尖月』を指すヒビキ、形が変わらないということは。

 

「友人の遺品が銃剣盾顎付きキメラにならなくてよかったであります……」

 

 少なくともガシャガシャ変形したり、レーザービームが出たりする恐れはない、という事であろう、と解釈したオウカは大きくため息をついた

百鬼夜行からの数少ない持ち出し品である遺品をゲーミングにされたりアームドデバイスにされたりするわけではないと安心したのだ。

 

「それじゃあ、またね」

「はい」

 

 ヒビキは扉が閉まる前に部屋を去り、オウカは潜入作戦に向けて光学迷彩や消音装置などに関連する論文をミレニアムウェブで読み漁りはじめる。

 

「あら、迷彩ですか?」「きゃっ!?」

 

 PCの画面に集中して文章を読み込んでいたその時、オウカの背後から声がかけられた

反射的に拳を振り抜き掛けるが、その声がアカネのものであると判断が追いつき、緊急停止。

 

「お洒落にも使われることがありますよね?」

「……」

 

「そんなに不服そうな顔をしないでくださいな、紅茶を淹れてあげますから」

「俺は紅茶さえ飲ませればそれで満足するトリニティの単純な子ではないのでありますよ?」

 

 なお、紅茶が美味しかったので許した。




今回出てきた第二オリキャラちゃんは
『こんな子が居ても原理的にはおかしくはないだろう?』という作者のイメージから作られた妄想存在なので今後出てくる重要人物になるとは限りません

諸元情報は以下の通り

名前:改殻結(カイガラ・ムスビ)
所属:ミレニアムサイエンススクール 無所属
年齢17歳・学年3年生
使用武器:Cross the Rubicon(もうもどれない)
武器種:グレネードランチャー
攻撃属性:爆発 防御属性:特殊装甲
ポジション:Back 役割:Special
クラス:サポーター
神秘:創造
モデル:アトゥム神

蛇の脱皮を体を新たにする事として
脱皮によって『改めて殻を作る』ことを姓とし
新たな神や命を作り出すことが出来る神である事から
新たに産み作る、結い括ることを意味するムスビの名を冠する
また、太陽神ラーとも習合されラー・アトゥムとも呼ばれた。

研究テーマは砂漠化による土壌劣化の防止策と土壌質の回復
なお、もう手遅れである。

⚠︎ 本作ではカヤアビドス出身説を採用し、元アビドス生徒会役が他にも存在するものとしています

ぶっちゃけ内容どうしよう

  • ストーリー重視(このまま)
  • はやく原作入れ(会長失踪)
  • 戦え……戦え…(戦闘重視)
  • 旅しろはよはよ(関係重視)
  • 消えてクレメンス(削除)
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