百鬼夜行より連邦へ、弾丸を込めて   作:魚介(改)貧弱卿

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二十五発目

「急拵えの適当なハッキングスキル、同じく適当なツール、これでカイザーのセキュリティを抜けるであります」

 

 言っていて悲しくなるオウカだがヤケ気味になっている彼女は調息も摺り足もかなぐり捨てて走っているのだから哀れだ。

 

「オウカ、どうしたんだい?そんなに急いで」

「ウタハ先輩、よかった、こいつの強化改修を依頼したかったんだ、以前修理した時には『一時中止』となっていたらしいから」

 

「……わかった、だが良いのかい?修理と違って改修は形を変える可能性もあるんだ

いかに強化するためとは言え、本質を損なってはそれも無意味だ、君にとって()()は大切なものなんだろう?」

 

「……『零式試製拳銃付き軍刀:無銘』であります、これは元来友人の作った試作武器、百鬼夜行に伝わる近接武器の軍刀と拳銃を纏めたイカれ武器です

だから、きっと奴が生きていたら更にイカれていたでありましょう」

 

「遺品か」

「はい、かつての『事件』で焼死したと思われます」

 

 ウタハは僅かに顔を顰めてお悔やみ定型を述べると同時に軍刀を受け取った。

 

「わかった、この子は責任を持ってウチで預かる、ユウカに頼まれた外套と合わせて必ず仕上げて見せよう」

「お願いします、あぁそれと……出発は月曜でありますから、なるべく早めにお願いするであります」

 

「本当に急だね!?時間が無さすぎる、急いで作業に取り掛からなくては!」

 

 ウタハは下がり気味だった顔を一気に上げて小走りに部屋へと戻り、部屋にいたヒビキとコトリに声をかける。

 

「3日後までに改修を終わらせなくちゃいけないとのことだ、ウチのエージェントはなかなか手強いことを言ってくれるね!」

「……時間と予算が足りない、自分の能力不足に対する言い訳にすぎない、限られた条件で最善の結果を出すのがマイスター」

「では早速取りかかりましょう!刀という道具の強化はどうなるかは乞うご期待です!」

 

 いつもなら長々と原稿用紙5枚分ほどの長尺セリフを始めるはずのコトリさえそれを謹んで計画書やらレンチやらと駆け回り始めたあたり、本当に忙しい作業が必要なのだろう、無理な仕事を押し付けてしまったかもしれないと若干気後れしながらオウカはエンジニア部の部室を後にする。

 

 部室棟で最後に訪れたのはゲーム開発部の部室、他の部活とちょっと離れた隅っこにある小さな部室だ。

 

「才羽姉妹、部長、なにやら問題を起こしたというのは本当でございますか?」

「え?問題なんて起こしてないよー!ただちょーっと……古代史研究会に『用』があってぇ……」

 

 膝を抱えて目を逸らしたピンクのちっちゃい猫と、お姉ちゃん……とジト目になる緑のちっちゃい猫

そしてガタガタと震え出すロッカー

ゲーム開発部は今日も変わりないようだ。

 

「……()()()()()()()()ならまだ大した処分もされないであります、しかし、『実害を起こす』レベルに達するとなると、流石に部活動禁止とか退学とかの話になるでありますよ?

何があったかは知らない部外者でありますが、他の部活を襲撃してまで強奪するようなものがあるのであるなら、まず綿密な下調べをして実在を確信できてから人の流れに乗って物を掴むであります」

 

「いやそれダメな方のアドバイスじゃん!」

「ダメな方?いやいや、これは潜入工作による窃盗のための基本でありますよ、緑ちゃん」

 

 そっと頭のネコミミを撫でてミドリを黙らせ、それからモモイの方に近づいていくオウカ。

 

「ヒト・モノ・カネ、まず人があり、その流通に物が乗り、最後に支払われるのが金なのでございますから、人がいる所に押し入るのは三流、人がいない所に忍び込むのが二流、入ることなく持ち主自身に手放させるのが一流であります

今回の場合、古代史研究会の会員に取り入って部活動の見学なりなんなりの名目で接近して、それが実在するかの確認と同時に実在するならモノに触れることもそれで遊ぶことも出来たはずであります」

 

 ふりふりしながら出した右手で指折り数えながら黒髪少女はつぶやく。

 

「まぁその論で言えばカイザーは一流で俺は二流でありますが」

 

 

 

「だって置いてある昔のゲームがなんだかもわかんないし動かせるかもわかんないんだからその場で遊べるようにしたかったんだよー!」

「……それこそ精密な機械を含む道具があるのであれば破損させてしまうリスクもあったのでは?

ボブスレーだのカーリングだののように、『専用のフィールド』がセットでないと遊べない遊戯という可能性もあったでありますし、遊戯王のように『ルールは一見複雑に見えて複雑だぜ』な可能性も否定できないでありますから、尚のこと古代史の方の協力を取り付けるべきだったのでございますよ」

 

 うわーん!と泣き出したモモイの軽く小さいボディを受け止め、よしよししながら言い聞かせる。

 

「モモイ、次にやる時は襲撃ではなく潜入と懐柔をメインに考えるであります、作戦は特攻だけではなく

釣り出しや空城、兵糧攻め、引き回し、色々あるでありますから」

「悪い人がお姉ちゃんを悪の道に引き摺り込もうとしている!」

 

(ガタガタガタガタッ!)

 

 震えるロッカーと縋り付いてくるミドリ、私の腕の中でガクガクしているモモイ、正直に言って収拾がつかない。

 

(それもこれもら全部私ってやつの仕業なんだ!なんてこった、それは本当かい?!急遽仕込んだ潜入スキルのせいで、モモイの倫理はボドボドダ!だが私は謝らない)

 

 かつて友人と交わした複数のネタが脳内を駆け巡るが、どれもこれもためにならない!!

 

「モモイ、よく聞くでございますよ、違法な手段は咎められ、見つかればペナルティを受けるであります、しかし合法的な手段は誰にも咎められないでありますから

なにかを為す時はまず、合法的で危険の少ない方法から試すであります」

 

「うん!」

「よろしい」

 

「お姉ちゃんが妹みたいになっちゃった……」

 

モモイがさっきとは打って変わって元気のいい返事をする、オウカのエプロンスカートで涙と鼻水を拭っているあたり抜け目のないことだ。

 

「洗濯し直しでございますな……

まぁ、本当は説教をするつまりだったでありますが、杜撰なやり方さえ整えればなんとか見られる程度の問題ですんでよかったであります

本当にどうにもならないような大事件になったら、学校側が雇っている凄腕エージェントが鎮圧しに来るでありますよ?」

 

「うぅ……」

「ほら、また泣きかけている、せっかく可愛い顔をしているのでありますから、ちゃんと可愛いままを見せて欲しいでありますよ」

 

 そっと頬を撫でてやり、どうせ洗い直しなので割り切ってエプロンのまだ無事な部分で涙をそっと拭ってやる。

 

「昔の歌の歌詞であったでありますな、『泣いて腫らしたその目だってほら笑顔が似合う』と」

 

「あ、私もそれ知ってる」

(ガタガタ……ガタガタガタガタッ)

 

 なにやら内側から激しく振動し始めたロッカーを転倒する前に慌てて支えるミドリ

しかしどうやら中に人が入ったロッカーは流石に支えきれない様子で助けを求めてくる。

 

「お姉ちゃん手伝ってー!」

「任せて!」

 

「仲良きことは美しきかな……」

 

 瞬時に普段の元気な姉の顔に戻ったモモイが加速、オウカを抜き去ってミドリの元へ

倒れかけたロッカーをミドリと一緒に立て直した。

 

「ふぅ〜」「よし!」

 

「……共同作業も済んだあたりで俺は失礼するであります、ユウカに用があるので、言伝でもあれば言っておくでありますよ」

 

「あ、じゃあお願いしていい?

『ムチッ!反省してまーす』って!」

「お姉ちゃん!?やめたほうがいいよ!」

 

「ククッ……伝えておくであります」

 

 思いがけず面白い一言をもらったオウカは吹き出しそうになりながらも部室を出る、その最後にユズ入りロッカーに少しだけ触れて、ささやいた。

 

「次はちゃんと話しましょう」

「!?!!!」

 

 最大級のガタつきを見せたロッカーを尻目に部室を離れ、生徒会室へ。

 

「とりあえず進捗の報告でありますよー、誰かいないでありますか?」

「オウカ?ちょっと待ってて!」

 

 ユウカが部屋の奥から顔を出し、慌てたように一旦引っ込んでからややあって戻ってくる。

 

「どうしたの?」

「いやだから報告でありますよ、潜入任務の

インビジブルクロークと刀はウタハ部長に依頼だけであります、

ヴェリタスの通信網・電子戦機借用は失敗、ただしヒマリ殿にハッキングツールは貰えたであります、必要とあらば自前の自力でやるように言われて練習中であります、疲れました」

 

「取り敢えず話はわかったけど私になんで報告を?」

「疲れました、膝枕を要求するであります」

 

 そう、オウカはユウカを椅子に座らせ、あわよくばその太ももを枕がわりに使わせてもらおうと思っていたのだった。

 

「ええっと……」

「くぅ〜疲れました!それでは膝枕をどぞ」

 

 そのあまりにも寒々しくふてぶてしい物言いにユウカも呆れ気味のジト目になってしまう。

 

「それ本当に疲れてるの……?」

 

「疲れてるでありますよ、本当に、なにしろミレニアムの誇る(以下略)〜のハッキングブートキャンプなんてやらされたでありますから」

「うわぁ……ご苦労様ね、私のひざでよかったら使っていいわよ……」

 

 どう聞いても疲れるであろうその内容に考えが及んだのか、それなら仕方ないと言う表情になるユウカの太ももを借り、近くの適当な椅子を床代わりにして太ももに頭を載せる

爆速で意識が飛んだ。




使用作品コード709-1420-6
タイトル:オトノナルホウヘ→

昨日の分も合わせて初投稿しております
以下ネタ


 へぇい、突然ですが皆さんはこの作品『百鬼夜行より連邦へ、弾丸を込めて』をご存知です
この作品主人公、『百鬼夜行・百花繚乱』出身ブレード使い『憂晴オウカ』が先生の代わりにキヴォトスの各所と関係を結び、先生の代わりに治安を維持するという売り文句ですが実際にはほぼミレニアム生に立場が固定されている影響で百鬼夜行成分が薄く、また特徴を生むためのブレードが見た目全振りなため戦力にも乏しいブルアカ二次創作カテ設立から今まで最低の名を欲しいがままにする伝説の二次創作です
(伝説って?)

ぶっちゃけ内容どうしよう

  • ストーリー重視(このまま)
  • はやく原作入れ(会長失踪)
  • 戦え……戦え…(戦闘重視)
  • 旅しろはよはよ(関係重視)
  • 消えてクレメンス(削除)
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