百鬼夜行より連邦へ、弾丸を込めて   作:魚介(改)貧弱卿

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二十四発目

「もう!あり得ない!本当にもうっ!」

 

「あの……ユウ……」

「なんですかっ!あっ……」

 

 廊下を歩きながら荒ぶっていた菫色の髪の太もも生徒、セミナー会計早瀬ユウカを呼び止めると、彼女は怒りのままの勢いで振り返り、その声の主が全く自分の怒りと関係のない人物であることに気づき、そして自分が八つ当たり気味に強く当たってしまったことまで連鎖的に考えを及ばせて息が詰まる。

 

「あの、出直した方が良いでありますか?」

「いいえ、どうせですからこの場で済ませましょう」

 

 感情を捨てた、いや因数分解して無表情になった彼女は超絶的な早口でそれを言い切る。

 

「先日リオ会長より仰せつかった潜入任務に入り用の補填物資の話であります、まず可能な限り高倍率なズームができるカメラ、それに使うバッテリーはいつも通り

次いで特注品でありますが、これは長期潜伏を見越して飲食料の相当量と、消音仕様のブーツと指貫グローブ、あと光学迷彩クロークが欲しいであります」

 

「光学迷彩って……あなたどこに行くつもりなのよ」

「潜入中に慢性的に必要になるわけではなく、急場を誤魔化せれば十分でありますよ

相手はカイザーグループでありますから、おそらく見つかったら問答無用に撃たれる所でございますから、身を隠すのに使える物が欲しいのであります」

 

 社屋内で発見されたら袋の鼠にされかねないので、兎にも角にも隠れるやり方をしなくてはならない

オウカは忍術研究部ではないので流石に分身だの隠れ身だのと忍術を会得していないため、光学迷彩(インビジブル)クロークによる不可視化を要求したのである。

 

「潜伏とは言っても、実際社員として潜り込んだりする訳ではないでありますから

いわゆる敵地潜入(スニーキング・ミッション)で情報を探ることになる

ですから、ふざけた事を言っているわけではなく屋内迷彩(ビル・カモ)やそれに類する隠蔽が必要なのであります」

 

「はぁ……まぁ本気で言ってるはわかったわ、ノアにその辺りの現物がないか聞いてみる

なかったらエンジニア部の方に依頼をするわ」

「なら、ついでにコイツの強化改修もお願いするでございます」

 

 尖月の鞘をぽんと軽く叩いて言うと、ユウカは再び怒った顔になる。

 

「そ!れ!は!自分で言いなさい!」

「ごもっともであります……それはそうと、先ほどは何を怒っていたでありますか?」

 

「はぁ……もう!せっかく忘れられそうだったのに思い出しちゃったじゃない!

……あの子達、ゲーム開発部が古代史研究会を襲撃したのよ、レトロゲームがありそうだから、って!」

 

 ユウカの太もも具体からしてそれは本当なのだろう、この前見たあの才羽モモイなら破滅的なテンションで押し入りくらいはやりそうだ。

 

「ユウカも苦労しているようで」

「本当にね!」

 

 ふん!とわざわざ口でいいながら横を向くユウカ、感情を因数分解できていないようだ。

 

「さて、確かにお願いしたでありますよ、それでは俺はこの辺りで」

「ええ、またね」

 

 ようやく解が出たのだろうか、落ち着いたユウカはこちらに軽く手を振ってくるので、オウカもそれに応えて振り返した。

 

「さて、次はヴェリタスにいかなくては」

 

 セミナーと(アンチ)・セミナーの両勢力による手を取り合った共同作戦、とはいかずとも、限定的にお互いの力を貸し合うことくらいは出来る

今作戦に於いては電子戦機を借用するつもりだ。

 

「必要なものは……」

 

──物理的な潜入、だけでは足りない

──電子的侵入、だけでは意味がない

故に、エージェントによる物理的潜入で社外秘用スタンドアローンネットワークへのアクセス、その後重要書類やデータを回収する

 相手が大企業ではないのなら、どちらかで十分だったかもしれないが、カイザー相手に油断や手抜きは許されない。

 

「まずは物、ついで情報、最後に足でありますな……」

 

 最悪の場合、自前の足で行っても良いのだが、カイザーはミレニアムから遠い、マテリアル・重工・エレクトロニクス・PMC・レーション・デベロッパメント・ブティック・ビルディング・通信・新聞などなど様々な企業がある中で、今回狙うのはズバリ大本命の民間軍事会社(PMC)

その本社はアビドス地区に存在している

歩いたり車で行くのは流石に遠すぎるだろう。

 

「人体改造とかできれば話は別でありますが、まぁこの身を手放してまではやりたくないであります……メスはどうも抵抗を感じる」

 

 独り言を言っているうちにヴェリタスの『部室と称して占拠している部屋』の前にたどり着く。

 

「失礼するであります」

「失礼なら帰ってください」

「それでは帰らせていただきます」

 

「あの、本当に帰るんですか?この超天才病弱美少女ハッカーの言葉遊びに真に受けてしまったのですか?」

「膝に矢を受けてしまいまして」

 

「あら、なら治療が必要ですね、私は医療技術も心得ていますから緊急手術を執刀しますので入ってくださいますか?」

 

 この言葉遊びに意味はなく、ただ人を揶揄いたいだけなので全て無視して用件だけを伝えに部屋に入る。

 

「とりあえず、要件はわかっているでありますか?」

「はい、カイザーへの潜入、それも物理的に侵入して機密書類の奪取をするのでしょう?」

 

「はい、そのためヴェリタスの皆さんに電子線機とハッキング技術を貸していただきたい

私だけではスタンドアローンのシステムに侵入することはできないので」

 

 オウカの言葉に若干顔を顰めた彼女は何かを思いついたようで、不満げな表情を一気に笑顔へと変える。

 

「このままセミナーに協力するのも癪ですし、さりとて無視を決め込むわけにもいきませんね……ではこうしましょう、今からこのミレニアムの誇る最強のハッカーが技術を伝授します」

「つまり自分で努力してやれ、と、1夜漬けレベルの付け焼き刃の技術など碌なものでもないでしょうに?」

 

「それで終わるならセミナーの選んだエージェントである貴方は、しかしその程度の人物だった、ということでしょう」

「……セミナーにケチを付けたいがためにわざわざ任務の難易度を上げられても困るでありますが」

 

 電動車椅子で3角ターンした彼女は部屋の入り口ドアから奥側のデスクの前まで車椅子を走らせ、そこに表示されたホロキーボードを指差した。

 

「まず、ハッキングのなんたるかから始めましょう、心配せずともツールは与えます

今から簡単なセキュリティソフトを組みますから突破してみてください」

 

「流石にぶっつけ本番がすぎませんか!?」

「今はチーちゃんもコタマもハレもマキも居りませんし、何より手が空いていますから、やり方はそっちのソフトの方に電子説明書が入っているはずですよ」

 

「ええ……?」

 

 振り返りもせずに浴びせられたのは淡々とした細い声、まぁこれで抵抗しても仕方がないのでハッキングツールの使い方の欄を開こうとホロキーボードに手を伸ばすオウカ。

 

「あれ、ダブルクリックで開きますこれ?」

「まさか、ちゃんとコントロールとO同時押しですよ」

 

 カチカチとマウスをクリックしても展開されないファイルを心配してヒマリに問うと、全く知らない謎ルールに基づいた反応が帰ってくる

基礎を知らない人間に上辺だけ教えたところで歯抜けの櫛がせいぜいなのだが、その高すぎる理解力がゆえにか『理解できないことを説明できない』という状態が理解できないらしい彼女はきょとんとした顔になるばかり。

 

「まず開き方から俺が知ってるやつと違います!」

「慣れてください、このミレニアムの誇(以下略)の指導を受けられるだけでも望外の喜びであるというのにあなたときたら(以下略)〜〜」

 

 自分でセッティングして自分で定めたはずの物事にすら文句を言い始めるヒマリ、オウカはひたすら我慢していた

正直これが敵陣だったら首を三回転半アクセルくらいさせていたかもしれない。

 

「まだまだですね、この程度のセキュリティを破るのに20分も掛かるなんて」

「……ちなみにヒマリさんがやると」

「5秒、と言ったところですか?」

 

 その言葉が掛けられたのは1時間後、情報窃盗特化型ツール、『幻影像(ファントム)』によるミレニアムウェブへの侵入に成功した直後であった。

 

「なんだろう、達成感とか疲労感はあるのにイマイチ喜べないでございます」

「なぜです、この(以下略)〜」

 

 この長い話のうちに軍刀の強化とメイド服の交換のための依頼をモモトークで打とうかと一瞬迷うが、すぐに気づかれると判断して諦めたオウカは先方の都合で納期を短縮されてしまうエンジニア部に黙祷を捧げた。




初投稿です

ぶっちゃけ内容どうしよう

  • ストーリー重視(このまま)
  • はやく原作入れ(会長失踪)
  • 戦え……戦え…(戦闘重視)
  • 旅しろはよはよ(関係重視)
  • 消えてクレメンス(削除)
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